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    添い寝

    k0510_o0720

    DONEレイチュリ🧂🦚
    ワンウィーク お題 手つなぎ、添い寝
    この世界の均衡をたもつ人 ぐらぐら、ぐらぐら。視界が揺れる。いや、いっそ世界が揺れているのかもしれない。咄嗟に手をついた壁に身を委ねて、少しましになったそれに息を吐く。久しぶりに結構やばそうだなぁなんて他人事みたいに思った。
     この後は何があるんだったか。確かあと二つくらい本社での会議があって、その後は客との会合がある。時間的に食事というよりは共に茶を飲む程度になるだろうけれど、引き伸ばされれば時間を口実に会食にまで持ち込まれるだろう。そしてそれが目的なんだろうな、とも思う。向けられ続けているあの視線は、もう嫌なくらいに慣れ親しんだものだから。
    「……かいぎ、行かなきゃ」
     今日の議題はなんだったっけ。確か来週に控えた出張の話で、いや、それは二つ目の会議な気がする。ダイヤモンドが招集した石心だけのものだろうか。もう基石を持っていないんだし、今回だけは見逃してくれないだろうか。なんて、嘘。そんなことをしたら『総監』ですらなくなって、『アベンチュリン』ですらなくなって、ただの奴隷で死刑囚に逆戻りだ。ああいや、戻る、とは少し違うかもしれない。結局アベンチュリンという存在の価値はそこに帰結するというだけなのだ。誰も欲しがらない、ただ見て楽しむだけ、六十タガンバの価値しかない、そんな奴隷。
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    zeppei27

    DONE何となく続きの主福で、清い添い寝を終えた朝に二人で湯屋にお出かけするお話です。単独でも読めます!
     好奇心が旺盛な人間は、純粋な気持ちで夢中になっているうちに地雷を踏むことがままあるでしょうが、踏んで爆発する様もまた良い眺めだと思います。

    前作>
    https://poipiku.com/271957/10317103.html
    もみづる色 情人と添い遂げた後の朝とは、一体どんなものだろうか。遥か昔の後朝の文に遡らなくとも、それは特別なひとときに違いない。理性の人である福沢諭吉も同様で、好きになってしまった人と付き合うようになってからというもの、あれやこれやと幾度となく想像を巡らせてきた。寄り添い合うようにして行儀良く寝たまま起きて笑い合うだろうか?それとも、決して隙を見せることのない隠し刀のあどけない寝顔を見ることが叶うだろうか。貪られるのか貪るのか、彼我の境目を失うように溶け合ったとしたらば離れがたく寂しいものかもしれない。
     では現実はどうであったかというと、諭吉は窮屈な体をうんと伸ばしてゆるゆると目を覚ました。はたと瞳を開き、光を捉えた瞬間頭をよぎったのは、すわ寝坊したろうかという不吉な予感だった。味噌汁のふわりとした香りが空きっ腹をくすぐる。見覚えのない部屋だ。己の身を確認すれば、シャツと下穿きだけという半端な格好である。普段は米国で入手した寝巻を身につけているのだが、よそ行きのままということは、ここは出先なのだろう。それにしたって中途半端だ――
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