記憶喪失
saku_0_35
MOURNING記憶喪失か監禁ネタにしようとして出来なかったもの。短いタルベネ風味。籠の鳥「良いかい、ベネット。一人で外に出てはいけないよ。」
柔らかな寝具に腰掛けるベネットにタルタリヤが優しく声を落とすと、彼は小さく頷いた。
「うん、分かった。」
にこりと素直に答える様にタルタリヤは同じように笑みを作ると、彼の頭に手を置いてゆっくりと生成色の髪を撫でる。
「良い子だね。それじゃあ夜には戻ってくるから、それまでのんびり過ごしていてくれ。」
その言葉にベネットはきょろりと室内に目を走らせた。四方を木目調の壁に囲まれた室内にある簡素な棚には御伽噺や冒険家の自伝などといった書籍が多く並び、タルタリヤ越しに見える扉の脇の円卓の上には籠に乗る色とりどりの果物類、大きめの木皿にはサンドイッチと、軽食類が備えられている。
1403柔らかな寝具に腰掛けるベネットにタルタリヤが優しく声を落とすと、彼は小さく頷いた。
「うん、分かった。」
にこりと素直に答える様にタルタリヤは同じように笑みを作ると、彼の頭に手を置いてゆっくりと生成色の髪を撫でる。
「良い子だね。それじゃあ夜には戻ってくるから、それまでのんびり過ごしていてくれ。」
その言葉にベネットはきょろりと室内に目を走らせた。四方を木目調の壁に囲まれた室内にある簡素な棚には御伽噺や冒険家の自伝などといった書籍が多く並び、タルタリヤ越しに見える扉の脇の円卓の上には籠に乗る色とりどりの果物類、大きめの木皿にはサンドイッチと、軽食類が備えられている。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-4(タイトル未定)。記憶が戻ったジャックとレオナの話。これにて完結。あれから三日が経った。未だにジャックは目を覚まさない。
レオナはその横で書類整理に追われていた。下から上げられた報告書に目を通し、サインをしていく。
あの時は咄嗟のことで冷静さを欠いていた。いくら目をかけているマジフト選手といえども所詮はただの一般人で、こうして王宮に置いておくのにも限界がある。そろそろ医療機関に移さなければならない。
走らせていたペンを置き、レオナはチラリとジャックを見る。そこには三日前と変わらない姿があった。
視線を戻し、ふぅと一息吐いて机に置かれていた水差しを手に取った。グラスに注いだ冷たい水を一気に呷る。すると少しだけだが頭がスッキリした。
「ジャック」
この三日間でもう何度呼んだかも分からない名前が口から出ていく。その時だった。
2250レオナはその横で書類整理に追われていた。下から上げられた報告書に目を通し、サインをしていく。
あの時は咄嗟のことで冷静さを欠いていた。いくら目をかけているマジフト選手といえども所詮はただの一般人で、こうして王宮に置いておくのにも限界がある。そろそろ医療機関に移さなければならない。
走らせていたペンを置き、レオナはチラリとジャックを見る。そこには三日前と変わらない姿があった。
視線を戻し、ふぅと一息吐いて机に置かれていた水差しを手に取った。グラスに注いだ冷たい水を一気に呷る。すると少しだけだが頭がスッキリした。
「ジャック」
この三日間でもう何度呼んだかも分からない名前が口から出ていく。その時だった。
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-3(タイトル未定)。記憶の世界を漂うジャックの話。気がつけば知らない場所に立っていた。辺り一面が故郷の雪景色のように真っ白で、他の色は存在しない、おかしな空間。
「どこだ。ここ……」
記憶は、マジフト大会で箒から放り出され、地面に叩きつけられたところで途切れている。
いったいここはどこなんだ。ジャックは見覚えのない景色にきょろきょろと辺りを見渡す。
しかしこのままここに突っ立っていてもなにも変わらない。とりあえず辺りを探索してみようと、ジャックはどこかも分からない空間に足を踏み出す。
あてどなく、ただ真っすぐに足を進めるジャック。すると突然、目の前にモニターのようなものが現れた。ブォンという音を立てて、画面に映像が流れ始める。
「うおっ!?」
そこに映っていたのは、こちらを見下ろしながら戸惑ったような表情を浮かべたレオナの姿だった。この顔には見覚えがある。たしかあれは二週間ほど前、ジャックがレオナに試合に来て欲しいと跪いて懇願した時のものだ。
2472「どこだ。ここ……」
記憶は、マジフト大会で箒から放り出され、地面に叩きつけられたところで途切れている。
いったいここはどこなんだ。ジャックは見覚えのない景色にきょろきょろと辺りを見渡す。
しかしこのままここに突っ立っていてもなにも変わらない。とりあえず辺りを探索してみようと、ジャックはどこかも分からない空間に足を踏み出す。
あてどなく、ただ真っすぐに足を進めるジャック。すると突然、目の前にモニターのようなものが現れた。ブォンという音を立てて、画面に映像が流れ始める。
「うおっ!?」
そこに映っていたのは、こちらを見下ろしながら戸惑ったような表情を浮かべたレオナの姿だった。この顔には見覚えがある。たしかあれは二週間ほど前、ジャックがレオナに試合に来て欲しいと跪いて懇願した時のものだ。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-2(タイトル未定)。ジャックを部屋に運び込ませたレオナの話。レオナは大きく息を吐いて自室のベッドの端に腰を下ろす。横を見れば、そこにはレオナのベッドで静かに眠り続けるジャックの姿があった。
あの時、会場にやってきた医療チームにジャックを引き渡し、レオナも共に王宮へと急ぐ車の中に乗り込んだ。同乗していた医師はすぐに運ばれてきたジャックの容体を調べ始めた。まず試合のユニフォームを裂き、上半身の怪我を確認する。そして次に下半身へと移っていく。
結果、奇跡的に外傷は擦り傷程度のものしか見つからなかった。しかし、安心することはできなかった。
医師によると、ジャックは頭を強く打ちつけていることにより、なんらかの障害が残るかもしれないとのことだった。それがどんなものなのかは意識が戻ってからでないと検査ができない。
1233あの時、会場にやってきた医療チームにジャックを引き渡し、レオナも共に王宮へと急ぐ車の中に乗り込んだ。同乗していた医師はすぐに運ばれてきたジャックの容体を調べ始めた。まず試合のユニフォームを裂き、上半身の怪我を確認する。そして次に下半身へと移っていく。
結果、奇跡的に外傷は擦り傷程度のものしか見つからなかった。しかし、安心することはできなかった。
医師によると、ジャックは頭を強く打ちつけていることにより、なんらかの障害が残るかもしれないとのことだった。それがどんなものなのかは意識が戻ってからでないと検査ができない。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮5-1(タイトル未定)。ジャックが怪我をするところ。第五話
空中を飛び交う選手達の魔法が激しくぶつかり合う。炎の渦は水の壁に阻まれ、砂を巻き上げた竜巻は同じく吹きすさぶ風によって相殺される。目の前では互いに一歩も譲らない、互角とも言える試合が繰り広げられていた。
レオナはそれを国賓席から観戦する。視線は自然と一人の選手を追っていく。狼の耳と尻尾を持った選手が火の玉を潜り抜け味方チームにパスを出していた。
レオナの兄であり、夕焼けの草原の国王ファレナは、そんなレオナにこっそり耳打ちする。
「どうだ?やはり生で見る試合は面白いだろう?」
「……」
空を舞うディスクが敵チームの手に渡る。狼はすかさず後を追いかけ、得意の風魔法で進行の妨害にかかった。
「今日はあれだけ誘っても絶対に観に来なかったお前が来るって言うものだから驚いたよ」
2244空中を飛び交う選手達の魔法が激しくぶつかり合う。炎の渦は水の壁に阻まれ、砂を巻き上げた竜巻は同じく吹きすさぶ風によって相殺される。目の前では互いに一歩も譲らない、互角とも言える試合が繰り広げられていた。
レオナはそれを国賓席から観戦する。視線は自然と一人の選手を追っていく。狼の耳と尻尾を持った選手が火の玉を潜り抜け味方チームにパスを出していた。
レオナの兄であり、夕焼けの草原の国王ファレナは、そんなレオナにこっそり耳打ちする。
「どうだ?やはり生で見る試合は面白いだろう?」
「……」
空を舞うディスクが敵チームの手に渡る。狼はすかさず後を追いかけ、得意の風魔法で進行の妨害にかかった。
「今日はあれだけ誘っても絶対に観に来なかったお前が来るって言うものだから驚いたよ」
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4-5(タイトル未定)。雪の石をレオナにプレゼントするジャックの話。いつもと同じ中庭。一人佇むジャックは、背後から近づいてくる足音に勢いよく振り返った。
「レオナさん」
側に歩み寄ることさえ待ちきれずレオナの元に駆け寄ると、レオナはそのジャックの行動に驚いたように少しだけ目を見開いていた。
「どうした」
心地いい低音に顔がにやけそうになる。ジャックは逸る気持ちを抑えながらポケットに手を入れた。
「実は、今日は渡したいものがあって」
「渡したい物?」
そう言って取り出したのは、先日ラギーと観光した時に買ったあの瓶だった。可愛らしい袋に入ったそれをレオナに向かって差し出す。
喜んでくれるだろうか。期待を込めた眼差しでレオナを見つめると、袋とジャックを交互に見ていたレオナがそっと手を伸ばしてきた。すらりと伸びた指先が袋を取り上げる。
2108「レオナさん」
側に歩み寄ることさえ待ちきれずレオナの元に駆け寄ると、レオナはそのジャックの行動に驚いたように少しだけ目を見開いていた。
「どうした」
心地いい低音に顔がにやけそうになる。ジャックは逸る気持ちを抑えながらポケットに手を入れた。
「実は、今日は渡したいものがあって」
「渡したい物?」
そう言って取り出したのは、先日ラギーと観光した時に買ったあの瓶だった。可愛らしい袋に入ったそれをレオナに向かって差し出す。
喜んでくれるだろうか。期待を込めた眼差しでレオナを見つめると、袋とジャックを交互に見ていたレオナがそっと手を伸ばしてきた。すらりと伸びた指先が袋を取り上げる。
absdrac1
BLANK記憶喪失になった小説家がふらりと青年の元へとやってくる紫陽花 その人は自らを小説家だと言った。真偽の程は分からない。何故なら、彼は嘘つきだったからだ。
僕はその頃と或る大学でしがない絵の講師をしていた。その人と出会ったのは帰宅しようとして美術学科の棟を出た処だった。彼は今にも降りそうな空の下で、大学の中庭に植えてある紫陽花の側の階段に座り、深緑色の手帳に何かを書き付けていた。紫陽花の赤紫色を雨で滲ませ薄めたような色の長着と、雨の中に白い紫陽花を溶かしたような色の羽織を着ていた。宛ら彼が紫陽花のようであった。僕の眼を惹きつけて止まなかったのは、現代では見ることの珍しい彼の和装だけではない。然し、それが何なのかは分からなかった。
僕の視線に気付いたのか、彼は此方を見遣ると微笑んだ。
11127僕はその頃と或る大学でしがない絵の講師をしていた。その人と出会ったのは帰宅しようとして美術学科の棟を出た処だった。彼は今にも降りそうな空の下で、大学の中庭に植えてある紫陽花の側の階段に座り、深緑色の手帳に何かを書き付けていた。紫陽花の赤紫色を雨で滲ませ薄めたような色の長着と、雨の中に白い紫陽花を溶かしたような色の羽織を着ていた。宛ら彼が紫陽花のようであった。僕の眼を惹きつけて止まなかったのは、現代では見ることの珍しい彼の和装だけではない。然し、それが何なのかは分からなかった。
僕の視線に気付いたのか、彼は此方を見遣ると微笑んだ。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4ー4(タイトル未定)。レオナとの馴れ初めを話すジャックの話。湖と最寄り駅を繋ぐバスは木々に囲まれた山道を走っていた。まだ日が高いこともあり、乗客の姿はほとんどない。
ジャックとラギーは一番後ろの広い席に腰を下ろし、隣の空いているスペースには先ほど買った大量のお土産を置いていた。駅まではまだしばらくかかる。
窓側の席で静かに携帯をいじっていたラギーだったが、突然あっ、となにかを思いついたかのように声を上げた。
「そういえば、ジャック君にもプレゼントを贈りたい相手がいるんスねぇ。さっきは好きな人なんかいないって言ってたのに」
なんの脈略もなくいきなり投げかけられたその言葉に、ジャックは驚く。
「なんですか、いきなり」
「だって最後に買ったあの石、あれって誰かにプレゼントするんでしょう?あんなの仕事仲間にあげるもんでもないし、家族にってわけでもなさそうだったし」
2172ジャックとラギーは一番後ろの広い席に腰を下ろし、隣の空いているスペースには先ほど買った大量のお土産を置いていた。駅まではまだしばらくかかる。
窓側の席で静かに携帯をいじっていたラギーだったが、突然あっ、となにかを思いついたかのように声を上げた。
「そういえば、ジャック君にもプレゼントを贈りたい相手がいるんスねぇ。さっきは好きな人なんかいないって言ってたのに」
なんの脈略もなくいきなり投げかけられたその言葉に、ジャックは驚く。
「なんですか、いきなり」
「だって最後に買ったあの石、あれって誰かにプレゼントするんでしょう?あんなの仕事仲間にあげるもんでもないし、家族にってわけでもなさそうだったし」
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話ー3(タイトル未定)。ラギーとジャックでお土産屋さんにいるところ。水上からの景色を堪能し、再び湖周辺の探索に戻って写真を撮っていた二人は、最後にペンションに隣接しているお土産屋へとやってきた。
天井では大きなプロペラが回り、柔らかな温もりを感じる照明が店内を明るく照らす。植物のインテリアで飾られた木製の棚には多くのお土産品が陳列されていた。
ジャックはまず弟妹用にとお菓子コーナーをぶらつくことにした。正直定番のお土産品ばかりだろうと思っていたのだが、どうやらここは近くの牧場と提携しているらしく、牧場オリジナルの商品が数多く揃えられていた。
足を進め、店の中央の一際目立つところに積んである箱に手を伸ばす。初めて見るパッケージだ。横には中身のサンプルが置いてあり、ジャックはそれに目をやった。
1716天井では大きなプロペラが回り、柔らかな温もりを感じる照明が店内を明るく照らす。植物のインテリアで飾られた木製の棚には多くのお土産品が陳列されていた。
ジャックはまず弟妹用にとお菓子コーナーをぶらつくことにした。正直定番のお土産品ばかりだろうと思っていたのだが、どうやらここは近くの牧場と提携しているらしく、牧場オリジナルの商品が数多く揃えられていた。
足を進め、店の中央の一際目立つところに積んである箱に手を伸ばす。初めて見るパッケージだ。横には中身のサンプルが置いてあり、ジャックはそれに目をやった。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話-2(タイトル未定)。二人で観光しているところ。さんさんと降り注ぐ太陽の光を浴びて金色に輝く水面。よく手入れの行き届いた青々とした芝生。涼やかな風は頬を撫で、木の葉を揺らし過ぎ去っていく。
「へぇー、けっこう良い感じのとこッスね」
ラギーをそう言いながら手に持った携帯で写真を撮っていく。あとで資料として使うためだ。
広い芝生は夏にはキャンプ場として使われ、近くにはバーベキュー用の炊事場まで準備されている。奥の方にはコテージもあり、団体での宿泊も可能だ。
湖の脇にはレストラン付きのペンションが建てられ、ちょっとしたお土産品もここで買うことができる。
「静かでいいところですね」
今時珍しく、右を見ても左を見ても、周りにあるのは自然だけだ。木々の揺れる音が心地いい。
2013「へぇー、けっこう良い感じのとこッスね」
ラギーをそう言いながら手に持った携帯で写真を撮っていく。あとで資料として使うためだ。
広い芝生は夏にはキャンプ場として使われ、近くにはバーベキュー用の炊事場まで準備されている。奥の方にはコテージもあり、団体での宿泊も可能だ。
湖の脇にはレストラン付きのペンションが建てられ、ちょっとしたお土産品もここで買うことができる。
「静かでいいところですね」
今時珍しく、右を見ても左を見ても、周りにあるのは自然だけだ。木々の揺れる音が心地いい。
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮4話ー1(タイトル未定)ラギーとジャックが落ち合うところ。第四話
飛行機到着予定まであと十分。ジャックは腕時計から目を外し、到着口上部にある電光掲示板を見上げていた。天気は快晴。画面には定刻通りの運航時間が映し出されている。
ロビーには迎えに来た人や出発前に買い物に勤しむ人、重たそうな荷物を抱えて到着ゲートから出てくる人々であふれていた。
ジャックは同じように到着を待ち、ゲート付近で立ち止まっている人達の間を抜け、その横に設置されているベンチへと向かう。つい先ほど別の飛行機が到着したおかげか、そこは思ったより空いていた。ジャックは少し奥まったところにあるベンチの角に腰を下ろす。
ポケットに入れていた携帯を取り出し画面を点けると、予定時刻まで残り八分になっていた。そこから画像のアプリを開き、あらかじめ撮っていた電車の時刻表を出す。これなら全て予定通りに進められそうだ。
1364飛行機到着予定まであと十分。ジャックは腕時計から目を外し、到着口上部にある電光掲示板を見上げていた。天気は快晴。画面には定刻通りの運航時間が映し出されている。
ロビーには迎えに来た人や出発前に買い物に勤しむ人、重たそうな荷物を抱えて到着ゲートから出てくる人々であふれていた。
ジャックは同じように到着を待ち、ゲート付近で立ち止まっている人達の間を抜け、その横に設置されているベンチへと向かう。つい先ほど別の飛行機が到着したおかげか、そこは思ったより空いていた。ジャックは少し奥まったところにあるベンチの角に腰を下ろす。
ポケットに入れていた携帯を取り出し画面を点けると、予定時刻まで残り八分になっていた。そこから画像のアプリを開き、あらかじめ撮っていた電車の時刻表を出す。これなら全て予定通りに進められそうだ。
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー4(タイトル未定)。四度目の再会。マジフトについて話す二人。篝火を見上げる後ろ姿。周りには誰もいないことを確認し、ジャックはその背中に声をかける。
「レオナさん」
ジャックの声に反応し小さな耳がピルルと動いた。ゆっくりと振り返るレオナに、ジャックは小走りで駆け寄る。
「少しお話でもどうですか?」
すっかり二人にとって馴染み深くなった誘い文句に、レオナはわざと考える素振りを見せ、やがて小さく頷いた。
「少しだけならいいだろう」
「ありがとうございます」
仕方がないという素振りを見せながらも浮かべられた笑みに、ジャックは同じように笑い返す。そして火に照らされたレオナの横に並び立ち、燃える炎を見上げた。
「レオナさんはマジフトやったことはありますか?」
「……少しだけな。でもお前と違ってただのお遊びレベルだ。たいした腕じゃない」
1774「レオナさん」
ジャックの声に反応し小さな耳がピルルと動いた。ゆっくりと振り返るレオナに、ジャックは小走りで駆け寄る。
「少しお話でもどうですか?」
すっかり二人にとって馴染み深くなった誘い文句に、レオナはわざと考える素振りを見せ、やがて小さく頷いた。
「少しだけならいいだろう」
「ありがとうございます」
仕方がないという素振りを見せながらも浮かべられた笑みに、ジャックは同じように笑い返す。そして火に照らされたレオナの横に並び立ち、燃える炎を見上げた。
「レオナさんはマジフトやったことはありますか?」
「……少しだけな。でもお前と違ってただのお遊びレベルだ。たいした腕じゃない」
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー3(タイトル未定)。三度目の再会。他愛もない話をする二人。「またお前は……。ここでなにやってんだ」
そう背後からかけられた声に、ジャックは勢いよく振り返った。星空を浮かべる中庭だけが、この人と会える唯一の場所だ。持ち上がった尻尾が大きく左右に揺れる。
「またお会いできて嬉しいです。よかったら少しお話しませんか?」
ジャックは長い耳を少しだけ伏せながら控え目に首を傾げる。男は腕を組みながらジャックを見ていたが、やがてふぅと息を吐いて腕を解いた。
「少しだけならな」
「ありがとうございます!」
近づいてくる足音にさえ、体が過敏に反応してしまう。ジャリジャリと砂は踏み潰され、ザッと土は蹴られる。一歩、また一歩と少しずつ近づいてくるその音に、ジャックの胸は早くなっていった。
3723そう背後からかけられた声に、ジャックは勢いよく振り返った。星空を浮かべる中庭だけが、この人と会える唯一の場所だ。持ち上がった尻尾が大きく左右に揺れる。
「またお会いできて嬉しいです。よかったら少しお話しませんか?」
ジャックは長い耳を少しだけ伏せながら控え目に首を傾げる。男は腕を組みながらジャックを見ていたが、やがてふぅと息を吐いて腕を解いた。
「少しだけならな」
「ありがとうございます!」
近づいてくる足音にさえ、体が過敏に反応してしまう。ジャリジャリと砂は踏み潰され、ザッと土は蹴られる。一歩、また一歩と少しずつ近づいてくるその音に、ジャックの胸は早くなっていった。
tako_miteru
DOODLE記憶喪失じゃないけど、記憶喪失みたいなネタが描きたい。あきらさんがせやさんの存在とか情熱から何らかの形で離れてしまったとき、その心をFFのあきらさんみたいに燃やし続けることができるんだろうか。どんどん得た感情を忘れていって、なんか遠い昔の他人事のように思う日が来るんかな。なんか空虚だって思ってる時に、せやさんが戻って来てくれてハッピーエンド、にする道筋を考えてる。そうです、ドーナツホールです。 2
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話-2(タイトル未定)。レオナとの二度目の再会。ジャックは再び宴から逃げ出し、誰もいない中庭で星空を見上げていた。今日は数日前の試合で夕焼けの草原チームが勝利を収めたおかげで、いつにも増して宴に熱が入っている。
どうにか隙をみつけてここに駆け込んだジャックは、意味もなくぼんやりと空に浮かんだ星を眺めていた。そんな時だった。またあの声が聞こえてきたのは。
「今回の主役がなにこんなところで油売ってんだ?」
聞き覚えのある低音にパッと後ろを振り返ると、前回の宴で同じように中庭に避難してきた時に出会った獅子がそこに立っていた。また簡単な装飾品と絹の長衣を身に纏っている。
「ここでなら、またあなたに会えると思って」
本心ではあったが、どこか浮ついた声が口から出ていく。まさかまた会えるなんて。無意識で尻尾が大きく左右に揺れる。
1950どうにか隙をみつけてここに駆け込んだジャックは、意味もなくぼんやりと空に浮かんだ星を眺めていた。そんな時だった。またあの声が聞こえてきたのは。
「今回の主役がなにこんなところで油売ってんだ?」
聞き覚えのある低音にパッと後ろを振り返ると、前回の宴で同じように中庭に避難してきた時に出会った獅子がそこに立っていた。また簡単な装飾品と絹の長衣を身に纏っている。
「ここでなら、またあなたに会えると思って」
本心ではあったが、どこか浮ついた声が口から出ていく。まさかまた会えるなんて。無意識で尻尾が大きく左右に揺れる。
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮3話ー1(タイトル未定)。ジャックが卒業してから三年、レオナと再会する。第三話
一つ先輩のラギーの背中を送り出し、自身もナイトレイヴンカレッジを卒業して早三年。ジャックは寮対抗マジフト大会での雄姿を見初められ、夕焼けの草原のプロチームに所属していた。
夕焼けの草原では国をあげてマジフトチームを応援しているらしく、数か月に一度、選手達を労う宴が開かれている。参加できるのはチームの二軍までであり、ジャックもようやく最近参加できるようになった。
初めて王宮に足を踏み入れた時の衝撃は今でも忘れられない。右を見ても左を見ても、周りには黄金だらけ。見るからに高そうな壺や装飾品に囲まれる空間はとても居心地が悪かった。今でも何かの拍子にぶつかってしまわないかそわそわしてしまう。
ジャックは話しかけてきたどこぞの紳士との会話を終え、会場内に目を走らせる。すると視界の端で国王陛下と何やら話し込んでいるチームの監督を見つけた。にこやかな表情から、二人が盛り上がっていることがうかがえる。
1957一つ先輩のラギーの背中を送り出し、自身もナイトレイヴンカレッジを卒業して早三年。ジャックは寮対抗マジフト大会での雄姿を見初められ、夕焼けの草原のプロチームに所属していた。
夕焼けの草原では国をあげてマジフトチームを応援しているらしく、数か月に一度、選手達を労う宴が開かれている。参加できるのはチームの二軍までであり、ジャックもようやく最近参加できるようになった。
初めて王宮に足を踏み入れた時の衝撃は今でも忘れられない。右を見ても左を見ても、周りには黄金だらけ。見るからに高そうな壺や装飾品に囲まれる空間はとても居心地が悪かった。今でも何かの拍子にぶつかってしまわないかそわそわしてしまう。
ジャックは話しかけてきたどこぞの紳士との会話を終え、会場内に目を走らせる。すると視界の端で国王陛下と何やら話し込んでいるチームの監督を見つけた。にこやかな表情から、二人が盛り上がっていることがうかがえる。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー4(タイトル未定)。ジャックが目を覚ましたことを聞き、レオナが卒業を迎えるところまで。立ち合いから明けた次の日昼過ぎ、クルーウェルからジャックが無事に目を覚ましたと連絡が入った。ベッドに横になったまま、その簡素な報告を聞く。
二言、三言でやりとりを済ませ、レオナは電話を切った。携帯の画面には初期のままから変わらない壁紙が映し出されている。表示された分数を表す数字が変わったところでレオナは携帯を持った手をそのままベッドに投げ出した。
静かだ。なにもかもが静かで穏やかだ。
本来ならばこんなはずではなかった。いつものように温かな眼差しを向けるジャックに迎えられ、時間が許す限りレオナの部屋で共に過ごし、二人だけの時間を共有する。そのはずだった。
それが、今はレオナただ一人だ。いや、これからも。
ジャックとのやりとりは、レオナからの『これから帰る』というメッセージで終わっている。これから先、この先が綴られることはない。これは仕方のないことだ。
1686二言、三言でやりとりを済ませ、レオナは電話を切った。携帯の画面には初期のままから変わらない壁紙が映し出されている。表示された分数を表す数字が変わったところでレオナは携帯を持った手をそのままベッドに投げ出した。
静かだ。なにもかもが静かで穏やかだ。
本来ならばこんなはずではなかった。いつものように温かな眼差しを向けるジャックに迎えられ、時間が許す限りレオナの部屋で共に過ごし、二人だけの時間を共有する。そのはずだった。
それが、今はレオナただ一人だ。いや、これからも。
ジャックとのやりとりは、レオナからの『これから帰る』というメッセージで終わっている。これから先、この先が綴られることはない。これは仕方のないことだ。
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PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー3(タイトル未定)。レオナの痕跡、そしてジャックの記憶を消すところ。真っ先にやったのはジャックのスマホから連絡先を消すことだった。クルーウェル立ち合いのもと、ジャックのスマホを操作して一つ一つ保存されていたやり取りと消していく。
メッセージアプリはラギーから情報が洩れる可能性があったため、ラギーのアカウントごと削除した。後でまた入れ直しておけば問題はないだろう。
久しく使っていないメールも、ご丁寧にレオナだけフォルダが分けられており、簡単に削除することができた。
できる限りのことを保健室で済ませ、レオナは次にジャックの部屋へ向かった。部屋に残された痕跡を消すためだ。二年生とはいえ相部屋は変わらない。魔法で鍵を開け、自身にも簡単な目くらましの魔法をかける。あとは下手に大きな音さえ出さなければ寝入っているルームメイトが起きることもないだろう。
2252メッセージアプリはラギーから情報が洩れる可能性があったため、ラギーのアカウントごと削除した。後でまた入れ直しておけば問題はないだろう。
久しく使っていないメールも、ご丁寧にレオナだけフォルダが分けられており、簡単に削除することができた。
できる限りのことを保健室で済ませ、レオナは次にジャックの部屋へ向かった。部屋に残された痕跡を消すためだ。二年生とはいえ相部屋は変わらない。魔法で鍵を開け、自身にも簡単な目くらましの魔法をかける。あとは下手に大きな音さえ出さなければ寝入っているルームメイトが起きることもないだろう。
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話ー2(タイトル未定)。レオナとクルーウェルのやりとり。ランプの明かりが手元を照らす。カサリ。夜の帳が下りきった保健室に紙がめくれる音がした。クルーウェルは本に羅列された文字を目で追い、ページをめくっていく。
依然としてジャックに異常は見られない。しかしこればかりは何が起こるか分からないため、クルーウェルは不測の事態に備え、今日は保健室に泊まることにした。
カサリ、カサリとページが読み進められていく。物音一つしない校舎は沈黙を保っている。しかし、突如としてその均衡は破られた。
突然、勢いよく保健室のドアが開かれる。だが、ここにはクルーウェル以外誰もいないはずだ。廊下から近づいてくる足音なども耳にしていない。もしかしたら学園内にいるゴーストの可能性も考えられるが、彼らはわざわざドアを開ける必要はない。
2441依然としてジャックに異常は見られない。しかしこればかりは何が起こるか分からないため、クルーウェルは不測の事態に備え、今日は保健室に泊まることにした。
カサリ、カサリとページが読み進められていく。物音一つしない校舎は沈黙を保っている。しかし、突如としてその均衡は破られた。
突然、勢いよく保健室のドアが開かれる。だが、ここにはクルーウェル以外誰もいないはずだ。廊下から近づいてくる足音なども耳にしていない。もしかしたら学園内にいるゴーストの可能性も考えられるが、彼らはわざわざドアを開ける必要はない。
サクライロ
DOODLEヤンデレガチギレテュールに壁ドンされて怯え慄くフローラを見たかったんですがどうしても納得いく顔と構図にならないまま半年が経とうとしている…
(ファイル作成日:2020/12/17)
うん、記憶喪失のあれですあれ
どなたか描いてくださってもよろしくてよ!!!(平伏してお願いします)
だって私が見たいんですもん!!!!←清々しい迄の需要Me
ちな、このあとの獣ちゅーも是非見t
VrF9Niok9bGYqPX
MEMO谷に落ちて記憶喪失になったウと再会してくれ🎑>断ち切る事を決めたウは愛弟子を庇って谷に落ち行方知れずになるし、弟子は師の面影を探して大陸を彷徨う事になります。本屋で見た。(のやつ)時系列はクリア後
■遠くのギルドから舞い込んだ大変な依頼を引き受けたハン、を助けて身代わりになるウ。無事モンスは討伐することができたけどウは深い谷底に落ちてそれから見つからなかった
■あの人の骸をこの目で見るまでは諦められないってハンターやりつつ彷徨って、7年後ぐらいに他所の国でそっくりな男に出会ったと思ったら記憶を失ったその人だったとか好き。
自分の事も忘れて狩猟からも離れてちょっと穏やかになったウに「私はずいぶん慕われていたんだね、探してくれてありがとう、今日まで君を苦しめてすまなかった」って言われて、俯いて静かに涙を流しながら拳を握りしめるハン
縋り付いて甘えたい、許されたいと愛弟子の自分が泣くのを無視して単なる"故郷の人"になる
辺境のカムラとは違って大陸の中心に近い平和な町では危機に神経をすり減らすこともなくて。
今のウの暮らしを追ってみて、あの人にはここが一番いいんだと感じたハンは干渉すまい、と決めて、ウ本人にはあまり多くを 2168
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮2話-1(タイトル未定)。ジャックの状態をクルーウェルから聞かさせるラギーの話。第二話
真っ白な壁にカーテンで仕切られたベッド。夕方にさしかかった保健室は、一つのベッドを除いて利用する生徒の姿はない。
シンと静まりかえった室内で、クルーウェルはベッド脇の丸椅子に腰かけながら、こんこんと眠り続ける生徒を見つめていた。
ふと、クルーウェルは廊下から聞こえてきた忙しない足音にゆっくりと立ち上がる。その音はどんどん大きくなり、やがて保健室の前で止まった。そして、勢いよくドアが開かれる。
「先生!ジャック君が倒れたって聞いたんスけど!」
「バッドボーイ。廊下は走るんじゃない」
窘めるクルーウェルの声を他所に、サバナクローの寮長であるラギーはまっすぐにベッドへと歩み寄る。真っ白で清潔感がある、けれどどこか消毒液くささを感じるベッド。そこに、ジャックは眠っていた。
2818真っ白な壁にカーテンで仕切られたベッド。夕方にさしかかった保健室は、一つのベッドを除いて利用する生徒の姿はない。
シンと静まりかえった室内で、クルーウェルはベッド脇の丸椅子に腰かけながら、こんこんと眠り続ける生徒を見つめていた。
ふと、クルーウェルは廊下から聞こえてきた忙しない足音にゆっくりと立ち上がる。その音はどんどん大きくなり、やがて保健室の前で止まった。そして、勢いよくドアが開かれる。
「先生!ジャック君が倒れたって聞いたんスけど!」
「バッドボーイ。廊下は走るんじゃない」
窘めるクルーウェルの声を他所に、サバナクローの寮長であるラギーはまっすぐにベッドへと歩み寄る。真っ白で清潔感がある、けれどどこか消毒液くささを感じるベッド。そこに、ジャックは眠っていた。
杣おつと
PROGRESSJ0J0 part2ジョセシー本の進捗。本編後、兄弟子が生きてたけど記憶喪失になっててョセが初対面のフリしてちょっかいかけてくる話です。
4/22 サンプルで載せるとこなので最初3Pまるっとこんなんです。
4/23 2枚追加。
4/27 1枚追加。
4/30 2枚追加。
5/4 3枚追加。ペン入れ終わり!
5/6 1枚追加。トーン貼り終わり!
5/7 表紙完成しました!目✨✨ 16
heartyou_irir
PROGRESS記憶喪失ジャクレオ。仮1話(タイトル未定)。ジャックが気を失って倒れるまで。第一話
学校にある植物園。その一角で、ジャックは趣味であるサボテンを育てていた。手に持ったジョウロの中で、水が歩調に合わせちゃぷちゃぷ揺れる。
三段に並んだ植木鉢に、園のガラス天井から透けた温かな日差しが降り注ぐ。ジャックはジョウロで乾いた土に水をかけていく。初めはきれいに吸い込まれずに土の上を漂っていた水だが、しだいに時間をかけてゆっくり奥へと染み込んでいった。色濃く染まった土を見届け、ジャックは次の植木鉢に移る。
学校側が貸してくれているこの場所のおかげでサボテン達の発育が良い。ジャックは大、小さまざまな大きさのそれらに、一つ一つ丁寧に水を与えていく。
ふと、その中の一つに小さな蕾がついているのを見つけ、ジャックは顔を綻ばせた。そのサボテンはレオナから贈られたものだった。進級と同時に贈られた、まあるく細い綿毛のような棘を持ったサボテン。
2516学校にある植物園。その一角で、ジャックは趣味であるサボテンを育てていた。手に持ったジョウロの中で、水が歩調に合わせちゃぷちゃぷ揺れる。
三段に並んだ植木鉢に、園のガラス天井から透けた温かな日差しが降り注ぐ。ジャックはジョウロで乾いた土に水をかけていく。初めはきれいに吸い込まれずに土の上を漂っていた水だが、しだいに時間をかけてゆっくり奥へと染み込んでいった。色濃く染まった土を見届け、ジャックは次の植木鉢に移る。
学校側が貸してくれているこの場所のおかげでサボテン達の発育が良い。ジャックは大、小さまざまな大きさのそれらに、一つ一つ丁寧に水を与えていく。
ふと、その中の一つに小さな蕾がついているのを見つけ、ジャックは顔を綻ばせた。そのサボテンはレオナから贈られたものだった。進級と同時に贈られた、まあるく細い綿毛のような棘を持ったサボテン。
nnmnchudock
MAIKING記憶喪失になった七と、じゃあ(傷つきたくないし)にげちゃおーした恋人の話 前半(後半は七視点で夢主を追い詰める話)
#じゅじゅプラス「私からはなんと申し上げて良いか……」
申し訳なさそうに背を丸める伊地知潔高の肩をぽんと叩いて笑みを作った。わらえ、わらえ。そう強く自分に言い聞かせれば、意外と表情筋はきちんと仕事をしてくれた。
「何も言う必要は無いよ。きれいさっぱり忘れたんなら、そのままで。その方が建人のためでしょ」
✕月✕日 東京都内✕✕学校内に発生した一級相当の呪霊祓除時発生した事故により、東京校所属七海建人一級呪術師の記憶障害が起きたと見られる。
呪霊の術式効果により✕月✕日から一年前までの記憶の喪失が確認され、現在──
□
恋人の記憶が無くなった。そう知らせを受けあわてて自分の家に帰り、七海建人の私物をかき集めた。キャリーケースに詰め込んで、手伝いを申し出てくれた伊地知潔高の運転で恋人のマンションへと向かった。
「いいのですか、きちんと七海さんに話せば分かってくださると思うのですが」
「やー伊地知さんは分かってないよ。一年前って建人が高専に戻ってきたあたりでしょ。
もーモテにモテまくって凄かったの忘れた?」
一年前と言えばまだ普通の同僚だった時だ。
跡継ぎの男子に恵まれなかった家からぜひ婿に、 1602
tizyoutoumikmt
DOODLE「ふがいない。」※煉獄さん覗き込んでいるのか?押し倒されているのか?と思いながら描いてましたw
ふと、記憶喪失の炭治郎君の話あったなぁって思いだしたので
かまぼこ隊の前では何でもないお顔してけど・・・割とへこんでる流れです。
はぴえん頑張れ!
sangatu_tt5
MEMO記憶喪失🔮の探占なんやかんやあって記憶を失った(試合中と頭部強打)🔮。目を覚ますと荘園の事もそれ以前のことも忘れてしまっていた。しばらくの間試合は免除されることになり、困ったように眉を下げる🔮の面倒を🧲が買ってでた。居館での暮らしや試合でのことを丁寧に教える🧲に感謝しつつ何かあると🧲に頼るようになる🔮。
そんな🔮の左手の薬指には指輪が嵌っていない。鯖たちも🔮に💍のことを言うか悩んだ。
詳しく🔮から聞いてはいないが、大切な人が外で待っている。しかし、外に出る方法もなければ、💍が🔮を待っている保証もない。
記憶を失っている間ぐらいは💍のことを待たせていることを忘れてもいいのではないかと誰もが伝えなかった。もちろん、何かあれば世話をかってでた🧲が言うだろうという考えもあった。
治療時に邪魔であると💉が外した指輪はベッドサイドのチェストに仕舞われている。
記憶が戻らないまま、🔮は荘園での暮らしになれた。試合にも出るようになり、引率のようについてくる🧲にフォローを貰いながらもそれなりの立ち回りができるようになってきた。その結果か四六時中一緒にいた🧲は少しずつ🔮へと甲斐甲斐 1873