noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] パイロットAU。風信機長とのクリスマスフライトが叶わず、一人、家で寂しく過ごしている南風だったが……?きよしこのよる はあ……
南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
3354南風は自室のベッドにごろりと転がり、今日何度目かの大きな溜息をついた。
なんてつまらないクリスマスなんだ。
ちらりと時計を見る。味気ないクリスマスの日ももう終わろうとしている。
「クリスマスにオフなんて、彼女とデートでもすればいいじゃないか」そう言って小突いてきた年配の機長には苦笑いで返すしかなかったが、本当は言い返したかった。
彼女なんていませんよ。女性に興味ないですし。なんで若いっていうだけで、クリスマスには誰かとデートっていう発想になるんですか?
もちろん、そんなこと一文字だって言えないのだが。
自分がクリスマスを誰かと一緒に過ごすなら—。
その人は、いま、まさにクリスマス本場の国にいる。
noa/ノア
DONE[風南✈] アンソロ寄稿作品。パイロットAU。二人のただならぬ場面(※誤解)を目撃してしまう、南陽航空の若いモブパイロット君がいます。
南風受のつもりですが、なってなかったらすみません。。
⚠️健全ですが、一応大人の方を想定しています。
※アンソロ限定公開期間終了の2025年2月1日よりパスワードなしで公開しています※
若きパイロットの困惑 空港内にある南陽航空の社内エリア。パイロットたちが行き交う廊下も、時間帯によっては人が少ない。しんと静かな無機質な廊下に、二人の人影が佇んでいた。
「南風、どうしてなんだ」
「別に……やっぱりやめようと思っただけです」
南風は下を向いて、とん、と背を廊下の壁に預けた。いつになく拗ねた表情の南風に、前に立つ風信は、腕を組んだまま首を傾げる。
「だが、あんなにやる気だっただろう? 受けてみればいいじゃないか」
「簡単に言わないでください、機長。やっぱりあの試験は俺にはまだ早いです」
南風は俯いたまま溜息をつく。「自信がないだけです。どうぞ、笑ってください」
失礼します、と言って去ろうとした南風は、その途端、頭の横に衝撃を感じて固まった。
3200「南風、どうしてなんだ」
「別に……やっぱりやめようと思っただけです」
南風は下を向いて、とん、と背を廊下の壁に預けた。いつになく拗ねた表情の南風に、前に立つ風信は、腕を組んだまま首を傾げる。
「だが、あんなにやる気だっただろう? 受けてみればいいじゃないか」
「簡単に言わないでください、機長。やっぱりあの試験は俺にはまだ早いです」
南風は俯いたまま溜息をつく。「自信がないだけです。どうぞ、笑ってください」
失礼します、と言って去ろうとした南風は、その途端、頭の横に衝撃を感じて固まった。
noa/ノア
DONE[南風&扶揺✈️] ある日の南扶ちゃんたち。扶揺に呼び出された南風が渡されたモノとは…?
『今週水曜までで会える日は?』
画面に表示されたメッセージの通知。送り主の名前を見なくても誰からかわかる。南風は、小さく溜息をつきながらスマホを手に取り、『ない』と短く返す。厳密にいえばないわけでもないが、そう返すのは癪だった。今日はもう月曜日。いつもながら、こちらの予定などお構いなしだ。こっちだって忙しく飛び回るパイロットなのだ。
すぐに返事が返ってくる。
『木曜は?』
なにやら随分急ぎらしい。手元のカップが空になっていることに気づき、新しくコーヒーを淹れてきてから、ゆっくりと返す。『朝八時。そのあとフライトだから』
向こうでメッセージを打っているらしく、しばらく画面にドットが跳ねる。
『九時。お前のフライト午後からだろ? すぐ済む。じゃあいつもの空港のカフェで』
2349画面に表示されたメッセージの通知。送り主の名前を見なくても誰からかわかる。南風は、小さく溜息をつきながらスマホを手に取り、『ない』と短く返す。厳密にいえばないわけでもないが、そう返すのは癪だった。今日はもう月曜日。いつもながら、こちらの予定などお構いなしだ。こっちだって忙しく飛び回るパイロットなのだ。
すぐに返事が返ってくる。
『木曜は?』
なにやら随分急ぎらしい。手元のカップが空になっていることに気づき、新しくコーヒーを淹れてきてから、ゆっくりと返す。『朝八時。そのあとフライトだから』
向こうでメッセージを打っているらしく、しばらく画面にドットが跳ねる。
『九時。お前のフライト午後からだろ? すぐ済む。じゃあいつもの空港のカフェで』
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 忘年会で酔っぱらった事故💋風南つづき。泥酔して寝落ちた南風の面倒をみながら、いろいろ考えてしまう風信さんがいます。(健全)
いったいどうすればいいんだ。
ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
4585ホテルを出たところで風信は深いため息をついた。その肩には、可愛いコーパイの重みがずっしりと乗っている。
完全にもらい事故という状況に巻き込まれた風信をよそに、事故を起こした本人は、酔いがまわって気持ちよく寝落ちた。なんとか完全に寝てしまってはいないらしく、お開きになって会場を後にする時には、風信が肩を貸せば一応自分の足で歩いてはくれたが、一人で電車で帰るのは到底無理だろう。タクシーに突っ込もうかと思ったが、ホテル前のタクシーの列は長く、上司の面々が済むまでにまだ随分かかりそうだった。
まあそれでも待つほかないか、と歩き出したところで、肩から声がした。「きちょう……」
noa/ノア
DONE[風信&南風✈] 南陽航空の忘年会で酔っぱらって事故る南風💋めずらしく酔っぱらってふにゃふにゃの風信さん大好き南風がいます。
広い店内に、熱気と笑い声が満ち溢れている。
南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
2958南陽航空の系列ホテルのバーを貸切っての忘年会。毎年代わり映えしないのだが、仕事以外でめったに集まることのない、パイロットに客室乗務員から地上クルーまでが集まるこの機会は大いに盛り上がる。
いつもは緊張を強いられる毎日。だが切り替え上手な者ばかりな分、羽目を外す時にはしっかり外すのがお決まりだ。
「南風、お前やってみろよ」
テーブルを囲むソファ席では、若手のパイロット達がはしゃいでいる。その真ん中ですでに頬を赤く染めている南風が、グラスをテーブルに置き、一つ咳払いをすると、もったいぶった様子で操縦桿を握る真似をすると、ぐっと眉間に皺を寄せる。
「南陽エアー099、スタンバイ・フォー・テイクオフ。……クソっ、玄真航空さっさとどけ!」
terahara_2ji
DONE2024年9月19日花怜現代AU
「お口なおしは、くちづけで」
日常の中でデートする花怜の現代AUのSSです。くちづけしながら日常会話をする花怜が書きたかったよー!!!(全7P)
勢いで書いたゆえにいろいろ足りないので脳内で妄想していただきたい他力本願。ただ、😘しながら他愛もない会話する花怜、あたしが読みたい
#天官賜福
#花怜
#TGCF 7
noa/ノア
DONE[FengQing ✈️] パイロットAU、機体のトラブルの回のその後。今回はフォンチン。 星が瞬く澄んだ空を吹き抜ける風が、風信のコートの襟を揺らす。だが風信は手すりに腕を置いてもたれかかったまま、風が弄ぶのに任せていた。
空港にはいくつか展望デッキがあるが、もっぱら人気なのはやはり滑走路が見えるところだ。反対側の街が見えるだけのこのデッキは、特にこの時間だともう誰もいない。
外の空気を吸いたかったが、滑走路を見る気分には到底ならない。
大きく溜息をついて腕に顔を埋める。
故障した前輪が滑走路の摩擦に耐えかね、機体の鼻先がガクンと落ちた時の衝撃を思い出し、体が不意に縮こまる。
そうか、俺は怖かったのか。
今やっと、そのことに気づく。
安全に止めるためにやるべきことで頭は一杯で、その時は本当に恐怖など感じなかった。体に伝わる全ては、心に行くのではなく、頭で処理されていた。それに、怯えているだろう副操縦士の横で、動揺など顔に出すわけにはいかない。
2263空港にはいくつか展望デッキがあるが、もっぱら人気なのはやはり滑走路が見えるところだ。反対側の街が見えるだけのこのデッキは、特にこの時間だともう誰もいない。
外の空気を吸いたかったが、滑走路を見る気分には到底ならない。
大きく溜息をついて腕に顔を埋める。
故障した前輪が滑走路の摩擦に耐えかね、機体の鼻先がガクンと落ちた時の衝撃を思い出し、体が不意に縮こまる。
そうか、俺は怖かったのか。
今やっと、そのことに気づく。
安全に止めるためにやるべきことで頭は一杯で、その時は本当に恐怖など感じなかった。体に伝わる全ては、心に行くのではなく、頭で処理されていた。それに、怯えているだろう副操縦士の横で、動揺など顔に出すわけにはいかない。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️] XにあげたパイロットAU。着陸直前に機体トラブルに見舞われた二人。神がいるなら「だめだな、こりゃ」
風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
1973風信の声に、南風はごくりと小さく喉を上下させた。
目的地の上空まで来て、すでに数十分がたっている。本来ならもう着陸しているはずだった。だが、二人の視線の先では、着陸のための前輪の異常を示す赤いランプが点滅している。風信が何度も操作をやり直してみたが同じだった。おそらく表示の異常ではない。
車輪に異常があれば、着陸の衝撃で破壊され胴体着陸になる可能性も低くはない。南風は胸が冷たくなるのを感じた。
「だが、異常は前だけだ。後ろの二つは異常ないからこのまま着陸する」
まあ何とかなるだろう、と言う風信の声はカラリと楽観的で、だが南風には、それが自分に不安を与えないためのものだとわかっていた。おそらくその頭の中では、あらゆる情報を正確に分析して、素早く計算をしているはずだ。南風も、それを正しくなぞっていることを祈りながら自分も頭を回転させる。
noa/ノア
DONE[風信&南風✈️]1129「いい肉の日」ということで、肉を食べに行く風南パイロットAUです。パイロット業界事情も、あちらの肉料理も、捏造と妄想100%なので悪しからず…。
いい肉の日「すみませんでした……」
クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
4402クリップボードにペンを走らせながら、風信は隣で項垂れる南風にちらりと目をやった。しんと静まり返った操縦席。たまに遠くの滑走路のエンジン音が聞こえてくる。
「別に謝る必要はない」
「でも……弱気になってしまって」
初めて着陸を任される時は、誰しも緊張するものだ。
天気の変わりやすい地の空港で、雨と若干の横風という理想的とは言えない状況。着陸体勢に入ったところで、大丈夫かと聞かれた南風は操縦桿を握りながら思わず首を振ってしまった。
「途中で投げ出すなんて、パイロット失格だ」
「誰でも初めは怖いものだ。無茶をするよりよっぽどいい」
だが、南風の首は垂れたままだ。
「俺の初めての時なんて──」風信が胸ポケットにペンをしまう。「車輪が出なかった」
noa/ノア
DOODLE1128のかわいい扶揺の日、ということで、即席でかいてみた慕扶。可愛い存在 部下の神官を可愛いと思うのは間違っているだろうか。
両袖に入れた腕を組みながら、慕情は小さく頭を振った。
おかしいに決まっている。何を考えているのだ。
だが、頭の中でもう一人の自分が、ふんと笑う。自分を騙してなんになる、と。
扶揺。自分より年若い神官。
新しい技を習得した時に顔を輝かせて真っ先に披露しに来る姿。南風を揶揄ってやった話を楽しそうにする姿。そんな彼に、思わず自分の頬も、出来立ての饅頭のように緩んでいる。
――そして気づいたのだ。
これは何かを「可愛い」と思う感情なのではないかと。
数百年生きてきて、自分は、何かをこんなに可愛いと思ったことがあっただろうか。
能力が高く、覚えも早い彼を、可愛がっていたのは確かだ。
1105両袖に入れた腕を組みながら、慕情は小さく頭を振った。
おかしいに決まっている。何を考えているのだ。
だが、頭の中でもう一人の自分が、ふんと笑う。自分を騙してなんになる、と。
扶揺。自分より年若い神官。
新しい技を習得した時に顔を輝かせて真っ先に披露しに来る姿。南風を揶揄ってやった話を楽しそうにする姿。そんな彼に、思わず自分の頬も、出来立ての饅頭のように緩んでいる。
――そして気づいたのだ。
これは何かを「可愛い」と思う感情なのではないかと。
数百年生きてきて、自分は、何かをこんなに可愛いと思ったことがあっただろうか。
能力が高く、覚えも早い彼を、可愛がっていたのは確かだ。
noa/ノア
DOODLE[風信&南風、慕情&扶揺✈️] 1122がワンワンニャアニャアの日ということで書いた、南陽航空の二人と玄真航空の二人が偶発的ダブルデート(?)でアフタヌーンティーする話です。犬も歩けば猫に出会う「俺……もう、だめです……」
「が、頑張れ、南風……! おい、見ろ! 助かったぞ!」
有能なパイロット二人とは思えぬ足取りで、風信と南風がよろよろと這うように歩いているのは、寒風吹きすさぶ山奥の雪原――ではなく、古めかしい石造りの建物が立ち並ぶ石畳の通りだ。――寒風は吹きすさんでいるが。
古い旧市街は、よそ者を嘲笑うかのように曲がりくねった道と複雑な交差路が張り巡らされている。夜のフライトまで時間があった二人は、この見知らぬ街で買い物にでも行こうと軽い気持ちで繰り出した。だが、朝から歩き続けているのに、目指していた店は一向に見つからない。中心部を外れると、何か食べる店すら見つからず、もうとうにランチの時間も過ぎている。
3294「が、頑張れ、南風……! おい、見ろ! 助かったぞ!」
有能なパイロット二人とは思えぬ足取りで、風信と南風がよろよろと這うように歩いているのは、寒風吹きすさぶ山奥の雪原――ではなく、古めかしい石造りの建物が立ち並ぶ石畳の通りだ。――寒風は吹きすさんでいるが。
古い旧市街は、よそ者を嘲笑うかのように曲がりくねった道と複雑な交差路が張り巡らされている。夜のフライトまで時間があった二人は、この見知らぬ街で買い物にでも行こうと軽い気持ちで繰り出した。だが、朝から歩き続けているのに、目指していた店は一向に見つからない。中心部を外れると、何か食べる店すら見つからず、もうとうにランチの時間も過ぎている。
noa/ノア
DOODLE扇子を持っている新ビジュアルに盛り上がってしまい、勢いで書いてしまいました。一応、6人全員います。
「ねえ、なんでこいつらまで一緒なんだ?」
「ふん、それはこっちのセリフだ」
片目にありったけの軽蔑を込めた視線に、南陽将軍はぐっと腕を組んで絶境鬼王を睨み返す。
「こっちはそちらほど暇ではないのに来てあげたんですがね」
その横で、こちらはどことなく余裕を漂わせながら腕を組む玄真将軍が肩をすくめる。
「なんでも、私たちの信徒が意外といるらしいので。お前と太子殿下だけではそろそろ売上も頭打ちということじゃないか?」
ふふんと笑う玄真将軍に、花城のほうも負けじと鼻を鳴らす。
「お前たちみたいな廃物がいないほうが売上はあがると思うが?」
煙が上がりそうなほどに火花を散らし合う彼らに、まあまあと太子殿下がとりなしに入る。
2371「ふん、それはこっちのセリフだ」
片目にありったけの軽蔑を込めた視線に、南陽将軍はぐっと腕を組んで絶境鬼王を睨み返す。
「こっちはそちらほど暇ではないのに来てあげたんですがね」
その横で、こちらはどことなく余裕を漂わせながら腕を組む玄真将軍が肩をすくめる。
「なんでも、私たちの信徒が意外といるらしいので。お前と太子殿下だけではそろそろ売上も頭打ちということじゃないか?」
ふふんと笑う玄真将軍に、花城のほうも負けじと鼻を鳴らす。
「お前たちみたいな廃物がいないほうが売上はあがると思うが?」
煙が上がりそうなほどに火花を散らし合う彼らに、まあまあと太子殿下がとりなしに入る。
noa/ノア
DOODLE[Fengqing] 1111の日なので、ポッキーゲーム(らしきもの)をする风情。よくわかっていない武神二人がポリポリしてるだけ。
(よくわかってる武神も約一名いますが)
#Fengqing
1111の日「つまり……」
腕組みをした慕情が、厳かな顔で口を開いた。
「この細長い菓子を両端から同時に二人で食べる遊戯、とそういうことか?」
「あ、ああ」風信が頷く。
「……やってみるか」
「……そうだな」
数百年も生きていると、目新しいことというのはなかなか巡り会えない。向かい合いながら、不思議と二人とも「やってみても良いかもしれない」という気になったのだ――俗に「魔が差した」とも言うが。
「だがしかし」
慕情がチョコレートのかかった長細い一本を袋から取り出す。慕情の長い指に弄ばれていると、それはまるでスーパーの駄菓子ではなく、貴人の髪を結う櫛のように見えるから不思議だ。
「いくらお前の口がでかいといっても、この長いものの両端をいちどきに口に含むのは容易ではないのではないか?」
2288腕組みをした慕情が、厳かな顔で口を開いた。
「この細長い菓子を両端から同時に二人で食べる遊戯、とそういうことか?」
「あ、ああ」風信が頷く。
「……やってみるか」
「……そうだな」
数百年も生きていると、目新しいことというのはなかなか巡り会えない。向かい合いながら、不思議と二人とも「やってみても良いかもしれない」という気になったのだ――俗に「魔が差した」とも言うが。
「だがしかし」
慕情がチョコレートのかかった長細い一本を袋から取り出す。慕情の長い指に弄ばれていると、それはまるでスーパーの駄菓子ではなく、貴人の髪を結う櫛のように見えるから不思議だ。
「いくらお前の口がでかいといっても、この長いものの両端をいちどきに口に含むのは容易ではないのではないか?」
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MAIKINGX相互·雪さんのお話(https://x.com/yukigafutteruyo/status/1854816266617602171?t=SnrnXz61AfN6H9Nr-3Y0iw&s=19)の一場面のラフ正座花城🦊あざとカワイイ反省スタイル
noa/ノア
DOODLE[風信&南風✈️]いい…ぱいの日と聞いたので、パイロット風信&南風が🍎パイを食べるだけの現代AU。……あ、そのパイじゃない?
とりあえず、ぱいがいっぱい出てきます。
ぱいがいっぱい それにしても、キツいフライトだった。
降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
2269降り注ぐシャワーの湯を浴びながら、風信はため息をついた。
数時間のフライトなのに、予想外の天候変化に乱気流に捕まること二回。ご丁寧に着陸間際にバードストライクまで。
だが、それほど機体も揺らさず、事故にもならず、安全にフライトをこなした自分を褒めたい。安全牌を適切に選んで無難に平穏なフライトをこなすのがどんなに難しいことか。だが、何事もなければ、何も起きなかったことを感謝されたりはしないのだ。事故を切り抜ければ英雄扱いされるのに、なんていう考えが頭をよぎることがあるなんて絶対に言えないが。
降りる乗客達は感謝こそしないが、忌々しげにちらりと見ていく乗客はいる。乱気流は俺のせいじゃない、と言いたい心をぐっと堪えるほかない。
noa/ノア
DOODLE妖魔慕情のいるフォンチンSSいちおうハロウィン風味。
仙楽妖魔むーちんにやられて、即興で書きました。
あの日の妖魔 ここはどこだろう。
ぼんやりとしていた視界が次第にはっきりとしてくる。慕情は目を瞬いた。
少し薄暗い室内に、窓から差し込む光。その窓の外には大きな楓が風に葉を揺らしている。
何百年もの時を隔てても忘れることのない部屋。殿下につき従っていたころの控えの間。
「懐かしいな」
不意に後ろから声が聞こえて慕情はさっと振り返る。この部屋の思い出とともにあったといっても差支えないであろう人物――。
「風信、いったい――」
だがそこで慕情の言葉が途切れた。その視線が自らに落ちる。
その身を包んでいるのは、いつもの自分の衣ではなかった。
烏が如き真っ黒な布地。腕の袖口を縛るのは濃い緑色の布。同じ色の帯が腰を囲み、その下には鎖のような装飾が弧を描く。
2130ぼんやりとしていた視界が次第にはっきりとしてくる。慕情は目を瞬いた。
少し薄暗い室内に、窓から差し込む光。その窓の外には大きな楓が風に葉を揺らしている。
何百年もの時を隔てても忘れることのない部屋。殿下につき従っていたころの控えの間。
「懐かしいな」
不意に後ろから声が聞こえて慕情はさっと振り返る。この部屋の思い出とともにあったといっても差支えないであろう人物――。
「風信、いったい――」
だがそこで慕情の言葉が途切れた。その視線が自らに落ちる。
その身を包んでいるのは、いつもの自分の衣ではなかった。
烏が如き真っ黒な布地。腕の袖口を縛るのは濃い緑色の布。同じ色の帯が腰を囲み、その下には鎖のような装飾が弧を描く。
noa/ノア
DONE[風信&南風] 南風の傷の手当をしながら話をする風信と南風。(カプなし)具体的な未邦訳ネタバレはないですが、過去編に思いを馳せながら書いてます。
風信と南風「待て、南風」
報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」
3149報告を済ませて部屋を出て行こうとしていた南風の背が、風信の声にぎくりと固まる。
「腕をどうした」
「いえ、何も……たいしたことじゃありません」
南風は振り返りながら腕にさっと手をやった。
南風の左側の二の腕、ちょうど中衣の短い袖に隠れるあたりだったが、机の前に座っていた風信の位置からはそこの衣が裂け血が滲んでいるのが見えた。
「座りなさい」
風信が言うと南風は眉間に皺を寄せ、小さく首を振った。
「大丈夫です。医官にでもみてもらいますので」
「たいしたことないんじゃなかったのか?」
風信が小さく笑うと、南風は眉間の皺をさらに深くしながらも、のろのろと戻ってきて座った。
「あの、本当に大丈夫ですから」
noa/ノア
DONE[FengQing] 中秋の満月の光のもと、初めて口づけを交わす風信と慕情。月の雫 これほど月の光が似合う顔を、風信は他に知らない。
窓から差し込む満月の光が、目の前の白い肌を照らす。そのすらりとした鼻梁、細いが意志の強い眉、そして、長く密度のある睫毛が縁どる双眸。
陽の光より冷たく淡い光が、それらに遠慮がちな陰影をつくる。どんな神像でも叶わないその美しさに溜息をつきたくなる。
だが、二人の間の空気は弓の弦のように張り詰めていた。
微かな息が掠めるほど顔を近づけ合って、二人がすることと言えば、いつものように舌戦を繰り広げるか、それとも――。
おそらく前者ではないとわかっていながらも、風信は身を固くすることしかできない。
何故なら――
他人と唇をくっつけるなんて気色の悪い――そう言い捨てた目の前の人物に思い切り跳ね除けられ、壁にヒビが入るほど背をぶつけて痛い思いをしたのは記憶に新しいからだ。
4404窓から差し込む満月の光が、目の前の白い肌を照らす。そのすらりとした鼻梁、細いが意志の強い眉、そして、長く密度のある睫毛が縁どる双眸。
陽の光より冷たく淡い光が、それらに遠慮がちな陰影をつくる。どんな神像でも叶わないその美しさに溜息をつきたくなる。
だが、二人の間の空気は弓の弦のように張り詰めていた。
微かな息が掠めるほど顔を近づけ合って、二人がすることと言えば、いつものように舌戦を繰り広げるか、それとも――。
おそらく前者ではないとわかっていながらも、風信は身を固くすることしかできない。
何故なら――
他人と唇をくっつけるなんて気色の悪い――そう言い捨てた目の前の人物に思い切り跳ね除けられ、壁にヒビが入るほど背をぶつけて痛い思いをしたのは記憶に新しいからだ。
noa/ノア
DONE[FengQing] 69さんの「風信ぬいを丁寧に揉み洗いして逆さづりで干す慕情」を書かせていただきました。揉まれて干されて「なんだあれは?」
任務を終えて村はずれの街道を歩いていた慕情は、道端に何か落ちていることに気づいて足を止めた。
「人形?」
拾い上げたそれは、布で作られていて、丸っこい頭に、頭と同じくらいの高さの小さな体がついている。慕情は手の中のそれをまじまじと見つめた。その姿にどことなく見覚えがあったからだ。
「……風信?」
ぐっと引き結んだ口。くりっと大きな目と太めの眉。衣装もちゃんと風信の茶色の着物に赤い胸当てと、見慣れた姿をしている。
だれかの落とし物だろうか。だが、すでにそこに持ち主の気は感じられない。泥や砂ぼこりで汚れた見た目からしても、随分長いことそこに打ち捨てられていたのだろう。よく見ると、荷車にでもひかれたのか片脚がつぶれ黒く汚れている。
2297任務を終えて村はずれの街道を歩いていた慕情は、道端に何か落ちていることに気づいて足を止めた。
「人形?」
拾い上げたそれは、布で作られていて、丸っこい頭に、頭と同じくらいの高さの小さな体がついている。慕情は手の中のそれをまじまじと見つめた。その姿にどことなく見覚えがあったからだ。
「……風信?」
ぐっと引き結んだ口。くりっと大きな目と太めの眉。衣装もちゃんと風信の茶色の着物に赤い胸当てと、見慣れた姿をしている。
だれかの落とし物だろうか。だが、すでにそこに持ち主の気は感じられない。泥や砂ぼこりで汚れた見た目からしても、随分長いことそこに打ち捨てられていたのだろう。よく見ると、荷車にでもひかれたのか片脚がつぶれ黒く汚れている。
noa/ノア
DONE[FengQing]Twitter/Xに上げてたやつ。謝憐にお薬を渡す時の慕情の「ん−っ」が良いという話になったので、色々なシーンを妄想してみた落書き。
文字では上手く表現出来なかったので、各自アニメむーちんの声で再生して下さい🙏
愛しき唸り声 静かなのに横柄なその足音が近づいて来たかと思うと、がらりと風信の執務部屋の扉が開いた。
「慕情、なんの用……」
「ンっ」
顔を上げた途端に、鼻先に巻紙を突きつけられ、風信は思わず顔を引きながら受け取る。
「この間の件の報告書だ。大筋はまとめておいたから、お前の方で書き足して提出しろ」
腕組みをし、窓の外を見ながら慕情が言う。
「もう出来たのか」
「お前に任せたら三百年はかかるからな」
当てつけがましい言葉は無視し、風信は巻紙を机に置いた。
「ああ、そういえばさっき殿下から受け取ったんだが、お前と分けろと……」
机の上の雑多な山をかき分け、箱を取り出す。
「何だそれは?」
慕情が警戒心もあらわに聞く。
「知らん。俺もまだ開けてない」
2124「慕情、なんの用……」
「ンっ」
顔を上げた途端に、鼻先に巻紙を突きつけられ、風信は思わず顔を引きながら受け取る。
「この間の件の報告書だ。大筋はまとめておいたから、お前の方で書き足して提出しろ」
腕組みをし、窓の外を見ながら慕情が言う。
「もう出来たのか」
「お前に任せたら三百年はかかるからな」
当てつけがましい言葉は無視し、風信は巻紙を机に置いた。
「ああ、そういえばさっき殿下から受け取ったんだが、お前と分けろと……」
机の上の雑多な山をかき分け、箱を取り出す。
「何だそれは?」
慕情が警戒心もあらわに聞く。
「知らん。俺もまだ開けてない」
ryo-t
DOODLE【香炉の夢】2024.9.3.⚠️殿下の女相あり⚠️花城の幼児姿あり⚠️全年齢向け
人を癒す不思議な香炉。
三郎の夢に迷い込んだ謝憐が見たものは?
私の見た幻覚なので、たまたまお好みに合えば幸いです。
とりあえずアップします。今後微調整があるかと思います。
感想いただけたら大変励みになります😊 23
noa/ノア
DONE[FengQing]神官が下界で暮らすようになった世界のFengQing現代AU。※未邦訳ネタバレなし
(未邦訳部分まだ全部読み終わっていないので、似たような展開があったらすみません)
神は何処に「それ、全部食べるのか?」
隣から投げかけられた玄真将軍の氷のように冷たい視線から護るように、風信はハンバーガーとポテトののったトレーを腕で引き寄せた。
「悪いか? 腹が減ったんだ。あんなに歩いたから」
風信のいつもの服装をみかねた慕情に街へ連れ出されて歩くこと数時間。
店から店へ、あっちの売り場からこっちの売り場へ。
風信も店に服を買いに行ったこともあるが、あまりに多すぎて何がなんだかわからなくなり、何も買わずに疲労だけ持って帰るのが常だった。
物心ついてからこれまでずっと、与えられた服、決まった数着を着ていればよかったのに。
だから慕情が見繕ってくれるとなって風信の心は踊ったが、しかしそれは思った以上にハードだった。
2915隣から投げかけられた玄真将軍の氷のように冷たい視線から護るように、風信はハンバーガーとポテトののったトレーを腕で引き寄せた。
「悪いか? 腹が減ったんだ。あんなに歩いたから」
風信のいつもの服装をみかねた慕情に街へ連れ出されて歩くこと数時間。
店から店へ、あっちの売り場からこっちの売り場へ。
風信も店に服を買いに行ったこともあるが、あまりに多すぎて何がなんだかわからなくなり、何も買わずに疲労だけ持って帰るのが常だった。
物心ついてからこれまでずっと、与えられた服、決まった数着を着ていればよかったのに。
だから慕情が見繕ってくれるとなって風信の心は踊ったが、しかしそれは思った以上にハードだった。
noa/ノア
DONE[FengQing]FengQingWeek2024のDay2のお題「Body Swap(入れ替わり)」を使わせていただきました。その術を使って同時に法力を交換すると、相手の能力も得られる、という術を試してみる二人です。
※ご都合主義と捏造満載です。
Body Swap「で、なんで俺たちなんだ?」
怪訝な顔をする風信に、慕情も不満げな表情を隠さない。
「帝君曰く、この術は力が強く法力も強い武神で試さないといけないらしい」
「それなら他にもいるだろ。裴将軍とか泰華殿下とか……」
「知らん! 帝君曰く、大体同じくらいの力で、その……気心が知れてる者同士がいいらしい」
後半部分に関して、帝君の認識ににわかに不安を抱いた風信は眉尻を下げた。
「き、危険はないんだろうな……?」
「私に聞くな! 帝君曰く……」不本意さを強調するかのように慕情は三たび繰り返す。「おそらくそれ程危険な事態にはならないだろうと」
「おそらく……それほど?」
「なんだその情けない顔は。とりあえず命令だ。さっさと片付けるぞ」
4273怪訝な顔をする風信に、慕情も不満げな表情を隠さない。
「帝君曰く、この術は力が強く法力も強い武神で試さないといけないらしい」
「それなら他にもいるだろ。裴将軍とか泰華殿下とか……」
「知らん! 帝君曰く、大体同じくらいの力で、その……気心が知れてる者同士がいいらしい」
後半部分に関して、帝君の認識ににわかに不安を抱いた風信は眉尻を下げた。
「き、危険はないんだろうな……?」
「私に聞くな! 帝君曰く……」不本意さを強調するかのように慕情は三たび繰り返す。「おそらくそれ程危険な事態にはならないだろうと」
「おそらく……それほど?」
「なんだその情けない顔は。とりあえず命令だ。さっさと片付けるぞ」