般若
ふく波羅探題
MENU2025年5/4のスパコミで出す新刊のサンプルです。CPはありません。般若さんの寄る辺作戦が最初から起こらなかった世界線のお話。
冒頭に自死未遂描写があります。苦手な方はお気を付けください。
文庫サイズ 186p
【5/4新刊サンプル】光のほとり、夜のあと 二〇二二年 十月
1
伊月暁人は生きてきた。
チャンスを逃したのか、はたまた奇跡が起きたのか、クローゼットのハンガーパイプにキツく結んだはずのビニール紐は綺麗に解けている。パイプが折れたわけでも途中で千切れたわけでもなかった。床に強く打ちつけて痛みの走る膝をさする気にもなれないほど、暁人は放心した。
世界は自ら死ぬことすら許してくれないらしい。微かな怒りと絶望とともに湧いた安堵に気付くと、まだ痛みの引いていない膝を抱え込んだ。
「ごめん、麻里……ごめん」
その謝罪が、自分がまだ生きていることに対してなのか死のうとしたことに対してなのか、暁人自身も分からない。妹である麻里も、棚の上に置かれた家族写真の中で静かに微笑むだけで答えてはくれない。
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伊月暁人は生きてきた。
チャンスを逃したのか、はたまた奇跡が起きたのか、クローゼットのハンガーパイプにキツく結んだはずのビニール紐は綺麗に解けている。パイプが折れたわけでも途中で千切れたわけでもなかった。床に強く打ちつけて痛みの走る膝をさする気にもなれないほど、暁人は放心した。
世界は自ら死ぬことすら許してくれないらしい。微かな怒りと絶望とともに湧いた安堵に気付くと、まだ痛みの引いていない膝を抱え込んだ。
「ごめん、麻里……ごめん」
その謝罪が、自分がまだ生きていることに対してなのか死のうとしたことに対してなのか、暁人自身も分からない。妹である麻里も、棚の上に置かれた家族写真の中で静かに微笑むだけで答えてはくれない。
mikel_antn
TRAINING310要素あるのでワンクッション桜が咲く前に列車から落ちて行ってしまったので満開にした
左半面が鬼(般若?蛇の鱗模様があったし真蛇?)だったコマがとても印象的で
右目は義眼だし、口元は尾形ってつらい時ほど笑う気がしている
この顔の中でもすでに3つの要素があって、尾形の本心はどこに…など定期的に哲学モードになる
けてけて太郎
DOODLEナースのやつ摩訶般若波羅蜜多心経
観自在菩薩行深般若波羅蜜多時照見五
蘊皆空度一切苦厄舎利子色不異空空不
異色色即是空空即是色受想行識亦復如
是舎利子是諸法空相不生不滅不垢不浄
不増不減是故空中無色無受想行識無眼
耳鼻舌身意無色声香味触法無眼界乃至
無意識界無無明亦無無明尽乃至無老死
亦無老死尽無苦集滅道無智亦無得以無
所得故菩提薩捶依般若波羅蜜多故心無
罫礙無罫礙故無
月桃もなか
DONE #十周年なのでとうらぶ好きさんと繋がらなくていいので貴殿の大般若長光を見せてほしい のタグをしたくて絵を探したら大般若さん単体の絵がほぼなくて(焦)新しく描いたのと昔のを合わせて、ステッカー風イラストにした。k_hizashino
PROGRESS現パロ般若+さに 最後別れます。承前完結かたわら「大般若さん、お話があるんですが」
「ああ、なんだい?」
「また……引っ越そうかと思って」
「……そうかい」
あのアンティークのテーブルが売れてから半年経った。相変わらず客足は途絶えず、親戚筋の方の往来も増えた。彼らはいろいろな国を飛び回っている人が大半で、そんな中一人この店を構えている大般若さんは本当に天然記念物のようだと思った。
私はそんな大般若さんが好きで、でももうここにはいられないと思った。
「行く当てはあるのか」
「ひとまず実家に身を寄せようかと。母が足を怪我して以来歩きづらくてしょうがないとこぼしているのもあるので、手伝いに」
「そうか。ご母堂の健康を祈っているよ。もちろんあんたのも」
「ありがとうございます」
2163「ああ、なんだい?」
「また……引っ越そうかと思って」
「……そうかい」
あのアンティークのテーブルが売れてから半年経った。相変わらず客足は途絶えず、親戚筋の方の往来も増えた。彼らはいろいろな国を飛び回っている人が大半で、そんな中一人この店を構えている大般若さんは本当に天然記念物のようだと思った。
私はそんな大般若さんが好きで、でももうここにはいられないと思った。
「行く当てはあるのか」
「ひとまず実家に身を寄せようかと。母が足を怪我して以来歩きづらくてしょうがないとこぼしているのもあるので、手伝いに」
「そうか。ご母堂の健康を祈っているよ。もちろんあんたのも」
「ありがとうございます」
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若+さに 承前かたわら オウムの飼い主は無事に見つかった。隣の県から飛んできたらしい。何度も頭を下げて謝ったり感謝したりする飼い主さんに「大丈夫大丈夫」と言葉をかけ、「なんなら店を見ていくかい」とさりげなく接客をし、かと思ったら飼い主さんはアンティークの机に一目ぼれをして奥にしまっていた椅子とともに購入していった。
「こんなことってあるんですね」
「ああ、だからこういうものは面白いのさ」
テーブルと椅子を店の外に出し、ブルーシートの上で丁寧に梱包材を巻いていく。
「一目惚れというのは侮れないんだ」
梱包材を巻きながら大般若さんがそういう。その目はテーブルの木目を見ているのか、あるいは別の何かをみているのか判別はつかない。
「そうなんですか?」
2065「こんなことってあるんですね」
「ああ、だからこういうものは面白いのさ」
テーブルと椅子を店の外に出し、ブルーシートの上で丁寧に梱包材を巻いていく。
「一目惚れというのは侮れないんだ」
梱包材を巻きながら大般若さんがそういう。その目はテーブルの木目を見ているのか、あるいは別の何かをみているのか判別はつかない。
「そうなんですか?」
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若さに続き 承前かたわら「私、外でお巡りさんを待っていますのでオウムをお願いします」
「寒いぞ? 中で待っていたほうがいいんじゃないか?」
「はは、少し熱くて」
「熱があるんじゃないだろうな」
「いえ、違います」
追及してくる大般若さんにオウムの入った段ボールを押し付けて店内へと追いやる。
(さっきはなんてことを想像してしまったんだろう)
大般若さんのことは正直言えば好きだ。顔も良いし背も高い。お金も持っているし物腰が柔らかい。教えるのが上手くて器用で、美術品を口説くことがなければ優良どころか超優良物件だ。
ただ、きっと彼は私のことを一番には見てくれないだろう。そういう確信がある。
いままで付き合ってきた人たちの最後の言葉から察するに、彼は自分の懐に人をいれない。きっと口説くのは美術品ばかりで、こちらに目を向けたとしても冷めているだろう。
2130「寒いぞ? 中で待っていたほうがいいんじゃないか?」
「はは、少し熱くて」
「熱があるんじゃないだろうな」
「いえ、違います」
追及してくる大般若さんにオウムの入った段ボールを押し付けて店内へと追いやる。
(さっきはなんてことを想像してしまったんだろう)
大般若さんのことは正直言えば好きだ。顔も良いし背も高い。お金も持っているし物腰が柔らかい。教えるのが上手くて器用で、美術品を口説くことがなければ優良どころか超優良物件だ。
ただ、きっと彼は私のことを一番には見てくれないだろう。そういう確信がある。
いままで付き合ってきた人たちの最後の言葉から察するに、彼は自分の懐に人をいれない。きっと口説くのは美術品ばかりで、こちらに目を向けたとしても冷めているだろう。
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若+さに 続き 大般若さんとドライブするシーンが書けました。(目標達成)かたわら その車の中に足を踏み入れるのは、なんとなく大般若さん個人の領域に足を踏み入れる感じがして戸惑った。からといってオウムを寒空の下に長くさらしておくわけにもいかない。躊躇をなんとか踏み越えて助手席に座る。オウムは「可愛い! 可愛い! ちよちゃん!」と鳴いている。
私が座ると同時に助手席の扉は締まり、ほどなく運転席の扉が開く。ぬっと入り込んでくる体は想像していた通りこの車の大きさに不似合いで、でも長くこの車に乗って、この車の小ささを知り尽くしている動きでもあった。
そして大般若さんが運転席に体を収めると、その近さに胸が高鳴る。
オウムの入った段ボールを抱えていることもあり、私は身動きがとれない。運転席と助手席ってこんなに近いものだったっけ。旧車だからそうなんだろうか。シフトレバーのあるスペースがやたら狭い。ちょっと揺れたら大般若さんの腕に触れてしまいそうだ。
2124私が座ると同時に助手席の扉は締まり、ほどなく運転席の扉が開く。ぬっと入り込んでくる体は想像していた通りこの車の大きさに不似合いで、でも長くこの車に乗って、この車の小ささを知り尽くしている動きでもあった。
そして大般若さんが運転席に体を収めると、その近さに胸が高鳴る。
オウムの入った段ボールを抱えていることもあり、私は身動きがとれない。運転席と助手席ってこんなに近いものだったっけ。旧車だからそうなんだろうか。シフトレバーのあるスペースがやたら狭い。ちょっと揺れたら大般若さんの腕に触れてしまいそうだ。
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若+さに続き 承前かたわら 朝、目が覚めるとこつんこつんと窓をたたく音がした。
何だろうかと思って窓を開いてみる。寒風が部屋の中に入り込んでくる。
そういえば昨日は化粧も落とさないで着替えもしないで眠ってしまったのだった。あちゃーと思いながら音の主を探すと、そこには震えるオウムがいた。
オウムは私の驚きなどお構いなしに部屋の中に潜り込む。そうして丸まっている布団の中に頭をいれて、「こんにちは! こんにちは!」と鳴いた。
「え、どうしよう」
オウムはそのまま布団の中に入り込んで出てくる気配がない。突然のことにぼうっとしてしまったが、こういう時どうすればいいんだっけと頭がにわかに慌て始める。
「えっと、警察、警察とかに電話すればいいんだっけ、どうなんだっけ」
2683何だろうかと思って窓を開いてみる。寒風が部屋の中に入り込んでくる。
そういえば昨日は化粧も落とさないで着替えもしないで眠ってしまったのだった。あちゃーと思いながら音の主を探すと、そこには震えるオウムがいた。
オウムは私の驚きなどお構いなしに部屋の中に潜り込む。そうして丸まっている布団の中に頭をいれて、「こんにちは! こんにちは!」と鳴いた。
「え、どうしよう」
オウムはそのまま布団の中に入り込んで出てくる気配がない。突然のことにぼうっとしてしまったが、こういう時どうすればいいんだっけと頭がにわかに慌て始める。
「えっと、警察、警察とかに電話すればいいんだっけ、どうなんだっけ」
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若+さに 承前かたわら 築年数十五年、鉄筋コンクリート造りの三階建て。そこが私の住むアパートだ。小虎からは徒歩三十分ほどで、駅からは徒歩十分ほど。あたりに商店街もあるし、コンビニも近いので助かっている。
マフラーを少し緩めながら階段を上がっていく。私の部屋は二階の角部屋だ。時期が時期だから角部屋は望めないと思っていたのだがちょうど空きがあった。これも大般若さんが手配してくれた。
(面倒見はすごくいいよなぁ)
近所づきあいは特にない。隣の家の人とあいさつをすることがあるくらいだ。あとは商店街の店の人に顔を覚えられたりコンビニの店の人に顔を覚えられたりとそのくらいだろう。
大般若さんのことを聞くと大体「ああ、あの変わり者の美人さんね」と返ってくる。
2124マフラーを少し緩めながら階段を上がっていく。私の部屋は二階の角部屋だ。時期が時期だから角部屋は望めないと思っていたのだがちょうど空きがあった。これも大般若さんが手配してくれた。
(面倒見はすごくいいよなぁ)
近所づきあいは特にない。隣の家の人とあいさつをすることがあるくらいだ。あとは商店街の店の人に顔を覚えられたりコンビニの店の人に顔を覚えられたりとそのくらいだろう。
大般若さんのことを聞くと大体「ああ、あの変わり者の美人さんね」と返ってくる。
k_hizashino
PROGRESS般若さに続き。落ちどころが般若+さにくらいになりそうなので次回から表記を改めます。かたわら そう考えてまず思い浮かぶのは店の裏手の駐車場に止まっている黒い旧車だ。私は詳しくはないが、大般若さんいわくポルシェのカレラというらしい。
店には荷物を運ぶ用のハイエースがもう一台停めてある。それと並んでいるからなのか、カレラは酷く小さく見える。
今のところ大般若さんがその車に乗るところを見たことはないが、想像してみてもなんとなくちぐはぐな気がする。あの小さな車から大般若さんの長い脚がにゅっと飛び出てくるんだろうかとか、ハンドルの下のところに膝をぶつけないんだろうかとか、天井に頭が付くんじゃないだろうかとか、そんなことを考える。
大般若さんは店の昼休みにたびたびカレラを洗車している。丁寧に扱っているがどことなく古ぼけたそれには口説き文句を言っているところを見たことはない。
2432店には荷物を運ぶ用のハイエースがもう一台停めてある。それと並んでいるからなのか、カレラは酷く小さく見える。
今のところ大般若さんがその車に乗るところを見たことはないが、想像してみてもなんとなくちぐはぐな気がする。あの小さな車から大般若さんの長い脚がにゅっと飛び出てくるんだろうかとか、ハンドルの下のところに膝をぶつけないんだろうかとか、天井に頭が付くんじゃないだろうかとか、そんなことを考える。
大般若さんは店の昼休みにたびたびカレラを洗車している。丁寧に扱っているがどことなく古ぼけたそれには口説き文句を言っているところを見たことはない。
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若さに続きかたわら 店長はたいして質問はせず、「力仕事だが大丈夫かい?」とだけ聞いてきた。私がそれに「はい」と答えると「それじゃあ頼もうか」と快諾した。
そんなものでいいのだろうか。そう思いもしたが、職が早々に見つかるのはありがたかった。
「週四出勤でシフトは自由に決めてくれて構わない。時折買取や売り込みで俺が車を出して方々にいくからそれには付き合ってくれるとありがたいな。そういう経験を通してここがどういう商売をしているか見てほしいというのもある」
「わかりました」
「ところであんた見たところこの辺の人じゃないようだが」
「あ、実はK市からきて」
「ずいぶんと遠いところから来たなぁ。この辺に住むのかい?」
「はい。そのつもりでいます。今日は下見に」
2101そんなものでいいのだろうか。そう思いもしたが、職が早々に見つかるのはありがたかった。
「週四出勤でシフトは自由に決めてくれて構わない。時折買取や売り込みで俺が車を出して方々にいくからそれには付き合ってくれるとありがたいな。そういう経験を通してここがどういう商売をしているか見てほしいというのもある」
「わかりました」
「ところであんた見たところこの辺の人じゃないようだが」
「あ、実はK市からきて」
「ずいぶんと遠いところから来たなぁ。この辺に住むのかい?」
「はい。そのつもりでいます。今日は下見に」
k_hizashino
PROGRESS現パロ般若さに 田舎の古書店の店主の四十路大般若さんと、訳あり三十路夢主のちょっと甘辛な話になる予定未定 田園風景が広がる田舎にぽつりとその古書店はある。「小虎」という可愛らしい名前だが、店構えはしっかりとしていて蔵書も充実している。
その店の店主は銀色の長い髪をピンクのリボンで結い、分けた前髪からのぞく瞳はべにいろの男だった。やや面長の顔立ちに細い顎、鼻筋は高くきりりとしていてその下の唇は薄いが形がいい。目元は切れ長で睫毛が長く、美丈夫という言葉を体現したかのようなたたずまい。
「ああ、来たかい。今日もよろしくな」
私はこの古書店でアルバイトをしている。
一年前、夢破れて実家に戻ろうかと思っていた私はふと田園風景が見たいと思って、退職金を片手に適当な電車に乗った。手元にあるお金はそれなりだったはずなのに、よりにもよって鈍行で、しかもヒールの高い靴だった。
2133その店の店主は銀色の長い髪をピンクのリボンで結い、分けた前髪からのぞく瞳はべにいろの男だった。やや面長の顔立ちに細い顎、鼻筋は高くきりりとしていてその下の唇は薄いが形がいい。目元は切れ長で睫毛が長く、美丈夫という言葉を体現したかのようなたたずまい。
「ああ、来たかい。今日もよろしくな」
私はこの古書店でアルバイトをしている。
一年前、夢破れて実家に戻ろうかと思っていた私はふと田園風景が見たいと思って、退職金を片手に適当な電車に乗った。手元にあるお金はそれなりだったはずなのに、よりにもよって鈍行で、しかもヒールの高い靴だった。
ac_col05
DOODLE推しのメンタルが傷つくのは苦手なのだけど、物理的に傷ついてたり捕まってたりするのは少し癖ですね🫣✨苦手な方はUターンして下さい🙇🏻♀️
でも、速攻で般若みたいな顔の誰かさんが来るんじゃないかなと…手を出した敵の安否の方が心配になってしまいますね🤣笑
🥯ma🥯
DOODLE大般若さんのこと花影のときから見てるはずなのに音曲祭の現場に行くたびにどんどん気になり始めて神奈川公演からとうとううちわとペンラがマスカレードレッドになった 最推しは篭手切江くんのDDオタク 刀剣乱舞(原作)は巴形薙刀の母 4yuduki_7216
SPOILER2024/11/16夜 千葉・幕張メッセ刀ミュ 祝玖寿乱舞音曲祭
現地の記憶
現地で観た景色をできるだけアウトプットしたい
そんな置き場です
描けたら増える
2024.11.20 南泉追加
2024.11.21 大般若さん追加 3
neteruhito_8h
DOODLE10/23音曲祭で大般若さんメモ
ご本人からするとこういうアクシデントを掘り下げられるのは嫌かもしれないんですが、逆の視点で見れば冷静で肝が据わった対応を見られたので嬉しかったです。特に、迷った時の判断が長くて3秒以内くらいのスピード感でした。流石