酔っ払い
menhir_k
TRAINING酔っ払い店長との帰り道最終ターン!もうタイトルどうして良いか全然分からない 何度も浮かぶ疑問がある。戦場に薬を届ける馬車を降りしきる雨の中走らせた朝、父はムラビトを起こさなかった。そして帰って来なかった。何故、あの日に限って父はムラビトを起こしてくれなかったのだろう。いつもなら起こしてくれた。どんなに朝が早くても、どんなに遠くに行くときも、いつも一緒だった。小さな身体のムラビトが疲れ果てても、その逞しい背中に背負ってくれた。だのに、父が死んだあの日、父はムラビトを置いて行った。
何度も、何度も、浮かぶ疑問に死者が答えを返すことはない。これから向かう場所が戦場であるからだとか、迅速に物資を届ける為に危険な道を征かなくてはならないからだとか、遺された側はそんな曖昧な憶測で推し量るしかない。答えは永遠に得られない。ただ一つ判っていることは、ムラビトを背負ってくれた大きな背中と温もりが永遠に失われたという事実だけだ。
4927何度も、何度も、浮かぶ疑問に死者が答えを返すことはない。これから向かう場所が戦場であるからだとか、迅速に物資を届ける為に危険な道を征かなくてはならないからだとか、遺された側はそんな曖昧な憶測で推し量るしかない。答えは永遠に得られない。ただ一つ判っていることは、ムラビトを背負ってくれた大きな背中と温もりが永遠に失われたという事実だけだ。
藤原千郷
MOURNING酔っ払いが書くとこうなる豊前がゲーマー審神者を追い詰める話 根っからのゲーマーで、暇さえあればゲームをやっている。いや、審神者になってからはそうもいかなくなってしまったので、暇を作ってやっている。寝る間も惜しんでと言いたいけれど、寝ないとすぐにバレて怒られるし私だけじゃない命がかかってるから、寝る時間だけはなんとか確保している。
だから休みの日といえば、大広間で皆と対戦ゲームをしたり、自分とこの刀剣たちとマルチで遊んだりというのが常だ。歌仙なんかはいろいろと言いたげだけど、熱弁を振るって振るって振るったらとりあえずは目こぼししてくれるようになった。
さて最近は待ちに待ったオープンワールドゲームが本丸でも出来るようになったのでとみに自室にこもっている。最初の一週間くらいならみんな、執務さえしっかりやっていれば何も言わないでいてくれる。いてくれたのだ。
1792だから休みの日といえば、大広間で皆と対戦ゲームをしたり、自分とこの刀剣たちとマルチで遊んだりというのが常だ。歌仙なんかはいろいろと言いたげだけど、熱弁を振るって振るって振るったらとりあえずは目こぼししてくれるようになった。
さて最近は待ちに待ったオープンワールドゲームが本丸でも出来るようになったのでとみに自室にこもっている。最初の一週間くらいならみんな、執務さえしっかりやっていれば何も言わないでいてくれる。いてくれたのだ。
雨野(あまの)
MOURNING付き合ってないひふ幻。酔っ払い幻太郎が見たくて書いた。んー力不足。供養。シチュエーション被りとかもあるかもしれない。受が心を通じ合わせるのに戸惑う様子や一回拒否するシチュエーションが好きなのかも。この小説から他の小説にも引用するかも。ビジネスの話「おやおや、おばんです〜いらしてたんですね〜」
この家の家主は引き戸を開けて中に入るといつもより間延びした声を出した。赤ら顔。とろんとした目。おまけに体から発せられるアルコール臭。てか、俺の家じゃないのに何故、俺が出迎えているんだ。深くため息を吐き出しながら「『いらしてたんですね〜』じゃなくてさ〜話聞かせてくれって呼んだの夢野センセじゃん」と彼を咎めた。
俺と夢野幻太郎のこの妙な交流は三ヶ月前から始まった。新作の参考にしたいからホスト業のことを聞かせてくれ、と一二三と独歩の住むマンションに訪れたときは本当に驚いた。何しろ一二三は以前、幻太郎の服装のことに口を出し、逆鱗に触れてしまっていたからだ。激昂した相手に縋るほど困っているのか幻太郎は「以前のことは水に流すので協力してもらえませんか」と頭を下げてきたのだ。一二三はその依頼を快く引き受け、それから度々、夢野邸に呼び出されては仕事内容だったり、客とのやり取りだったりを彼に教えている。そして今日も例に漏れずに呼び出された……は良いが家に入って早々、「ちょっと野暮用がありまして……少しの間待ってていただけませんか?」と言って彼は出かけてしまったのだ。まあ今日は仕事も休みだし、何の予定もないし、少しの間なら……と思ったのが間違いだった。彼は一時間待っても二時間待っても帰って来なかった。その間も着信を入れたりメッセージを送ったりするものの一二三のスマートフォンは律儀に沈黙していた。
7732この家の家主は引き戸を開けて中に入るといつもより間延びした声を出した。赤ら顔。とろんとした目。おまけに体から発せられるアルコール臭。てか、俺の家じゃないのに何故、俺が出迎えているんだ。深くため息を吐き出しながら「『いらしてたんですね〜』じゃなくてさ〜話聞かせてくれって呼んだの夢野センセじゃん」と彼を咎めた。
俺と夢野幻太郎のこの妙な交流は三ヶ月前から始まった。新作の参考にしたいからホスト業のことを聞かせてくれ、と一二三と独歩の住むマンションに訪れたときは本当に驚いた。何しろ一二三は以前、幻太郎の服装のことに口を出し、逆鱗に触れてしまっていたからだ。激昂した相手に縋るほど困っているのか幻太郎は「以前のことは水に流すので協力してもらえませんか」と頭を下げてきたのだ。一二三はその依頼を快く引き受け、それから度々、夢野邸に呼び出されては仕事内容だったり、客とのやり取りだったりを彼に教えている。そして今日も例に漏れずに呼び出された……は良いが家に入って早々、「ちょっと野暮用がありまして……少しの間待ってていただけませんか?」と言って彼は出かけてしまったのだ。まあ今日は仕事も休みだし、何の予定もないし、少しの間なら……と思ったのが間違いだった。彼は一時間待っても二時間待っても帰って来なかった。その間も着信を入れたりメッセージを送ったりするものの一二三のスマートフォンは律儀に沈黙していた。
menhir_k
TRAINING酔っ払い店長との帰り道もうシンプルに「道」とかでどうだ?(ゲシュ崩) なだらかな傾斜を降りていく。落下防止の柵の向こうは切り立った崖で、底が見えないほど深い。命を守るには心許ない劣化した柵を見るともなしに眺めやりながら、これでは足元の覚束ないうちの酔っ払いが転落死してしまう、とアッシュは思った。それから、肩越しに背後を見遣る。遅れてのろのろと歩いて来るムラビトの姿に、アッシュはソノーニ町を発ってからもう何度目になるか分からない溜め息を吐いた。
町で一泊しよう。アッシュはソノーニ町で提案した。ムラビト一人では不測の事態に対応しきれないかも知れないが、アッシュが居れば半魔の身なりも上手いこと誤魔化してやれる。何より、こんな真夜中に慣れない酒で疲弊したムラビトを連れ帰るのは憚られた。だが、ムラビトは首を横に振った。マオも、魔物たちも心配している。早く帰って安心させてやりたい。そう主張して譲らなかった。変なところで頑固なこの子供が、一度こうと決めたら頑として譲らないことはアッシュ自身一番よく解っている。仕方なく折れて抱き上げようとしたらそれも断られたので、取り敢えず肩を貸して路地裏を出た。王都でムラビト達が借りたという小型通信水晶をアーサー名義で買い取れないか相談してみよう、とアッシュは思った。
1995町で一泊しよう。アッシュはソノーニ町で提案した。ムラビト一人では不測の事態に対応しきれないかも知れないが、アッシュが居れば半魔の身なりも上手いこと誤魔化してやれる。何より、こんな真夜中に慣れない酒で疲弊したムラビトを連れ帰るのは憚られた。だが、ムラビトは首を横に振った。マオも、魔物たちも心配している。早く帰って安心させてやりたい。そう主張して譲らなかった。変なところで頑固なこの子供が、一度こうと決めたら頑として譲らないことはアッシュ自身一番よく解っている。仕方なく折れて抱き上げようとしたらそれも断られたので、取り敢えず肩を貸して路地裏を出た。王都でムラビト達が借りたという小型通信水晶をアーサー名義で買い取れないか相談してみよう、とアッシュは思った。
mp_rursus
TRAINING酔っ払い店長編Night in gale 2 夢を視た。アッシュが死ぬ夢だ。
頭上には、夜の気配が色濃く残る朝ぼらけの空が拡がっている。ムラビトの頬をぬるい風が撫でた。老婆の手のように伸びた棕櫚の葉が、瞬く星々を掴もうとするかのように揺れている。太陽はまだ遠い。焦燥に立ち尽くすムラビトを誘うように、見慣れたすだち屋の扉が、ぎぃ、と蝶番を不快に軋ませる。まるで悲鳴のようだ、とムラビトは思った。誰の悲鳴なのか、それは分からない。
ムラビトの足取りは重く、覚束ない。心が前に進むことを拒絶しているのかも知れない。それでも一歩、一歩と足を繰り出し、ムラビトは扉に辿り着いた。風が舞い込み、一際大きく扉が開く。奥は見えない。何も見えない。住み慣れた筈の我が家の夢の映し身は、深く、冥い闇で充たされている。進みたくない。けれど行かなければならない。二律背反にムラビトは苛まれた。
16269頭上には、夜の気配が色濃く残る朝ぼらけの空が拡がっている。ムラビトの頬をぬるい風が撫でた。老婆の手のように伸びた棕櫚の葉が、瞬く星々を掴もうとするかのように揺れている。太陽はまだ遠い。焦燥に立ち尽くすムラビトを誘うように、見慣れたすだち屋の扉が、ぎぃ、と蝶番を不快に軋ませる。まるで悲鳴のようだ、とムラビトは思った。誰の悲鳴なのか、それは分からない。
ムラビトの足取りは重く、覚束ない。心が前に進むことを拒絶しているのかも知れない。それでも一歩、一歩と足を繰り出し、ムラビトは扉に辿り着いた。風が舞い込み、一際大きく扉が開く。奥は見えない。何も見えない。住み慣れた筈の我が家の夢の映し身は、深く、冥い闇で充たされている。進みたくない。けれど行かなければならない。二律背反にムラビトは苛まれた。
menhir_k
REHABILI酔っ払い店長を探せ大作戦タイトル…(悩) ソノーニ町に着いたアッシュは、最初に会合の場となった町で一番大きな道具屋へと向かうことにした。片田舎とはいえサイショ村とは比べるべくもない規模の集落は、夜の深さなどまるで意に介した様子もなく賑わっている。往来する人々の多さに、アッシュは静かに焦りを募らせた。
少し前に出張販売でソノーニ町に来たときのことを思い出す。あのときはムラビトとマオとアッシュの三人でこの町に足を運んだ。魔王を倒す旅の途中、サイショ村の次に立ち寄った町でもある。まさか宿敵だった魔王と共に訪れることになるとは人生何が起きるか分からない。そう感慨深く町並みを見渡した記憶が呼び起こされる。まぁ、雇用主探しに一人で来ることになるとも思ってなかったけど。慣れた足取りで酒場に向かう集団を避けて歩きながらアッシュは思った。こんなときでなければ一杯引っ掛けて帰るのに、とも思った。
3644少し前に出張販売でソノーニ町に来たときのことを思い出す。あのときはムラビトとマオとアッシュの三人でこの町に足を運んだ。魔王を倒す旅の途中、サイショ村の次に立ち寄った町でもある。まさか宿敵だった魔王と共に訪れることになるとは人生何が起きるか分からない。そう感慨深く町並みを見渡した記憶が呼び起こされる。まぁ、雇用主探しに一人で来ることになるとも思ってなかったけど。慣れた足取りで酒場に向かう集団を避けて歩きながらアッシュは思った。こんなときでなければ一杯引っ掛けて帰るのに、とも思った。
menhir_k
REHABILI酔っ払い店長を捜索する話タイトルどうしような 薄明の空に、紫色に焼けた雲がたなびいていた。主張し始めた星々の光を妨げることのないよう、細く痩せた月が控えめに閃く。一日の終わろうとする家並みを彩る小夜鳴き鳥の囀りに、面はゆい記憶を呼び起こされたアッシュはすだち屋へと続く道の途中で思わず足を止めた。いつも手伝ってくれるムラビトへの手土産にと渡されたカートの畑の野菜が重たく感じる。こめかみを抑えて、アッシュは深い溜め息を吐いた。
サイショ村の家々の窓に一つ、また一つと明かりが灯り、野菜を炒めるにおい、魚を焼くにおい、様々なスパイスの香りが漂ってくる。そのにおいにつられたのか、家路を急ぐ子供たちの甲高い声が響き渡った。扉の向こうに消える全ての小さな背中を見届けて歩みを再開する。子供たちを見ていたら、アッシュも早くすだち屋に帰りたくなったからだ。
2725サイショ村の家々の窓に一つ、また一つと明かりが灯り、野菜を炒めるにおい、魚を焼くにおい、様々なスパイスの香りが漂ってくる。そのにおいにつられたのか、家路を急ぐ子供たちの甲高い声が響き渡った。扉の向こうに消える全ての小さな背中を見届けて歩みを再開する。子供たちを見ていたら、アッシュも早くすだち屋に帰りたくなったからだ。
menhir_k
REHABILI酔っ払い店長迎えに行く勇者の話あとで考える 夢を視た。アッシュが死ぬ夢だ。
頭上には、夜の気配が色濃く残る朝ぼらけの空が拡がっている。ムラビトの頬をぬるい風が撫でた。老婆の手のように伸びた棕櫚の葉が、瞬く星々を掴もうとするかのように揺れている。太陽はまだ遠い。焦燥に立ち尽くすムラビトを誘うように、見慣れたすだち屋の扉が、ぎぃ、と蝶番を不快に軋ませる。まるで悲鳴のようだ、とムラビトは思った。誰の悲鳴なのか、それは分からない。
ムラビトの足取りは重く、覚束ない。心が前に進むことを拒絶しているのかも知れない。それでも一歩、一歩と足を繰り出し、ムラビトは扉に辿り着いた。風が舞い込み、一際大きく扉が開く。奥は見えない。何も見えない。住み慣れた筈の我が家の夢の映し身は、深く、冥い闇で充たされている。進みたくない。けれど行かなければならない。二律背反にムラビトは苛まれた。
2943頭上には、夜の気配が色濃く残る朝ぼらけの空が拡がっている。ムラビトの頬をぬるい風が撫でた。老婆の手のように伸びた棕櫚の葉が、瞬く星々を掴もうとするかのように揺れている。太陽はまだ遠い。焦燥に立ち尽くすムラビトを誘うように、見慣れたすだち屋の扉が、ぎぃ、と蝶番を不快に軋ませる。まるで悲鳴のようだ、とムラビトは思った。誰の悲鳴なのか、それは分からない。
ムラビトの足取りは重く、覚束ない。心が前に進むことを拒絶しているのかも知れない。それでも一歩、一歩と足を繰り出し、ムラビトは扉に辿り着いた。風が舞い込み、一際大きく扉が開く。奥は見えない。何も見えない。住み慣れた筈の我が家の夢の映し身は、深く、冥い闇で充たされている。進みたくない。けれど行かなければならない。二律背反にムラビトは苛まれた。
かこ🦍
DONE6/25開催 あまい雷鳴 JB2023 フェイジュニ新刊「のまぬはいわぬ、いわぬはよわぬ。」ウェブオンリーで展示した酔っ払いラブコメまんがの再録本です。本編はそのまま、おまけのエピローグを全項加筆修正しています。 40
maybe_MARRON
MOURNING左馬一酔っ払いのしょうもない会話が好きなのでさらっと読んでもらえたらと思います
年に一度の日ではありませんので カチャリとドアが開く音がして、家主が帰ってきたことに一郎は心底驚いた。
「……おかえり?」
「……ただいま?」
左馬刻も左馬刻で、なんでいるんだと驚きを隠そうともしない。互いにぱちくちと瞬きを繰り返し、ひとまずソファへと腰を落ち着けた。
MTCの三人で集まる時は、時と場合によるがわりとがっつり飲んでくることが多い。そうでなくとも、そもそも開始が遅いためか日付を跨ぐことがほとんどだ。理鶯のベースキャンプの場合は車で移動することもあり飲まずに帰ってくるのだが、しかし今日は銃兎の家で飲んでくると言っていた。どうせ遅くなるだろうと思っていたのだが、どうやら予想は外れたらしい。まだ二十二時。顔を見る限りだいぶ飲んできたようだが、それでも無理やり帰ってきたような、そんな印象だった。
1749「……おかえり?」
「……ただいま?」
左馬刻も左馬刻で、なんでいるんだと驚きを隠そうともしない。互いにぱちくちと瞬きを繰り返し、ひとまずソファへと腰を落ち着けた。
MTCの三人で集まる時は、時と場合によるがわりとがっつり飲んでくることが多い。そうでなくとも、そもそも開始が遅いためか日付を跨ぐことがほとんどだ。理鶯のベースキャンプの場合は車で移動することもあり飲まずに帰ってくるのだが、しかし今日は銃兎の家で飲んでくると言っていた。どうせ遅くなるだろうと思っていたのだが、どうやら予想は外れたらしい。まだ二十二時。顔を見る限りだいぶ飲んできたようだが、それでも無理やり帰ってきたような、そんな印象だった。