uta
DOODLEココイヌココイヌと喉仏の話
sexual scrap#2甘い気だるさに横たわっていると「水飲む?」と、ココがベッドから立ち上がった。俺が頷くより先にキャップを開けたミネラルウォーターを差し出すからそれを受け取り一口含む。すると、水はみるみるうちに身体中に巡っていく。少し飲んでそのままココに押し戻すと、ベッドに半分腰掛けたままごくごくと喉を鳴ら始めた。水が喉を通り落ちていく様子を眺め、ふとその喉仏が気になった。普段あまり意識しないココの喉仏は、凹凸がハッキリしておりその一部がひどく尖っている。昔からこんなに尖っていただろうか。
「...どうした?」
「…いや」
毎日隣にいても、ふとした瞬間知らないココを見る。それは表情だったり、今みたいな身体のことだったり。自分ではない他人だから当然なわけだが、俺はいつもそんな小さな発見に幸せを思う。
1640「...どうした?」
「…いや」
毎日隣にいても、ふとした瞬間知らないココを見る。それは表情だったり、今みたいな身体のことだったり。自分ではない他人だから当然なわけだが、俺はいつもそんな小さな発見に幸せを思う。
hiim723
DONE「25ココと15イヌと例のバズーカ」幹部軸🈁の純情物語(?)
幹部🈁と中学🐶の話メイン+オマケみたいなそれぞれの🈁🐶
お互いのことを一途に大好きなココイヌ最高〜!
※例のバズーカは改造されて5分どころじゃない時間、大人🈁が過去に居座ります。ご都合主義二次元バズーカです。
書いてないですが、帰ってきた中学🈁は🐶の格好を見てひっくり返りそうだなと思いました。
25ココと15イヌと例のバズーカドォォォォォン!!
どこからか馬鹿でかい音がしたと思ったら、視界がもくもくとした煙に包まれた。あわや抗争か、カチコミか、どちらでも構わないなと思いながら隣にいる幼馴染の手を握った。存在を確かめるために。
九井一は反社の幹部だったから、いつでも死ぬ覚悟はしていた。今日死んでも明日死んでも何も変わらなかった。殺されるような酷いことをたくさんしてきたクズの自覚はあったので。
人から忌み嫌われる自分には、隣に立つ幼馴染だけいてくれたらそれでいいのだ。
煙が薄くなり視界が晴れてくる。ケホ、と一つ咳をして隣に立つ幼馴染を振り返った。
「イヌピー、大丈夫?この前潰した組織の復讐かねぇ……。暴れるしか脳がねぇ古参のバカ共には、やるなら徹底的にやれって文句つけとくわ」
9698どこからか馬鹿でかい音がしたと思ったら、視界がもくもくとした煙に包まれた。あわや抗争か、カチコミか、どちらでも構わないなと思いながら隣にいる幼馴染の手を握った。存在を確かめるために。
九井一は反社の幹部だったから、いつでも死ぬ覚悟はしていた。今日死んでも明日死んでも何も変わらなかった。殺されるような酷いことをたくさんしてきたクズの自覚はあったので。
人から忌み嫌われる自分には、隣に立つ幼馴染だけいてくれたらそれでいいのだ。
煙が薄くなり視界が晴れてくる。ケホ、と一つ咳をして隣に立つ幼馴染を振り返った。
「イヌピー、大丈夫?この前潰した組織の復讐かねぇ……。暴れるしか脳がねぇ古参のバカ共には、やるなら徹底的にやれって文句つけとくわ」
uta
DONEココイヌ+モブ秘書 第3話⚠️モブがメインの話です
インボブル・ラヴ・ワールドーーー通称KV
社内で使われるその言葉は、稀咲会長担当のVIP級クライアントを意味する。会長直々に接待させて頂く、つまりは会社に多大な影響を与える御相手という訳だ。
そんな、絶対にミスしてはならないアポイントがどうしたわけか九井さん宛になっている。
「ど、どうしよう…」
「…。」
顔面蒼白の新人が助けを求めるように私を見上げる。今更会長に戻ってきてくださいとも言えない。なぜなら会長は今、上海にいるのだ。
「とりあえず九井さんに判断を仰ぐから、急いで会長に連絡して。」
「!」
泣き出すんじゃないかと思った新人は腰が折れるくらいの角度で頭を下げ、慌ただしく秘書室を飛び出て行った。事態は最悪だ。しかも御相手はKVの中でも九井さんが最も苦手なクライアントという最悪の最悪。大抵のアクシデントは文句を言いながらも対応してくれる九井さんだが、このクライアントには素直に首を縦にしてはくれないだろう。最悪会長を呼び戻せと言うかもしれない。そんなことをしたら今度は会長にネチネチ嫌味を言われるーーーだけでなく、クビになる。多分。
9172社内で使われるその言葉は、稀咲会長担当のVIP級クライアントを意味する。会長直々に接待させて頂く、つまりは会社に多大な影響を与える御相手という訳だ。
そんな、絶対にミスしてはならないアポイントがどうしたわけか九井さん宛になっている。
「ど、どうしよう…」
「…。」
顔面蒼白の新人が助けを求めるように私を見上げる。今更会長に戻ってきてくださいとも言えない。なぜなら会長は今、上海にいるのだ。
「とりあえず九井さんに判断を仰ぐから、急いで会長に連絡して。」
「!」
泣き出すんじゃないかと思った新人は腰が折れるくらいの角度で頭を下げ、慌ただしく秘書室を飛び出て行った。事態は最悪だ。しかも御相手はKVの中でも九井さんが最も苦手なクライアントという最悪の最悪。大抵のアクシデントは文句を言いながらも対応してくれる九井さんだが、このクライアントには素直に首を縦にしてはくれないだろう。最悪会長を呼び戻せと言うかもしれない。そんなことをしたら今度は会長にネチネチ嫌味を言われるーーーだけでなく、クビになる。多分。
uta
DOODLEココイヌ最終回軸
風呂場で交わすしょうもない話
⚠︎下ネタ
sexual scrap #1己の股間を凝視する姿に何と声を掛けるべきか。二人で入るには窮屈な浴槽に向かい合うこの状況で、その気まずさは言葉にならない。
「俺このままじゃ魔法使いになっちまうかもしれねぇ。」
ゆっくりと顔を上げたイヌピーの真顔っぷりに「意味わかんねぇんだけど」と口をついて出てしまったのは致し方ないだろう。俺の恋人はビックリするほど時々不思議ちゃんなのである。
「真一郎くんが、」
「待て。いい、もうそれ以上言うな。」
その名前はフラグだ。十中八九しょうもない話に決まっている。聞く気はねぇぞとそっぽ向く俺に「聞けよココ!」とイヌピーが浴槽の水を吹っ掛けてくる。俺は腹を立ててる訳ではなく、くだらねぇ話題に違いないそのフラグはへし折っておきたいだけなのだ。謎に股間を凝視するその姿勢、突然の魔法使い宣言、そして真一郎くんという名前。どこを切り取っても聞くに値しないことを言うに決まっている。
1343「俺このままじゃ魔法使いになっちまうかもしれねぇ。」
ゆっくりと顔を上げたイヌピーの真顔っぷりに「意味わかんねぇんだけど」と口をついて出てしまったのは致し方ないだろう。俺の恋人はビックリするほど時々不思議ちゃんなのである。
「真一郎くんが、」
「待て。いい、もうそれ以上言うな。」
その名前はフラグだ。十中八九しょうもない話に決まっている。聞く気はねぇぞとそっぽ向く俺に「聞けよココ!」とイヌピーが浴槽の水を吹っ掛けてくる。俺は腹を立ててる訳ではなく、くだらねぇ話題に違いないそのフラグはへし折っておきたいだけなのだ。謎に股間を凝視するその姿勢、突然の魔法使い宣言、そして真一郎くんという名前。どこを切り取っても聞くに値しないことを言うに決まっている。
mizuho_hidaka
DONEココイヌwebオンリーでの展示作品。イベント終了したのでパスワード解除しました。
10月既刊や四分にあげている芸能パロのココイヌ。
短いです。
芸能パロ番外編ふあ、と気の抜けた声と共に隣の乾が大きな欠伸をした。
「眠いのか」
「んー、昨日はいつもより早く寝たはずなんだけどな。寝足りないのかな……」
ボリュームのある睫毛がゆっくりと瞬く。音が聞こえないのが不思議なくらいだ、と毎回飽きもせず九井は思う。
今日は「劇場版TR」の続編ドラマ───シーズン3の顔合わせを兼ねた打ち合わせだけなのでメイクはしていないのだが、むしろ素の顔立ちを晒していることで元の美しさが際立っていた。
長机に肘をついてパイプ椅子に座っているだけだというのに、空気が違う。
「出演者は皆そうだろ。半分以上は演技が初めてでも、テレビとか舞台とか人に見られること自体には慣れてるプロばっかりだし」と乾は取り合わないが、欲目を抜きにしてもやはり彼は本人が自覚している以上に美しいのだ。
2202「眠いのか」
「んー、昨日はいつもより早く寝たはずなんだけどな。寝足りないのかな……」
ボリュームのある睫毛がゆっくりと瞬く。音が聞こえないのが不思議なくらいだ、と毎回飽きもせず九井は思う。
今日は「劇場版TR」の続編ドラマ───シーズン3の顔合わせを兼ねた打ち合わせだけなのでメイクはしていないのだが、むしろ素の顔立ちを晒していることで元の美しさが際立っていた。
長机に肘をついてパイプ椅子に座っているだけだというのに、空気が違う。
「出演者は皆そうだろ。半分以上は演技が初めてでも、テレビとか舞台とか人に見られること自体には慣れてるプロばっかりだし」と乾は取り合わないが、欲目を抜きにしてもやはり彼は本人が自覚している以上に美しいのだ。
hiim723
DOODLE「手を取り合って」梵天ルートに行き損ねたココイヌ。
週末のコヌイベントが待ちきれなくて書きました。細かいことは考えずに感じてください。
ギャグを書こうと思って書き始めたので、序盤はなんか様子のおかしいココノイがいます。最終的にしっとり?着地しました。
手を取り合って「ココ! やっと捕まえた! もう逃さねえぞ……」
イヌピーの手はオレの腕を掴んで離さない。暖かい手から伝わる体温は冷え切ったオレの身体にはあまりにも熱くて、掴まれた場所からじわじわと何かが侵食してくるようだった。
離別から5年、イヌピーと2度と会うことはないと思っていた。
関東卍會は徐々に勢力を広げていき、そろそろ本格的に裏社会の覇権をとりにいく準備を始めていた。そして明日、組織の方向性を決める重要な取引がある。しかしその取引は相手が約束の時間に現れず、「相手都合」で破談になる。それを引き金にしてオレ達は反社会勢力としてのし上がっていく。そういうストーリーだった。
取引相手の重役は今晩、誰にも知られずにひっそりと息を引き取る手筈になっている。人を殺してもう2度と引き返せないところに足を踏み入れる、つまりそういうことだった。
6793イヌピーの手はオレの腕を掴んで離さない。暖かい手から伝わる体温は冷え切ったオレの身体にはあまりにも熱くて、掴まれた場所からじわじわと何かが侵食してくるようだった。
離別から5年、イヌピーと2度と会うことはないと思っていた。
関東卍會は徐々に勢力を広げていき、そろそろ本格的に裏社会の覇権をとりにいく準備を始めていた。そして明日、組織の方向性を決める重要な取引がある。しかしその取引は相手が約束の時間に現れず、「相手都合」で破談になる。それを引き金にしてオレ達は反社会勢力としてのし上がっていく。そういうストーリーだった。
取引相手の重役は今晩、誰にも知られずにひっそりと息を引き取る手筈になっている。人を殺してもう2度と引き返せないところに足を踏み入れる、つまりそういうことだった。
hiim723
MOURNING乾少年が少年院に入った理由中学ピーはとても可哀想だよねって話。ココイヌだけど、ココの出番は少なめ。
嘘をついてはいけない乾青宗は本に興味がない。本を読むと眠くなるので漫画以外の文字を読む気にはなれない。勉強も本も嫌いで中学すらまともに行がなかった乾が図書館に足を向けるのは、そこに幼馴染の九井一がいるからだ。
「イヌピー、帰ろう」
耳元で九井の声がして、図書館に着くなり机に突っ伏して眠っていた乾の意識が浮上する。顔を上げると端正な顔をした幼馴染がこちらを覗き込んでいた。図書館の窓から西日が差して、九井のまっくろな髪に反射している。九井に言ったことはないが、キラキラと光るまっくろな髪と、乾だけを見つめるまっくろな瞳が乾は大好きだった。
「よく寝てたね」という声を聞きながら眠い目を擦りあくびをする。ぼーっとしたまま椅子に座っていたら九井に手を引っ張られたので、大好きな時間の終わりを残念に思いながら立ち上がった。そうして九井に手を引かれるまま、ヒールをカツン、カツン、と鳴らしながら図書館をでる。
12283「イヌピー、帰ろう」
耳元で九井の声がして、図書館に着くなり机に突っ伏して眠っていた乾の意識が浮上する。顔を上げると端正な顔をした幼馴染がこちらを覗き込んでいた。図書館の窓から西日が差して、九井のまっくろな髪に反射している。九井に言ったことはないが、キラキラと光るまっくろな髪と、乾だけを見つめるまっくろな瞳が乾は大好きだった。
「よく寝てたね」という声を聞きながら眠い目を擦りあくびをする。ぼーっとしたまま椅子に座っていたら九井に手を引っ張られたので、大好きな時間の終わりを残念に思いながら立ち上がった。そうして九井に手を引かれるまま、ヒールをカツン、カツン、と鳴らしながら図書館をでる。
obi
DONE魔法学校に通いながら店をきりもりしていくっていうゲームがありまして、そのゲームに出てくるお店のお手伝いをしてくれる猫さんたちをイメージして描きました😊
🐶は上手くできて満足中!チョコを持つのを忘れてます♪
somakusanao
DONEタイトルを五秒で考えたので、後で買えるかもしれないです。悪魔九井✖一般人乾です。梵天面子が悪魔です。悪魔とメリークリスマス「住み込みのハウスキーパーを探している?」
「そうなんだよ。イヌピー。オマエ、バイト辞めて金ないって言ってただろ。どうかな」
乾青宗が居酒屋のバイトを首になったのは、三か月前ほどのことである。酔っ払いが女の子に絡んでいたので、止めたところから喧嘩になった。女の子からはたいそう感謝されたのだが、乾が止めた相手は常連客であった。殴ってしまった手前、店長は乾を首にせざるを得なかったのだ。
仲間に紹介された単発の仕事で糊口を凌いでいたが、そろそろ次のバイトを探さなければと愚痴を言っていたところだった。
龍宮寺はそれを覚えていてくれたらしい。仕事を紹介してくれるのはありがたいが、ハウスキーパーというのは意外すぎる。そもそも仕事にするほど乾は家事ができない。
8697「そうなんだよ。イヌピー。オマエ、バイト辞めて金ないって言ってただろ。どうかな」
乾青宗が居酒屋のバイトを首になったのは、三か月前ほどのことである。酔っ払いが女の子に絡んでいたので、止めたところから喧嘩になった。女の子からはたいそう感謝されたのだが、乾が止めた相手は常連客であった。殴ってしまった手前、店長は乾を首にせざるを得なかったのだ。
仲間に紹介された単発の仕事で糊口を凌いでいたが、そろそろ次のバイトを探さなければと愚痴を言っていたところだった。
龍宮寺はそれを覚えていてくれたらしい。仕事を紹介してくれるのはありがたいが、ハウスキーパーというのは意外すぎる。そもそも仕事にするほど乾は家事ができない。
hiim723
DOODLE「今日は寒いから暖かくなりたい」今日はとても寒かった…というつぶやきと癒しのココイヌ作品を眺めていたらいつのまにか出来上がっていた、やまなしおちなしいみなしココイヌ。BD→幹部軸、ハピエン。
今日は寒いから暖かくなりたい「イヌピー、寒くねぇの?」
静かなアジトの中で、温かい声がする。
寒いのはテメェのせいだろ、と八つ当たりみたいなことを乾は考えながら「寒くねぇよ」と強がりを言った。
乾青宗は寒さよりもヤンキーのオシャレを貫きたい、気合の入った不良だった。ド派手で相手を威嚇できそうなピンクのジャージを着るし、寒さに日和ったと思われたくないから余計な厚着はしない。流石に布の厚みは季節に応じて変わるけども。
北風が吹こうが、バイクの運転中に氷のように冷たいかぜが吹き付けようが、ドンキに売ってそうな90年代のヤンキースタイルを崩すことはしなかった。だって、辞めたら自分に負けたみたいでなんかカッコ悪ぃだろ。夏はジャージを脱ぐだけで衣替えも済むし。
4284静かなアジトの中で、温かい声がする。
寒いのはテメェのせいだろ、と八つ当たりみたいなことを乾は考えながら「寒くねぇよ」と強がりを言った。
乾青宗は寒さよりもヤンキーのオシャレを貫きたい、気合の入った不良だった。ド派手で相手を威嚇できそうなピンクのジャージを着るし、寒さに日和ったと思われたくないから余計な厚着はしない。流石に布の厚みは季節に応じて変わるけども。
北風が吹こうが、バイクの運転中に氷のように冷たいかぜが吹き付けようが、ドンキに売ってそうな90年代のヤンキースタイルを崩すことはしなかった。だって、辞めたら自分に負けたみたいでなんかカッコ悪ぃだろ。夏はジャージを脱ぐだけで衣替えも済むし。
mamegohan54
MAIKINGいつか書くかもしれないマブ軸ココイヌ、たぶんメリバ予定です。。聖夜アニメで元気を出しながら書いていきたい……いつか書くかもココイヌ「ココ、次の月曜日空いてるか?」
メールより電話が楽。なのは相変わらずのようで、乾からの連絡は決まって何コールかの着信だった。段ボールまみれの部屋の真ん中で埃のついた手を払い、ぶんぶんと震えたスマホを取る。耳馴染みのいい声を聞いたら、自然と頬が緩むのは不可抗力だった。
「空いてるよ。事務所の整理も終わったし、あとは新居の片付けくれぇ。なんならイヌピーが手伝ってくれると嬉しいんだけど」
「いやだ」
オレから誘ってんのに。電話の向こうで口を尖らせているのが丸分かりで、こちらはヘラヘラしてしまう。
乾からの誘いはめずらしい。記憶のなかでも数えるほどしかないから、空いてる? の言葉は九井にとって棚から牡丹餅だった。つまらない軽口で彼の機嫌を損ねるのも本意では無いし、素直に冗談だと謝罪する。それに、この牡丹餅はもう何年と口にしていない代物だったから。
1639メールより電話が楽。なのは相変わらずのようで、乾からの連絡は決まって何コールかの着信だった。段ボールまみれの部屋の真ん中で埃のついた手を払い、ぶんぶんと震えたスマホを取る。耳馴染みのいい声を聞いたら、自然と頬が緩むのは不可抗力だった。
「空いてるよ。事務所の整理も終わったし、あとは新居の片付けくれぇ。なんならイヌピーが手伝ってくれると嬉しいんだけど」
「いやだ」
オレから誘ってんのに。電話の向こうで口を尖らせているのが丸分かりで、こちらはヘラヘラしてしまう。
乾からの誘いはめずらしい。記憶のなかでも数えるほどしかないから、空いてる? の言葉は九井にとって棚から牡丹餅だった。つまらない軽口で彼の機嫌を損ねるのも本意では無いし、素直に冗談だと謝罪する。それに、この牡丹餅はもう何年と口にしていない代物だったから。
mamegohan54
MOURNING支部掲載「君は補う色(ココイヌ)」ラスト別路線。今思うとこっちのまま行っても良かったかもしれないと思いましたが、ノイがかっこいいかんじになってしまい、いやいやもっと恥ずかしいだろオマエは!(こら)と路線変更した前のものです。なんだか幸せそうな犬猫同棲。こっちが恥ずかしくなるラブラブさ。(原作マブ軸とは似て異なります)※直接描写ありませんが、18歳以上の方は「kokoinu」でお進みください。 3625
mamegohan54
MOURNINGココイヌ再開前に書いていたもの。梵バ軸。ココと別れたイヌが、赤さんの命日にパブのオーナーに拾われ、ダンスパブでキャストをしていたところ、梵コに指名されダンスをする話。書き上げたかったのですが原作がぐんぐん進んでしまって諦めたものです……ダンスパブで働くイヌとそれを買うココのココイヌ(梵バ)「意外。ココがこんな店、来るなんて」
できるだけ、動揺が露われないように。喉の奥を絞って出した声は、思ったよりも簡単に乾の口からこぼれでた。
筋肉質な脚を剥き出しにして、背後の壁に縋り付く男が、九井からどう見えているかなんて分かりきっているのに。尻から垂れるぬるい液体の感触が可笑しくて、口が歪む。取り繕うには今更、間抜けすぎだろ。
偏光素材のレース越し、九井の目が揺れていて、彼の三白眼をまじまじと見つめるのはいつぶりだろうかと、乾は長い睫毛を伏せた。
「イヌピーこそ、結構大胆なことするんだな」
露出した腿を撫でられる。唾液が喉元でつっかえて、肌が咄嗟に粟立ったのを、どう思ったのか、九井はくすくすと肩を揺らした。冷たかったからだ。涼しい顔をしてるのに、それでいて瞳を揺らすおまえの手が冷たくて驚いたのだ。
3539できるだけ、動揺が露われないように。喉の奥を絞って出した声は、思ったよりも簡単に乾の口からこぼれでた。
筋肉質な脚を剥き出しにして、背後の壁に縋り付く男が、九井からどう見えているかなんて分かりきっているのに。尻から垂れるぬるい液体の感触が可笑しくて、口が歪む。取り繕うには今更、間抜けすぎだろ。
偏光素材のレース越し、九井の目が揺れていて、彼の三白眼をまじまじと見つめるのはいつぶりだろうかと、乾は長い睫毛を伏せた。
「イヌピーこそ、結構大胆なことするんだな」
露出した腿を撫でられる。唾液が喉元でつっかえて、肌が咄嗟に粟立ったのを、どう思ったのか、九井はくすくすと肩を揺らした。冷たかったからだ。涼しい顔をしてるのに、それでいて瞳を揺らすおまえの手が冷たくて驚いたのだ。
mizuho_hidaka
DONEココイヌ秋のゆるSFに参加させて頂きました。平和マブ軸でSFというよりSF映画を観るだけの緩い話。
火星行き夜行列車「映画館、久々だな」
「そうだな」
ポップコーンを抱えたイヌピーは、期間限定のストロベリーキャラメル味にご満悦のようだった。予告開始前になくなりそうな勢いで食べている。オレとしてはハーフ&ハーフで頼んだやはり期間限定のチョコレートキャラメル味の方が好みなので、次回まだ頼めそうなら同じ組み合わせを選ぼうと心に留め置いた。
「最近は配信ばっかり見てたけど、デカい画面で見たくてさ」
「本当は朝一で観たかったんじゃないのか」
起業して在宅勤務がメインのオレ一人なら映画は自分の気持ちひとつでどうとでもなるが、イヌピーの仕事が終わってからだとどうしてもレイトショーになる。その仕事も急な案件が入ってくれば長引いてしまう可能性もあった。バイク屋自体はちょうど閑散期だから大丈夫だろうと先にチケットを取ったのだが、イヌピーとしては急な残業が入らないか心配だったらしい。
1930「そうだな」
ポップコーンを抱えたイヌピーは、期間限定のストロベリーキャラメル味にご満悦のようだった。予告開始前になくなりそうな勢いで食べている。オレとしてはハーフ&ハーフで頼んだやはり期間限定のチョコレートキャラメル味の方が好みなので、次回まだ頼めそうなら同じ組み合わせを選ぼうと心に留め置いた。
「最近は配信ばっかり見てたけど、デカい画面で見たくてさ」
「本当は朝一で観たかったんじゃないのか」
起業して在宅勤務がメインのオレ一人なら映画は自分の気持ちひとつでどうとでもなるが、イヌピーの仕事が終わってからだとどうしてもレイトショーになる。その仕事も急な案件が入ってくれば長引いてしまう可能性もあった。バイク屋自体はちょうど閑散期だから大丈夫だろうと先にチケットを取ったのだが、イヌピーとしては急な残業が入らないか心配だったらしい。
mamegohan54
MAIKINGココイヌ、若干ドみ匂わせのち関卍軸。イヌと別れる前に、ノイがイヌに薬を飲ませる話。超途中で断念しています、、、
よくあるバイヌとゆるいドみの絡みが書きたくてはじめましたが、!断念しています……
魔法は解けない「イヌピー、オレさ、魔法が使えるんだ」
言いながら、くだらねえ話だと思った。
イヌピーの前に小指大の小さな瓶を寄越せば、彼は訝しむこともなく、詰められたコルクを引き抜いた。
これで、終わるんだ。
全身に絡まった、鉛の網が解けていく。気持ちは軽かった。翡翠の瞳に睫毛の影が落ち、イヌピーは瓶の底を見つめて、ココ、と言う。三ミリリットルもない液体が、深い青色で安心したのだ。赤だったらたぶん、残酷だと思ったから。
一滴で一日前、二滴で一ヶ月前、三滴で一年前のことを忘れるという。深海から掬ったみたいな、濁りのない青のクスリ。胡散臭い世界に足を突っ込んで、胡散臭いばかりの人間と繋がりを持って、でも、信頼の置けるルートで調達したのだ。だから大丈夫。
1874言いながら、くだらねえ話だと思った。
イヌピーの前に小指大の小さな瓶を寄越せば、彼は訝しむこともなく、詰められたコルクを引き抜いた。
これで、終わるんだ。
全身に絡まった、鉛の網が解けていく。気持ちは軽かった。翡翠の瞳に睫毛の影が落ち、イヌピーは瓶の底を見つめて、ココ、と言う。三ミリリットルもない液体が、深い青色で安心したのだ。赤だったらたぶん、残酷だと思ったから。
一滴で一日前、二滴で一ヶ月前、三滴で一年前のことを忘れるという。深海から掬ったみたいな、濁りのない青のクスリ。胡散臭い世界に足を突っ込んで、胡散臭いばかりの人間と繋がりを持って、でも、信頼の置けるルートで調達したのだ。だから大丈夫。