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    酔っ払い

    雨野(あまの)

    MOURNING付き合ってないひふ幻。酔っ払い幻太郎が見たくて書いた。んー力不足。供養。シチュエーション被りとかもあるかもしれない。受が心を通じ合わせるのに戸惑う様子や一回拒否するシチュエーションが好きなのかも。この小説から他の小説にも引用するかも。
    ビジネスの話「おやおや、おばんです〜いらしてたんですね〜」
     この家の家主は引き戸を開けて中に入るといつもより間延びした声を出した。赤ら顔。とろんとした目。おまけに体から発せられるアルコール臭。てか、俺の家じゃないのに何故、俺が出迎えているんだ。深くため息を吐き出しながら「『いらしてたんですね〜』じゃなくてさ〜話聞かせてくれって呼んだの夢野センセじゃん」と彼を咎めた。
     俺と夢野幻太郎のこの妙な交流は三ヶ月前から始まった。新作の参考にしたいからホスト業のことを聞かせてくれ、と一二三と独歩の住むマンションに訪れたときは本当に驚いた。何しろ一二三は以前、幻太郎の服装のことに口を出し、逆鱗に触れてしまっていたからだ。激昂した相手に縋るほど困っているのか幻太郎は「以前のことは水に流すので協力してもらえませんか」と頭を下げてきたのだ。一二三はその依頼を快く引き受け、それから度々、夢野邸に呼び出されては仕事内容だったり、客とのやり取りだったりを彼に教えている。そして今日も例に漏れずに呼び出された……は良いが家に入って早々、「ちょっと野暮用がありまして……少しの間待ってていただけませんか?」と言って彼は出かけてしまったのだ。まあ今日は仕事も休みだし、何の予定もないし、少しの間なら……と思ったのが間違いだった。彼は一時間待っても二時間待っても帰って来なかった。その間も着信を入れたりメッセージを送ったりするものの一二三のスマートフォンは律儀に沈黙していた。
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    menhir_k

    TRAINING酔っ払い店長との帰り道
    もうシンプルに「道」とかでどうだ?(ゲシュ崩) なだらかな傾斜を降りていく。落下防止の柵の向こうは切り立った崖で、底が見えないほど深い。命を守るには心許ない劣化した柵を見るともなしに眺めやりながら、これでは足元の覚束ないうちの酔っ払いが転落死してしまう、とアッシュは思った。それから、肩越しに背後を見遣る。遅れてのろのろと歩いて来るムラビトの姿に、アッシュはソノーニ町を発ってからもう何度目になるか分からない溜め息を吐いた。
     町で一泊しよう。アッシュはソノーニ町で提案した。ムラビト一人では不測の事態に対応しきれないかも知れないが、アッシュが居れば半魔の身なりも上手いこと誤魔化してやれる。何より、こんな真夜中に慣れない酒で疲弊したムラビトを連れ帰るのは憚られた。だが、ムラビトは首を横に振った。マオも、魔物たちも心配している。早く帰って安心させてやりたい。そう主張して譲らなかった。変なところで頑固なこの子供が、一度こうと決めたら頑として譲らないことはアッシュ自身一番よく解っている。仕方なく折れて抱き上げようとしたらそれも断られたので、取り敢えず肩を貸して路地裏を出た。王都でムラビト達が借りたという小型通信水晶をアーサー名義で買い取れないか相談してみよう、とアッシュは思った。
    1995