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    やんわり

    ytd524

    DONE五伏版ワンドロワンライ 第47回「落ちる」

    ※現在軸(事変前)
    ※付き合ってない
    ※五→伏

    これが恋だと自覚する五のお話。
    少し糖度高めかもしれませんので、やんわりと読んでいただけたら嬉しいです!
     からから、ころん。コロン、カラン。

     上から放ったビー玉が、透明なレールの上を小気味良い音を立てながら滑り落ちていく。そうして最後、カコン、と音を立てて受け皿に落とされたビー玉を拾い、再びレールの上から放ってやった。

    「ぼっちゃまは本当に、その玩具がお好きですねぇ」

     そう言って笑ったのは乳母だっただろうか。そうして初めて、俺はこの玩具が『好き』なのだということに気がついた。
     何も考えていなかった。ただ上から放ったビー玉が、コロコロと流れ、滑って、そして下まで落ちてくる。その流れをただもう一度見たくて、見たくて。

     あぁ、そうか。『好き』だから、何度もやってしまうのか。

     初めて自分の行動に意味が持たされたようで、なんだか不思議な気分だった。それでも俺はビー玉を拾うことをやめなかった。受け皿に落ちてきたそれをまた摘み上げて、レールの上にコトンと落とす。

     からから、ころん。コロン、カラン。

     透明なレールの上を転がるビー玉の色は、果たして何色だっただろうか。
     キラキラと輝くその光景の中、ただそれだけが今でも思い出せないでいた。




    「はーい、お疲れ〜! 無事全部 3807

    27don

    DONE面影。
    獄→→→→→→→→|越えられない壁|←←←←←←←←←寂⇚⇚⇚⇚⇚⇚⇚⇚⇚⇚独 一方通行な独寂(やんわりR18)です。久しぶりに獄と再会したあとの夜のおはなし。
    深夜。

    日を跨いでようやっと家に着くと、先生から着信があった。ひふみはとうに仕事に行き、俺はすぐにでも寝たいくらいの真夜中。
    こんな時間に先生が電話をよこすなんてと、慌てて受話器のマークをタップする。

    「独歩くん、悪いんだけど……」

    ひどく落ち込んだ声に慌てて居場所を聞き出し、歌舞伎町の公園に走る。
    先生は街灯のあたらない暗いベンチに座っていて、まるでドラマの登場人物みたいに背中を丸め、両手で顔を覆っていた。

    「先生、お待たせして申し訳ありません」

    ふと顔を上げた先生は暗がりでもわかるほど泣き腫らした目をしていて、俺は衝撃で膝から崩れ落ちそうになった。

    失恋だ、これは。

    瞬間、身体中が驚きと怒りで爆発しそうになる。
    誰が、なんで、いつ、いつのまに、誰と、俺ら以外に? どうして、何が。
    脳みそが急旋回して目が回る。

    何も言えずに手を出すと、先生は俺の手を握ったけどベンチからは立ち上がらなかった。

    帰りたくない。

    先生は小さな小さな声で呟いた。


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