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    xxshinopipipi00

    SPUR ME7/30新刊サンプル第4話です。
    当主×呪専の五夏、唯一の1年生すぐるくんが五条家の当主様に気に入られる話。
    すぐるくんが五条のおうちに行く回です。モブが若干でしゃばる。

    前→https://poipiku.com/532896/9061911.html
    イカロスの翼 第4話 目の前に聳え立つ大きな門に、夏油はあんぐりと口を開けた。
     重厚な木の門である。その左右には白い漆喰の壁がはるか先まで繋がって、どこまで続くのか見当もつかない。
     唖然としている少年の後ろから、五条はすたすたと歩いてその門へと向かっていく。
     ぎぎ、と軋んだ音を立てて開く、身の丈の倍はあるだろう木製の扉。黒い蝶番は一体いつからこの扉を支えているのか、しかし手入れはしっかりされているらしく、汚れた様子もなく誇らしげにその動きを支えていた。
    「ようこそ、五条の本家へ」
     先に一歩敷地に入り、振り向きながら微笑んで見せる男。この男こそが、この途方もない空間の主であった。
     東京から、新幹線で三時間足らず。京都で下車した夏油を迎えにきたのは、磨き上げられた黒のリムジンだった。その後部座席でにこにこと手を振る見知った顔に、僅かばかり緊張していた夏油は少しだけその緊張が解けるように感じていたのだけれど。
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    もなか

    DONE書かせていただいたアルテミスです!
    一人(?)だとこの長さがいっぱいいっぱいでした……!
    月って地球の唯一の衛星なんですよね。それってちょっと、エモいなと思って空を見上げています。
    ありがとうございました!
    貴方の唯一になりたくて(アルテミス(とオリオン)) 目を開けて、閉じる。瞼の裏に広がる宇宙は、今過ごしているこの場所よりよく見知った場所だった。私を象徴する月が静かにこちらを見ている気がして首を傾げる。だってこれは、私が私を見ているようなものだ。サーヴァントだからあり得るのかしら。それにしたって神たる私を複数用意するなんて、不敬だと思うのだけれど。
     辺りに視線を走らせれば他の星々も確認できたわ。太陽も、金星に木星も、目を凝らせば海王星だって見えた。だけど私のように人間を模した体は見当たらない。まあ、もともとこの体だって必要に駆られたから作り出したものだものね。誰もいなければ不必要だわ。──不必要、なのに。
     胸の奥にもやもやしたものが広がっていく。ここには何か入れていたかしら。姿を人間に似せただけで中身はよく理解していなかったから、何か不具合でも起こっているのかしら。もしそうなら面倒なものを作ってしまったものね。いっそ壊して、もっと機能性を追求した方がいいのかも。エラーやバグの類であると片付けてしまえば、頭は納得しても、もやもやはその強度を高めたようだった。
    1916

    ゆめの

    DONEエアコレでのリクエスト企画です。

    「付き合っていないけれど両片思いの浮唯 ひょんなことからデートをすることになった話」というリクエストをいただきました。

    水族館に行くのは別のフォロワーさんとの会話からヒントをいただきました。

    では、どこまでも平行線な浮唯の世界へどうぞ!

    ※本文に書くのを忘れていましたが(おバカ)、舞台は大阪の海遊館周辺です
    今は交わらない音色だけど……5月のまだ完全には覚醒しきってはいないが、強くなってきている太陽の光の下で、朝日奈唯はヴァイオリンの演奏をしていた。

    スターライトオーケストラの次回演奏会では、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲を演奏する。
    ソロの箇所は十分にさらったつもりだが、やはり本番の空気に呑まれると何が起きるかわからない。
    そこで人目を意識するため、あえて人の多い場所で演奏することにした。

    ここは水族館が近くにあり、平日にも関わらず人が多く通る。
    大抵のものは唯の存在を無視するか一瞥するだけで終わるが、ときには熱心に足を止めて聞き入るものもいる。
    演奏会に比べてクラシックに詳しいものが少ないため、反応は如実に現れる。一音一音の反応を確かめながら唯はコンチェルトを弾ききった。
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