tohli
DONEhttps://poipiku.com/IllustDetailPcV.jsp?ID=1068593&TD=7331813このフェムレオと同じ世界線
アリギュラとフェムトの会話断章リターンズ
フェムレオ?
ever after「僕はあの子を愛してもいないしあの子に恋してもいないよ」
街角のオープンカフェの一角。白いテーブルの上には薫り高い紅茶のカップがふたつ。テーブルを挟み向かい合うのは、仮面をつけた男と同じく半顔を覆う仮面をつけた少女だ。
ティーカップの細い持ち手に指を添えたまま、男はうんざりしたようにそう言い放った。
向かい合う少女はその返答に不満げだ。期待していたような楽しい話ではなかったから。
浮かれときめき道化になるようなとびっきりのコイバナを聞けるんじゃないかと思っていたのに。
テーブルの上に顎を乗せ、ぷーと頬を膨らませて不満げだ。
「そんなのつまんなーい」
「別にあの子の幸せを願ってもいないし相手を想って心躍らせ眠れない夜を過ごしたことも……も?」
699街角のオープンカフェの一角。白いテーブルの上には薫り高い紅茶のカップがふたつ。テーブルを挟み向かい合うのは、仮面をつけた男と同じく半顔を覆う仮面をつけた少女だ。
ティーカップの細い持ち手に指を添えたまま、男はうんざりしたようにそう言い放った。
向かい合う少女はその返答に不満げだ。期待していたような楽しい話ではなかったから。
浮かれときめき道化になるようなとびっきりのコイバナを聞けるんじゃないかと思っていたのに。
テーブルの上に顎を乗せ、ぷーと頬を膨らませて不満げだ。
「そんなのつまんなーい」
「別にあの子の幸せを願ってもいないし相手を想って心躍らせ眠れない夜を過ごしたことも……も?」
tohli
DOODLE無配のサンプルいるのかいるの?
スティレオほくろネタの冒頭です
10/27の無配の冒頭 気だるく火照った頬に、かえられたばかりのシーツの肌触りが気持ちいい。
シャワーを浴びに行く余力もないレオナルドの体を拭き清めてくれたスティーブンは、パジャマの下衣だけを身に着けた姿でベッドの縁に腰を下ろしていた。まだ濡れているらしい髪をタオルで拭いながら、片手でスマートフォンを見ていた。
照明を落とした寝室の中、画面の明かりがスティーブンの顔を下から照らしている。
(……ちょっとホラー)
なんの案件なのか知らないけれど、すこし物騒な笑みを口の端に乗せている横顔にそれでもかっこいい人だなとレオナルドは見惚れた。
シーツに懐きながらスティーブンを見上げる視線に気がついたのか、振り返り目元をたわめて笑う。物騒さは影を潜め、恋人を見つめる優しさだけになる。
1110シャワーを浴びに行く余力もないレオナルドの体を拭き清めてくれたスティーブンは、パジャマの下衣だけを身に着けた姿でベッドの縁に腰を下ろしていた。まだ濡れているらしい髪をタオルで拭いながら、片手でスマートフォンを見ていた。
照明を落とした寝室の中、画面の明かりがスティーブンの顔を下から照らしている。
(……ちょっとホラー)
なんの案件なのか知らないけれど、すこし物騒な笑みを口の端に乗せている横顔にそれでもかっこいい人だなとレオナルドは見惚れた。
シーツに懐きながらスティーブンを見上げる視線に気がついたのか、振り返り目元をたわめて笑う。物騒さは影を潜め、恋人を見つめる優しさだけになる。
tohli
DONEリクエスト受付した「墓の下で君を待つよ」のスティレオです
kiss me それは一つの呪いだった。一つから分かたれて街に広がった呪いは、無差別に人に取り付いた。
額に現れた呪印は、呪いの親切さの現れだった。誰が呪われたのかをわかりやすく示し、すぐにその場を離れそして呪われたものの末路を見届けろという、その親切さの。
全力で解呪方法を調べられてはいたが、まだ答えは出ていない。
額に現れた呪印にはもう一つ親切にも、カウントダウン表示まである。一つ一つ消えていく文様が最期の一つが消えた時、呪いを受けたものは四散する。
「墓の下で君を待つよ」
額に呪印を宿したスティーブンはそう笑うと、傍で青褪めていた恋人の腕を離し立ち上がった。
呪印の文様はもう残り一つ。スティーブンが地上から消え去るまでは数えるほどしか時間は残っていない。
1471額に現れた呪印は、呪いの親切さの現れだった。誰が呪われたのかをわかりやすく示し、すぐにその場を離れそして呪われたものの末路を見届けろという、その親切さの。
全力で解呪方法を調べられてはいたが、まだ答えは出ていない。
額に現れた呪印にはもう一つ親切にも、カウントダウン表示まである。一つ一つ消えていく文様が最期の一つが消えた時、呪いを受けたものは四散する。
「墓の下で君を待つよ」
額に呪印を宿したスティーブンはそう笑うと、傍で青褪めていた恋人の腕を離し立ち上がった。
呪印の文様はもう残り一つ。スティーブンが地上から消え去るまでは数えるほどしか時間は残っていない。
tohli
DONE部下の相談に乗るいい上司がかわいそうな話フェムレオ。
部下の相談にはもうのらない「友達と、その、き……キスしちゃったこととかって」
なにやらもそもそ指をこねくり回しながら少年が相談してくるから何事かと思えばそんな話だった。
スティーブンは苦笑すると、「そんなこともあるだろう」と受け流した。
スティーブンの言葉に何処かホッとした様子のレオナルドは「そうっすよね!」と元気を取り戻す。
さては寄った勢いか遊んでてテンション上がりすぎでもしたか、友人と事故があったらしい。
若い頃にはよくあることだ。
そんな相談があってしばらくしたある日。
二日酔いなのか頭を抱えて項垂れていたレオナルドが、小さくくしゃみをした。
風邪か? と聞けば昨日裸で寝ちゃって、という。
「スティーブンさん、そういう……ええと、起きたら裸だったとか、そういえことしたことなさそうですよね」
2966なにやらもそもそ指をこねくり回しながら少年が相談してくるから何事かと思えばそんな話だった。
スティーブンは苦笑すると、「そんなこともあるだろう」と受け流した。
スティーブンの言葉に何処かホッとした様子のレオナルドは「そうっすよね!」と元気を取り戻す。
さては寄った勢いか遊んでてテンション上がりすぎでもしたか、友人と事故があったらしい。
若い頃にはよくあることだ。
そんな相談があってしばらくしたある日。
二日酔いなのか頭を抱えて項垂れていたレオナルドが、小さくくしゃみをした。
風邪か? と聞けば昨日裸で寝ちゃって、という。
「スティーブンさん、そういう……ええと、起きたら裸だったとか、そういえことしたことなさそうですよね」
tohli
DONEレオナルド死神パラレル小ネタスティレオ死神のおよめさん スティーブンには、一人の死神が取り憑いている。それを他人に話したことはない。話したところで厨二病っぽい思い込みか戦闘のPTSDによる精神異常を疑われるだけだ。
はじめてその死神に出会ったのはもうずいぶんと前になる。十代のころはじめて実戦に出るようになり、まだ片手で足りるほどの経験しか積んでいなかった頃だ。
若さゆえのヘマをして、スティーブンは一人廃屋の片隅で死にかけていた。
暗い廃屋の中、わずかに破れ窓の隙間から月明かりだけが零れる。その青い光の中に、いつのまにか黒いローブを纏った幼い子供がいた。
眷属は倒したはずだ。グールか、それとも幸運な生存者か。
スティーブンの体から流れた血は多く、床を濡らしている。グールならこれを媒体に大技の一つも出せば簡単に倒すことができるだろう。そしてついでに、スティーブンも死ぬ。
2704はじめてその死神に出会ったのはもうずいぶんと前になる。十代のころはじめて実戦に出るようになり、まだ片手で足りるほどの経験しか積んでいなかった頃だ。
若さゆえのヘマをして、スティーブンは一人廃屋の片隅で死にかけていた。
暗い廃屋の中、わずかに破れ窓の隙間から月明かりだけが零れる。その青い光の中に、いつのまにか黒いローブを纏った幼い子供がいた。
眷属は倒したはずだ。グールか、それとも幸運な生存者か。
スティーブンの体から流れた血は多く、床を濡らしている。グールならこれを媒体に大技の一つも出せば簡単に倒すことができるだろう。そしてついでに、スティーブンも死ぬ。
tohli
DONEフェムレオ。リクエスト受け付けしたお題『お互いを恥ずかしがらせないと出られない部屋に閉じ込められたフェムレオ』
ちょっとレオフェムっぽいけどフェムレオと言い張る。
お互いを恥ずかしがらせないと出られない部屋 ドアのあった場所を蹴る音、それに続く壁の硬さに文句を言う声に、レオナルドはため息をついた。うちの上司たちのようなパワー系ではないのだから蹴破るのは絶対に無理だと思う。
視線を巡らせれば、壁一面にポップな書体で術式が書き込まれているのが視える。ところどころにピンクのハートが混じっていても術式というものは発動できるらしい。
「ふっつーに、術式破る方面はだめなんすか」
「アリギュラちゃんにそのあたりぬかりがあると思うか!」
忌々しい! と吐き捨てた堕落王はレオナルドが座り込んでいたベッドまで来ると勢いよくその上に腰を下ろした。
マットレスが沈み、レオナルドも弾む。フェムトの方に体が傾き肩が触れ、はじきかえされるままにベッドの上に転がりそうになりなんとか耐えた。
2157視線を巡らせれば、壁一面にポップな書体で術式が書き込まれているのが視える。ところどころにピンクのハートが混じっていても術式というものは発動できるらしい。
「ふっつーに、術式破る方面はだめなんすか」
「アリギュラちゃんにそのあたりぬかりがあると思うか!」
忌々しい! と吐き捨てた堕落王はレオナルドが座り込んでいたベッドまで来ると勢いよくその上に腰を下ろした。
マットレスが沈み、レオナルドも弾む。フェムトの方に体が傾き肩が触れ、はじきかえされるままにベッドの上に転がりそうになりなんとか耐えた。
tohli
DONE第五回twitter不具合祭りリクエストベーグル屋の店員さんの少年とブンさんのスティレオ
ベーグル屋の店員さん すこし前かな。うん、君がライブラに入るよりちょっと前だね。
僕がいつも使ってたサブウェイがトラックに突っ込まれて改装工事になっちゃってさ。仕事中の休憩がてら、あの店まで買いに行くのが恒例になってたから困っちゃったんだよね。
仕方ないからその辺のトラットリアでも入るかと思った帰り道、路地の目立たないとこに今まで気が付かなかったベーグル屋があることをみつけたんだ。
路地に面した細いビルの間口のままに、こじんまりとした店でね。店の前に出された手書きの黒板の新規オープンの文字が無ければ見逃したな。目に入ったことだし、今日はもうここでいいかって足を向けたんだ。
元紐育のこの街じゃベーグル屋なんていくらでもあるだろう? 珍しくもない。期待せずにはいったんだ。
2457僕がいつも使ってたサブウェイがトラックに突っ込まれて改装工事になっちゃってさ。仕事中の休憩がてら、あの店まで買いに行くのが恒例になってたから困っちゃったんだよね。
仕方ないからその辺のトラットリアでも入るかと思った帰り道、路地の目立たないとこに今まで気が付かなかったベーグル屋があることをみつけたんだ。
路地に面した細いビルの間口のままに、こじんまりとした店でね。店の前に出された手書きの黒板の新規オープンの文字が無ければ見逃したな。目に入ったことだし、今日はもうここでいいかって足を向けたんだ。
元紐育のこの街じゃベーグル屋なんていくらでもあるだろう? 珍しくもない。期待せずにはいったんだ。
tohli
DONE第四回twitter不具合祭りリクエスト一回目と二回目の間
フラジャイルラバー レオナルドにとって、スティーブンは初めての恋人だった。二人目を作る予定はないので最後にもなるはずだ。
彼氏はもちろんガールフレンドの一人もいたことがなく、キスどころか手も繋いだことのないレオナルドは、恋人になったその日のうちに美味しくいただかれてしまった。
ぼくの恋人になってくれる? というスティーブンの言葉に、真っ赤になりながら頷いて。嬉しそうに蕩けたスティーブンの初めて見る表情に見惚れ、それが近づいてきたことの意味もわからず。
顎をすくわれ、重なった熱がずいぶんと長い時間をかけてから離れてようやくキスされた事に気がついた。
頭の中ははじめての経験に一気に埋め尽くされ、熱がまわりぼうっとしてしまい。
1994彼氏はもちろんガールフレンドの一人もいたことがなく、キスどころか手も繋いだことのないレオナルドは、恋人になったその日のうちに美味しくいただかれてしまった。
ぼくの恋人になってくれる? というスティーブンの言葉に、真っ赤になりながら頷いて。嬉しそうに蕩けたスティーブンの初めて見る表情に見惚れ、それが近づいてきたことの意味もわからず。
顎をすくわれ、重なった熱がずいぶんと長い時間をかけてから離れてようやくキスされた事に気がついた。
頭の中ははじめての経験に一気に埋め尽くされ、熱がまわりぼうっとしてしまい。
tohli
DONE友達と恋人の境界線フェムレオ
ボーダーライン「友達と恋人の境界線ってどこだと思います?」
用事も事件もバイトもない昼下り。空いた時間をいつものように――いつものように、フェムトと過ごしていたレオナルドは後ろ向きに座った椅子の背にだらけるようにもたれながら、そんな問を口に載せた。
少し離れた机で何やら奇怪な実験をしていたフェムトはその手を止め、触手が溢れそうになったシャーレに蓋をして封じ込める。
「……なんだって?」
よくあの薄い蓋だけで触手が納まるな、と、感心したレオナルドは顔だけで振り返り問い返すフェムトに、「だから」と続けた。
「喧嘩してばかりの恋人もいるし友達といつも一緒にいる人もいるし、境界線ってどのあたりなのかな、って」
「友人と寝る人間もいるだろう」
1076用事も事件もバイトもない昼下り。空いた時間をいつものように――いつものように、フェムトと過ごしていたレオナルドは後ろ向きに座った椅子の背にだらけるようにもたれながら、そんな問を口に載せた。
少し離れた机で何やら奇怪な実験をしていたフェムトはその手を止め、触手が溢れそうになったシャーレに蓋をして封じ込める。
「……なんだって?」
よくあの薄い蓋だけで触手が納まるな、と、感心したレオナルドは顔だけで振り返り問い返すフェムトに、「だから」と続けた。
「喧嘩してばかりの恋人もいるし友達といつも一緒にいる人もいるし、境界線ってどのあたりなのかな、って」
「友人と寝る人間もいるだろう」
tohli
DONEリクエスト第三回夏休みとスティレオ
「夏休みがほしい」 「夏休みがほしい」
うっそりどんより、という形容を音にしたような男の声に、バインダーを手に資料室から戻ってきたレオナルドは(あ、だめかも)と心のなかで十字を切った。
机のうえに山と積み上げられた書類の間から覗く、機械的にペンを走らせているスティーブンの目は澱み切っている。
マグカップの中の泥のようなコーヒーはもう空のようだ。持ち上げ、口をつけ、空なので机に戻し、また持ち上げ、マグカップの端を噛んで。
レオナルドはバインダーを机の端の残り少ない空白地帯に置くと、そっとスティーブンの手の中からマグカップを抜き取る。
澱んだ目でその動きを追ったスティーブンの目からは光が消えている。たれがちの目元の下には黒々とクマが刻まれ、髪はシャワーだけは最低限浴びているので脂っぽいということはないが今日はブラシを通していないのかレオナルドに及びそうなほどに乱れ、そして剃り残しの無精髭が顎の下にみえている。
824うっそりどんより、という形容を音にしたような男の声に、バインダーを手に資料室から戻ってきたレオナルドは(あ、だめかも)と心のなかで十字を切った。
机のうえに山と積み上げられた書類の間から覗く、機械的にペンを走らせているスティーブンの目は澱み切っている。
マグカップの中の泥のようなコーヒーはもう空のようだ。持ち上げ、口をつけ、空なので机に戻し、また持ち上げ、マグカップの端を噛んで。
レオナルドはバインダーを机の端の残り少ない空白地帯に置くと、そっとスティーブンの手の中からマグカップを抜き取る。
澱んだ目でその動きを追ったスティーブンの目からは光が消えている。たれがちの目元の下には黒々とクマが刻まれ、髪はシャワーだけは最低限浴びているので脂っぽいということはないが今日はブラシを通していないのかレオナルドに及びそうなほどに乱れ、そして剃り残しの無精髭が顎の下にみえている。
tohli
DONEリクエスト受付スティレオでアメリカンチェリー
チェリー 自宅近くの、レオナルド曰く『お高い』スーパーでその赤紫の実を見た時、スティーブンはすぐにレオナルドのことを思い出した。
迷わずに籠に入れ、さくらんぼはスティーブンの自宅の冷蔵庫で大人しく待機することになった。
翌日、バイト上がりの疲れた顔のままスティーブンの自宅を訪れた恋人は炭酸水をもらいますと開けた冷蔵庫の中にその果実を見て、目を輝かせた。青く。物理。
「アメリカンチェリー!」
「ビング、君の故郷のだろう?」
「うわ、うっわ! この街にきてはじめてみました!」
冷蔵庫の前にしゃがんだままスティーブンを見上げるレオナルドの目には、青い光に『食べたい』という文字が踊っている。
食後のデザートのつもりだったけれど。苦笑したスティーブンが「いいよ」と言うと、レオナルドはよろこびいそいそとアメリカンチェリーを取り出した。
1271迷わずに籠に入れ、さくらんぼはスティーブンの自宅の冷蔵庫で大人しく待機することになった。
翌日、バイト上がりの疲れた顔のままスティーブンの自宅を訪れた恋人は炭酸水をもらいますと開けた冷蔵庫の中にその果実を見て、目を輝かせた。青く。物理。
「アメリカンチェリー!」
「ビング、君の故郷のだろう?」
「うわ、うっわ! この街にきてはじめてみました!」
冷蔵庫の前にしゃがんだままスティーブンを見上げるレオナルドの目には、青い光に『食べたい』という文字が踊っている。
食後のデザートのつもりだったけれど。苦笑したスティーブンが「いいよ」と言うと、レオナルドはよろこびいそいそとアメリカンチェリーを取り出した。
tohli
DONEさしきさんリクエスト残念なブンさんのスティレオ反省はしてない 秘密結社の構成員というのはとかく多忙なものだった。
二人で休みを合わせゆっくりとした時間を過ごそうとしても、事件の方はそんなことを考慮してくれはしない。
ソファの上でレオナルドの肩を抱き寄せたタイミングで呼び出しの電話がかかってきたことは幾度も。
それならばとソファに行かずに食後にすぐにベッドルームに引っ張り込もうとすれば、キスをしながら寝室のドアをくぐったタイミングで外から爆発音が響いてくる。
一瞬の静止のあと、気にしないことにして続行しようとしたスティーブンの背中をレオナルドが必死で叩き、そして案の定すぐに呼び出しの着信音が鳴る。
ありったけの罵詈雑言と呪いを撒き散らしながら現場に向かった。
1361二人で休みを合わせゆっくりとした時間を過ごそうとしても、事件の方はそんなことを考慮してくれはしない。
ソファの上でレオナルドの肩を抱き寄せたタイミングで呼び出しの電話がかかってきたことは幾度も。
それならばとソファに行かずに食後にすぐにベッドルームに引っ張り込もうとすれば、キスをしながら寝室のドアをくぐったタイミングで外から爆発音が響いてくる。
一瞬の静止のあと、気にしないことにして続行しようとしたスティーブンの背中をレオナルドが必死で叩き、そして案の定すぐに呼び出しの着信音が鳴る。
ありったけの罵詈雑言と呪いを撒き散らしながら現場に向かった。
tohli
DONEひさしぶりのフェムレオぽいぽい。ちょっと死にネタ含み。というか前世ネタ。
千年紀のはじまりに 最初に出会ったのがいつだったのか、僕はまだ覚えている。千年の長い間、一つの記憶も取りこぼすことなく僕は『レオナルド』の傍にあり続けていた。
初めて出会い恋をして、永遠を誓ったあの日からもう千年が過ぎた。その間に、何人の『レオナルド』の誕生を見届け、成長を見守り、その死を迎えたことだろう。……ああ、前回で二十五人目だった。忘れてはいない。
『レオナルド』は一度死を迎え、忘却の川を渡るたびにその代償として記憶を一つなくしてきた。
最初の死の後、僕と初めて会った場所を忘れた。
二番目の死の後、僕が贈った花の色を忘れた。
三番目の死の後、二人で月を見上げたあの丘の景色を忘れた。
四番目の死の後……
……二十五回目の終わりを迎える臨終の床で、『レオナルド』は僕に手を握られながら力なく微笑った。
1418初めて出会い恋をして、永遠を誓ったあの日からもう千年が過ぎた。その間に、何人の『レオナルド』の誕生を見届け、成長を見守り、その死を迎えたことだろう。……ああ、前回で二十五人目だった。忘れてはいない。
『レオナルド』は一度死を迎え、忘却の川を渡るたびにその代償として記憶を一つなくしてきた。
最初の死の後、僕と初めて会った場所を忘れた。
二番目の死の後、僕が贈った花の色を忘れた。
三番目の死の後、二人で月を見上げたあの丘の景色を忘れた。
四番目の死の後……
……二十五回目の終わりを迎える臨終の床で、『レオナルド』は僕に手を握られながら力なく微笑った。
tohli
DONE一時間小ネタフェムレオ未満ベイクドビーンズ「だいたいキミというやつは」
フェムトがそう切り出したとき、レオナルドは面倒な方向に話が転がり始める気配を感じた。
反発することなく、受け流すに限る。
素直に拝聴する姿勢を取りながら、レオナルドは目の前の籠から新しい豆を取った。
堕落王の居城のキッチン。およそ、何人たりとも足を踏み入れることはできないだろうその場所で、レオナルドはいま目の前に山盛りになった豆をひたすらに剥き続けていた。
仕事終わり、はー疲れた! とベッドに倒れ込んだ次の瞬間にはフェムトの魔獣に拉致されてこの堕落王の城に連行された。
いつものことだ。もう慣れた。
キッチンに放り出されたレオナルドの目の前に、エプロン姿の堕落王は籠に山盛りの豆を置いた。
1511フェムトがそう切り出したとき、レオナルドは面倒な方向に話が転がり始める気配を感じた。
反発することなく、受け流すに限る。
素直に拝聴する姿勢を取りながら、レオナルドは目の前の籠から新しい豆を取った。
堕落王の居城のキッチン。およそ、何人たりとも足を踏み入れることはできないだろうその場所で、レオナルドはいま目の前に山盛りになった豆をひたすらに剥き続けていた。
仕事終わり、はー疲れた! とベッドに倒れ込んだ次の瞬間にはフェムトの魔獣に拉致されてこの堕落王の城に連行された。
いつものことだ。もう慣れた。
キッチンに放り出されたレオナルドの目の前に、エプロン姿の堕落王は籠に山盛りの豆を置いた。
tohli
DONE第二次崩落ネタここからの異界暮らしする二人も書いてみたくも
世界が終わる日に 世界が終わろうとしている。
否、もうとっくに終わっているはずだった。
二回目の大崩落。HLに再び現れた歪は高く長く深く細く。弾ければ、きっと世界を飲み込むほどに。
それがいま均衡をぎりぎりのところで保っているのは、僕に背を向けて立つあの人の仕業だ。
瓦礫、破片、生きていたものの残骸、その他諸々。足を取ろうとするそれを踏み越え地を蹴り走る僕の背中に向けて、仲間たちが名を呼ぶ声が聞こえる。
止まる訳にはいかない。
「ばかな、こと、してっ」
ソニックも置いてきた。みんなみんな、置いてきた。
妹の名を心のなかで呼ぶ。ごめん。たぶん、もう会えない。
第二次崩落が世界を巻き込めば、被害は一度目のそれの比ではなく。きっと、ミシェーラの住む故郷も、この街も、なにもかも無事では済まない。
1254否、もうとっくに終わっているはずだった。
二回目の大崩落。HLに再び現れた歪は高く長く深く細く。弾ければ、きっと世界を飲み込むほどに。
それがいま均衡をぎりぎりのところで保っているのは、僕に背を向けて立つあの人の仕業だ。
瓦礫、破片、生きていたものの残骸、その他諸々。足を取ろうとするそれを踏み越え地を蹴り走る僕の背中に向けて、仲間たちが名を呼ぶ声が聞こえる。
止まる訳にはいかない。
「ばかな、こと、してっ」
ソニックも置いてきた。みんなみんな、置いてきた。
妹の名を心のなかで呼ぶ。ごめん。たぶん、もう会えない。
第二次崩落が世界を巻き込めば、被害は一度目のそれの比ではなく。きっと、ミシェーラの住む故郷も、この街も、なにもかも無事では済まない。
tohli
DONE堕落へといたる道の王様久しぶりの登板お題ガチャ「うちの嫁がこんなに可愛いのは当たり前」
のろけ話にはさまれたくない 愛妻家、というのはどういうものだろうなというフェムトの言葉に、うつろな目をしていた絶望王はテーブルに突っ伏したくなった。
「えー、そんなの〜。やっぱりぃ〜? らぶらぶ、じゃなーい?」
「ふむ、らぶらぶ」
「そうそう、アタシとダーリン達みたいなー♥」
きゃー♥ と声を上げて身をよじらせるアリギュラ。
ここは十三王の間。堕落王と偏執王、そして間に挟まれて逃げそこねた絶望王以外の他の王の姿はない。みな、数時間前に音速猿もかくやというはやさで用事を思い出していた。
「僕とレオナルドは『らぶらぶ』していると思うがね?」
「そうねー、いっつもイチャイチャしてるもんねー。今日はアイツはどうしたのー?」
「妹への結婚祝いを出しに郵便局へ。『郵便局くらい一人でもいけますから』などというんだぞ。この僕を置いていくとはな」
1201「えー、そんなの〜。やっぱりぃ〜? らぶらぶ、じゃなーい?」
「ふむ、らぶらぶ」
「そうそう、アタシとダーリン達みたいなー♥」
きゃー♥ と声を上げて身をよじらせるアリギュラ。
ここは十三王の間。堕落王と偏執王、そして間に挟まれて逃げそこねた絶望王以外の他の王の姿はない。みな、数時間前に音速猿もかくやというはやさで用事を思い出していた。
「僕とレオナルドは『らぶらぶ』していると思うがね?」
「そうねー、いっつもイチャイチャしてるもんねー。今日はアイツはどうしたのー?」
「妹への結婚祝いを出しに郵便局へ。『郵便局くらい一人でもいけますから』などというんだぞ。この僕を置いていくとはな」
tohli
DONEワードパレット。長くなったのでこちらに投下。
ちょっと病み気味の妬き妬き番頭さんなスティレオ。
15.パンケーキ「すちーぶんしゃん」
「うん?」
「えとね、だいすきー」
「そっかー」
手を繋ぎ歩いていた子供に日だまりのような笑顔とともに告げられた言葉に、自分の顔もおそらく見るに耐えないほど笑み崩れているのだろうなという自覚はある。
レオナルドが、通算何度目かスティーブンの記憶でももうはっきりとしないトラブルによって子供になった。しかも中身まで退行して。
いまの彼の記憶は三歳児あたりまで巻き戻されている。
術師の見立てでは一週間ほどで自然解呪されるということ。へたにはやく解こうとすれば術がこじれて解けなくなるおそれもあるらしい。
最初は目に埋められている義眼に混乱して身を丸めて泣いていたが、子供の順応性の高さは目を瞠るものがある。ほんの半日ほどでなんとか普通にものを見ることができるようになっていた。
2744「うん?」
「えとね、だいすきー」
「そっかー」
手を繋ぎ歩いていた子供に日だまりのような笑顔とともに告げられた言葉に、自分の顔もおそらく見るに耐えないほど笑み崩れているのだろうなという自覚はある。
レオナルドが、通算何度目かスティーブンの記憶でももうはっきりとしないトラブルによって子供になった。しかも中身まで退行して。
いまの彼の記憶は三歳児あたりまで巻き戻されている。
術師の見立てでは一週間ほどで自然解呪されるということ。へたにはやく解こうとすれば術がこじれて解けなくなるおそれもあるらしい。
最初は目に埋められている義眼に混乱して身を丸めて泣いていたが、子供の順応性の高さは目を瞠るものがある。ほんの半日ほどでなんとか普通にものを見ることができるようになっていた。
tohli
DONE黒灰にいれるにはフェムレオ過ぎたのでカットしたフェム→→→→→→レオな王様の話。これだけでも読めるようにはしてありますが、かなりひどい王様です。
好きな子はちょっかいかけていじめるタイプ。
断章あるいは染められぬ黒 いつもの喧騒に満ちた十三王の間。扉を潜った偏執王は、この数日見かけなかった堕落王の姿に「あらぁ?」と声を上げた。
つまらなそうな顔をしている男の隣に腰を掛け、テーブルに肘をついてその鉄色の仮面を覗き込む。
「お人形ちゃんと遊んでたんじゃないの〜?」
「時間切れで向こうの粘り勝ち」
手のひらを上にかざして、堕落王は肩をすくめた。
「三日間は充分に楽しませてもらったけどね」
「なにやったのー?」
「そりゃ」
白い布で包まれた指を一本ずつ折って数える。
「切って燃やして抉って開いて潰して、と一通り」
気に入りの『おもちゃ』をいくら誘惑してもなかなか堕落してくれない。だから向こうの望む情報を対価に、死という終わりがない苦痛と快楽を与えて侵し染め上げようとした。なのに、あの子供は耐えきってしまった。
1010つまらなそうな顔をしている男の隣に腰を掛け、テーブルに肘をついてその鉄色の仮面を覗き込む。
「お人形ちゃんと遊んでたんじゃないの〜?」
「時間切れで向こうの粘り勝ち」
手のひらを上にかざして、堕落王は肩をすくめた。
「三日間は充分に楽しませてもらったけどね」
「なにやったのー?」
「そりゃ」
白い布で包まれた指を一本ずつ折って数える。
「切って燃やして抉って開いて潰して、と一通り」
気に入りの『おもちゃ』をいくら誘惑してもなかなか堕落してくれない。だから向こうの望む情報を対価に、死という終わりがない苦痛と快楽を与えて侵し染め上げようとした。なのに、あの子供は耐えきってしまった。