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    脇役

    makino1639

    MOURNING🍃さんの悪い評判について⚔️匠(捏造モブ)目線でひとこと言いたいという話。脇役ですらない裏方キャラの妄想を楽しめる方向け。書きたいところだけ書いた超短編
    ※事後(雰囲気のみ)
    ※切り傷の描写あり
    ※🍃さんの傷跡=自傷の痕に異論を唱えたいわけではなく、こんなのもアリよね〜と軽く楽しんでいただければ
    刀の錆 つつ、と指が肌を滑る。気持ちよくまどろんでいた不死川は、ゆるくまぶたを持ち上げた。目の前に金色の頭髪がふわふわと広がっている。夢よ覚めてくれるなと瞳を閉じて、腕の中のぬくもりに頬をすり寄せた。

     身じろぎした恋人は、いまだ眠りの中にいるらしい。スゥスゥと再開した寝息をくすぐったく感じながら、煉獄は肩、腕、胸と、目についた傷跡をなぞっていった。普段あれだけ盛大に前を開け広げて見せつけているに等しいのに、不死川本人は全く意識していないとのたまう。縦横に走る傷跡に触れることが許されるのは、文字通り懐に入れられた者の特権だった。
     薄まった古傷はともかく、赤く盛り上がっているものは、血が止まりさえすれば後は構わなかった印だ。通常、全集中の呼吸で早く傷を癒す方向に血流を操作するが、不死川は逆手に取って他に血を回している。自然治癒どころか、これでは遅々として治るものも治らない。全身の傷跡が減らないわけだ。
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