蛍
かみすき
DONE綾人蛍だめって言ったらだめですよ若
《綾人蛍》 はい、いいえ、どちらでもない ぴたりと動かない蛍は四角の木枠に切り取られ、まるで絵画のようにそこにあった。障子戸を開けたそのまま、眩いばかりの光景をたっぷりと目に焼き付ける。
平時なら「綺麗なのは綾人さんのほうだよ」と目を細めるはずのその人は、今は流行りの小説に夢中らしい。
布団の上に投げ出された脚の柔らかさ。まろい頬にはらりと落ちる金糸。浮かぶ唇は淡く色づき、その煌めきは朝露を伴った花と見紛うようだった。
それも、よくよく見れば、少しずつ形を変えていく。そっと伏せられたまつ毛に蜂蜜色の大きな瞳は忙しなく震えて、文字を追いかけてくるくると踊る。華奢な指が紙を擦れば、ぴんと伸びたはずの背筋はどんどんと物語に吸い込まれて、次第に小さく丸く。
2316平時なら「綺麗なのは綾人さんのほうだよ」と目を細めるはずのその人は、今は流行りの小説に夢中らしい。
布団の上に投げ出された脚の柔らかさ。まろい頬にはらりと落ちる金糸。浮かぶ唇は淡く色づき、その煌めきは朝露を伴った花と見紛うようだった。
それも、よくよく見れば、少しずつ形を変えていく。そっと伏せられたまつ毛に蜂蜜色の大きな瞳は忙しなく震えて、文字を追いかけてくるくると踊る。華奢な指が紙を擦れば、ぴんと伸びたはずの背筋はどんどんと物語に吸い込まれて、次第に小さく丸く。
kanm1tei
MENU《新刊》箱の中身はなんだろな?蛍受け箱詰めオムニバス 四コママンガ本
A5 42p
ティナ蛍 四コマ6本、小説(寄稿4p)
綾人蛍 四コマ1本、小説(寄稿4p)
放蛍 四コマ6本
魈蛍 四コマ1本、小説(寄稿4p)
タル蛍 四コマ6本
セノ蛍 四コマ1本、小説(寄稿4p)
ゼン蛍 四コマ6本 17
よっぴ
DONEカヴェ蛍 付き合ってる二人の話。R18注 とっっってもカヴェが残念です!!!!人として残念でも大丈夫な人向け!!
かっこいいカーヴェはいません!!!
PASS 18歳以上の方のみ→yes/no 4635
かみすき
DONEトマ蛍推しカプの何でもない日常はいいぞ
《トマ蛍》あつはなついね 話には聞いていたものの、こうも厳しい環境だとは。稲妻の夏、高温多湿。
神里屋敷も漏れなく、その中にある。開け放った窓から入り込む風は生ぬるく、頼んでもいない不快感を運んできた。目を開けられないほどにぎらぎらと眩しい太陽を避けて屋根の下で過ごしていても、纏わりつくようにじっとり重い空気からは逃げられない。滲んだ汗は拭き取ったそばからまたすぐに湧いて出てきて、すべてのやる気を溶かしていった。
だるい手足を投げ出す。ぎしぎし音を立てる床板は火照った体には程よい冷たさだが、それもあっと言う間に蛍の体温に馴染んでしまう。ここら一帯の床はもうすっかり温まってしまって、かろうじて動かせそうな指先で辺りの床を探ってもひんやりとした気持ちよさにはありつけそうにない。動きたくはないけれど、同時に頬に張り付く床の温度も鬱陶しくて仕方がなかった。
2387神里屋敷も漏れなく、その中にある。開け放った窓から入り込む風は生ぬるく、頼んでもいない不快感を運んできた。目を開けられないほどにぎらぎらと眩しい太陽を避けて屋根の下で過ごしていても、纏わりつくようにじっとり重い空気からは逃げられない。滲んだ汗は拭き取ったそばからまたすぐに湧いて出てきて、すべてのやる気を溶かしていった。
だるい手足を投げ出す。ぎしぎし音を立てる床板は火照った体には程よい冷たさだが、それもあっと言う間に蛍の体温に馴染んでしまう。ここら一帯の床はもうすっかり温まってしまって、かろうじて動かせそうな指先で辺りの床を探ってもひんやりとした気持ちよさにはありつけそうにない。動きたくはないけれど、同時に頬に張り付く床の温度も鬱陶しくて仕方がなかった。
ゆきは
DONE蛍不在のゼン蛍アルハイゼンとナヒーダが世間話をする話です。
智者の語らい「報告ご苦労さま」
懸案事項の報告を終えた青年をナヒーダは労った。これ以上聖処に留まる必要性はないと判じた彼は、立ち上がる前にカップの中身を空にしようと持ち手に指をかける。
「収穫は得られたの?」
「報告書以上のことは、なにも」
終わったはずの話への問いに、青年は間髪入れずに答えた。返答を受けたナヒーダはあら、と声を上げる。
「それなら、アアル村の視察に関して予算や日程の違和感を指摘しようかしら」
優しすぎると言われた神にしては珍しい話の運び方をする。何を話させたいのか、とその真意に思考を巡らせながら、青年は当たり障りのない返事を作った。
「砂漠の旅において安全係数を考慮するのは当然のこと、監査を入れたところで時間の無駄になるだけでしょう」
1107懸案事項の報告を終えた青年をナヒーダは労った。これ以上聖処に留まる必要性はないと判じた彼は、立ち上がる前にカップの中身を空にしようと持ち手に指をかける。
「収穫は得られたの?」
「報告書以上のことは、なにも」
終わったはずの話への問いに、青年は間髪入れずに答えた。返答を受けたナヒーダはあら、と声を上げる。
「それなら、アアル村の視察に関して予算や日程の違和感を指摘しようかしら」
優しすぎると言われた神にしては珍しい話の運び方をする。何を話させたいのか、とその真意に思考を巡らせながら、青年は当たり障りのない返事を作った。
「砂漠の旅において安全係数を考慮するのは当然のこと、監査を入れたところで時間の無駄になるだけでしょう」
かみすき
DONEトマ蛍マリッジブルー的な
《トマ蛍》明日も天気になあれ「眠れない?」
「うん……どきどきする」
月明かりをきらりと反射した蜂蜜色の瞳がトーマを捉える。ずいぶん夜は更けたものの未だぱっちりと開かれて、眠気の気配はこれっぽっちもなさそうだった。
「トーマも、眠れないの」
「そうだね」
今日はしっかり休息を取らなければならないのは、お互いわかっている。それでも、うきうき浮かれた気分がそうはさせてくれなかった。
明日は、トーマと蛍の結婚式。わくわくふわふわ、心臓はばくばく。落ち着いている方が無理な話だろう。いっそこのままのんびりお喋りを繰り返して、眠らずに朝を迎えるのもありだろうか。これだけはしゃいだ気持ちなら、それくらいやったって明日も元気に乗り切れるだろう。
1731「うん……どきどきする」
月明かりをきらりと反射した蜂蜜色の瞳がトーマを捉える。ずいぶん夜は更けたものの未だぱっちりと開かれて、眠気の気配はこれっぽっちもなさそうだった。
「トーマも、眠れないの」
「そうだね」
今日はしっかり休息を取らなければならないのは、お互いわかっている。それでも、うきうき浮かれた気分がそうはさせてくれなかった。
明日は、トーマと蛍の結婚式。わくわくふわふわ、心臓はばくばく。落ち着いている方が無理な話だろう。いっそこのままのんびりお喋りを繰り返して、眠らずに朝を迎えるのもありだろうか。これだけはしゃいだ気持ちなら、それくらいやったって明日も元気に乗り切れるだろう。
かみすき
DONEトマ蛍トマ蛍が同棲するお家のあれこれになって見守りたい気持ちからできたごく短いお話のまとめ2
≪トマ蛍≫新居の○○になりたい2【冷蔵庫になりたい】
冷たいお水を求めてキッチンへと入れば、クッキーの入った瓶に手を突っ込んだ先客がいた。
その脇をすり抜けて奥の冷蔵庫に向かおうとしたのに、右へ左へ、口の端にクッキーの欠片をつけたままの蛍がトーマの行く先を塞いで妨害する。
「なーにしてるの」
「邪魔してる」
「オレお水飲みたいんだけど」
「だめー」
正面を突破しようとすれば、その小さな体をめいっぱい広げて止められる。体当たりを受け流したくても、蛍にきゅうと抱きしめられてしまえばどんな弱い力だってトーマは動けなくなってしまう。
寄りかかる蛍を受け止めて、むふ、と得意げに笑う顔を飾るクッキーの欠片を、その唇に押し込んだ。
「進めないよ」
「うん、邪魔してるからね」
3668冷たいお水を求めてキッチンへと入れば、クッキーの入った瓶に手を突っ込んだ先客がいた。
その脇をすり抜けて奥の冷蔵庫に向かおうとしたのに、右へ左へ、口の端にクッキーの欠片をつけたままの蛍がトーマの行く先を塞いで妨害する。
「なーにしてるの」
「邪魔してる」
「オレお水飲みたいんだけど」
「だめー」
正面を突破しようとすれば、その小さな体をめいっぱい広げて止められる。体当たりを受け流したくても、蛍にきゅうと抱きしめられてしまえばどんな弱い力だってトーマは動けなくなってしまう。
寄りかかる蛍を受け止めて、むふ、と得意げに笑う顔を飾るクッキーの欠片を、その唇に押し込んだ。
「進めないよ」
「うん、邪魔してるからね」
かみすき
DONEゼン蛍いいから早く付き合え
《ゼン蛍》曖昧さ回避「君に交際を申し込もう」
ひゅっと喉が締まる。まだコーヒーを口に入れる前で良かった。世間話でもするかのようにとんでもない発言をした男に、危うく吹きかけてしまうところだった。
口付けただけのカップを戻す。唇の形に残ったピンク色を拭う余裕もなく、ぷるぷると震える手は思ったよりも大きな音を立てて、それにまた驚いて肩が跳ねた。
「大丈夫か」
かろうじてソーサーに着地したカップも、その中の黒い水面は今にも零れそうな程に波打っていた。忙しない瞬きの合間にもあちこち視線が彷徨ってしまう。これのどこが大丈夫に見えるのだろうか。
全身で動揺を示す蛍を認めたアルハイゼンが、ほんの少し口角を持ち上げる。一見冷たくも感じられる複雑な色彩はすっかり熱を孕んで蛍を射抜いていた。彫刻のように綺麗な顔から放たれるその表情は、たった今爆弾を渡された蛍には強すぎる刺激で。
2117ひゅっと喉が締まる。まだコーヒーを口に入れる前で良かった。世間話でもするかのようにとんでもない発言をした男に、危うく吹きかけてしまうところだった。
口付けただけのカップを戻す。唇の形に残ったピンク色を拭う余裕もなく、ぷるぷると震える手は思ったよりも大きな音を立てて、それにまた驚いて肩が跳ねた。
「大丈夫か」
かろうじてソーサーに着地したカップも、その中の黒い水面は今にも零れそうな程に波打っていた。忙しない瞬きの合間にもあちこち視線が彷徨ってしまう。これのどこが大丈夫に見えるのだろうか。
全身で動揺を示す蛍を認めたアルハイゼンが、ほんの少し口角を持ち上げる。一見冷たくも感じられる複雑な色彩はすっかり熱を孕んで蛍を射抜いていた。彫刻のように綺麗な顔から放たれるその表情は、たった今爆弾を渡された蛍には強すぎる刺激で。
かみすき
DONEトマ蛍ベッドでいちゃいちゃする推し、なんぼあっても良いですからね
《トマ蛍》早起きはずいぶんお得 雑に閉めたカーテンは、どうやら朝日が漏れる隙間を残していたらしい。蛍だけに差し込んだ光のせいで、いつもよりずっと早く目が覚めてしまった。
突き刺さる眩しさにしょぼしょぼと瞬きを繰り返す。どうしてきちんと閉めなかったんだろう。朝日から逃げるように転がりながら、昨晩の自分へのどうしようもないもやもやをため息と一緒に吐き出す。時間はわからないけれど、もう少し眠れたはずなのに。だって、まだトーマが寝ている。
いくら寝返りを打っても、布団を被り直してみても、目覚めるタイミングが良かったのか悪かったのか、眠気はもう戻ってこなかった。
仕方なく目の前にあったトーマの背中を眺める。穏やかな寝息と共に上下する肩。すっかり草臥れたお揃いの部屋着。一房の長い髪はその体に巻き込まれてくしゃりと潰れていた。覗く項は、トーマよりもずっと背の低い蛍にはなかなか見られるものではなくて。
1629突き刺さる眩しさにしょぼしょぼと瞬きを繰り返す。どうしてきちんと閉めなかったんだろう。朝日から逃げるように転がりながら、昨晩の自分へのどうしようもないもやもやをため息と一緒に吐き出す。時間はわからないけれど、もう少し眠れたはずなのに。だって、まだトーマが寝ている。
いくら寝返りを打っても、布団を被り直してみても、目覚めるタイミングが良かったのか悪かったのか、眠気はもう戻ってこなかった。
仕方なく目の前にあったトーマの背中を眺める。穏やかな寝息と共に上下する肩。すっかり草臥れたお揃いの部屋着。一房の長い髪はその体に巻き込まれてくしゃりと潰れていた。覗く項は、トーマよりもずっと背の低い蛍にはなかなか見られるものではなくて。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍カーヴェと旅人がアルハイゼンの家でお喋りする話です。
極楽鳥と対談「奇怪な噂を聞いたんだが……君とアルハイゼンが恋人同士であるという流言だ」
もし虚偽なら僕からも否定するように心がけるが、神妙にそう言ったカーヴェにどう答えたものかと少し悩む。だって、恋人という関係になって数か月は経っていて、ティナリやセノは早い段階で知っていたのに、同居人である彼に知らせていないとは思わないじゃないか。
「……否定する必要は、ない、かな」
は? と間の抜けた声が落ちた。つまり、それは、と真実に至りかける彼に蛍は曖昧な笑みを返す。
「……嘘だろ!? 君と、アルハイゼンが!?」
そんな素振りは、とぼやくカーヴェの姿に、居候中のカーヴェよりも家主であるアルハイゼンよりも先にアルハイゼンの家にいるこの状況をどう解釈していたのか、と尋ねたくなる。追い打ちになるので言わないが。
1918もし虚偽なら僕からも否定するように心がけるが、神妙にそう言ったカーヴェにどう答えたものかと少し悩む。だって、恋人という関係になって数か月は経っていて、ティナリやセノは早い段階で知っていたのに、同居人である彼に知らせていないとは思わないじゃないか。
「……否定する必要は、ない、かな」
は? と間の抜けた声が落ちた。つまり、それは、と真実に至りかける彼に蛍は曖昧な笑みを返す。
「……嘘だろ!? 君と、アルハイゼンが!?」
そんな素振りは、とぼやくカーヴェの姿に、居候中のカーヴェよりも家主であるアルハイゼンよりも先にアルハイゼンの家にいるこの状況をどう解釈していたのか、と尋ねたくなる。追い打ちになるので言わないが。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ディシアとキャンディスから旅人に何かが用意された話です。
マンティコアと矢盾の講義「ディシア、キャンディス、これは……」
精緻な細工の施された箱が二つ、蛍の眼前に並んでいる。
始まりはアアル村を発つ直前にかけられた言葉だった。
――旅人さん、ディシアがあなたにプレゼントがあると言っていましたよ。近いうちに二人でお家に伺ってもよろしいでしょうか?
プレゼント? と首を傾げながらもこくりと首肯した蛍は、日程をその場で決めて久しぶりに二人に会える日を心待ちにしていた。
そうして訪れた約束の日。洞天の大きな花が咲き誇る頃訪ねてきた二人を自室に通すとすぐに、それはテーブルの上に並べられた。
開けるよう促された蛍は、まずディシアが持ってきた箱に手を伸ばす。引き出しと蓋のどちらを先に開けるか少しだけ迷い、順に開ければ良いかと蓋を選択する。掛け金を外してゆっくりと蓋を引き上げると、その中は箱とよく似た装飾の施された物たちで埋まっていた。引き出しにも指をかけ、ゆっくりと引く。大小形状様々なブラシが丁寧に並べられていた。
2478精緻な細工の施された箱が二つ、蛍の眼前に並んでいる。
始まりはアアル村を発つ直前にかけられた言葉だった。
――旅人さん、ディシアがあなたにプレゼントがあると言っていましたよ。近いうちに二人でお家に伺ってもよろしいでしょうか?
プレゼント? と首を傾げながらもこくりと首肯した蛍は、日程をその場で決めて久しぶりに二人に会える日を心待ちにしていた。
そうして訪れた約束の日。洞天の大きな花が咲き誇る頃訪ねてきた二人を自室に通すとすぐに、それはテーブルの上に並べられた。
開けるよう促された蛍は、まずディシアが持ってきた箱に手を伸ばす。引き出しと蓋のどちらを先に開けるか少しだけ迷い、順に開ければ良いかと蓋を選択する。掛け金を外してゆっくりと蓋を引き上げると、その中は箱とよく似た装飾の施された物たちで埋まっていた。引き出しにも指をかけ、ゆっくりと引く。大小形状様々なブラシが丁寧に並べられていた。
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ティナリ、セノ、コレイ、旅人がガンダルヴァー村でお喋りする話です。
サーバルの疑問、フェネックと金狼と議論「た、たびびと、こここ、恋人ができたって聞いたんだけど、」
本当か!? と前のめりに聞くコレイに本当だよ、と答えつつ、どっちだとその背後に立つ獣の耳をもつ青年たちに目を向ける。
あはは、と苦笑して目を逸らしたティナリに、どこから聞いたの、と蛍は尋ねる。
「アルハイゼンから。この間シティで会った時にね」
ややげんなりとした様子で告げるティナリにセノも頷いた。おそらく同じタイミングでセノも聞いたのだろう。
「師匠は悪くないんだ。あたしが娯楽小説を読んで恋人の話を聞いてしまったから……」
しょぼ、とするコレイ。その発言でおおよその事情は分かった。
「隠していることでもないし、気にしないで。知ってるとは思わなかったから驚いちゃったの」
2153本当か!? と前のめりに聞くコレイに本当だよ、と答えつつ、どっちだとその背後に立つ獣の耳をもつ青年たちに目を向ける。
あはは、と苦笑して目を逸らしたティナリに、どこから聞いたの、と蛍は尋ねる。
「アルハイゼンから。この間シティで会った時にね」
ややげんなりとした様子で告げるティナリにセノも頷いた。おそらく同じタイミングでセノも聞いたのだろう。
「師匠は悪くないんだ。あたしが娯楽小説を読んで恋人の話を聞いてしまったから……」
しょぼ、とするコレイ。その発言でおおよその事情は分かった。
「隠していることでもないし、気にしないで。知ってるとは思わなかったから驚いちゃったの」
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ニィロウ、ファルザン、レイラ、旅人が女子会をしてお喋りする話です。
藤蔓花飾に夜鶯、睡蓮の提案「旅人、アルハイゼンさんと付き合い始めたって本当?」
冒険者協会の依頼を終え、パイモンに急かされるままに洞天に帰った蛍を出迎えたのは、目をキラキラとさせたニィロウとファルザン、机に突っ伏すレイラだった。
え、と戸惑う間もなくニィロウとファルザンに両脇を固められ、あれよあれよという間に席に着かされる。助けを求めてパイモンの姿を探すも見つからず、そういえば昼頃にタフチーンを頬張っていたと思い出して、退路がないことを悟る。
「いつ頃から付き合い始めたんじゃ?」
「告白は旅人からしたの?」
二人の中で自分とアルハイゼンが恋人であるのは確定事項なのだろうか。ニィロウの問いかけにまだ答えていないはずなのに。
矢継ぎ早の質問に苦笑しながら、蛍は口を開いた。
2516冒険者協会の依頼を終え、パイモンに急かされるままに洞天に帰った蛍を出迎えたのは、目をキラキラとさせたニィロウとファルザン、机に突っ伏すレイラだった。
え、と戸惑う間もなくニィロウとファルザンに両脇を固められ、あれよあれよという間に席に着かされる。助けを求めてパイモンの姿を探すも見つからず、そういえば昼頃にタフチーンを頬張っていたと思い出して、退路がないことを悟る。
「いつ頃から付き合い始めたんじゃ?」
「告白は旅人からしたの?」
二人の中で自分とアルハイゼンが恋人であるのは確定事項なのだろうか。ニィロウの問いかけにまだ答えていないはずなのに。
矢継ぎ早の質問に苦笑しながら、蛍は口を開いた。
C.K🌸
DONE23.6.13届きました
オレンジ工房様『WEDDING中綴じステッチセット』
表紙はマーメイド、ふっくらして優しい手触りです
印刷カラーはピーコックブルー、鮮やかできれいな色でした
縫い糸、表紙側を蛍光グリーン。本文側をシトラスミックスにしました
ミックスはサイトで見た色より断然色味が明るくてかわいいです
緑とオレンジが並びだったので選びました🧡💚
可愛くして頂き感謝です🥲 7
ゆきは
DONEアルハイゼン不在のゼン蛍ナヒーダと旅人がお喋りをする話です。
知恵の主との語らい 都合のいい夢を見た。兄がいて相棒がいて、彼がいる夢。幸せに、この世界で暮らしている夢。
「……それはあなたが潜在的にそう願っているからではないかしら?」
ナヒーダ、いる? と訪ねたスラサタンナ聖処。快く出迎えてくれたナヒーダに今朝見た夢の話をすれば、彼女からはシンプルな答えが返ってくる。
その通り。夢には願いが現れる。ならば、家族と恋人とテイワットで暮らす夢は私の願いなのだろう。
「素敵な夢、素敵な願いだわ。あなたの旅の事情は知っているけれど、私はその願いが叶うことを祈りたい」
柔らかく微笑むナヒーダに、蛍は感謝の言葉を声に乗せた。しかし憂う表情は変わらないままだ。ナヒーダがティーカップを傾けてソーサーに戻し、もう一度蛍を見上げても彼女は口を開かない。
1765「……それはあなたが潜在的にそう願っているからではないかしら?」
ナヒーダ、いる? と訪ねたスラサタンナ聖処。快く出迎えてくれたナヒーダに今朝見た夢の話をすれば、彼女からはシンプルな答えが返ってくる。
その通り。夢には願いが現れる。ならば、家族と恋人とテイワットで暮らす夢は私の願いなのだろう。
「素敵な夢、素敵な願いだわ。あなたの旅の事情は知っているけれど、私はその願いが叶うことを祈りたい」
柔らかく微笑むナヒーダに、蛍は感謝の言葉を声に乗せた。しかし憂う表情は変わらないままだ。ナヒーダがティーカップを傾けてソーサーに戻し、もう一度蛍を見上げても彼女は口を開かない。