toaru_otaku_
DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「ホットケーキ」お借りしました
視線「そういえば、ホットケーキとパンケーキって何が違うん?」
黙々と目の前の甘味を平らげていたこはくがそう切り出すので、斑は口の中のコーヒーを飲み下すと少し考えてから「日本では同一視されがちだけどなあ」と話し始めた。
時刻は昼の十一時を少し過ぎた頃だった。ESビルからそう遠くはない喫茶店のボックス席に二人は腰を落ち着けている。昼時にはまだ少し早いせいか、店内には人もまばらだ。
くりくりと瞬く紫色の瞳を見ながら、頭の中の知識を引っ張り出してくる。
「ホットケーキは日本独自の呼び方というか。パン……底の平たい鍋で焼くからパンケーキ。日本に伝わる際に色々あって呼び方がわかれたが、ホットケーキは厳密に言うとパンケーキの一種だなあ。今だと、ホットケーキはスイーツ、パンケーキは甘みの少ない食事用の……なんだあ、その顔は」
1302黙々と目の前の甘味を平らげていたこはくがそう切り出すので、斑は口の中のコーヒーを飲み下すと少し考えてから「日本では同一視されがちだけどなあ」と話し始めた。
時刻は昼の十一時を少し過ぎた頃だった。ESビルからそう遠くはない喫茶店のボックス席に二人は腰を落ち着けている。昼時にはまだ少し早いせいか、店内には人もまばらだ。
くりくりと瞬く紫色の瞳を見ながら、頭の中の知識を引っ張り出してくる。
「ホットケーキは日本独自の呼び方というか。パン……底の平たい鍋で焼くからパンケーキ。日本に伝わる際に色々あって呼び方がわかれたが、ホットケーキは厳密に言うとパンケーキの一種だなあ。今だと、ホットケーキはスイーツ、パンケーキは甘みの少ない食事用の……なんだあ、その顔は」
toaru_otaku_
DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「お風呂」お借りしました
バスボムより効果あり「飲みすぎました!」
「……」
「明日もお仕事です! が、お風呂に一人で入れる気がしません!」
大口を開けて笑う男を見て、こはくは本日三度目の大きなため息をついた。一度目のため息は彼からの帰宅時間の連絡があった際に済ませ、二度目は帰ってきたと思ったら玄関先で倒れ込んでいるのを見たときにこぼれた。
人脈とはどの業界でも大切なものである。特に斑のように、一人でアイドルとして活動する人間においてはなおさら。であるから、こはくも、彼が多少無茶をして横のつながりを作っていくことについて、責めるつもりは毛頭ない。しかし、限度というものはあろう。
「……」
「頼りになる相棒に頼みがあります! なあ、いいだろう、こはくさん。門限はぎりぎり守ったんだから」
1347「……」
「明日もお仕事です! が、お風呂に一人で入れる気がしません!」
大口を開けて笑う男を見て、こはくは本日三度目の大きなため息をついた。一度目のため息は彼からの帰宅時間の連絡があった際に済ませ、二度目は帰ってきたと思ったら玄関先で倒れ込んでいるのを見たときにこぼれた。
人脈とはどの業界でも大切なものである。特に斑のように、一人でアイドルとして活動する人間においてはなおさら。であるから、こはくも、彼が多少無茶をして横のつながりを作っていくことについて、責めるつもりは毛頭ない。しかし、限度というものはあろう。
「……」
「頼りになる相棒に頼みがあります! なあ、いいだろう、こはくさん。門限はぎりぎり守ったんだから」
toaru_otaku_
DOODLE⚠️にょたまだちゃん注意⚠️WaveBoxでリクエストいただいたこは斑♀です!
ありがとうございました♡
男は二人きりになったらみんなすることしたいんだろう、なんて思っていたまだらちゃんが目論見外れてうごうごしています。
お口に合うと良いのですが…。
とても楽しく書きました!リクエストありがとうございます💕 4951
toaru_otaku_
DOODLE⚠️女体化注意⚠️WaveBoxでリクエストいただいてましたこは斑の百合です。
後天的に女体化しちゃって精神不安定になっちゃうのかわいいなと思ってこうなりました…♡
リクエストありがとうございます! 5035
toaru_otaku_
DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「ソフトクリーム」お借りしました🍦
ある夏の日『帰りにソフトクリームを買ったんだ』
『ええやん、何味?』
『バニラと抹茶』
『ほーん』
『悪いがドアを開けてくれると助かる』
ホールハンズに届いたメッセージを見て顔を上げる。ベッドから降りて数歩、寮の自室で涼んでいたこはくは慌てて閉め切っていたドアへ駆け寄ると勢い良く開け放った。
鼻の頭にまで汗をかいて、向日葵の笑顔を浮かべた青年が両手にソフトクリームを持って立っている。すう、と彼が大きく息を吸ったので身構えた。
「た、ただいまあ」
「なんや、いつもみたくデカい声で来るかと思ったんに」
「さすがに、この暑さの中を全力疾走したらなあ、俺だって……あっ駄目だ溶ける。こっちこはくさんの」
「お、おん。おおきに」
ずいっと差し出されたバニラと抹茶のソフトクリームは、もう表面がとろりと溶け始めていた。急いでてっぺんにかぶりつくと、口の中をじゅわりと甘味が満たし、バニラの濃厚な香りと抹茶のこうばしさが混ざり合って鼻腔を抜けていく。
1807『ええやん、何味?』
『バニラと抹茶』
『ほーん』
『悪いがドアを開けてくれると助かる』
ホールハンズに届いたメッセージを見て顔を上げる。ベッドから降りて数歩、寮の自室で涼んでいたこはくは慌てて閉め切っていたドアへ駆け寄ると勢い良く開け放った。
鼻の頭にまで汗をかいて、向日葵の笑顔を浮かべた青年が両手にソフトクリームを持って立っている。すう、と彼が大きく息を吸ったので身構えた。
「た、ただいまあ」
「なんや、いつもみたくデカい声で来るかと思ったんに」
「さすがに、この暑さの中を全力疾走したらなあ、俺だって……あっ駄目だ溶ける。こっちこはくさんの」
「お、おん。おおきに」
ずいっと差し出されたバニラと抹茶のソフトクリームは、もう表面がとろりと溶け始めていた。急いでてっぺんにかぶりつくと、口の中をじゅわりと甘味が満たし、バニラの濃厚な香りと抹茶のこうばしさが混ざり合って鼻腔を抜けていく。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!大遅刻ですがお題「傘」お借りしました!
相合傘 ビルの窓から見える外界は土砂降りの大雨だった。これはニキの傘でも無断借用しなくては無事に帰れまいと一人頷いて傘立てに足を向けた燐音は、ふと視線を向けた先、軒下で浮かない顔をしている青年を見つけた。この湿気で、どことなく彼の髪もいつもよりボリュームを増している気がする。なかなかまとまらなくて大変だろう。身に覚えがあるので勝手に同情しておくこととする。
青年は手に閉じた傘を二本持っていた。中に入らずに待っているということは、そろそろ待ち人も現れる頃合いなのだろう。その人物には心当たりがあった。今の今まで同じ現場で仕事をしていたのだから当然だけれども。
(こはくちゃんが出ていく時間をずらそうとしてたのはこういうことだったんだなァ)
1363青年は手に閉じた傘を二本持っていた。中に入らずに待っているということは、そろそろ待ち人も現れる頃合いなのだろう。その人物には心当たりがあった。今の今まで同じ現場で仕事をしていたのだから当然だけれども。
(こはくちゃんが出ていく時間をずらそうとしてたのはこういうことだったんだなァ)
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DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「こども」お借りしました
いつか僕らは屋根より高く 青空を、気持ちが良さそうに鯉のぼりが泳いでいる。布が空気をはらんで、風に翻ると音をたてて、勢い良くその尾が青を往く。
雲一つない快晴である。遮るもののない青空はさぞ泳ぎやすかろう。平屋の民家、その庭先に鯉のぼりはあった。風にはためくのぼりに、視線は吸い寄せられた。
行事としては知っているが、こはくにとっては見慣れない風景である。男児が健康に生きながらえていることを隠さねばならなかった家だ。縁遠いものであった。
ロケバスの中から見えたその光景は、夜になってもどういうわけか頭から消えなかった。スマホの検索画面に「鯉のぼり」と入力して、その由来などを調べてみてもピンと来なかった。
(真鯉、緋鯉、青鯉……揃って家族を表す……)
1575雲一つない快晴である。遮るもののない青空はさぞ泳ぎやすかろう。平屋の民家、その庭先に鯉のぼりはあった。風にはためくのぼりに、視線は吸い寄せられた。
行事としては知っているが、こはくにとっては見慣れない風景である。男児が健康に生きながらえていることを隠さねばならなかった家だ。縁遠いものであった。
ロケバスの中から見えたその光景は、夜になってもどういうわけか頭から消えなかった。スマホの検索画面に「鯉のぼり」と入力して、その由来などを調べてみてもピンと来なかった。
(真鯉、緋鯉、青鯉……揃って家族を表す……)
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DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「桜」お借りしました
かおる桜で、素敵なティータイムを らしくないなあ、と思った。
とあるカフェの、春の新作発表のCMをたまたま寮の共有ルームで見たとき、斑はそう思った。桜をモチーフにした甘いドリンクは確かに彼によく似合ったけれども、当の本人が桜に対して良い思いを持っていないことを斑は知っている。だからそのCMを見たとき、持てる武器は何でも使って勝負をするのだなと感心した一方で、言いようのない胸のざわつきを覚えた。
かおる桜で、素敵なティータイムを。君と一緒に。
それを見てから数日後、今度は街の中でこれまた偶然こはくを見つけた。
声をかけようとして、慌てて口を閉じた。こはくの隣には藍良がいた。別に遠慮なく絡みに行ってもいいのだけれど、他の人間がいるのならあまり締まりのない顔をするわけにはいかない。
1351とあるカフェの、春の新作発表のCMをたまたま寮の共有ルームで見たとき、斑はそう思った。桜をモチーフにした甘いドリンクは確かに彼によく似合ったけれども、当の本人が桜に対して良い思いを持っていないことを斑は知っている。だからそのCMを見たとき、持てる武器は何でも使って勝負をするのだなと感心した一方で、言いようのない胸のざわつきを覚えた。
かおる桜で、素敵なティータイムを。君と一緒に。
それを見てから数日後、今度は街の中でこれまた偶然こはくを見つけた。
声をかけようとして、慌てて口を閉じた。こはくの隣には藍良がいた。別に遠慮なく絡みに行ってもいいのだけれど、他の人間がいるのならあまり締まりのない顔をするわけにはいかない。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、開催ありがとうございます!お題「リボン」お借りしました!
For You 二十歳の誕生日、その次の日になる深夜一時のことである。散々飲まされて、歌って踊って笑ってどついて、ユニットの仲間やスタッフたちと羽目をはずしたこはくは、この時間になってやっと自宅に帰ってきた。
ESの管理する寮を出たのは二年ほど前のことだった。最後までどうにも他人の多い空間には慣れなかったが、あの場所にも、去るには惜しいと思える程度には愛着も湧いていた。それでも寮を出たのは、自立した一人での生活を経験してみたかったから、そしてとある男の安心できる居場所を一つでも多く増やしておきたかったからだった。
斑は現在、海外に拠点を置き、主にそちらで活動している。数ヶ月に一度帰国してESに顔を見せるが、すぐにまた海の向こうへ旅立っていく。海外に置かれたESの拠点となる場所を中心に活躍の場を広げているらしい。色々と葛藤や悩みもあるそうだが、帰ってくるたびにこはくにそんなことをこぼせるようになったのは、大きな成長とも言えよう。
2258ESの管理する寮を出たのは二年ほど前のことだった。最後までどうにも他人の多い空間には慣れなかったが、あの場所にも、去るには惜しいと思える程度には愛着も湧いていた。それでも寮を出たのは、自立した一人での生活を経験してみたかったから、そしてとある男の安心できる居場所を一つでも多く増やしておきたかったからだった。
斑は現在、海外に拠点を置き、主にそちらで活動している。数ヶ月に一度帰国してESに顔を見せるが、すぐにまた海の向こうへ旅立っていく。海外に置かれたESの拠点となる場所を中心に活躍の場を広げているらしい。色々と葛藤や悩みもあるそうだが、帰ってくるたびにこはくにそんなことをこぼせるようになったのは、大きな成長とも言えよう。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、開催ありがとうございます!お題「ありがとう」「蕾」お借りしました
帰るべき場所にてほころぶ花の香 一人で立つことには慣れている。ステージの上でも、日常生活においても、身軽で気軽に動けるおひとりさまという生き方を気に入ってもいる。無理に誰かに合わせることも、逆に誰かに気を遣わせてしまうこともない。力加減を間違えて周囲を傷つけてしまったり、距離感を間違えてこちらの事情に罪のない人を巻き込んでしまったり。そういったことも、もう御免だ。
黒いバックパック一つを背負って、斑は星空を見上げながらのんびりと歩いている。
数ヶ月に渡る海外でのライブツアーが無事に終了した。初めて渡航する国であったけれども、手応えは上々。ESが近頃目をつけている地域なだけあって、アイドル文化はよく浸透し、誰もが異国からやってきた新しい風を歓迎してくれた。一身に浴びた歓声と拍手とを思い出すと、寒さからではない震えが今も湧き上がってくる。
2183黒いバックパック一つを背負って、斑は星空を見上げながらのんびりと歩いている。
数ヶ月に渡る海外でのライブツアーが無事に終了した。初めて渡航する国であったけれども、手応えは上々。ESが近頃目をつけている地域なだけあって、アイドル文化はよく浸透し、誰もが異国からやってきた新しい風を歓迎してくれた。一身に浴びた歓声と拍手とを思い出すと、寒さからではない震えが今も湧き上がってくる。
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DOODLEタイトルの通りです。大昔に対戦した腐女子すごろくで大敗したので書きました。遅くなってすみません。
再結成しないと出られない部屋、はよ……
相手の好きなところを言わないと出られない部屋 目が覚めると、見知らぬ部屋にいた。
冷静に体を起こす。柔らかな手触りのベッドに寝かされていたらしい。というより、ベッドだけは寝入ったときのままの状態だった。
横では、昨夜散々戯れた少年がすやすやと寝息をたてている。淡い桜色の髪は枕の上に流れている。あどけない顔をして眠るこはくを見、斑は静かに顔を上げた。
向かって正面の壁には、時計が一つと大きな張り紙が一枚。
「どういうことなんだあ、これ」
張り紙にはデカデカと『相手の好きなところを言わないと出られない部屋』と記されていた。
叩き起こしたこはくと二人で部屋中を探索してみたが、どこにもドアらしきものはなかった。手の届くところ、目の見えるところに窓や換気扇といった外部と繋がっている箇所もない。
2031冷静に体を起こす。柔らかな手触りのベッドに寝かされていたらしい。というより、ベッドだけは寝入ったときのままの状態だった。
横では、昨夜散々戯れた少年がすやすやと寝息をたてている。淡い桜色の髪は枕の上に流れている。あどけない顔をして眠るこはくを見、斑は静かに顔を上げた。
向かって正面の壁には、時計が一つと大きな張り紙が一枚。
「どういうことなんだあ、これ」
張り紙にはデカデカと『相手の好きなところを言わないと出られない部屋』と記されていた。
叩き起こしたこはくと二人で部屋中を探索してみたが、どこにもドアらしきものはなかった。手の届くところ、目の見えるところに窓や換気扇といった外部と繋がっている箇所もない。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます…!お題「スパダリ」「ハグ」ふたつお借りしました!
運営お疲れ様でした。本当にありがとうございました。すごく毎週楽しかったです!
そして新たな運営さん、今後ともよろしくお願いします…!
ほころびなぞりて、日々「こはくくんってさ、絶対スパダリだよ! 彼氏にしたらすごく大切にしてくれそうじゃない?」
そんな会話を、自分より二組ほど前に並んでいる女子高生たちが繰り広げている。こはくは目深にかぶった帽子の下で静かに息を潜めている。何気なくしていれば、案外気が付かれないものなのだ。
「えーっ、そうかなぁ? なんか結構厳しそうじゃない? 落ち込んでるときとかガツンと正論言ってきそう」
「そんなことしないよ! こはくくんはね、全部優しく包み込んで『そやね、そらつらかったなぁ』って慰めてくれるんだって!」
「あんたこはくくんの何を知ってるのよ」
その先の会話を聞くことはなく、こはくは手元のスマホに素早く『スパダリ』と入力した。検索結果が示す内容を読み込んでいくと、段々と黒いマスクの下は苦笑の形に変わっていく。
2850そんな会話を、自分より二組ほど前に並んでいる女子高生たちが繰り広げている。こはくは目深にかぶった帽子の下で静かに息を潜めている。何気なくしていれば、案外気が付かれないものなのだ。
「えーっ、そうかなぁ? なんか結構厳しそうじゃない? 落ち込んでるときとかガツンと正論言ってきそう」
「そんなことしないよ! こはくくんはね、全部優しく包み込んで『そやね、そらつらかったなぁ』って慰めてくれるんだって!」
「あんたこはくくんの何を知ってるのよ」
その先の会話を聞くことはなく、こはくは手元のスマホに素早く『スパダリ』と入力した。検索結果が示す内容を読み込んでいくと、段々と黒いマスクの下は苦笑の形に変わっていく。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、今週も開催ありがとうございます!お題「逆バニーの日」お借りしました。
酒と嫉妬と兎と君と 斑は酒に強い。まだあまり飲酒経験は多くないが、成人してからこのかた酒の席での失敗というものをしたことはないし、同年代のアイドルたちと飲んでいても、最後には酔い潰れた彼らを運ぶ力仕事さえこなせた程度には強かった。自分の限界を見誤らない自信があったとも言う。しかし、今朝の部屋の惨状を見る限り、どうも昨夜、自分ははじめてあまりよろしくない酔い方をしたらしかった。
共に酒を煽っていたのは天城燐音である。彼と酒を飲むのは初めてだった。
良い店を知っていると言われ、連れて行かれたのは彼がいつもパフォーマンスを披露している居酒屋だった。あまりにも楽しそうに彼が酒を煽りつつ歌ったり踊ったりするものだから、つられて斑もついつい羽目をはずしたのだ。「ここならESの目もそう届かねェぞ、好きにやれ」と囁かれて、どこから持ち出したのか渡されたギターをかき鳴らし、やがて小さなステージの上で持ち歌まで披露してすっかり良い気分になってしまった。
3374共に酒を煽っていたのは天城燐音である。彼と酒を飲むのは初めてだった。
良い店を知っていると言われ、連れて行かれたのは彼がいつもパフォーマンスを披露している居酒屋だった。あまりにも楽しそうに彼が酒を煽りつつ歌ったり踊ったりするものだから、つられて斑もついつい羽目をはずしたのだ。「ここならESの目もそう届かねェぞ、好きにやれ」と囁かれて、どこから持ち出したのか渡されたギターをかき鳴らし、やがて小さなステージの上で持ち歌まで披露してすっかり良い気分になってしまった。
云云云云云雀
DONE高中生こはくx鬼魂斑第一人称注意
棺因为想到了那个问题,所以我问他:死亡是怎样的?斑坐在桌子上,阳光透过他的周身洒过来,我有些担心他会变得透明,消失不见。
斑说,他忘记了那是怎样的感觉。他皱着眉头,摆出一副努力思考的架势:
死了之后是虚无的,我飘在一片虚空里,有个声音对我说我不应该来这,再次拥有意识的时候我就在一条马路上躺着,变成了鬼。
我觉得有些无聊,便转过头去。
连自己生前是什么人都不知道的鬼,也未免太糊涂了。我这么告诉斑,他嗤之以鼻:没人能要求鬼做什么,况且我早就死了!像是发泄一般,斑想将我的杯子推倒,那东西只是晃了晃,并没有倒下;我抓住他的手就如同我经常做的那样:
斑,停下,你是小孩子吗?我问他。他挣开我的手,赌气似的从桌子上离开,化作半透明的虚影。望着斑,一个疯狂的想法在我心里产生:或许斑根本就没有死,一切都只是他编造的谎言;我站在原地将手贴在脸上,贪恋地感受斑低体温所带来的冰冷,它们吞噬着我手掌的温度;我描摹着斑手指的形状,既然我可以千百次地牵起斑的手,握紧它们,或许他根本就没死,或许。
1645斑说,他忘记了那是怎样的感觉。他皱着眉头,摆出一副努力思考的架势:
死了之后是虚无的,我飘在一片虚空里,有个声音对我说我不应该来这,再次拥有意识的时候我就在一条马路上躺着,变成了鬼。
我觉得有些无聊,便转过头去。
连自己生前是什么人都不知道的鬼,也未免太糊涂了。我这么告诉斑,他嗤之以鼻:没人能要求鬼做什么,况且我早就死了!像是发泄一般,斑想将我的杯子推倒,那东西只是晃了晃,并没有倒下;我抓住他的手就如同我经常做的那样:
斑,停下,你是小孩子吗?我问他。他挣开我的手,赌气似的从桌子上离开,化作半透明的虚影。望着斑,一个疯狂的想法在我心里产生:或许斑根本就没有死,一切都只是他编造的谎言;我站在原地将手贴在脸上,贪恋地感受斑低体温所带来的冰冷,它们吞噬着我手掌的温度;我描摹着斑手指的形状,既然我可以千百次地牵起斑的手,握紧它们,或许他根本就没死,或许。
云云云云云雀
DONE高中生こはくx鬼魂斑👻咔哒。
门锁转动,琥珀站在玄关拎着满满一袋的零食踮着脚尖向起居室那里看。
灯是关着的,少年眯起双眼试图在黑暗中捕捉到什么图景,大声道:“我回来啦——”
没有回应。
琥珀干脆走进起居室,将灯打开,一只怨气冲天的鬼坐在沙发上,碧绿的眼珠幽幽地瞪着他。“…斑?”琥珀放下他那一袋子东西,坐了下来,“你看上去好可怕。”
“比起我可不可怕,我更想知道你去哪里虚度光阴了呢。”被琥珀呼做斑的鬼魂开口,“能甩掉我,琥珀也真是了不起。”琥珀撕开一袋薯片,塑料包装哗啦作响,他将一片递进嘴里:“运用了一点技巧,毕竟我在学校体育成绩很不错,只是坐公交车花了点功夫。”琥珀腮帮一鼓一鼓,“斑怎么样?”
“很好,在外面跑来跑去找你。”斑的语气夹杂着一丝不易察觉的讽刺,像白纸上一点黑,“你又去哪了呢?”他随意地瘫在沙发上,望着天花板。
1239门锁转动,琥珀站在玄关拎着满满一袋的零食踮着脚尖向起居室那里看。
灯是关着的,少年眯起双眼试图在黑暗中捕捉到什么图景,大声道:“我回来啦——”
没有回应。
琥珀干脆走进起居室,将灯打开,一只怨气冲天的鬼坐在沙发上,碧绿的眼珠幽幽地瞪着他。“…斑?”琥珀放下他那一袋子东西,坐了下来,“你看上去好可怕。”
“比起我可不可怕,我更想知道你去哪里虚度光阴了呢。”被琥珀呼做斑的鬼魂开口,“能甩掉我,琥珀也真是了不起。”琥珀撕开一袋薯片,塑料包装哗啦作响,他将一片递进嘴里:“运用了一点技巧,毕竟我在学校体育成绩很不错,只是坐公交车花了点功夫。”琥珀腮帮一鼓一鼓,“斑怎么样?”
“很好,在外面跑来跑去找你。”斑的语气夹杂着一丝不易察觉的讽刺,像白纸上一点黑,“你又去哪了呢?”他随意地瘫在沙发上,望着天花板。
toaru_otaku_
DONEこは斑ワンドロワンライ今週も開催ありがとうございます!
お題「求婚の日」お借りしました。
⚠️年齢操作あり⚠️
二人ともおじいちゃんになってます
エンドロールに君の名を こはくが三十五になった年の春、法律が変わった。日本でも同性婚が認められることになった。
周囲はにわかに騒がしくなった。ある一組が結婚を発表すると、何組も駆け込むようにそれに続いた。
SNSでは終日、誰と誰が親しげであったからもうすぐ結婚するのではないかとか、仲の良い同性アイドルグループは世間に誤解を与えないように互いにもう少し距離を取るべきではないかとか、様々な意見が飛び交った。インターネットに慣れ親しんでいたこはくは、そのときはじめて自分からインターネットと距離を置いた。
こはくの周囲でも結婚報告はちらほらあった。どのカップルもこはくは笑顔で祝福した。良かったな、お幸せに、仲ええもんなぁ。そんなことを言ったような気がする。
2422周囲はにわかに騒がしくなった。ある一組が結婚を発表すると、何組も駆け込むようにそれに続いた。
SNSでは終日、誰と誰が親しげであったからもうすぐ結婚するのではないかとか、仲の良い同性アイドルグループは世間に誤解を与えないように互いにもう少し距離を取るべきではないかとか、様々な意見が飛び交った。インターネットに慣れ親しんでいたこはくは、そのときはじめて自分からインターネットと距離を置いた。
こはくの周囲でも結婚報告はちらほらあった。どのカップルもこはくは笑顔で祝福した。良かったな、お幸せに、仲ええもんなぁ。そんなことを言ったような気がする。
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DONEこは斑ワンドロワンライいつも開催ありがとうございます!
お題「夜更かし」お借りしました
いただきます 嫌な仕事だった。仕事だから嫌でもやった。
朝から雨が降っていた。静かに腹の探り合いをしたミーティング、癖のある煙草の匂い。媚びへつらうような笑い声と、こちらを品定めする蛇のような瞳が、すべてが片付いた深夜になっても頭から離れなかった。
一人、悪人が消えた。それだけの夜だった。
言葉少なに手配したビジネスホテルにチェックインすると、斑はこはくを置いて近くのコンビニに足を運び、適当に食糧を買い込んだ。カップ麺を二つ、おにぎりを四つ、ガムを一包み、ミントタブレットを一つ、水と緑茶を一本ずつ。
部屋に戻ると、想像より大荷物で現れたのだろう斑にこはくは目を丸くしたが、黙って備え付けのケトルでお湯を沸かし始めた。
1324朝から雨が降っていた。静かに腹の探り合いをしたミーティング、癖のある煙草の匂い。媚びへつらうような笑い声と、こちらを品定めする蛇のような瞳が、すべてが片付いた深夜になっても頭から離れなかった。
一人、悪人が消えた。それだけの夜だった。
言葉少なに手配したビジネスホテルにチェックインすると、斑はこはくを置いて近くのコンビニに足を運び、適当に食糧を買い込んだ。カップ麺を二つ、おにぎりを四つ、ガムを一包み、ミントタブレットを一つ、水と緑茶を一本ずつ。
部屋に戻ると、想像より大荷物で現れたのだろう斑にこはくは目を丸くしたが、黙って備え付けのケトルでお湯を沸かし始めた。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、いつも開催ありがとうございます!お題「まくらの日」お借りしました
お気に入りまくら こはくさんは俺のお尻が好きである。
このことに気がついたのは、出会ってから一年と少しが過ぎた頃だった。
俺たちは同じユニットの仲間として短くも濃い青春を過ごし、やがてその形を失いながらも、互いの手を離すことができずに距離感を探り探り共に過ごしていた。
寮の俺の部屋は同居人が三人もいてなかなかこはくさんを招くことはできなかったが、逆にこはくさんの部屋は簡単に二人の時間を作ることができる。もちろんジュンさんを交えてのんびり過ごすのも悪くないが、俺はこはくさんが「今日一人なんやけど」なんてメッセージをくれるのが楽しみで仕方がなかった。
この子の前では無理をしてテンションを上げる必要もないし、かまってほしいときはちょっかいをかければ、嫌そうな顔をしつつも応じてくれる。肩の力を抜いて、表情を取り繕わずにそばにいることのできる関係というのはありがたいものだ。
2858このことに気がついたのは、出会ってから一年と少しが過ぎた頃だった。
俺たちは同じユニットの仲間として短くも濃い青春を過ごし、やがてその形を失いながらも、互いの手を離すことができずに距離感を探り探り共に過ごしていた。
寮の俺の部屋は同居人が三人もいてなかなかこはくさんを招くことはできなかったが、逆にこはくさんの部屋は簡単に二人の時間を作ることができる。もちろんジュンさんを交えてのんびり過ごすのも悪くないが、俺はこはくさんが「今日一人なんやけど」なんてメッセージをくれるのが楽しみで仕方がなかった。
この子の前では無理をしてテンションを上げる必要もないし、かまってほしいときはちょっかいをかければ、嫌そうな顔をしつつも応じてくれる。肩の力を抜いて、表情を取り繕わずにそばにいることのできる関係というのはありがたいものだ。
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DONEこは斑ワンドロワンライ、今週も開催ありがとうございます!遅刻してしまいましたが、お題「駆け落ちの日」お借りしました。
初キスの話です。
その先を「駆け落ちの日」
「らしいで、今日」
「へえ。ちなみにこはくさん、意味はわかるかあ?」
「馬鹿にすんなや。今グーグル先生に聞いとる」
くすくすと肩を揺らして笑う斑は、ソファに深く身を沈めてテレビを見ていた。斑がどんなものを見るか、はじめこそ興味があったがこの男の見るものには一貫性がなかった。演劇を見ているときもあれば、ニュースを聞き流していることも、かと思えば動画投稿サイトに上げられたゲームの実況動画を見ていることもあった。
今日の気分は洋楽らしい。作り込まれたMVをただぼんやりと瞳に反射させながら、斑はこはくの言葉を待っている。
「えー……駆け落ち。とは。メリットとデメリットを調べてみました」
「ングッ、ふふっ、」
1387「らしいで、今日」
「へえ。ちなみにこはくさん、意味はわかるかあ?」
「馬鹿にすんなや。今グーグル先生に聞いとる」
くすくすと肩を揺らして笑う斑は、ソファに深く身を沈めてテレビを見ていた。斑がどんなものを見るか、はじめこそ興味があったがこの男の見るものには一貫性がなかった。演劇を見ているときもあれば、ニュースを聞き流していることも、かと思えば動画投稿サイトに上げられたゲームの実況動画を見ていることもあった。
今日の気分は洋楽らしい。作り込まれたMVをただぼんやりと瞳に反射させながら、斑はこはくの言葉を待っている。
「えー……駆け落ち。とは。メリットとデメリットを調べてみました」
「ングッ、ふふっ、」
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DONEこは斑ワンドロワンライ、今週も開催ありがとうございます!お題「クリスマス」お借りしました
幸福な不在証明 サンタクロースがよいこのもとへプレゼントを届けにやってくる。幼い斑は早々に、それを嘘だと見抜くことができた。
自分のところへプレゼントが届かないのは道理である。出来の悪い三毛縞の長男坊だ。サンタクロースなる人物だって、きっと自分にわざわざ贈り物など届けには来ないだろう。
しかし、奏汰のところへ来ないとはどういう了見だ。彼は確かに未熟であるし、できないことも多いけれど『よいこ』であるはずだ。
二人でこっそり読んだ絵本の中、クレヨンのようにぼんやりとしたタッチで描かれた白ひげの、恰幅の良い老人は奏汰のところへもやって来なかった。であるならば、これはただの嘘っぱち。伝説か、体のいいおとぎ話なのだ。
12月26日、11時24分。斑が目を覚ましたのはもう昼近く、日も高く上った時分であった。
2970自分のところへプレゼントが届かないのは道理である。出来の悪い三毛縞の長男坊だ。サンタクロースなる人物だって、きっと自分にわざわざ贈り物など届けには来ないだろう。
しかし、奏汰のところへ来ないとはどういう了見だ。彼は確かに未熟であるし、できないことも多いけれど『よいこ』であるはずだ。
二人でこっそり読んだ絵本の中、クレヨンのようにぼんやりとしたタッチで描かれた白ひげの、恰幅の良い老人は奏汰のところへもやって来なかった。であるならば、これはただの嘘っぱち。伝説か、体のいいおとぎ話なのだ。
12月26日、11時24分。斑が目を覚ましたのはもう昼近く、日も高く上った時分であった。
toaru_otaku_
DONEこは斑ワンドロワンライ今週も開催ありがとうございます〜!お題「こたつ」お借りしました!
ぬくまる 秋も深まりだした頃、こはくとジュンの寮室にこたつが設置された。
「まだ早いだろう」とか「いいなぁこたつ、うちの部屋も買わない?」だとか、様々な会話がちらほらと寮内でも成されたので斑も彼らの部屋のこたつの存在は早い段階で知ることになった。
やがて二人と親交のある面々が部屋を訪ねるようになった。遠目に、藍良や真、茨などの背中が彼らの部屋に消えていくのを見たことがある。藍良はアイドルグッズを、真はゲーム機器を、茨は仕事用だろうか、書類の束とPCを手に扉の向こうに消えていった。
そんな彼らの後ろ姿を見送りながら、斑は悶々とした日々を過ごすこととなった。
斑はこはくと恋人関係にある。ユニット解散後、二人で居心地の良い距離を探っていたらいつの間にかこうなっていた。
2255「まだ早いだろう」とか「いいなぁこたつ、うちの部屋も買わない?」だとか、様々な会話がちらほらと寮内でも成されたので斑も彼らの部屋のこたつの存在は早い段階で知ることになった。
やがて二人と親交のある面々が部屋を訪ねるようになった。遠目に、藍良や真、茨などの背中が彼らの部屋に消えていくのを見たことがある。藍良はアイドルグッズを、真はゲーム機器を、茨は仕事用だろうか、書類の束とPCを手に扉の向こうに消えていった。
そんな彼らの後ろ姿を見送りながら、斑は悶々とした日々を過ごすこととなった。
斑はこはくと恋人関係にある。ユニット解散後、二人で居心地の良い距離を探っていたらいつの間にかこうなっていた。