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    ダツ

    🥗/swr

    DONE2020/03/15 過去作投稿
    『彼は誰のユーフォリア』収録
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    本編エンディング後から一年後、楽園の未踏区域の調査を任命されたメレフがカグツチととある洞穴に足を踏み入れる話です。
    ※巨神獣とブレイドに関する強い捏造・自己解釈を含みます。
    ※レックス他本編内のパーティメンバー、ユーゴ、ワダツミが出ます。
    彼は誰のユーフォリア白と黒の煙が舞う機械の街の中を、女は一人歩いていた。
    砂混じりの風がひゅうと吹いて、彼女の黒髪をなびかせた。見覚えのある街は賑わっていた。硬い石畳の広場では子供たちが楽しげにはしゃぎ回っていて、その向こうには堅牢な要塞としての機能を備えた巨大な皇宮が鎮座している。
    彼女はそれを見上げ、違和感を覚えた。壁面は日の光を浴びて反射している。皇宮へと続く橋の柵は真新しい。よく見れば今まさに歩いている地面の石畳もより綺麗に敷かれている。構えられている砲台も彼女の目に見慣れぬ姿をしていたが、その様相からそれらは彼女が知っているよりずっと高度な技術で生み出されたものだと推測できた。
    砂塵に打たれ至る所で錆や傷を見せている、それが彼女にとっての見慣れた風景だ。記憶と違うその景色をただ呆然と眺めていると、遊んでいた子供の一人が目の前に飛び出してきた。ぶつかると判断し身を逸らそうとしたが避けきれず、だが子供は彼女の体に衝突することなくするりとすり抜けてそのまま走り去ってしまった。
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    🥗/swr

    DONE2019/02/03 過去作投稿
    『赤槍の唄』収録
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    ユーゴにとってのカグツチとワダツミの話。※ラウラの過去の捏造あり
    砂塵と星空夕暮れ時、広大なダナ砂漠の片隅にある小さな野営地。
    その焚き火の傍らでは、その日の食事を担当する帝国の宝珠――ワダツミと、イーラの秘宝と呼ばれる白銀のブレイド、シンの姿が忙しなく動いている。そこには金色の目立つ少女――天の聖杯――ヒカリが何やら割り入って声をかけていて、シンは少し鬱陶しげに彼女をあしらい、ワダツミはというとその彼を見て笑いながら手際よくミツマタナズナを刻んでいる。

    凄まじい力を持つとされる、三人のブレイド達。けれどもそうして料理をしている姿だけを見れば、彼らが大国の至宝として扱われるような存在であるなど、知らぬ者なら気づけはしないのかもしれない。
    若きスペルビア皇帝、ユーゴ・エル・スペルビアは、そんな三人の姿を少し離れた場所からぼんやりと眺めていた。アデルとの明日の予定のすり合わせが終わり、彼は時間を持て余していた。かといって、料理に関して門外漢であるユーゴは彼らの手伝いをしようにも大したことは出来ない。彼は徐々に日の落ちていくダナ砂漠を一瞥すると、焚き火から離れた位置にあった、固く座り心地の悪い丸太の上に腰かけた。
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    mitsu_ame

    DONEくりんばの日おめでとー!
    D/sAUのふたり。伽羅ちゃんがDom、んばちゃがsub。
    まだつがいになってからそんなに経ってない頃の話。

    ※月の満ち欠けがダイナミクスに影響を及ぼす独自設定を採用してます。
    ※人間のかたちの審神者が出てきてちょっと喋る。
    そのこころ未申告につき.


    雨が続くと、どうにも眠たくなる。
    ぼぅっとすることが増えて何も手に着かない時間が目立つ。めまいが、頭痛が、不意に身体の自由を奪っていく。そうしてそれは、例え分厚い雨雲に隠れていようと満月の頃に顕著だった。

    ざぁざぁと雨音が室内に溶け込むほどの雨脚。室内灯を灯してもどこか薄暗く感じる昼日中。国広は敷布に懐くみたくぐたりと横たわっている。時折上掛けを引き寄せたり手繰ったりするほかは何もしていない。できない。眠気はあるのに、目を閉じると眠れない。めまいがするからだ。
    ぷぁぷぁと浮いているような、はたまたひたすらに落下し続けているような。そんな心地を床で味わう羽目になっている。
    「ノびてるねぇ」
    障子戸の隙間から顔を覗かせた審神者はのんびりとそう宣った。起き上がろうとすると「いい、いい」と手のひらで制された。それに甘えて再び床に就く。拳ほどの高さ頭を上げ下げしただけなのに、ぐわん、と視界が揺れる。気持ち悪い。
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