小麦子
DONEイエミオ④幕間のエピソードと③の後の話し。
煙草はハタチになってから!
くゆるおもいイエル達が拠点としている廃墟の屋上で、ミオリネは左右を見渡す。人気のないことを確認し、安いプラスチックの使い捨てライターを慣れない手つきでカチカチと鳴らす。苦労して点火した火は、咥えた煙草を焦がすばかりでなかなか燃え移ってくれない。
「あ、あれ?」
「吸いながらつけるんだよ」
背後から声がして、ミオリネは文字通り飛び上がった。
「…ったく、何してるんだ」
呆れた顔をしたイエルがミオリネを見下ろしていた。そのまま口に挟んでいた煙草をひょいと取り上げられる。
「かっ、返して!」
「返しても何も、俺のだろうが」
持ち主の留守中にジャンパーのポケットから拝借した煙草は、届かない位置まで掲げられてしまった。背の低いミオリネは、取り返そうと手を伸ばしてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
3098「あ、あれ?」
「吸いながらつけるんだよ」
背後から声がして、ミオリネは文字通り飛び上がった。
「…ったく、何してるんだ」
呆れた顔をしたイエルがミオリネを見下ろしていた。そのまま口に挟んでいた煙草をひょいと取り上げられる。
「かっ、返して!」
「返しても何も、俺のだろうが」
持ち主の留守中にジャンパーのポケットから拝借した煙草は、届かない位置まで掲げられてしまった。背の低いミオリネは、取り返そうと手を伸ばしてぴょんぴょんと飛び跳ねる。
はなねこ
DONEお待たせしました!お題箱にいただいたお題『イエミオでラブホテル行ってほしいです』より、ラブホに行くイエミオSSです(ほぼFASSです)
・全年齢向けです!
・オリキャラ出てきます!
・イエルがデレます!
・つきあってるのかな~つきあってないのかな~つきあってるのかな~くらいの距離感のふたりです!
・全年齢向けです!
少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
熱いお題をありがとうございました! 12250
pupupunopuuuu
DOODLEグエスレ『開ける扉、その向こうへ』
購入者限定後日談マンガ PART②
※描きあがり次第UPしていきます
本編に入れられなかったシャディクとミオリネのやりとりです 6
はなねこ
DONEおたすけさんのエスシャミちゃんのFASS(シャミver)です。アオハルきゅんきゅんなエスシャミちゃんはこちら
▷ https://www.pixiv.net/artworks/120343834
誘導尋問 いつものようにシャディクの部屋で一緒に宿題をしていると、
「ね、ミオリネ。水星ちゃんから聞いたけど、エランのこと『カッコいい』って言ったんだってね」
まるで明日の天気を訊ねるときのようなあっさりした口ぶりでシャディクが言った。
「は?」
(エランを? カッコいいって言った? わたしが?)
これっぽっちも心当たりがない。計算していた手を止めて、わたしは答える。
「言ってないわよ、そんなこと」
「おや、おかしいな」
シャープペンシルをくるりと回して、シャディクは意味ありげに目を細めた。
「先週、水星ちゃんと一緒にエランの練習試合を見にいったんだろ」
「ええ」
わたしは頷く。
確かに先週、ひとりで行くのは恥ずかしいから……とスレッタにお願いされて、あの子に連れられてテニス部の練習試合を見にいったけど――
1685「ね、ミオリネ。水星ちゃんから聞いたけど、エランのこと『カッコいい』って言ったんだってね」
まるで明日の天気を訊ねるときのようなあっさりした口ぶりでシャディクが言った。
「は?」
(エランを? カッコいいって言った? わたしが?)
これっぽっちも心当たりがない。計算していた手を止めて、わたしは答える。
「言ってないわよ、そんなこと」
「おや、おかしいな」
シャープペンシルをくるりと回して、シャディクは意味ありげに目を細めた。
「先週、水星ちゃんと一緒にエランの練習試合を見にいったんだろ」
「ええ」
わたしは頷く。
確かに先週、ひとりで行くのは恥ずかしいから……とスレッタにお願いされて、あの子に連れられてテニス部の練習試合を見にいったけど――
小麦子
MOURNINGホルダーifアンソロジー「Fanfare!!」に寄稿させて頂きました小説のボツシーンになります。ノートレットさんのお葬式を大捏造。
回想として使う予定だったので唐突に始まり、唐突に終わります。
眠れる森(ボツシーン)スペーシアンや長く宇宙で暮らしたアーシアンであっても、墓は地球にという者は多い。
ミオリネの母、ノートレット・レンブランもその類の人物であったようだ。
(─…勝手だな)
シャディクは冷えた心で思った。地球を犠牲に宇宙で甘い汁を吸っておいて、最期は地球に還りたいと望むのか。それはシャディクには珍しく、純粋な憤りの感情であった。周りの人間に悟られぬよう深く息を吸い込む。故人との面識はほとんどなかった。ミオリネと共にいる姿を何度か遠目に見かけたくらいで、ノートレットの人となりについて、シャディクは何も知らないに等しかった。だからこの感情も、ベネリットグループ総裁の妻という〝記号〟への怒りに過ぎないのだ。
白いカーネーションの花を献花台に置く。
3260ミオリネの母、ノートレット・レンブランもその類の人物であったようだ。
(─…勝手だな)
シャディクは冷えた心で思った。地球を犠牲に宇宙で甘い汁を吸っておいて、最期は地球に還りたいと望むのか。それはシャディクには珍しく、純粋な憤りの感情であった。周りの人間に悟られぬよう深く息を吸い込む。故人との面識はほとんどなかった。ミオリネと共にいる姿を何度か遠目に見かけたくらいで、ノートレットの人となりについて、シャディクは何も知らないに等しかった。だからこの感情も、ベネリットグループ総裁の妻という〝記号〟への怒りに過ぎないのだ。
白いカーネーションの花を献花台に置く。
はなねこ
TRAINING一連のふせったを小話にしました。ぱおーん🐘🍌・エグシスミの5人でグループ旅行にきたよ!(名前の並びはあいうえお順)
・旅行中だけどシャミはこっそりしっぽりやってるよ!(エグにばれてるよ。スにもばれてるかもよ)
・幼高現パロ設定だよ!(エグシは高3、スミは高2)
・宿泊しているコテージには個室のバスルーム以外に大人数で使える大浴場(天然温泉)があるよ! 3000
はなねこ
TRAINING『もちミオといっしょ』のファンアートSSです。シャディクさんともちミオさんがいっしょにタピオカ入りココナッツミルクを食べる(&ちょこっとワンクッションなことをする)おはなしです。 1534はなねこ
TRAININGゆなさんのチャイナもちミオさんのあまりのかわゆさにヨコシマな妄想が刺激されてぽちぽちした小話です(ちょっぴりヨコシマな内容です)パスワード:チャイナもちミオさんがもちもちしていたお菓子は○○だんご(ひらがな2文字) 728
はなねこ
DONEosoumenさんのイエ&シャのイラストとゆなさんのつぶやきを拝見して、じわじわ妄想をたぎらせた三次創作イエシャミオSSです。ちょっぴり匂わせるような描写があるのでワンクッションにしています。(おふたりのご厚意により公開許可をいただいております。ありがとうございます!!)
パスワード:bitelick 2727
はなねこ
DONE『レモネードボーイ・レモネードガール』春コミ/シャミプチオンリーお疲れ様でした!
スペースに立ち寄ってくださったりBOOTHを利用してくださったり誠にありがとうございます。新刊をお手に取ってくださった方へ御礼SSをご用意しました。(内容は健全シャミです)
パスワードを入力してお進みください。
パスワード:俺ミオ本の中でミオさんが隠したアレを見つけたシャディさん。五つ目に挙げた隠し場所はどこ? 1932
はなねこ
MEMO幼高現パロの設定メモです。ちまちま追記していきます。
幼なじみ高校生現パロ設定メモ【明日高(あすこう)】
シャディク、ミオリネ、スレッタ、エランが通う明日手柏高校の通称。わりとゆるやかな校風の公立の進学校。
シャミの家から歩いて通える距離。
制服は男女ともブレザー。
【シャディク&ミオリネ】
幼なじみだけど家が隣同士というわけではない。小学校の登校班が同じ、くらいのご近所さん。
幼少時より家族ぐるみのつきあいあり。
小学生まではそれぞれの家に預けられることもあった。プチお泊まり会。一緒にお風呂に入ったこともある。
【スレッタ】
高二。
高一の二学期に明日高へ編入。
好きな食べものは、れんこん。
スポーツ万能だが特別にこれをやりたいというものがなかったためミオリネに誘われて園芸部へ入部。当初は、誘われたのは『演芸部』で、「ミオリネさんは漫才の相方を探しているのかな」と思っていた。体を動かすことは好きなので、園芸部のスケジュールが合えば他部(主に運動部)の試合の助っ人として借り出されることもある。
949シャディク、ミオリネ、スレッタ、エランが通う明日手柏高校の通称。わりとゆるやかな校風の公立の進学校。
シャミの家から歩いて通える距離。
制服は男女ともブレザー。
【シャディク&ミオリネ】
幼なじみだけど家が隣同士というわけではない。小学校の登校班が同じ、くらいのご近所さん。
幼少時より家族ぐるみのつきあいあり。
小学生まではそれぞれの家に預けられることもあった。プチお泊まり会。一緒にお風呂に入ったこともある。
【スレッタ】
高二。
高一の二学期に明日高へ編入。
好きな食べものは、れんこん。
スポーツ万能だが特別にこれをやりたいというものがなかったためミオリネに誘われて園芸部へ入部。当初は、誘われたのは『演芸部』で、「ミオリネさんは漫才の相方を探しているのかな」と思っていた。体を動かすことは好きなので、園芸部のスケジュールが合えば他部(主に運動部)の試合の助っ人として借り出されることもある。
はなねこ
PROGRESSシャミプチオンリー新刊のおまけ本のサンプルです。ミオリネに生えちゃった猫耳を引っ込めようとするシャディクのおはなしです。成人向けですがサンプルは健全パートです(スレちゃんとサビ先生のパートです)
キャラメリゼキティ 窓から見える空は雲ひとつなく、『天高く』という言葉の通りどこまでも青く澄みきっています。ソアリングをする鳥達さながらに、学校全体が祭りに向かって上昇していくような――ロッカーの内側からも立ち込める熱気とざわめきに、肌がちりちりします。段ボールや模造紙やスプレー缶で埋め尽くされた廊下をえっちらおっちら駆け抜けて、たどりついた保健室。失礼しますと入室の言葉をそえるのも忘れて、わたしはガラリと戸を開けました。
「サビーナ先生! サビーナ先生、たいへんですっ!」
保健室の中ほどに置かれた丸テーブルに腰を下ろして、何やら難しそうな書類をまとめていたサビーナ先生が、顔を上げてわたしに視線を向けました。
「二年三組出席番号三十一番スレッタ・マーキュリー、廊下を走るな……と言いたいところだが、どうやら緊急事態のようだな。君の背中で眠っているのは同年同組出席番号三十六番ミオリネ・レンブランに見えるが……」
3305「サビーナ先生! サビーナ先生、たいへんですっ!」
保健室の中ほどに置かれた丸テーブルに腰を下ろして、何やら難しそうな書類をまとめていたサビーナ先生が、顔を上げてわたしに視線を向けました。
「二年三組出席番号三十一番スレッタ・マーキュリー、廊下を走るな……と言いたいところだが、どうやら緊急事態のようだな。君の背中で眠っているのは同年同組出席番号三十六番ミオリネ・レンブランに見えるが……」
小麦子
SPOILERドラマCDシャディクの幸福の感想レポのような何か。※途中ココ好きー!みたいな描き主の自我が強いです。
ほぼネタバレになってしまいそうなので、買った人向けでパスワードかけます。
パスはドラマCD内のシャディクのセリフ
「相談?⚪︎⚪︎だな」
漢字二文字
pupupunopuuuu
DOODLE2/2『最終回の向こう側』ご購入者様限定公開後日談。投稿サイズ上限の為2つに分けました💦1p〜グエスレ
『スレッタのかくしごと』
※本のラストから2日後位の話
10p〜シャディミオ
『ミオリネのねがいごと』
20p〜設定裏話等 11
pupupunopuuuu
DOODLE1/2『最終回の向こう側』ご購入者様限定公開後日談。投稿サイズ上限の為2つに分けました💦1p〜グエスレ
『スレッタのかくしごと』
※本のラストから2日後位の話
10p〜シャディミオ
『ミオリネのねがいごと』
18p〜設定裏話等 9
小麦子
DONEハロウィンネタ 2023*本編軸だけど謎時間軸
*付き合ってないシャディミオ
Happy Halloweenかぼちゃとおばけのアイシングクッキー。
ころりとしたキャラメル。
きらきらの包装紙に包まれたキャンディー。
女の子の夢を詰め込んだみたいな、パステルカラーのマカロン。
エトセトラ、エトセトラ。
おおよそ似つかわしくない色とりどりの菓子を抱えたシャディクを、ミオリネは普段の三割り増しの仏頂面で見上げた。
「…なによ、それ」
「ああ、これ?」
人好きのする顔でシャディクはにこりと笑う。その頭にはおもちゃの角まで付いている。
ハロウィンって知ってるかい?とシャディクはミオリネに尋ねた。
シャディクの話をまとめると、こうだ。
地球にはハロウィンというお祭りがあって、誰が言い出したかシャディクのクラスではそれに倣って、ちょっとした仮装やらお菓子をあげることが流行ってるらしい。
1937ころりとしたキャラメル。
きらきらの包装紙に包まれたキャンディー。
女の子の夢を詰め込んだみたいな、パステルカラーのマカロン。
エトセトラ、エトセトラ。
おおよそ似つかわしくない色とりどりの菓子を抱えたシャディクを、ミオリネは普段の三割り増しの仏頂面で見上げた。
「…なによ、それ」
「ああ、これ?」
人好きのする顔でシャディクはにこりと笑う。その頭にはおもちゃの角まで付いている。
ハロウィンって知ってるかい?とシャディクはミオリネに尋ねた。
シャディクの話をまとめると、こうだ。
地球にはハロウィンというお祭りがあって、誰が言い出したかシャディクのクラスではそれに倣って、ちょっとした仮装やらお菓子をあげることが流行ってるらしい。
はなねこ
TRAININGハッピーハロウィンなシャディミオ小話です(幼高現パロ設定)ストロベリー・サイクロン お邪魔しますと家に入って早々に「すぐにあんたの部屋へ行くわ。待ってて」と言い残し、大きなバッグを抱えた恋人が客間として使用している和室に籠ってから数分後、俺の自室の扉をノックする音に続いて、
「トリック・オア・トリート!」
ハッピー・ハロウィンしにきてあげたわよ、と、とんがり帽子の可愛い魔女が姿を見せた。
「やあ、ミオリネ。五分ぶりだね」
ハッピー・ハロウィンと、用意していたフルーツキャンディを差し出しながら、「その格好は?」と言葉を継ぐ。
「東の悪い魔女よ」
フルーツキャンディをぱくりと口に放り込み、ミオリネがくるりと回る。膝丈のスカートの裾がふわりと翻る。
黒いとんがり帽子、黒いパフスリーブドレス、白と黒のボーダー柄タイツをまとう姿は、絵本の中から飛び出してきたと思えるほどキュートだ。
941「トリック・オア・トリート!」
ハッピー・ハロウィンしにきてあげたわよ、と、とんがり帽子の可愛い魔女が姿を見せた。
「やあ、ミオリネ。五分ぶりだね」
ハッピー・ハロウィンと、用意していたフルーツキャンディを差し出しながら、「その格好は?」と言葉を継ぐ。
「東の悪い魔女よ」
フルーツキャンディをぱくりと口に放り込み、ミオリネがくるりと回る。膝丈のスカートの裾がふわりと翻る。
黒いとんがり帽子、黒いパフスリーブドレス、白と黒のボーダー柄タイツをまとう姿は、絵本の中から飛び出してきたと思えるほどキュートだ。
はなねこ
TRAINING現パロ設定、旅先で朝ごはんを食べるシャディミオ小話です。書き進める内にいつのまにか結婚してました。どうやら学生結婚のようです。せかいでいちばん「世界一の朝ごはんを食べに行くわよ」
いつもならどんなに遅くても期限の五日前には課題の提出を済ませているミオリネが、「講義はおもしろいけど、本人はどうもいけすかないのよね」とこぼしていた教授より課せられたレポートをタイムリミット五分前にアップロードしてから数時間後、『世界一の朝食』を食べるために、俺達は自宅から六百キロメートルほど離れた場所に在る、とあるホテルを訪れていた。
*
時間は少し遡り、本日午後三時過ぎのこと。
ノートPCのふたを閉めて伸びをするミオリネに「お疲れ様」とホットレモネードのマグを差し出す。疲労回復を助けるハチミツ入りだ。
「レポート、めずらしく手こずっていたみたいだね」
ありがと、とマグを受け取りながらミオリネが肩をすくめる。
5440いつもならどんなに遅くても期限の五日前には課題の提出を済ませているミオリネが、「講義はおもしろいけど、本人はどうもいけすかないのよね」とこぼしていた教授より課せられたレポートをタイムリミット五分前にアップロードしてから数時間後、『世界一の朝食』を食べるために、俺達は自宅から六百キロメートルほど離れた場所に在る、とあるホテルを訪れていた。
*
時間は少し遡り、本日午後三時過ぎのこと。
ノートPCのふたを閉めて伸びをするミオリネに「お疲れ様」とホットレモネードのマグを差し出す。疲労回復を助けるハチミツ入りだ。
「レポート、めずらしく手こずっていたみたいだね」
ありがと、とマグを受け取りながらミオリネが肩をすくめる。
はなねこ
TRAINING幼少シャミがタルトタタンを食べるおはなしの続きです。蜜月予行練習・番外編 コーヒーハウスを出ると、西の空ではオレンジを溶かしたような陽が傾き始めていた。
そろそろホテルへ戻る時間だ。
大通りに向かって歩道を数メートル進んだところで、俺は隣を歩くミオリネの歩き方がぎこちないことに気がついた。たくさん歩いたので疲れたのかなと思ったけれど、どうやらそうではないようだ。ひょこひょこと左足をかばうような歩き方が気にかかり、歩みを止める。
「な、何よ、急に立ち止まらないでよ」
「ごめん。――ね、ミオリネ。ちょっと足を見せて」
「え」
歩道の端へ寄り、俺はミオリネの足もとに膝をついた。不思議の国のアリスが履いているようなエナメル素材のストラップシューズは髪飾りのリボンとおそろいの黒色で、のぞき込む俺の輪郭を表面に映し出すほど滑らかだ。
3718そろそろホテルへ戻る時間だ。
大通りに向かって歩道を数メートル進んだところで、俺は隣を歩くミオリネの歩き方がぎこちないことに気がついた。たくさん歩いたので疲れたのかなと思ったけれど、どうやらそうではないようだ。ひょこひょこと左足をかばうような歩き方が気にかかり、歩みを止める。
「な、何よ、急に立ち止まらないでよ」
「ごめん。――ね、ミオリネ。ちょっと足を見せて」
「え」
歩道の端へ寄り、俺はミオリネの足もとに膝をついた。不思議の国のアリスが履いているようなエナメル素材のストラップシューズは髪飾りのリボンとおそろいの黒色で、のぞき込む俺の輪郭を表面に映し出すほど滑らかだ。
はなねこ
TRAININGシャディミオハネムーンで書いた幼高現パロ時空の幼少シャミ小話のシャミ視点です。ミオへの愛が重たくて若干面倒くさいシャディくん11歳です。蜜月予行練習(sideS) カラメル状になるまで煮詰められたりんごは、フォークを刺そうとするだけで崩れてしまいそうなほど柔らかい。ひと口サイズに切り分けたタルトタタンをぱくりと頬張ると、ほろ苦くて甘酸っぱい風味が口いっぱいに広がった。おいしくて幸せで自然と笑みがこぼれる。君とおそろいだね。
こんなにおいしいタルトタタンならひとりで食べてもおいしくいただけるのだろうけど、きっと物足りなさを感じたはずだ。味のうえでも、気持ちのうえでも、満たされなかったはずだ。こんなにおいしいタルトタタンを俺ひとりで食べるのは勿体ない、君にも食べてほしい――そう思ったはずだ。
だから、今日は君と一緒でよかった。
唇の端にヨーグルトソースがついていることに気づかないほど夢中になってタルトタタンをぱくつく君を見られてよかった。おいしいものを食べて幸せでたまらないというふうに目を輝かせる君を見られてよかった。
2232こんなにおいしいタルトタタンならひとりで食べてもおいしくいただけるのだろうけど、きっと物足りなさを感じたはずだ。味のうえでも、気持ちのうえでも、満たされなかったはずだ。こんなにおいしいタルトタタンを俺ひとりで食べるのは勿体ない、君にも食べてほしい――そう思ったはずだ。
だから、今日は君と一緒でよかった。
唇の端にヨーグルトソースがついていることに気づかないほど夢中になってタルトタタンをぱくつく君を見られてよかった。おいしいものを食べて幸せでたまらないというふうに目を輝かせる君を見られてよかった。
小麦子
DONEイエミオ②①の続き。ミオリネ視点
少年と銀の迷い猫テントの入り口に立ち、声をかけようとして、口をつぐむ。もう何度か繰り返した生産性のないこの行為に終わりを見出せなくなり、ミオリネは立ち尽くしていた。
(だって、なんて言えばいいのよ…)
自覚する自分の幼稚さに辟易する。
昨夜のことだってそうだ。歩道が整備されているフロントと違って、雑多に行き交う人混みの動線に酔ってしまったとはいえ、レネ達とはぐれてしまったのは自分の落ち度だ。
治安がいいとは言えない土地で一人になってしまい慌てていたところ、雑踏に紛れて見慣れた柔らかな金髪が路地裏に入って行くのを見つけたミオリネはほっとしたのだ。
だが、かけようとした声は、見知らぬ女と親しげに話す彼を見て凍ってしまった。
二人の影が重なりそうになるのを見て、自分でも説明出来ない理不尽に怒り出したくなるような、泣きたくなるような感情が湧き上がりその場を逃げ出してしまったのだった。
3639(だって、なんて言えばいいのよ…)
自覚する自分の幼稚さに辟易する。
昨夜のことだってそうだ。歩道が整備されているフロントと違って、雑多に行き交う人混みの動線に酔ってしまったとはいえ、レネ達とはぐれてしまったのは自分の落ち度だ。
治安がいいとは言えない土地で一人になってしまい慌てていたところ、雑踏に紛れて見慣れた柔らかな金髪が路地裏に入って行くのを見つけたミオリネはほっとしたのだ。
だが、かけようとした声は、見知らぬ女と親しげに話す彼を見て凍ってしまった。
二人の影が重なりそうになるのを見て、自分でも説明出来ない理不尽に怒り出したくなるような、泣きたくなるような感情が湧き上がりその場を逃げ出してしまったのだった。
小麦子
DONEイエミオ①シャディクがグラスレーに拾われずにイエルとして生きたifルート。
給食さんのイエミオをベースに自分設定盛り込んだ、四次創作。
*イエル(シャディク)がモブ女と絡みます。
紫煙と銀の迷い猫雑多な空気は気怠げな紫煙を纏っている。
少々いかがわしい店が建ち並ぶ路地裏で、イエルは女から頼んでいた物を受け取り、中身を確かめると着古した上着のポケットに捩じ込んだ。
「いつもありがとな」
「いいのよ。イエルの頼みだもの」
女は紅い口紅をひいた唇で、艶やかな笑みを返す。彼女はイエルの古い馴染みの娼婦で、時折こうして情報や物資を流してくれていた。
「それより、今日は寄ってかないの?」
スルリと慣れた手つきで女はイエルの肩に手を回した。女性特有の柔らかな肢体が密着する。大きく開いた胸元から押し付けられて形を変えた谷間が見えて、視線を上に泳がす。
「あー…」
正直、そういった欲はあった。
いつもなら礼も兼ねて一晩付き合う所だが、今夜は何故か気乗りしなかった。
2499少々いかがわしい店が建ち並ぶ路地裏で、イエルは女から頼んでいた物を受け取り、中身を確かめると着古した上着のポケットに捩じ込んだ。
「いつもありがとな」
「いいのよ。イエルの頼みだもの」
女は紅い口紅をひいた唇で、艶やかな笑みを返す。彼女はイエルの古い馴染みの娼婦で、時折こうして情報や物資を流してくれていた。
「それより、今日は寄ってかないの?」
スルリと慣れた手つきで女はイエルの肩に手を回した。女性特有の柔らかな肢体が密着する。大きく開いた胸元から押し付けられて形を変えた谷間が見えて、視線を上に泳がす。
「あー…」
正直、そういった欲はあった。
いつもなら礼も兼ねて一晩付き合う所だが、今夜は何故か気乗りしなかった。
はなねこ
TRAININGひとくちいかが/幼高現パロのシャミ小話です。ひとくちいかが みなさん、こんにちは。スレッタ・マーキュリーです。
今日は新入生勧誘会の日です。いわゆる部活動見学会です。通常の授業は午前中までで、午後からは部活動の見学に来た新入生のみなさんに各部が活動内容を紹介する時間になります。
勧誘会は毎年四月半ばに開催され、新入生はその後二週間以内に希望する部の入部希望届けを出すというスケジュールになっています。どの部も部員獲得に必死なので勧誘会で何をするのか詳細はギリギリまで伏せられていることが多いのですが、伝え聞いた話によると、たとえばバスケットボール部は中庭でスリーオンスリーのゲームを、サッカー部はグラウンドで無限リフティングを、吹奏楽部は音楽室で演奏会を、科学部は理科室で水素を使った実験を……といった具合に、各部それぞれに特色を活かしたパフォーマンスを披露して新入生を勧誘するそうです。
5246今日は新入生勧誘会の日です。いわゆる部活動見学会です。通常の授業は午前中までで、午後からは部活動の見学に来た新入生のみなさんに各部が活動内容を紹介する時間になります。
勧誘会は毎年四月半ばに開催され、新入生はその後二週間以内に希望する部の入部希望届けを出すというスケジュールになっています。どの部も部員獲得に必死なので勧誘会で何をするのか詳細はギリギリまで伏せられていることが多いのですが、伝え聞いた話によると、たとえばバスケットボール部は中庭でスリーオンスリーのゲームを、サッカー部はグラウンドで無限リフティングを、吹奏楽部は音楽室で演奏会を、科学部は理科室で水素を使った実験を……といった具合に、各部それぞれに特色を活かしたパフォーマンスを披露して新入生を勧誘するそうです。
はなねこ
TRAINING幼高現パロ時空の幼少期シャディミオ小話です。学芸会の話題をもってきたかったので幼少期にしましたが、シャミどちらもませています。ねむり姫またはいばら姫 ちょっとした事情でレンブラン家に身を寄せることになったその週末、夕食後にミオリネが持ち出してきたのはアニメーション映画のブルーレイディスクだった。
聞けば、「あんたと一緒に見ようと思っていたの」とのこと。何でも来月開催される学芸会で、五年生の出し物である劇の主役のひとり(前半後半で交代するWキャスト)に抜擢されたらしい(ちなみに、六年生の出し物は合奏だ)。例の映画はその件に深く関わりがあるそうだ。
「ふうん。五年生は何の劇をするんだい?」
「『眠れる森の美女』よ」
ミオリネがばーんと掲げて見せたブルーレイディスクのパッケージにも同じタイトルが書かれている。
「劇に向けて予習しておくの」
ミオリネがふふんと笑う。ということは、
2337聞けば、「あんたと一緒に見ようと思っていたの」とのこと。何でも来月開催される学芸会で、五年生の出し物である劇の主役のひとり(前半後半で交代するWキャスト)に抜擢されたらしい(ちなみに、六年生の出し物は合奏だ)。例の映画はその件に深く関わりがあるそうだ。
「ふうん。五年生は何の劇をするんだい?」
「『眠れる森の美女』よ」
ミオリネがばーんと掲げて見せたブルーレイディスクのパッケージにも同じタイトルが書かれている。
「劇に向けて予習しておくの」
ミオリネがふふんと笑う。ということは、
はなねこ
TRAINING謎時空幼少期シャディミオ小話です。パイロット 誰かに名前を呼ばれたような気がして、わたしはまぶたを持ち上げた。
どっしりと重いカーテンが掛かった窓の向こうから、ざざ……と打ち寄せる波の音が聞こえてくる。
そうだ、ここは家じゃない。わたしの部屋じゃない。
今は休暇中で、数日前から家族に連れられて海沿いにあるグループの別荘へ来ていることを、わたしは思い出した。
今夜もパーティーで、退屈な挨拶ばかりさせられて(何年も先の話なんて知らないわ!)、でもお客様の中に見知った顔があったからそれなりに楽しくて。
ゆっくり首を動かしベッドサイドへ目を向ける。そこには、同じこども部屋のひとつ隣のベッドで眠っていたはずのシャディクが、パジャマ姿のまま立っていた。
2604どっしりと重いカーテンが掛かった窓の向こうから、ざざ……と打ち寄せる波の音が聞こえてくる。
そうだ、ここは家じゃない。わたしの部屋じゃない。
今は休暇中で、数日前から家族に連れられて海沿いにあるグループの別荘へ来ていることを、わたしは思い出した。
今夜もパーティーで、退屈な挨拶ばかりさせられて(何年も先の話なんて知らないわ!)、でもお客様の中に見知った顔があったからそれなりに楽しくて。
ゆっくり首を動かしベッドサイドへ目を向ける。そこには、同じこども部屋のひとつ隣のベッドで眠っていたはずのシャディクが、パジャマ姿のまま立っていた。
はなねこ
TRAININGハム式さんのを見てふと思った全校集会前日のシャミっぽいもの(スミの会話文にちょこっと追記しました)ぼくのTシャツ、わたしのTシャツ 歩道橋の上から幕張メッセを見渡して、明日はこんなに大きな会場で全校集会をするんだなあと感慨にふけっていると、隣から深いため息が聞こえてきました。
「本番は明日だってのに会場入りするだけじゃなくてもうTシャツ着てるとか、あんた本当に気ぃ早すぎ」
「そういうミオリネさんも、足もとに置いたバッグの中にTシャツを入れてるじゃないですか……ってあれれ?」
かばんからのぞく白いTシャツに視線を落として、わたしは首を捻りました。
「Tシャツの色が違う? ミオリネさんのってネイビーでしたよね。それにサイズがLサイズ……?」
一瞬息を飲んだあと、ミオリネさんは足もとのかばんをひったくるようにしてわたしの目から隠しました。
1757「本番は明日だってのに会場入りするだけじゃなくてもうTシャツ着てるとか、あんた本当に気ぃ早すぎ」
「そういうミオリネさんも、足もとに置いたバッグの中にTシャツを入れてるじゃないですか……ってあれれ?」
かばんからのぞく白いTシャツに視線を落として、わたしは首を捻りました。
「Tシャツの色が違う? ミオリネさんのってネイビーでしたよね。それにサイズがLサイズ……?」
一瞬息を飲んだあと、ミオリネさんは足もとのかばんをひったくるようにしてわたしの目から隠しました。
はなねこ
DOODLE謎時空(おそらく幼高現パロ時空)のシャミに関するガールズ+ミオの会話文です。ほぼメモです。「シャとミって頭文字と性癖が逆っぽいよね」な話にもっていきたかったのですが、今回はそこまでたどり着けず。ほぼメモです。 777
はなねこ
TRAINING幼なじみ高校生現パロのシャディミオ小話です。いちゃいちゃしてます。シナモンオレンジ「シャディク! わたしと勝負しなさい!」
ひとつ年下の幼なじみが何かしらの勝負ごとを仕掛けてくるときは、あの薄い腹の内に何かしらの企みごとを含ませているときだ。
「わたしが勝ったら、わたしのいうこと何でも聞くのよ」とミオリネが持ちかけてくるのは、ときにカードゲームだったりときにボードゲームだったり日によってまちまちだが、対戦成績は今のところほぼイーブン。つまり、百発必中で彼女の目論見通りにことが進んでいるというわけでもない。二回に一回――少なくとも三回に一回は、彼女は敗者にまわり、企みごとは口に出されることなく次の勝負へ持ち越される。
俺にできる範囲であるならば彼女の望みはできるだけ叶えてあげたいと思うし、負けることは容易いけれど、勝負に手を抜こうものならミオリネは途端に不機嫌になることも知っているから(たまに『あんたが勝ったらあんたのいうこと何でも聞いてあげるわ』なんて条件が付加されるものだから)、なかなかどうして一筋縄ではいかないものだ。
1440ひとつ年下の幼なじみが何かしらの勝負ごとを仕掛けてくるときは、あの薄い腹の内に何かしらの企みごとを含ませているときだ。
「わたしが勝ったら、わたしのいうこと何でも聞くのよ」とミオリネが持ちかけてくるのは、ときにカードゲームだったりときにボードゲームだったり日によってまちまちだが、対戦成績は今のところほぼイーブン。つまり、百発必中で彼女の目論見通りにことが進んでいるというわけでもない。二回に一回――少なくとも三回に一回は、彼女は敗者にまわり、企みごとは口に出されることなく次の勝負へ持ち越される。
俺にできる範囲であるならば彼女の望みはできるだけ叶えてあげたいと思うし、負けることは容易いけれど、勝負に手を抜こうものならミオリネは途端に不機嫌になることも知っているから(たまに『あんたが勝ったらあんたのいうこと何でも聞いてあげるわ』なんて条件が付加されるものだから)、なかなかどうして一筋縄ではいかないものだ。
はなねこ
TRAINING幼高現パロ設定のスミちゃんが下着を買いに行く小話です(正確には下着を買いに行く前と買いに行った後の小話です)シャディミオ前提ですがシャさんは登場しません。いろいろ好き勝手に書いてますのでご注意ください。プッシュアップガールズ 体育の授業が終わり、更衣室で体操服から制服へ着替えているときのことです。
先ほどから妙に熱い視線を感じるな……と思っていたのですが、視線の主は、わたしの隣で着替えをしているミオリネさんでした。熱い視線はどうやらわたしの胸もとへ注がれているようです。
「ミオリネさん、どうかしましたか? ――ほわわっ!」
思わず変な叫び声を上げてしまったのには理由があります。ミオリネさんが突然わたしの背中ヘ腕を回し、ぎゅむっと抱きついてきたからです。
「ミ、ミミミ、ミオリネさんんん?」
「この弾力……この張り……この谷間……間違いないわ」
ブラジャーの上にキャミソールをまとっただけのわたしの胸もとへ顔を埋めながらミオリネさんがぶつぶつつぶやいています。
2366先ほどから妙に熱い視線を感じるな……と思っていたのですが、視線の主は、わたしの隣で着替えをしているミオリネさんでした。熱い視線はどうやらわたしの胸もとへ注がれているようです。
「ミオリネさん、どうかしましたか? ――ほわわっ!」
思わず変な叫び声を上げてしまったのには理由があります。ミオリネさんが突然わたしの背中ヘ腕を回し、ぎゅむっと抱きついてきたからです。
「ミ、ミミミ、ミオリネさんんん?」
「この弾力……この張り……この谷間……間違いないわ」
ブラジャーの上にキャミソールをまとっただけのわたしの胸もとへ顔を埋めながらミオリネさんがぶつぶつつぶやいています。
はなねこ
TRAINING謎時空シャディミオ小話です。Twitterにあげたものに少し追記しています。エスケープ ちょっとこっちと袖を引かれて連れていかれた先は、招待客の控え室として提供されている幾つかの部屋の内の一室だった。部屋の隅に置かれた、規則正しく振り子を振る柱時計に目をやる。開宴してまもなく二時間が経過しようとしていた。宴たけなわな今となっては、浮つくばかりの喧騒から遠ざかろうとする者などひとりもいやしない――俺達ふたりを除いては。
こんな人気のない場所――それも、パーティー会場から一番離れた部屋に俺を連れ出すなんて、もしや逢い引きでもしようって魂胆かい?
「は? バカ?」
予想通りの一蹴がいっそ清々しいくらいだ。
「人に酔ったの。視線に酔ったの。何なのよ、あいつら、ひとのこと舐めるような目で見やがって。キモいキモいキモいキモすぎっ! 気持ち悪いったらないわ」
1616こんな人気のない場所――それも、パーティー会場から一番離れた部屋に俺を連れ出すなんて、もしや逢い引きでもしようって魂胆かい?
「は? バカ?」
予想通りの一蹴がいっそ清々しいくらいだ。
「人に酔ったの。視線に酔ったの。何なのよ、あいつら、ひとのこと舐めるような目で見やがって。キモいキモいキモいキモすぎっ! 気持ち悪いったらないわ」
はなねこ
TRAINING『アレを買いにいく話』幼なじみ高校生現パロのシャディミオ小話です。シャディミオですがシャさんは出てきません。ミオさんとスレちゃんのガールズショッピング回です。ネタがネタなのでワンクッション&パスワード制にしています。
パスワード:アレとは何?(カタカナ5文字)
ヒント:○○○ー○ 1000
はなねこ
TRAINING幼なじみ高校生現パロのシャディミオ小話です。バレンタインネタ第4話(最終話)です。バレンタインシャミSS、これにて完結です!!めちゃくちゃ楽しんで書きました。読んでくださってありがとうございました!!
ミオリネ・レンブランの冒険4 夢をみた。
ここは、九歳のわたしの部屋。
お人形のようなベッドに九歳のわたしが潜り込んでいる。小さく小さく、みの虫みたいに身を縮こまらせている。
わたしが作った生焼けブラウニーを食べて、シャディクがお腹を壊しちゃった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
シャディクに謝りたい。
でも、勇気がない。
シャディクに会いに行く勇気がない。
「君なんて大嫌いだ。絶対許さない」
シャディクにそう言われるのがこわい。
ああ、でも。
今頃、シャディクは痛くて苦しくて、夜も眠れないかもしれない。
わたしのせいで。
わたしがブラウニーを作ろうなんて思いついたせいで。
ごめんなさい。ごめん、ごめんねシャディク。
8885ここは、九歳のわたしの部屋。
お人形のようなベッドに九歳のわたしが潜り込んでいる。小さく小さく、みの虫みたいに身を縮こまらせている。
わたしが作った生焼けブラウニーを食べて、シャディクがお腹を壊しちゃった。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
ごめんなさい。
シャディクに謝りたい。
でも、勇気がない。
シャディクに会いに行く勇気がない。
「君なんて大嫌いだ。絶対許さない」
シャディクにそう言われるのがこわい。
ああ、でも。
今頃、シャディクは痛くて苦しくて、夜も眠れないかもしれない。
わたしのせいで。
わたしがブラウニーを作ろうなんて思いついたせいで。
ごめんなさい。ごめん、ごめんねシャディク。
はなねこ
TRAINING幼なじみ高校生現パロのシャディミオ小話です。バレンタインネタ第3話です。あと1話で完結予定です。一部グララジ要素を含みます(どうしてもこの台詞を入れたくて!!!!)ミオリネ・レンブランの冒険3 二月十四日の朝、教室で顔を合わせるなり、スレッタは興奮した面持ちでわたしに駆け寄ってきた。
「ミオリネさん、おはようございます!」
「いよいよ決戦のバレンタインですね」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「クッキー、ちゃんと持ってきましたよね。お家に忘れちゃったりしてませんよね」
矢継ぎ早にたたみかけてくるスレッタを「ちょっと、落ち着きなさいよ」と宥める。「子どもじゃないんだから」
カーディガンの肩をすくめて、スレッタがてへっと舌を出す。
「ミオリネさんがバレンタインに前向きになってくれたことが嬉しくて」
――そう。遡ること三日前の金曜日、シャディクと別れた後、わたしはスレッタに連絡し、日曜日にスレッタの家でチョコレートを作る約束を取りつけたのだ(『というわけで、あんたの家に行くからよろしく』『ええええわたしの家でですか?』『誘ったのはあんたなんだから責任取りなさいよね』みたいなやりとりがあったとかなかったとか)。なりゆきとはいえ、友達の家でお菓子を作るなんて初めてだったから、わたしはちょっとドキドキしていた。
6376「ミオリネさん、おはようございます!」
「いよいよ決戦のバレンタインですね」
「昨夜はよく眠れましたか?」
「クッキー、ちゃんと持ってきましたよね。お家に忘れちゃったりしてませんよね」
矢継ぎ早にたたみかけてくるスレッタを「ちょっと、落ち着きなさいよ」と宥める。「子どもじゃないんだから」
カーディガンの肩をすくめて、スレッタがてへっと舌を出す。
「ミオリネさんがバレンタインに前向きになってくれたことが嬉しくて」
――そう。遡ること三日前の金曜日、シャディクと別れた後、わたしはスレッタに連絡し、日曜日にスレッタの家でチョコレートを作る約束を取りつけたのだ(『というわけで、あんたの家に行くからよろしく』『ええええわたしの家でですか?』『誘ったのはあんたなんだから責任取りなさいよね』みたいなやりとりがあったとかなかったとか)。なりゆきとはいえ、友達の家でお菓子を作るなんて初めてだったから、わたしはちょっとドキドキしていた。