オサハタ
DOODLEhttps://poipiku.com/275708/6012931.htmlの前日譚。
先の未来のプロポーズのはなし。
家族(another side) 先輩は、よく先の話をする。
明日、来週、次の季節、来年、そして、いつかという見えないところまで。
その度に僕は、できたら、とか、そうなるといいですね、とか、返してきた。
そうすると先輩は、張り合いがないな、と肩を竦めていた。
だって分からないじゃないか、先のことなんて。
いつまでもふたりでこうしていられるとは限らない、出会いがあれば別れもある、こんな仕事でいつどうなるかも知れやしない。だから期待し過ぎないようにしないと、って、そういう僕なりの気の持ち方なんですよって、話したことも何度かある。
そうすると、先輩は今度は、何にも言わずに苦しそうに、少しだけ、目を細くしていた。
それから経たかなりの年月。
1869明日、来週、次の季節、来年、そして、いつかという見えないところまで。
その度に僕は、できたら、とか、そうなるといいですね、とか、返してきた。
そうすると先輩は、張り合いがないな、と肩を竦めていた。
だって分からないじゃないか、先のことなんて。
いつまでもふたりでこうしていられるとは限らない、出会いがあれば別れもある、こんな仕事でいつどうなるかも知れやしない。だから期待し過ぎないようにしないと、って、そういう僕なりの気の持ち方なんですよって、話したことも何度かある。
そうすると、先輩は今度は、何にも言わずに苦しそうに、少しだけ、目を細くしていた。
それから経たかなりの年月。
オサハタ
DOODLE何十年後かの、アミちゃん目線。家族「生意気なんだよ! チビのくせに!」
こんな、こんな台詞を口にするのは何年──いや、何十年ぶりだろうか。
『大事な話がある』
そう言って家族を集めた兄が実家に連れてきたのは、かつて話に聞いていて、写真を強請ったこともある素敵な人。あの頃から歳を重ねても凛々しいその姿に見惚れるより前に、なんでこの人がここに、という疑問を抱いたけれど──それはすぐに解かされた、兄によって。
曰く、兄はもう随分と前から──それこそ私が写真を寄越せと詰め寄った時期とそう変わらない時から、その人と恋仲であったそうだ。
そして今日の話というのは、その人が近々お母さん──吸血鬼だ──の齎しにより吸血鬼になるから、自分はその人の使い魔になり共に永く永く、生きると、そういう内容だった。
1440こんな、こんな台詞を口にするのは何年──いや、何十年ぶりだろうか。
『大事な話がある』
そう言って家族を集めた兄が実家に連れてきたのは、かつて話に聞いていて、写真を強請ったこともある素敵な人。あの頃から歳を重ねても凛々しいその姿に見惚れるより前に、なんでこの人がここに、という疑問を抱いたけれど──それはすぐに解かされた、兄によって。
曰く、兄はもう随分と前から──それこそ私が写真を寄越せと詰め寄った時期とそう変わらない時から、その人と恋仲であったそうだ。
そして今日の話というのは、その人が近々お母さん──吸血鬼だ──の齎しにより吸血鬼になるから、自分はその人の使い魔になり共に永く永く、生きると、そういう内容だった。
オサハタ
DONEマシュマロ受け取りました!返信不要でいただきましたのでお礼だけ置かせてください!こちらこそ、作品を見てくださってありがとうございます!
これからもかけるときに、かきたいものを、のんびりと作っていきたいと思っていますのでまたお気が向かれたら覗いてみてやってください!
(本当に、ポイピクに来るのだってきっとわざわざアプリなりブラウザなりを起動して、その手間をかけてご覧いただいて、それだけでも申し訳ないくらい有難いのに、嬉しいことにタップという行動に出てまでリアクションをくださる方がいたり、それどころかこうしてマシュマロなどでお言葉まで賜ったりで、私は本当に幸せ者です……なんとお礼を申し上げればよいか分からないですが、日々心から感謝しております、ありがとうございます!!!!) 3
オサハタ
DOODLEほかのいろ 翌日が非番の日、帰った実家で受けた母の出迎え。明け方とはいえ真冬、まだ陽が昇っていない時期特有の暖かさに感謝しつつ、ただいまと、そして自分に気にせず眠るよう伝えて上がった自室。
食事は済ませた、あとは風呂に入って眠るだけ。
上着を脱ごうと手をかけた、その時に、気付いた、のは──
室内灯を反射してきらきらと光る、若草色の髪の毛、一筋。
摘んで、手のひらに乗せて、反芻した温もり。
『じゃあまた』
この腕の中に収めながら、そう交わしたのはほんの数十分前。
また会える、分かっている、それなのに──
「……もう、会いたい」
握りしめながら我知らずのうちに声に出してしまっていたことは、あいつには内緒にしておこう。
329食事は済ませた、あとは風呂に入って眠るだけ。
上着を脱ごうと手をかけた、その時に、気付いた、のは──
室内灯を反射してきらきらと光る、若草色の髪の毛、一筋。
摘んで、手のひらに乗せて、反芻した温もり。
『じゃあまた』
この腕の中に収めながら、そう交わしたのはほんの数十分前。
また会える、分かっている、それなのに──
「……もう、会いたい」
握りしめながら我知らずのうちに声に出してしまっていたことは、あいつには内緒にしておこう。
オサハタ
DOODLEwinner 基本、一度眠ったら起きるべき時間まで目を覚さない。それでもこうして予期せぬ刻に微睡むのは間近に居る恋人が所以だ。
本来、この布団ではなく隣の寝台で眠っているべきである恋人。
それが、時折こうして俺の隣に潜り込んで居る。
誘いではないのは百も承知だ、そういう意図があるとき、この恋人ははっきりと俺に言うのだから。
ひとり用の布団、身体の殆どをその外に晒して、それでも瞼を伏せたまま寝息を立てている背中を焦燥と共に撫でるのは何度目か。
今日は、まだ冷たくない、良かった。
安堵しながら腕の中に、しっかりと、抱き込みながら──
また負けてしまった、と、俺が臍を噛んでいるなど、お前は知る由もないのだろうな。
620本来、この布団ではなく隣の寝台で眠っているべきである恋人。
それが、時折こうして俺の隣に潜り込んで居る。
誘いではないのは百も承知だ、そういう意図があるとき、この恋人ははっきりと俺に言うのだから。
ひとり用の布団、身体の殆どをその外に晒して、それでも瞼を伏せたまま寝息を立てている背中を焦燥と共に撫でるのは何度目か。
今日は、まだ冷たくない、良かった。
安堵しながら腕の中に、しっかりと、抱き込みながら──
また負けてしまった、と、俺が臍を噛んでいるなど、お前は知る由もないのだろうな。
オサハタ
PROGRESShttps://poipiku.com/IllustViewPcV.jsp?ID=275708&TD=4246140の続き。
半サギョ未満の半→サギョ。その③。絵と文のひとりリレーなんだけどココは文だけ。何となくきりのいいところまで形になったらその都度続きを置いていきます。
今年こそはかき上げたいなぁという気持ちだけはあります。 6
オサハタ
DONEあけましておめでとうございます!マシュマロ受け取りました!返信不要でいただきましたのでお礼だけさせてください!web再録やイラストへのご感想有難うございました!
励みにしつつ、心から感謝しております!
お心遣いの件も承知いたしました、ですが決してご無理のないようになさってくださいませ~!! 3
オサハタ
INFOhttps://pictbland.net/items/detail/1662759ピクブラに過去本をWeb再録しました、というお知らせなのですがキャプションのurlが機能するのか果たして(しなかったらごめんなさい、ご興味がお有りでしたらプロフィールからピクブラに飛んでみてください……)
76kottyouno
MENU素敵ノスショ(めっちゃ好きイラスト)に対してのささやかなお礼になります。予想より長くなってしまったのでお暇な時にでもお読みください、誤字呼称間違い等あればご指摘を…解釈違いあったらごめんなさい……😌半サギョ。サギョウくんがラブレターを渡せなかった話。この後めっちゃくちゃキスする。 13940
オサハタ
PAST絵じゃないけども〜。2020年5月。
もうひとつの『切り札』の短い文。
半サギョのつもりで書いたのね。
カッコいいサギョウくんていいよね、わかる〜。
あと結構シチュエーション気に入ってる〜。 2
オサハタ
DONEマシュマロありがとうございました!返信不要でいただきましたので、お返事したい気持ちをっ……唇をギリギリと嚙み締めながら堪えてっ……クリスマス半サギョのおまけだけお礼として置かせてください……っ!他の絵もSSもお気に召してくださってありがとうございます!
むしろ見てくださってありがとうございます!!
……ごめんなさいやっぱりひとつだけ!
ミニスカサギョくん可愛いって思ってくれてありがとうございます!!
どう頑張っても色気が出ない!!と絶望していたので救われました……!
マロ主様も素敵なホリデーシーズンをお過ごしください!
本当にありがとうございました!! 3
オサハタ
MEMOウチの半サギョのサギョウくんの部屋に布団がある理由年の功 サギョウの部屋には布団がある。
それはサギョウ自身が眠るベッドとは別に、だ。
知ったのは当たり前だが初めて泊まったときだ。
ある日の仕事の後に『たまにはどうだ?』と呑みに誘って、どういうわけであったかは残念ならが失念してしまったのだが、『ウチで続き呑みしましょう!』と誘われるがままに酒を買い込んでから上がり込み、翌日が揃って非番だったのも手伝ってかいつの間にやら深酒になった。
『こんなんなって帰るのだるいでしょ? 泊まってきゃいいんですよ!』
と、真っ赤な顔でへにゃへにゃと笑っているサギョウに、
『ならばそうさせてもらうかぁ! 床を借りるぞぉ⁉︎』
と、返したのは、何故か覚えている。
そして、
『っしゃぁ! そしたらね〜、いまね〜布団敷きますんでね〜、ちょおっとぉ待ってくださいよぉ〜?』
1100それはサギョウ自身が眠るベッドとは別に、だ。
知ったのは当たり前だが初めて泊まったときだ。
ある日の仕事の後に『たまにはどうだ?』と呑みに誘って、どういうわけであったかは残念ならが失念してしまったのだが、『ウチで続き呑みしましょう!』と誘われるがままに酒を買い込んでから上がり込み、翌日が揃って非番だったのも手伝ってかいつの間にやら深酒になった。
『こんなんなって帰るのだるいでしょ? 泊まってきゃいいんですよ!』
と、真っ赤な顔でへにゃへにゃと笑っているサギョウに、
『ならばそうさせてもらうかぁ! 床を借りるぞぉ⁉︎』
と、返したのは、何故か覚えている。
そして、
『っしゃぁ! そしたらね〜、いまね〜布団敷きますんでね〜、ちょおっとぉ待ってくださいよぉ〜?』
オサハタ
MAIKING今年のクリスマス半サギョはこういう始まり方の話。スマホアプリでこの文字読めるの???という不安があって一枚とりあえず上げてみたんだけどももしやギリギリでは?
まぁでもモノは出来ているのでヨシです。
私はこれから年内に納めるために滅茶苦茶仕事を頑張ります。クリスマスにお会いしましょう。
オサハタ
DOODLE付き合い始めたばかりの半サギョの可愛いはなし。kawaii 上役、から、最近恋人になったこの人は、何だか急に言い淀む機会が多くなった。
言おうとしたくせに、その直前ではっとして、何でもない、ってはぐらかす。
そんなの、気にするなって方が無理だろう?
だから意を決してとうとう問い詰めてやった。
何を言おうとしたのかと。
ここは僕の部屋、他には誰もいない、ゴビーはとっくにおねんねだ。
だからいいでしょう、と、顔を近付けて目頭に力を込めて問うと、向こうは、ぐっ、と一度たじろいでから、ようやく教えてくれた。
可愛い、と、言おうとした。
と。
おずおずと絞り出された声に嘘はないだろう、そういう人じゃ無い。
とはいえそれがそんなにも禁句であろうかと眉を顰めた僕に、曰く相手は、
938言おうとしたくせに、その直前ではっとして、何でもない、ってはぐらかす。
そんなの、気にするなって方が無理だろう?
だから意を決してとうとう問い詰めてやった。
何を言おうとしたのかと。
ここは僕の部屋、他には誰もいない、ゴビーはとっくにおねんねだ。
だからいいでしょう、と、顔を近付けて目頭に力を込めて問うと、向こうは、ぐっ、と一度たじろいでから、ようやく教えてくれた。
可愛い、と、言おうとした。
と。
おずおずと絞り出された声に嘘はないだろう、そういう人じゃ無い。
とはいえそれがそんなにも禁句であろうかと眉を顰めた僕に、曰く相手は、
オサハタ
DOODLEまっっ……ったくえっちじゃ無いんだけど一応致してるシチュなのでワンクッションつけておくね……な半サギョ。声を出さないようにサギョウくんが頑張ってるのは分かってるんだけどそれでも聞きたくなってしまった半田くんの短文。
(まだそこまで酔ってないのでちゃんとキャプションらしいキャプションを付けられた私はとても偉いな)(今日は昨日にも勝る遠出をしたのでお絵描きは出来ませんでした、ギルティ……) 930
オサハタ
PAST絵ではないんだけど、去年の今頃書いたSSが出てきたので。付き合ってる半サギョで、モブ吸血鬼が出ます。
今読むと自分でも言いたいことが分かりづらいので、まぁ、カッコいいサくんの雰囲気だけふわっと感じてもらえたら嬉しい感じです、はい。 4
オサハタ
DOODLEとなり 何かを決めるとき──そう、例えば勤務の帰りに寄った店で
「今日酒飲みます?」
と聞かれたら俺は
「飲む」
とか
「今日はやめておこう」
とか、答える。
その度にサギョウは
「そうですね」
と言って俺に倣う。
また別の時、
「今日うち来ます?」
と聞かれて、
「行く」
もしくは
「行かない」
と答えると、
「了解でーす」
と、返してくる。
そう、あいつはまず、相手に聞くんだ。
気付いたのは付き合いを始めてからしばらく経ってようやくだ。だが思い返してみればそれより以前からもそうだったように思う。
だから、今日、
「します?」
と聞かれて、
「お前はどうしたいんだ?」
と、聞き返した。
質問に質問で返すのはもってのほか。知っていた、わかっていた、それでも聞いた、知りたくて。
645「今日酒飲みます?」
と聞かれたら俺は
「飲む」
とか
「今日はやめておこう」
とか、答える。
その度にサギョウは
「そうですね」
と言って俺に倣う。
また別の時、
「今日うち来ます?」
と聞かれて、
「行く」
もしくは
「行かない」
と答えると、
「了解でーす」
と、返してくる。
そう、あいつはまず、相手に聞くんだ。
気付いたのは付き合いを始めてからしばらく経ってようやくだ。だが思い返してみればそれより以前からもそうだったように思う。
だから、今日、
「します?」
と聞かれて、
「お前はどうしたいんだ?」
と、聞き返した。
質問に質問で返すのはもってのほか。知っていた、わかっていた、それでも聞いた、知りたくて。
オサハタ
DOODLEテンプレ元↓https://twitter.com/amedama226/status/1470336790083284994
一度でも離してしまったら二度と掴めないと思っている半田(左下思考)と、
いずれ離れるのであろうしそうなったら二度と戻ってきてはいけませんよ、と思っているサギョウ(左上思考)。
普段は「あんたと付き合えるのなんか僕くらいですからね」とか言ってても実は、みたいなね……
オサハタ
DOODLE付き合い始めてからだいーぶ経った半サギョがいちゃいちゃしてるよ!それを人は愛と呼ぶんだよ 先輩は、特に横顔が綺麗だよな、と、改めて思った。
額からの鼻筋がすぅっと通っていて、尖った鼻先から薄い唇に下りるラインも短くて、そこからさらに進んだ滑らかな顎の線を辿ると頬下から耳たぶの元までするりと届く。
うんうん、睫毛がちな眉間近くからぴんと立った耳の先まで何のつまづきもなく辿れる形、どれだけ眺めていても飽きないなぁ、なんて、僕が頬杖つきつつ見つめていた、その先輩は、今の今までテレビに視線を向けていたはず、なのに──
僕がぼんやりと、なんども、その輪郭を辿っている間に瞳だけを、こちらにむけていたようだ。
「どうかしたか?」
「いえなにも」
ただ見つめていただけだ、だから嘘じゃない。のんびりとしたままそう答えたら、先輩は、ふふ、と声を漏らして唇の端を上げてから続けた。
1486額からの鼻筋がすぅっと通っていて、尖った鼻先から薄い唇に下りるラインも短くて、そこからさらに進んだ滑らかな顎の線を辿ると頬下から耳たぶの元までするりと届く。
うんうん、睫毛がちな眉間近くからぴんと立った耳の先まで何のつまづきもなく辿れる形、どれだけ眺めていても飽きないなぁ、なんて、僕が頬杖つきつつ見つめていた、その先輩は、今の今までテレビに視線を向けていたはず、なのに──
僕がぼんやりと、なんども、その輪郭を辿っている間に瞳だけを、こちらにむけていたようだ。
「どうかしたか?」
「いえなにも」
ただ見つめていただけだ、だから嘘じゃない。のんびりとしたままそう答えたら、先輩は、ふふ、と声を漏らして唇の端を上げてから続けた。
オサハタ
DONE・半サギョ・ふたりは付き合ってる
・ヤギヤマさん(2021年12月時点で単行本未収録の話に出てくるひと)が出る
・ヒヨニキも出る
・半サギョ以外のカプは無し
ヤギヤマさんが好きなんだけど、もしかしたらもう二度と会えないかも知れない、と思ったら辛くて、会いたい、よし描こう、と思って描いたものです。 13
オサハタ
DOODLEhttps://pictbland.net/items/detail/1644947ピクブラにIQが2だけどいちおうピクブラの方がいいかな?っていうやつ上げたんだけどここにurl貼れるのかな?(テスト)
54オサハタ
DOODLE付き合ってないけど半サギョだと思う。ほんのりと殺伐としているかもしれない。
このクソみたいな世界に祝福を 面倒くせえ面倒くせえ何もかもが面倒くせえ。
元々生に執着なんかない、どころか、生まれてこなくても良かったんじゃねぇかな、とすら思ってるくらいなんだ。
だからこの仕事にも就いた。
いつどうなってもおかしくないこの仕事に。
だから──
作戦の穴を突かれた結果、吸血鬼の牙が眼前に迫っても──
ま、いっか
と、思った。
楽しいことなんかありゃしない、あったところで次に出くわすクソみてぇな出来事で帳消しどころかイコールマイナス、な、この世と大手を振っておさらばできる。殉職という大義名分のお陰でね、なんて──
少し前までの僕ならば、諦めていたんだ、ろうな!
吸血鬼の牙が頸動脈に刺さるより数瞬早くその眼球に親指の爪を突き立てて抉ってやった。
1886元々生に執着なんかない、どころか、生まれてこなくても良かったんじゃねぇかな、とすら思ってるくらいなんだ。
だからこの仕事にも就いた。
いつどうなってもおかしくないこの仕事に。
だから──
作戦の穴を突かれた結果、吸血鬼の牙が眼前に迫っても──
ま、いっか
と、思った。
楽しいことなんかありゃしない、あったところで次に出くわすクソみてぇな出来事で帳消しどころかイコールマイナス、な、この世と大手を振っておさらばできる。殉職という大義名分のお陰でね、なんて──
少し前までの僕ならば、諦めていたんだ、ろうな!
吸血鬼の牙が頸動脈に刺さるより数瞬早くその眼球に親指の爪を突き立てて抉ってやった。