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    ユリア

    suz_under

    SPUR MEユリアルマンスリーお題「夜会」です。
    文庫メーカーでツイートしましたが長いのでこちらにも置いておきます。
    朝焼けのシンデレラマスカレイド
    仮面に許されたる夜の戯れ
    何もかも無くして、忘れて、奪って
    ああ、なんて非道な夜
    なんて甘美な夜


    (まったく、視界が悪くてかなわんな)
     隣国から来訪している貴婦人の警護の任にあたっているアルベールは、それでも場の雰囲気を壊さぬよう、自身も軽鎧ではなく銀の刺繍の入った葡萄酒色の燕尾服に身を包んでいる。剣もその身から離さぬ天雷剣ではなく、細身で繊細な彫り込みの入った華奢なレイピアを飾りと思える程度に腰に下げているのみだった。
     他の夜会に比べ遅くまで行われる為、参加の条件も厳しく、また、会場の外の警護はいつも以上に厳重に行っている。故に、天雷剣を必ず持たねばならぬ程の戦闘は想定しておらず、むしろ騎士団長である自分が警護しているという事実──それがほぼ自分がここにいる意義であり、騎士団長の勤めなのであった。まあ、万が一何かしらの戦闘になった場合でも腰に下げた銀のレイピアで誰かに負けるような腕前な訳でもない。その気になれば若手の騎士見習いに与えられる最低限の剣でも、少なくとも自分に勝てる者はいない。それは奢りではなく、ただの真実だし、だからこそ自分は騎士団長なのだ。
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