Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    病気

    さなこ

    DONE花吐き病パロ。
    お恥ずかしながら漫画に出てくる架空の病気だと知りませんでした。
    オメガバースみたいに誰かが創作したのかと……。

    完治の方法は設定をいただいておりますが、発症するまでの時間など捏造したところもありますので、
    ご理解くださる方のみお読みいただければと。
    花を吐く「花に触ったか」
     ひとつ先輩である家入にそう聞かれ、七海は記憶を辿った。
     白い壁で囲まれた医務室、窓から入ってくる心地よい風に髪を遊ばせながら視線を下に向ける。思い出してみれば任務で訪れた中学校で少女(と言っても七海とふたつしか変わらない)が吐いた花を、確かに触ったかもしれない。
    「感染経路はそこだな」
     可哀想に、と全くそう思ってなさそうな声色で言われ、七海は「はぁ」と温度の低い相槌を打った。
     
     七海の胃の中から花が出てきたのは昨晩のことだった。

     あの日は低級の任務が入っていた。灰原と二人で夕食をとり共同浴場で身を清め、本を読み進めてから眠った。灰原は隣で漫画を読んでいた。七海の知らない(興味のない)漫画である。そろそろ寝るか、となった頃に灰原が腰を上げ「おやすみ」と手を振ったあと七海もベッドへ寝転んだ。そのままうとうとと眠りの世界へ入ったあたりで気持ち悪くなって意識が覚醒してしまった。何か悪いものでも食べただろうか、体調が悪いのだろうか、そう考えているうちに抑えられない吐き気が催してきて、自室のトイレに駆け込み、胃を震わせて吐き出しのがハナミズキの花びら。見ただけで花の名前が分かるほど知識があるわけではない。ただ、曲名にもなった花だったために前に一度調べていたから見覚えがあっただけ。
    13005