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    軍曹

    suzumi_cuke

    REHABILI20230521鯉月(鯉→月)。身体の関係はあるけど両思いかは微妙な時期(大団円前)。うちは軍曹が割りと塩対応です。
    好みでない相手が好みになるまで 初年兵の教育を終え、兵舎の廊下をミシミシ鳴らしながら執務室へ向かっていた鯉登が、不意に斜め後ろについて歩く月島にこそっと耳打ちをした。
    「今晩部屋に来い」
     手元の書類に目を落としていた月島は、怪訝そうに顔をあげ、隣の上官へ尋ねた。
    「部屋に来いとは」
    「無論、そういう意味だ」
     平然と返され、月島は白目を剥きそうになった。「そういう意味」が何かわからぬわけではない。何故なら、鯉登からのこのような――同衾の誘いはしばしばあることだからだ。そして月島はそれを受けたことが一度ならずある。拒みきれずやむなくのことであり望んでのことではない。
    「……他を当たられては」
    「月島がいい」
     歩きながら一歩隣に詰め寄られ、同じだけ月島は身体を引いた。するとまた鯉登が距離を詰めてきたので、月島は腕を擦るか擦らないかのところまで兵舎の壁に身体を寄せた。花沢少尉と壁に挟まれている尾形の姿が思い出された。当時は何やってるんだと思っていたが、いざ似たような状況に置かれてみると人のことは言えない。
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    Lemon

    DONE🌙お誕生日おめでとうございます!!!!!!!!!!
    現パロ鯉月の小説。全年齢。

    軍会イベント参加記念の小説です。
    ※誤字脱字など、チェックできていないので後で修正します。
    ※はるか昔の明治時代を駆け抜けた人たちに似たような登場人物が出てきますが、当て馬も浮気も一切ありません。100%安心安全の鯉月設計でお送りします。
    お誕生日おめでとう!!!
    酔いどれエイプリルフール慣れない苦味が喉を滑り落ちて、かっと腹の方からの熱が全身に広がる。もう既に頭は朦朧としていて、我ながら吐き出す息は酒臭く、鼻を摘まみたくなった。俺の鼻に摘まめるほどの高さがあればの話だが。鼻を摘まむ代わりにアテを少し摘まみ、再びジョッキをグイっとあおる。

    エイプリルフールの日に年甲斐も無く酔っぱらうことが、ここ数年間の月島の恒例行事となっている。


    三十路の大人がする飲み方じゃないのは分かっている。
    分かっているが、この日は正体が分からなくなるくらいに酔っぱらいたいのだ。だが、同時に、この日だけは酔いつぶれることなく、なるべく長い間、酔っぱらっていたい。酒の美味さだとか、種類ごとの味の違いだとか、俺にはさっぱり分からない。貧乏人の舌にそんなことは判別できないのか、俺が味音痴なのか。そもそも酒には嫌な思い出しか持たないから、味わおうとすらしていないのが正直なところだ。
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    suzumi_cuke

    DONE20230401祝月島誕。月島基軍曹殿、お誕生日おめでとうございます!
    祝い続けて3年目。誕生日のことはチラッとしか出てこないいつもの鯉月です。

    正直なこと言うと、潔く散るよりも泥臭く足掻いて足掻いて見苦しくても生き残る鯉月が好きなので、「桜か?」って言われると「いや…?」って気持ちもあるんですが綺麗なものを見て好きな人を思い出すのってなんかいいよね頭が春だねってことで許してください(言い訳)
    護花鈴の胸中 鯉登が陸軍大学校を卒業した翌年のことである。
     重要書類の受け渡しと諸々報告のため、遣いとして東京へ赴くこととなった鯉登は、定限も間近の部下、月島を連れ立って帝都へ来ていた。
     朝一番に仕事を速やかに終わらせ、半ば接待のような昼食を見事な作り笑いでやり過ごした二人は、受領した新たな書類を手に、三宅坂の参謀本部を早々に辞すことに成功した。
     解放感に満ちた足取りで昼下がりの暖かな陽の光の下を歩く。あとは北の地へ戻るだけだが、急いで戻るのも味気ない。駅までの道を遠回りすることで、二人は束の間、久しぶりの帝都を味わうことにした。
     なにせ、とてもよい季節なのだ。
    「こちらはもう桜が満開だな」
     あちら、つまり北海道では、ようやく残雪を気にせずに済み始めた頃だというのに、二人の眼の前では、宮城をぐるりと囲む淵に沿って、桜並木がその枝をのびのびと伸ばし、地面を覆うように淡紅色の花の雲が広がっていた。
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