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    邂逅

    えだつみ

    PROGRESS書き下ろしと言いつつ11月23日のWEBオンリーで全文公開する予定
    ちょっと不穏な状況で三日月と鶴丸が邂逅して何やかやする話
    【つるみか】11月の再録本に載せようと思っている書き下ろし冒頭 IDと許可証の提示を、と求められて、鶴丸国永は万屋街の入口で立ち尽くすより他なかった。
     本丸から、そう少なくもない頻度で通っている、いつもの政府管轄の万屋街である。日用品を売る店があり、酒を売る店があり、飲み食いの出来る店があって、奥へ進めば大きな声では言いづらい用を足せる店までもが並ぶ、本丸所属の刀剣男士であれば訪れたことのない者はほとんど居ないと言ってもよい、馴染みの場だ。鶴丸は今日ここへ、本丸の用足しにやってきた。厨に常備する調味料の類を、買いに訪れたのだった。
     いつもと様子が違うことは、近づいた時点で察していた。万屋街は政府が構築した一種の仮想空間であるという性質上、本丸と同じく四方が塀で囲まれており、出入口は一箇所に定められていたのだったが、その一箇所しかない出入口にやたらと人だかりが出来ていたのである。見ると、そこは関所のごとく通り道が狭められ、入る者と出る者がそれぞれ制限されている様子であった。鶴丸は、入ろうとする者たちが作る列の最後尾に並び、呑気に順番待ちをした上で、いよいよ、というところで思いがけない要求にあった。それが、IDと許可証の提示であった。
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    くろん

    DONEサンポワンライ参加作品
    サン星でお題「ひと夏の…」

    常夏の星のリゾート地で星ちゃんとサンポが邂逅する話。舞台の星は完全に捏造です。
    エンドレスサマー「そこの美しいお姉さん、僕とひと夏のアバンチュールなどいかがでしょう?」
     何とも陳腐なセリフのナンパだった。普通なら黙殺するそれに足を止めたのは、その声に嫌というほど聞き覚えがあったからだ。
     振り向いた先は案の定、こちらも見覚えがありすぎるほどある顔だった。だが格好の方はいつものよく分からない構造の服を脱ぎ、水着姿に薄手のシャツを一枚羽織っているだけの見慣れぬ姿だ。確かにこのいかにも青い海! 白い雲! といった風情の海水浴場にはふさわしい服装だろうが――そして顔が無駄にいい分とても様になってはいるのだが――、思わず何か苦いものを飲み込んだような顔になった自分は悪くない、と思う。
     氷の星たるヤリーロ-Ⅵに夏の象徴的存在である海水浴場などあるはずもなく、ここは当然かの星とは別の惑星である。しかし私は、どうしてここに、と問うつもりはなかった。この男が神出鬼没なのは今に始まったことではなく、どうせ期待したような返事はもらえないのだからいちいち聞くだけ時間の無駄だ。代わりに、今このシチュエーションに最もふさわしい言葉を口に出す。
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