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    独立

    みしま

    DONEリクエストまとめ⑥
    TF2で「デイビスとドロズのおちゃらけ日常風景」
    おちゃらけ感薄めになってしまいました。ラストリゾートのロゴによせて。※いつもどおり独自設定&解釈過多。独立に至るまでの話。デイビスは元IMC、ドロズは元ミリシアの過去を捏造しています。
    「今日のメニュー変更だって」
    「えっ、"仲良し部屋"? 誰がやらかしたんだ」
    「にぎやかしコンビ。デイビスがドロズを殴ったって」
    「どっちの手で?」
    「そりゃ折れてない方の……」
    「違うよ、腕やったのはドロズ。デイビスは脚」
    「やだ、何してんのよ。でドロズは? やり返したの?」
    「おれはドロズが先に手を出したって聞いたぞ。あれ、逆だっけ?」
    「何にせよ、ボスはカンカンだろうな」
    「まあ、今回の件はなあ……」

     そんな話が、6−4の仲間内で交わされていた。
     6−4は傭兵部隊であり、フリーランスのパイロットから成る民間組織だ。組織として最低限の規則を別とすれば、軍規というものはない。従って営倉もない。しかし我の強い傭兵たちのことだ、手狭な艦内で、しかも腕っぷしも強い連中が集まっているとくれば小競り合いはしょっちゅうだった。そこで営倉代わりに使われているのが冷凍室だ。マイナス十八度の密室に、騒ぎを起こした者はそろって放り込まれる。感情的になっているとはいえ、中で暴れようものなら食材を無駄にしたペナルティを――文字通りの意味で――食らうのは自分たちになるとわかっている。そのため始めは悪態をつきながらうろうろと歩き回り、程なくして頭を冷やすどころか体の芯から凍え、やがていがみ合っていたはずの相手と寄り添ってどうにか暖を取ることになるのだ。こうしたことから、冷凍室は〈仲良し部屋〉とも呼ばれていた。
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    yumemakura2015

    TRAININGクラナガとメユリ飯行こうぜ編のメユリ視点として本編に組み込む予定だったけど、この部分だけでそれなりの長さになったので独立させて閑話的なのにしました。時間軸的にはご飯誘う日の工場行く少し前くらい。
    洞窟にオレンジふたつ(一.五)青い湖に浮かぶガドル工場の真下、地下の矯正施設の一角。従業員用休憩室でテーブルに顎を乗せてため息をつくメユリの姿があった。ため息ひとつつくたびに、濃いオレンジの髪に結った緑のリボンがゆらゆらと揺れる。
    彼女にはひとつ引っかかることがあった。
    数ヶ月ほど前、ひょんなことからガドル工場勤務のクラナガから相談に乗ることになったが、工場で通信用番号を交換した日以来、相談といえる相談をしてこないのだ。時たまこちらが仕事でガドル工場に赴く際話をすることはある。しかし、会話とかの中でどうしたらいいとか聞かれることはあまりない。通信にしたって、彼からは一切連絡をよこしてきたことがない。仕事中ならいざ知らず、退勤後であろう時間にも一度たりとも通信を投げかけてきやしないのである。余計なお世話かと思いつつもこちらから一度かけてみたことはあるが、別に変わったことは無いと一点張りですぐ切られてしまうのであった。悩んでることとかがあれば相談していいと言ったのに、そもそもそちらが相談していいかと聞いてきたくせに、何にもその素振りを見せてこないのだ。
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    palco_WT

    MAIKING今宵星がきみに降りるから

    高三弓場ちゃ、神田や蔵内、王子たちが二年のまだ旧弓場隊の頃のクリスマス前後。
    弓場が大学進学が内定したあたりで王子は独立する予定。六頴館だからもう決まってるのかな……
    六頴館高校から本部へと、部下の神田と蔵内を共に向かう道の途中、弓場がふと足を止めたのは青果店の前だった。
    「神田、蔵内、おまえら、リンゴ好きか?」
    「……? 好きですよ」
    「ええ。王子がたまに淹れてくれるアップルティーを楽しみにするくらいには」
    「そうか。なら、キャラメリゼして……」
     何事か小さくつぶやいた弓場は少し考えてから、一見梨にも見えそうな薄い黄色の皮の林檎を幾つか買い求めた。
    「煮るんなら紅玉みてェな酸いリンゴのほうが味が際立つんだが、甘みが強いならキャラメルソースにも負けねェだろ」
     星の金貨、と書かれた林檎を掌に納めて、弓場は透明なレンズの奥の天鵞絨《ベルベット》のようなしっとりした夜の色でありながら品の良い光沢を備えた瞳を細めた。
    「星の金貨……? っていうと昔のドラマの?」
    「関係ねェよ。見た目が金貨みたいな淡い色だからそう名付けたって話だ。品種名はあおり15だったかな」
    「弓場さん、農学部にでも行くんですか」
    「ねえだろ、三大《サンダイ》には」
     何言ってんだと弓場は笑いかけた蔵内にひとつ手渡し、もうひとつには軽くキスをしてから、神田へと放り投げた。お手玉をするよ 720