竹中
masu_oekaki8810
DONE竹中くんが師弟の仲を取り持つ?話。二、三日前に寝る前に眠い頭で妄想してた話をメモ書き的に書いてたみたいなんだけど、すでに内容をほぼ忘れてて自分の記憶の儚さに恐怖。
とりあえず最後まで書いてみた。
本当は四コマ漫画とかにするつもりだったはず。
推敲足りてないけどボツにしないうちに投下! ヤァ!
交換日記しよ「師匠、好きです」
「俺もお前のこと好きだよ」
「じゃあ両想いですね」
「そうだな、嬉しいよ」
「恋人ってことでいいですか」
「モブ、未成年と成人は恋人になれない。条例で決まってるし、一般通念上の倫理観においても許されない。何度も言わせるな」
-----
「…というやりとりをこの3ヶ月ずっとしているんだけど、師匠は僕をあしらってるだけなのかな。師匠は本当に僕のこと好きなのか、せめてそれだけでも知りたいんだ」
竹中桃蔵は、久しぶりに呼び出してきた中学の同級生から、聞きたくもないトンチキな恋バナをされてとても後悔した。
せめて犬川にも居てもらえば良かった。なんとなくだがあいつが居ると少しは俺の負担が減る気がする、と思ってLINEを送ってみたが「モブはこないだ会ったばっかだし、今日はいいわー。声掛けサンキュー」と見当違いなお礼が返ってきた。ちげえんだよ。俺を助けろって言ってんだよ! いやわかってる、犬川に遠回しな書き方した俺が悪い。あいつは人の顔色はわりとよく見てるし気も回せる男だが、その場に居ないやつの小さなSOSに気づけるほど他人に興味があるわけじゃない。
6008「俺もお前のこと好きだよ」
「じゃあ両想いですね」
「そうだな、嬉しいよ」
「恋人ってことでいいですか」
「モブ、未成年と成人は恋人になれない。条例で決まってるし、一般通念上の倫理観においても許されない。何度も言わせるな」
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「…というやりとりをこの3ヶ月ずっとしているんだけど、師匠は僕をあしらってるだけなのかな。師匠は本当に僕のこと好きなのか、せめてそれだけでも知りたいんだ」
竹中桃蔵は、久しぶりに呼び出してきた中学の同級生から、聞きたくもないトンチキな恋バナをされてとても後悔した。
せめて犬川にも居てもらえば良かった。なんとなくだがあいつが居ると少しは俺の負担が減る気がする、と思ってLINEを送ってみたが「モブはこないだ会ったばっかだし、今日はいいわー。声掛けサンキュー」と見当違いなお礼が返ってきた。ちげえんだよ。俺を助けろって言ってんだよ! いやわかってる、犬川に遠回しな書き方した俺が悪い。あいつは人の顔色はわりとよく見てるし気も回せる男だが、その場に居ないやつの小さなSOSに気づけるほど他人に興味があるわけじゃない。
波奈紀
PROGRESSしぶにまとめられる程の枚数たまるまで2~3年かかりそうなのでポイピク始めてみました。なんでも気軽にupできるのがとても楽しいですね。線画の進捗と思いついたネタのラフを忘れないように記録代わりにあげていきます。
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生×社会人ぐだち2020.8
四畳半一間の恋人達「もう、アンデルセンってわたしがいない時、ちゃんと栄養のあるもの食べてるの? 今はサーヴァントじゃないんだからね」
「食べてなかったら今頃死んでるだろう、そう気にするな」
生前の評価はさておき、まだ駆け出しの作家業では書き続ける他に選択肢がない。俺は常に暇人でありたいが、何をするのにもこの世は金が必要だ。
貯蓄を成功させるには、目標を立てるのがいい。あれがほしい、これが食べたい、何でもいい。俺の場合はなんてことはない貴金属を一つ、買いたいだけだ。
「一昨日作ってあげたミートソース、もう全部食べちゃったの? たくさん作ったつもりだったのに。アンデルセン、そんなに細いし、書き始めたら集中してずっと食事もとらないのに……どうしてこんなにすぐ食べ物がなくなるの?」
4114「食べてなかったら今頃死んでるだろう、そう気にするな」
生前の評価はさておき、まだ駆け出しの作家業では書き続ける他に選択肢がない。俺は常に暇人でありたいが、何をするのにもこの世は金が必要だ。
貯蓄を成功させるには、目標を立てるのがいい。あれがほしい、これが食べたい、何でもいい。俺の場合はなんてことはない貴金属を一つ、買いたいだけだ。
「一昨日作ってあげたミートソース、もう全部食べちゃったの? たくさん作ったつもりだったのに。アンデルセン、そんなに細いし、書き始めたら集中してずっと食事もとらないのに……どうしてこんなにすぐ食べ物がなくなるの?」
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生×ぐだち夫婦2020.8
あなたに良いことがありますように 基本的には仕事において外出することが少ないものの、打ち合わせともなれば外に出る機会は多い。そんな風に外で長時間の仕事がある時、暇でもないはずのあいつが作って渡してくる弁当箱の中には俺の好きなエビグラタンがよく入っている。
ちょうどいいサイズ感の小さなグラタンは、およそ子供向けと思われる風貌。グラタンの入ったカップの底には今日の運勢占いだのなんだの、と言った文字が印刷されているのだ。
「今日のラッキーカラーはみどりいろ♡いいことがありそう!」
「おつきさまをみるとねがいごとがかないそう♪」
まさか内容を間に受けているわけでもないが、グラタンを入れた日にあいつがいちいちカップの底に書かれていた文字を聞くものだから、すっかり確認するのが習慣になってしまった。
2004ちょうどいいサイズ感の小さなグラタンは、およそ子供向けと思われる風貌。グラタンの入ったカップの底には今日の運勢占いだのなんだの、と言った文字が印刷されているのだ。
「今日のラッキーカラーはみどりいろ♡いいことがありそう!」
「おつきさまをみるとねがいごとがかないそう♪」
まさか内容を間に受けているわけでもないが、グラタンを入れた日にあいつがいちいちカップの底に書かれていた文字を聞くものだから、すっかり確認するのが習慣になってしまった。
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生×ぐだち同棲時空2021.11
ここだけ限定 彼はいつも背中を丸めて座っている。
何度も紙をぐしゃぐしゃにして投げ捨てながらこれじゃないあれじゃないと頭を抱える。休憩中だって背中は丸めたままで、ひどい時は椅子の上で膝を抱えながらコーヒーを飲んでいるのだ。
「また猫背になってるよ」
「ん? なに、いつものことだろう、気にするな。今さら直る癖じゃないよ」
アンデルセンが腰が痛いとか肩が痛いとかよく言っているのは姿勢が悪いせいじゃないだろうか。気がついた時にはいつも声をかけているけれど彼に改善する気は全くなさそうだ。
「それより肩が凝った。マッサージを頼む」
「……今回だけだからね」
もう何度目かの「今回だけ」。彼はあまり人を頼るタイプじゃない。世話焼きの彼は逆に人に世話を焼かせてくれないのだ。たかがマッサージなんて小さなことでも、こうしてお願いされるのは嬉しい。
1731何度も紙をぐしゃぐしゃにして投げ捨てながらこれじゃないあれじゃないと頭を抱える。休憩中だって背中は丸めたままで、ひどい時は椅子の上で膝を抱えながらコーヒーを飲んでいるのだ。
「また猫背になってるよ」
「ん? なに、いつものことだろう、気にするな。今さら直る癖じゃないよ」
アンデルセンが腰が痛いとか肩が痛いとかよく言っているのは姿勢が悪いせいじゃないだろうか。気がついた時にはいつも声をかけているけれど彼に改善する気は全くなさそうだ。
「それより肩が凝った。マッサージを頼む」
「……今回だけだからね」
もう何度目かの「今回だけ」。彼はあまり人を頼るタイプじゃない。世話焼きの彼は逆に人に世話を焼かせてくれないのだ。たかがマッサージなんて小さなことでも、こうしてお願いされるのは嬉しい。
たまごやき@推し活
PROGRESS現パロアンぐだ♀、竹中先生×ファンのぐだち2022.4
お返事は不要です「ファンです! 今日はありがとうございます!」
差し出された手に握手を返して「こちらこそありがとうございます」。安っぽい黒マジックを手に持ち自分の本にサインを入れる。
――サイン会。
広報活動の一環で(あるいは締切の融通を効かせる編集の顔を立てて)行われるイベント。
開催を押し切られた自覚はあるが、こんなにも大きな催しになるとは聞いていない。話が違うじゃないか、今は遠くで見守る編集へ視線をやれどもヘラヘラ笑うばかり。
列に目をやる。ショッピングモールの中にある書店の目の前にはそこそこの列。……とは言え何割が実際の読者であるのかは分からない。今や世の中の需要は青天井。ともかく、日頃は本を読まない人間がわざわざ本を購入し、列に並んで握手やサインを求める意図など深く探りを入れるものではない。
4093差し出された手に握手を返して「こちらこそありがとうございます」。安っぽい黒マジックを手に持ち自分の本にサインを入れる。
――サイン会。
広報活動の一環で(あるいは締切の融通を効かせる編集の顔を立てて)行われるイベント。
開催を押し切られた自覚はあるが、こんなにも大きな催しになるとは聞いていない。話が違うじゃないか、今は遠くで見守る編集へ視線をやれどもヘラヘラ笑うばかり。
列に目をやる。ショッピングモールの中にある書店の目の前にはそこそこの列。……とは言え何割が実際の読者であるのかは分からない。今や世の中の需要は青天井。ともかく、日頃は本を読まない人間がわざわざ本を購入し、列に並んで握手やサインを求める意図など深く探りを入れるものではない。
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生童話作家×学生ぐだち同居生活2021.2
おはようからおやすみまでの独占権「――なら、僕のところに住めばいいだろう」
提案は疾しい打算よりも先に、彼女の生活を保護するために口に出したのだと一言だけ言い訳をしたい。
まだ雪も降り止まない寒い冬のある日。年頃の女がひとり、僕のところに転がり込んできたのはつい最近のことだ。
「アンデルセン、これから洗濯するから洗濯物全部出してね」
「君の仕事は料理と掃除だけだと何度も言っているだろう。洗濯は担当の範囲外だ」
「えっ、でも一緒に洗った方が早いよ」
「いいから。自分の分だけ勝手に洗いなさい」
少し不満そうに諦める彼女を見送る。
ああそういえば部屋の洗濯カゴの中身が増えてきたなと思い出し、それはまぁ明日の夜にでも洗濯すればいいだろうと思い直す。
1535提案は疾しい打算よりも先に、彼女の生活を保護するために口に出したのだと一言だけ言い訳をしたい。
まだ雪も降り止まない寒い冬のある日。年頃の女がひとり、僕のところに転がり込んできたのはつい最近のことだ。
「アンデルセン、これから洗濯するから洗濯物全部出してね」
「君の仕事は料理と掃除だけだと何度も言っているだろう。洗濯は担当の範囲外だ」
「えっ、でも一緒に洗った方が早いよ」
「いいから。自分の分だけ勝手に洗いなさい」
少し不満そうに諦める彼女を見送る。
ああそういえば部屋の洗濯カゴの中身が増えてきたなと思い出し、それはまぁ明日の夜にでも洗濯すればいいだろうと思い直す。
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生とぐだちの新婚生活2021.2
もしもし、奥様 基本的には家にいるのだから、家に電話をかければ問題ない。そういう理由で職場にはスマートフォンの番号を教えていなかった。
――だが最近、観念して番号を教えることになった。
「お前の友人は家ではなくお前のスマホにかけてくるだろう。家の電話は出なくていい」
「でもアンデルセン、原稿中は電話の音気がつかないでしょ」
「……いいから気にするな。どうせ担当からだ」
そんなやりとりをしたにもかかわらず、受話器をあげるのはいつも彼女の方だった。
「はいっ、竹中、ですっ……!」
それで俺はあのたどたどしい電話応対を何度も聞かされる羽目になるのだ。だから、俺が出ると言っているのに。
しかし実際のところは電話が鳴ろうが気がつかない俺は、彼女の拙い電話応対の声は何故だか良く耳に通る。
1276――だが最近、観念して番号を教えることになった。
「お前の友人は家ではなくお前のスマホにかけてくるだろう。家の電話は出なくていい」
「でもアンデルセン、原稿中は電話の音気がつかないでしょ」
「……いいから気にするな。どうせ担当からだ」
そんなやりとりをしたにもかかわらず、受話器をあげるのはいつも彼女の方だった。
「はいっ、竹中、ですっ……!」
それで俺はあのたどたどしい電話応対を何度も聞かされる羽目になるのだ。だから、俺が出ると言っているのに。
しかし実際のところは電話が鳴ろうが気がつかない俺は、彼女の拙い電話応対の声は何故だか良く耳に通る。
たまごやき@推し活
PAST現パロアンぐだ♀、竹中先生とぐだちのクリスマス2020.12
今夜だけはホワイトクリスマス 今日はとりわけ雪が歓迎される日。
――クリスマスイヴ。
俺のような男にはなんの縁もないただの十二月二十四日だ。
「ありがとうございました〜」
サンタ姿のコンビニの店員がぞんざいな挨拶をしている。世間ではやれパーティーだデートだと騒がしい日に自分には仕事が入っているなど、それだけでやっていられないだろう。
俺はと言えば今日が何日だろうが、まっさらな原稿が手元にあるうちはクリスマスなど無関係だ。一人暮らしではホームパーティーの機会もない。
だというのに、俺は懲りもせず「ちょっと一息」などと近場のコンビニまで出てきた。
別に、クリスマスだからなどという頭の茹った理由ではない。ただ原稿が進まない時はこうして休息を切れた方がより白い原稿が減るだろう。そうに違いない。
3267――クリスマスイヴ。
俺のような男にはなんの縁もないただの十二月二十四日だ。
「ありがとうございました〜」
サンタ姿のコンビニの店員がぞんざいな挨拶をしている。世間ではやれパーティーだデートだと騒がしい日に自分には仕事が入っているなど、それだけでやっていられないだろう。
俺はと言えば今日が何日だろうが、まっさらな原稿が手元にあるうちはクリスマスなど無関係だ。一人暮らしではホームパーティーの機会もない。
だというのに、俺は懲りもせず「ちょっと一息」などと近場のコンビニまで出てきた。
別に、クリスマスだからなどという頭の茹った理由ではない。ただ原稿が進まない時はこうして休息を切れた方がより白い原稿が減るだろう。そうに違いない。
たまごやき@推し活
PROGRESS現パロアンぐだ♀、竹中教授と教え子ぐだち2020.9
藤丸立香はまだ知らないまだ知らないは今夜まで
「竹中教授! ちょっと質問があって……後で研究室に行っても大丈夫ですか?」
「あぁ、君か。熱心なのは構わないが、足繁く俺を訪ねたところでレポートがお粗末であれば単位はやらないぞ。卒論も然りだ」
「教授、そんなこと言うから皆に用事があっても研究室に行きづらいって言われちゃうんですよ」
「俺の研究室は学生の遊び場ではない。人が来ない方が都合が良いに決まっているだろう!」
彼はどうして教授なんて仕事に就いているのだろう。
デンマーク語専攻、文学ゼミ。私が今苦戦しているのはデンマーク語の書物の翻訳てで、分からないことがあるとたびたび研究室を訪ねている。
なかなか癖のある教授は、それでも毎度訪ねるたびに丁寧に質問に答えてサポートしてくれる。「仕事だから」と言い訳する割には他のゼミの教授と比べると手厚いサポートに、無理のないスケジュール管理。
2655「竹中教授! ちょっと質問があって……後で研究室に行っても大丈夫ですか?」
「あぁ、君か。熱心なのは構わないが、足繁く俺を訪ねたところでレポートがお粗末であれば単位はやらないぞ。卒論も然りだ」
「教授、そんなこと言うから皆に用事があっても研究室に行きづらいって言われちゃうんですよ」
「俺の研究室は学生の遊び場ではない。人が来ない方が都合が良いに決まっているだろう!」
彼はどうして教授なんて仕事に就いているのだろう。
デンマーク語専攻、文学ゼミ。私が今苦戦しているのはデンマーク語の書物の翻訳てで、分からないことがあるとたびたび研究室を訪ねている。
なかなか癖のある教授は、それでも毎度訪ねるたびに丁寧に質問に答えてサポートしてくれる。「仕事だから」と言い訳する割には他のゼミの教授と比べると手厚いサポートに、無理のないスケジュール管理。
たまごやき@推し活
PROGRESS現パロアンぐだ♀、竹中先生×ぐだち結婚の巻ここに教会を建てる
2021.7
夜更けのテレフォンコール 仕事に明け暮れ、ボロ雑巾のような状態のところにスマホの着信音。アドレナリンの出涸らしでどうにか保っている体調で会話が頭に入るわけがない。だが画面に表示された名前を見た途端に間髪入れずに電話に応答したのだ。
「もしもし? アンデルセン、今大丈夫?」
「大丈夫かだと? 馬鹿め、正気なら電話など取るものか」
いつも通り、軽い息抜きのつもりで会話を続ける。頭はほとんど働いていない。だが雑談の半分が頭から抜け落ちるのも、聞き返すのも分かっていても通話を続ける物好きが相手だ。構うものか。
「――でね、今度お見合いすることになって、」
さすがにイカれて眠気だらけの頭も衝撃を受ければ目が覚める。オミアイ。つまり。
「あれ、アンデルセン? 寝ちゃった?」
1733「もしもし? アンデルセン、今大丈夫?」
「大丈夫かだと? 馬鹿め、正気なら電話など取るものか」
いつも通り、軽い息抜きのつもりで会話を続ける。頭はほとんど働いていない。だが雑談の半分が頭から抜け落ちるのも、聞き返すのも分かっていても通話を続ける物好きが相手だ。構うものか。
「――でね、今度お見合いすることになって、」
さすがにイカれて眠気だらけの頭も衝撃を受ければ目が覚める。オミアイ。つまり。
「あれ、アンデルセン? 寝ちゃった?」
さめしば
DONE灼カバワンドロワンライ お題「宵越竜哉」のSSサッカー部の竹中監督視点、最新話手前とちょい足しのネタバレあり。
彼の父親を見送る頃にはもう、日は暮れて辺りは薄闇に包まれていた。
私の隣に立つ少年——宵越竜哉と二人、学生寮前の通りでしばし無言の時を過ごす。ジャケットを着こなす背中が、だんだんと足早に遠ざかっていく。彼らの親子関係がいわゆる「普通」でないことは、短時間の話し合いから察してはいたが——久々に会った息子を夕食に誘う素振りさえ見せないとは。サッカーとカバディどちらを選ぶか、まずは決勝試合を見届けてからだと今後の方針を定めるや否や、父親は息子の部屋をあっさりと去っていったのだった。
隣の表情をちらりと窺ってみる。まだ十六の子どもでしかないはずの横顔には、静かに燃える決意が湛えられているように見えた。
1770私の隣に立つ少年——宵越竜哉と二人、学生寮前の通りでしばし無言の時を過ごす。ジャケットを着こなす背中が、だんだんと足早に遠ざかっていく。彼らの親子関係がいわゆる「普通」でないことは、短時間の話し合いから察してはいたが——久々に会った息子を夕食に誘う素振りさえ見せないとは。サッカーとカバディどちらを選ぶか、まずは決勝試合を見届けてからだと今後の方針を定めるや否や、父親は息子の部屋をあっさりと去っていったのだった。
隣の表情をちらりと窺ってみる。まだ十六の子どもでしかないはずの横顔には、静かに燃える決意が湛えられているように見えた。