jelka87052396
DONE*2人の約束と、燃え盛る火と──
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週末の夕暮れ時、一虎は誰にも秘密のアルバイトに出かける。それは東京で一人余生を送っている老人の絵画モデルだった。
老人は「完成したら、見せるよ」と言うが……。
血ハロで場地が死に、一虎が生き残った世界線。
*含まれるもの
21軸、見ず知らずのモブ(富豪老人)、場地=故人
纸老虎 ***
大通りを渡り、商店街を抜けてまっすぐに坂を上っていくと高台に広い屋敷がある。
持ち主である老人の話によると、コロニアル様式、というらしい。かつてどこぞの国で財をなした異国の老人は、そこを終の棲家としている。
一虎は、彼に呼ばれて月に2度、そこを訪れていた。
渋谷の繁華街からほど近いのにもかかわらず、年じゅう葉擦れの音が話し声のように風に乗って聴こえてくる。
周囲に人影が見えない時には、手入れの行き届いた木々たちの退屈を持て余した囁き合いが坂のあちこちでこだましていたが、誰もがうらやむその静けさは、一虎にとってはむしろ落ち着かない気持を抱かせるものだった。
かえって不自然なほど平穏さを演出された町並み──それは、かつて父母と過ごした日々をどことなく思い出させるからである。
5226大通りを渡り、商店街を抜けてまっすぐに坂を上っていくと高台に広い屋敷がある。
持ち主である老人の話によると、コロニアル様式、というらしい。かつてどこぞの国で財をなした異国の老人は、そこを終の棲家としている。
一虎は、彼に呼ばれて月に2度、そこを訪れていた。
渋谷の繁華街からほど近いのにもかかわらず、年じゅう葉擦れの音が話し声のように風に乗って聴こえてくる。
周囲に人影が見えない時には、手入れの行き届いた木々たちの退屈を持て余した囁き合いが坂のあちこちでこだましていたが、誰もがうらやむその静けさは、一虎にとってはむしろ落ち着かない気持を抱かせるものだった。
かえって不自然なほど平穏さを演出された町並み──それは、かつて父母と過ごした日々をどことなく思い出させるからである。
jelka87052396
MAIKING血ハロ前。田舎の夏祭りで花火を見て欲情しあう2人。r18線影 信号機の青が黄色に変わり、人びとが右往左往しだす横断歩道で、最後の1人になった少年の背中を一虎は目で追った。
夕方5時の駅前ファストフード店は、放課後という時間帯もあって中高校生の客が多い。席についているのも会計に並んでいるのもほとんどが若い男女で、それなりに混み合っている。が、派手な髪と刺青が警告色のようにはたらいて、一虎の座る席の周りだけ見えないバリアでも張られているように空いている。
店内の喧騒もいとわずガラス張りの窓際からじっと外を窺っていると、やがて有名進学校の集団が見え始める。白と黒の線上に取り残されているのは、その中の1人だった。
制服の賑やかしい集団は駅の方へ歩いていく。しかし、遅れて歩く彼を振り返る者は誰もいない。人が上を向いて歩くとき、下で潰れていく蟻や雑草に見向きもしないように。
13347夕方5時の駅前ファストフード店は、放課後という時間帯もあって中高校生の客が多い。席についているのも会計に並んでいるのもほとんどが若い男女で、それなりに混み合っている。が、派手な髪と刺青が警告色のようにはたらいて、一虎の座る席の周りだけ見えないバリアでも張られているように空いている。
店内の喧騒もいとわずガラス張りの窓際からじっと外を窺っていると、やがて有名進学校の集団が見え始める。白と黒の線上に取り残されているのは、その中の1人だった。
制服の賑やかしい集団は駅の方へ歩いていく。しかし、遅れて歩く彼を振り返る者は誰もいない。人が上を向いて歩くとき、下で潰れていく蟻や雑草に見向きもしないように。
jelka87052396
DONE果歩さんのばじとら♀小説「珊瑚」(https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=19785880)の場地視点パラレル小説。♂×♂でr15(触り合いっこ)有。
黒真珠****
何でもないようなことが、あるとき急に意味を持つようになる。そういうことは時々、あるものだ。
喪服に袖を通すお袋の後ろ姿。
うなじの所でネックレスの金具を留め、鏡を前に髪を撫で付けている。
「それ、真珠。黒いのなんてあんだな」
ジュズみてぇ。と思ったのを覚えている。あの頃は数珠、という漢字が分からなかったから(今もあいまいだ)、真珠のジュと数珠のズが同じだということも、知らなかった。
お袋は黒い布地についた白い糸くずを、無造作に手で払った。
「偽モンだよ。おいケースケ、そこにあるガムテープ取って」
そこって、と視線をさまよわせる。テレビの横に置いてあるのが目にとまる。紙みたいな、ザラザラの質感のそれを1つ掴んだ。
4416何でもないようなことが、あるとき急に意味を持つようになる。そういうことは時々、あるものだ。
喪服に袖を通すお袋の後ろ姿。
うなじの所でネックレスの金具を留め、鏡を前に髪を撫で付けている。
「それ、真珠。黒いのなんてあんだな」
ジュズみてぇ。と思ったのを覚えている。あの頃は数珠、という漢字が分からなかったから(今もあいまいだ)、真珠のジュと数珠のズが同じだということも、知らなかった。
お袋は黒い布地についた白い糸くずを、無造作に手で払った。
「偽モンだよ。おいケースケ、そこにあるガムテープ取って」
そこって、と視線をさまよわせる。テレビの横に置いてあるのが目にとまる。紙みたいな、ザラザラの質感のそれを1つ掴んだ。
junko0103mt
DONE事後なのでワンクッション。場地生存、大人同棲ばじとら。
お題「プロポーズ」 逃げるあいつを追いかけて捕まえてイヤってほどオレの気持ちわからせて、やっと実らせた初恋だった。
気持ち繋げて、体も繋げて、一緒に暮らすようになって、ようやく昔みたいにオレの隣にアイツいるのが当たり前のように思えてきた。
いつものようにいちゃついて、一虎がオレの腕の中で甘い声出しながら果てて自分の腹をびっしょり濡らしたのを確認した後、オレもアイツの腹の一番奥に、ぶつけるみたいに達した。はあはあと乱れた呼吸の音がどっちのものかわからないくらい混じって聞こえてくんのが気持ちよくてしばらくそのままじっとしているとオレの腰に絡まっていた一虎の足がゆるゆると緩んできたので、名残惜しく思いながら、ゆっくりと腰を引いた。
638気持ち繋げて、体も繋げて、一緒に暮らすようになって、ようやく昔みたいにオレの隣にアイツいるのが当たり前のように思えてきた。
いつものようにいちゃついて、一虎がオレの腕の中で甘い声出しながら果てて自分の腹をびっしょり濡らしたのを確認した後、オレもアイツの腹の一番奥に、ぶつけるみたいに達した。はあはあと乱れた呼吸の音がどっちのものかわからないくらい混じって聞こえてくんのが気持ちよくてしばらくそのままじっとしているとオレの腰に絡まっていた一虎の足がゆるゆると緩んできたので、名残惜しく思いながら、ゆっくりと腰を引いた。
norico_nnn
REHABILIばじとら。今更独りきりでは生きてゆけない二人の話。捏造注意の雰囲気小説。リハビリで書いたため、ほとんど無校正です。誤字脱字衍字を発見した場合、マシュマロ(https://marshmallow-qa.com/norico_nnn)で教えていただけると幸いです。[23.7.30]Fall in night わざと照明の光度を落とした広い空間のあちこちに、硝子製の水槽が等間隔に並んでいる。規格統一された画然たる水槽の中には、種々雑多な魚類が縦横に泳いでいた。彼らの意思とは無関係に、純粋で作為なき動きの一つ一つ、濃紅や淡黄、薄橙の色彩が、怠惰で受動的な娯楽を求める見物客の目を楽しませる。
休日の昼間は家族連れが目につくが、夜になるとやたらとカップルが目立つ施設だ。家族連れは甲高い話し声がうるさく、カップルは醸し出す雰囲気がいちいちうるさい。行楽シーズンの情報番組内で取り上げられる僅かなシーンだけで、テレビ越しにもその喧騒がよく分かる。水族館を子どもの知的好奇心を誘発する教育施設と認めるか、ロマンチックな要素を加える舞台装置と見なすのか。どちらにせよ、オレの守備範囲外である。
23203休日の昼間は家族連れが目につくが、夜になるとやたらとカップルが目立つ施設だ。家族連れは甲高い話し声がうるさく、カップルは醸し出す雰囲気がいちいちうるさい。行楽シーズンの情報番組内で取り上げられる僅かなシーンだけで、テレビ越しにもその喧騒がよく分かる。水族館を子どもの知的好奇心を誘発する教育施設と認めるか、ロマンチックな要素を加える舞台装置と見なすのか。どちらにせよ、オレの守備範囲外である。
PONZU00__0
DONEばじとらワンドロワンライお題「ライバル」
夜の攻防戦 虎がオレを睨んでいた。
初めて目が合った瞬間から、虎はオレのことを嫌っている。
お前のご主人様は今オレに啼かされているというのに。
「ん、ぁんっ、ひぁッ…!」
欲にまみれた音に重なる一虎の熱い声。
汗と唾液と精液が混ざり合ったセックスの匂いが鼻を刺激する。湿った肌がぶつかり吐いた息がお互いにかかるだけで部屋の湿度は高くなっていく。
一虎の蕩けた瞳がオレを射抜く度に、一虎の中にオレの欲を吐く度に、一虎の肌にオレのモノだという証をつけたくて堪らなくなる。だが虎がそれを許さない。虎はいつだってオレのことを睨んでいる。まるでオレから一虎を守るように。
虎と目が合った瞬間、またもやオレはあの時のことを後悔した。
1558初めて目が合った瞬間から、虎はオレのことを嫌っている。
お前のご主人様は今オレに啼かされているというのに。
「ん、ぁんっ、ひぁッ…!」
欲にまみれた音に重なる一虎の熱い声。
汗と唾液と精液が混ざり合ったセックスの匂いが鼻を刺激する。湿った肌がぶつかり吐いた息がお互いにかかるだけで部屋の湿度は高くなっていく。
一虎の蕩けた瞳がオレを射抜く度に、一虎の中にオレの欲を吐く度に、一虎の肌にオレのモノだという証をつけたくて堪らなくなる。だが虎がそれを許さない。虎はいつだってオレのことを睨んでいる。まるでオレから一虎を守るように。
虎と目が合った瞬間、またもやオレはあの時のことを後悔した。
PONZU00__0
DOODLEばじとらワンライ作品②最終軸集めてみました!
穏やかな世界で1
「じゃーん!お前らこれを見ろ!」
夕日に染まった神社で、バラバラだった視線が一気にオレに集まった。パー、ケンチン、三ツ谷、場地、一虎。全員が口々に何かを言いながらオレの方に近づいてくる。
「なんだよ、マイキー」
「あ?写真?」
「写真?誰の?」
「ちっせえ…ガキ?」
「ゲッ…これオレじゃねえか!」
場地の一際デカイ声に、興味なんてなさそうだった他のヤツらの声が一気に勢いをもった。
「うわ、ホントだ。場地じゃん、ふ、かわいーじゃんっ、ふっ…は」
「うるっせえな!笑い堪えられてねえンだよ!」
「木の棒持ってなにやってんだよ」
「覚えてねーよ!」
「何歳の頃の写真だ?」
「知るか!」
場地を弄り倒すパー、ケンチン、三ツ谷とそれに苛立たしげに一々反応する場地。男子中学生の人目を憚ることのない声で、オレたちしかいない神社はどんどん騒がしくなっていく。だがその中に一虎の声がないことに気がついた。
11328「じゃーん!お前らこれを見ろ!」
夕日に染まった神社で、バラバラだった視線が一気にオレに集まった。パー、ケンチン、三ツ谷、場地、一虎。全員が口々に何かを言いながらオレの方に近づいてくる。
「なんだよ、マイキー」
「あ?写真?」
「写真?誰の?」
「ちっせえ…ガキ?」
「ゲッ…これオレじゃねえか!」
場地の一際デカイ声に、興味なんてなさそうだった他のヤツらの声が一気に勢いをもった。
「うわ、ホントだ。場地じゃん、ふ、かわいーじゃんっ、ふっ…は」
「うるっせえな!笑い堪えられてねえンだよ!」
「木の棒持ってなにやってんだよ」
「覚えてねーよ!」
「何歳の頃の写真だ?」
「知るか!」
場地を弄り倒すパー、ケンチン、三ツ谷とそれに苛立たしげに一々反応する場地。男子中学生の人目を憚ることのない声で、オレたちしかいない神社はどんどん騒がしくなっていく。だがその中に一虎の声がないことに気がついた。
PONZU00__0
PASTばじとらワンライ作品です血ハロの話を時系列順に並べてみました!
話が全て通じてるわけではないです💦
血塗れの運命も貴方となら2003年9月15日
九月になっても衰えを知らない日差しが、オレを責めているようで落ち着かない。
眩しい。暑い。眩しい。
ギラギラと輝く太陽は善人も、罪人も等しく照らす。その平等さは優しさなんかじゃない。それは太陽の残酷さの表れだ。
照りつける太陽に熱を持った髪も、頬を滑り落ちる汗も、総てが不快だ。
あれから一ヶ月経って、世界はいつも通り回っている。
一虎はいないのに。
沸き上がる感情は、オレが抱くべきではない感情だ。そうわかっていても込み上げるこの感情を誰にぶつけることもできず、不愉快な日差しの中を一人で歩くことしかできない。
「なんでだよっ…!」
次々と襲ってくる苛立ちに、思わず知らない家の塀を殴った。ざらついた表面が皮膚を裂こうと、衝撃で拳が痛もうと気にならない。
12027九月になっても衰えを知らない日差しが、オレを責めているようで落ち着かない。
眩しい。暑い。眩しい。
ギラギラと輝く太陽は善人も、罪人も等しく照らす。その平等さは優しさなんかじゃない。それは太陽の残酷さの表れだ。
照りつける太陽に熱を持った髪も、頬を滑り落ちる汗も、総てが不快だ。
あれから一ヶ月経って、世界はいつも通り回っている。
一虎はいないのに。
沸き上がる感情は、オレが抱くべきではない感情だ。そうわかっていても込み上げるこの感情を誰にぶつけることもできず、不愉快な日差しの中を一人で歩くことしかできない。
「なんでだよっ…!」
次々と襲ってくる苛立ちに、思わず知らない家の塀を殴った。ざらついた表面が皮膚を裂こうと、衝撃で拳が痛もうと気にならない。
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DONEグレ優🐺🐯ですねワンライで書いたものに加筆修正した感じ(加筆の方が長い)
オレだけの天使 誰かが恋をすることは罪だと言った。
あの日、廃墟同然のビルの屋上で見つけたのは何も知らない天使だった。
#########
「なんでこんなトコにガキが居ンだよ」
真っ昼間の繁華街。全てから逃れるように歩いて、たどり着いた場所は廃墟同然のビルの、手すりのない屋上だった。十数メートル下のノイズから切り離された静かな空間。剥げた塗装とひび割れたコンクリート、覗く鉄骨。そんな場所で齡十四のオレがそんなことを言ったのには、ちゃんと理由がある。
明るすぎる空の下。賑やかすぎる人の群れ。立ち込める煙草の匂い。喧嘩では収まらないような苛立ちを落ち着かせるために、人がいないと践んで来たココに、ソイツは居た。
サラサラの黒髪に、黒い学ランに包まれた白い肌。優等生然とした少年が壁に背を預けて眠っている。
3220あの日、廃墟同然のビルの屋上で見つけたのは何も知らない天使だった。
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「なんでこんなトコにガキが居ンだよ」
真っ昼間の繁華街。全てから逃れるように歩いて、たどり着いた場所は廃墟同然のビルの、手すりのない屋上だった。十数メートル下のノイズから切り離された静かな空間。剥げた塗装とひび割れたコンクリート、覗く鉄骨。そんな場所で齡十四のオレがそんなことを言ったのには、ちゃんと理由がある。
明るすぎる空の下。賑やかすぎる人の群れ。立ち込める煙草の匂い。喧嘩では収まらないような苛立ちを落ち着かせるために、人がいないと践んで来たココに、ソイツは居た。
サラサラの黒髪に、黒い学ランに包まれた白い肌。優等生然とした少年が壁に背を預けて眠っている。
PONZU00__0
PAST最終軸の❄🐯(🐺🐯←❄)金木犀の花言葉は「初恋」「陶酔」が良いなぁと思ってます。紫色のクロッカスは「愛したことを後悔する」
片想い 一虎くんが居なくなった。
この時期になると一虎くんはいつも場地さんの前から姿を消す。ハロウィン前後の約二週間。それは大人になった今も続いている。
場地さんと一虎くんの関係が親友から恋人に変わっても、それでもやっぱり一虎くんはハロウィンが近づく度に場地さんから離れていく。二人で同じ家に住むようになってからも、一虎くんは家を飛び出て場地さんに近づかなくなる。
「一虎くん、帰りませんか」
だからもう、こんな風に一虎くんのところを訪ねるのも慣れたものだ。
「…ムリ」
一虎くんがマイキーくんに後ろから抱きついたままそう言った。マイキーくんは一虎くんの頭を優しく撫でている。
…あ、場地さんが見たら怒りそうだな。
3830この時期になると一虎くんはいつも場地さんの前から姿を消す。ハロウィン前後の約二週間。それは大人になった今も続いている。
場地さんと一虎くんの関係が親友から恋人に変わっても、それでもやっぱり一虎くんはハロウィンが近づく度に場地さんから離れていく。二人で同じ家に住むようになってからも、一虎くんは家を飛び出て場地さんに近づかなくなる。
「一虎くん、帰りませんか」
だからもう、こんな風に一虎くんのところを訪ねるのも慣れたものだ。
「…ムリ」
一虎くんがマイキーくんに後ろから抱きついたままそう言った。マイキーくんは一虎くんの頭を優しく撫でている。
…あ、場地さんが見たら怒りそうだな。
PONZU00__0
PAST前のバレンタインに書いた🐺🐯甘々かつ独占欲
口で言えよな 「男子ってどんなチョコ好きなの?」
「は?」
珍しくエマに呼び出されたかと思えばいきなりこれだ。無言でファミレスまで連れてこられ、ようやく席に着けたと思ったら第一声がこれ。チョコ?そんなもん貰えれば男子は何でも食うんじゃねぇの?てかこいつ突然何に悩んでンだよ。いや、どうせドラケン絡みのことだろうけど。
「何の話だよ」
「だから!来週!バレンタインでしょ!ケンちゃんにあげるチョコの話!」
「バレンタイン?」
「え、知らないの?」
流石にバレンタインって言葉は知ってるが意味は全く知らねえ。かっけえ名前だな、と思ってる。来週ってことはなんかの日なンか?つうかやっぱりドラケン絡みの話かよ。
「まあ貰ったことなさそうだし知らないか…」
14616「は?」
珍しくエマに呼び出されたかと思えばいきなりこれだ。無言でファミレスまで連れてこられ、ようやく席に着けたと思ったら第一声がこれ。チョコ?そんなもん貰えれば男子は何でも食うんじゃねぇの?てかこいつ突然何に悩んでンだよ。いや、どうせドラケン絡みのことだろうけど。
「何の話だよ」
「だから!来週!バレンタインでしょ!ケンちゃんにあげるチョコの話!」
「バレンタイン?」
「え、知らないの?」
流石にバレンタインって言葉は知ってるが意味は全く知らねえ。かっけえ名前だな、と思ってる。来週ってことはなんかの日なンか?つうかやっぱりドラケン絡みの話かよ。
「まあ貰ったことなさそうだし知らないか…」
norico_nnn
REHABILIばじとら。虚しさが有り余る二人の話。捏造注意の雰囲気小説。実際には行っていませんが、話の展開上料理と絡めたカニバリズム的表現、および嘔吐感の描写があります。したがって念のためにワンクッションを置いているだけであり、そこまでグロテスクなものではないかと思われますが、これはあくまでも筆者の主観的な解釈です。以上のことをご了承の上、お読みください。[22.12.25] 12097norico_nnn
DONEばじとら短編。幼い微熱を持て余す二人の話。捏造注意の雰囲気小説。エイトライ。設定は小学生時代、季節外れのバレンタインものです。以上のことをご了承の上、お読みください。[22.5.18] 8248norico_nnn
DONEばじとら。いつでも其処にいてほしい二人の話。雰囲気注意の捏造小説。過去回想でモブの男子が喋ります。原作程度の死に関する描写あり。また、手すりのない屋上の縁に上がることは極めて危険な行為です。以上のことをご了承の上、お読みください。[22.11.13]Moonlit night 階段の昇降口から真っ黒なシルエットがゆらりと長く伸張し、徐々にこちらへ向かって近づいてくる。ともすれば夜の巷を彷徨う幽霊にも見紛う不定で朧な外形は、距離が縮むごとに暗がりでも明瞭な輪郭を現して、とうとう肉体を有する実在の人間になった。芭流覇羅の白い特攻服に、肩にかかるほどある長ったらしい黒い髪。オレの共犯者であり親友の、場地だ。
計ったようにオレの背後で、きっかり止まる乾いた靴音。さっき携帯で連絡し、場地を屋上に呼び出していた。無表情にも神妙にも見える面持ちで、場地は手すりのないビルの外縁に佇むオレを見上げている。ここは都内某所、そこそこ高層な廃ビルの最上階である。オレより若干背の高いこいつの旋毛を、こうして上から眺められるのはかなりのレアケースだった。
14376計ったようにオレの背後で、きっかり止まる乾いた靴音。さっき携帯で連絡し、場地を屋上に呼び出していた。無表情にも神妙にも見える面持ちで、場地は手すりのないビルの外縁に佇むオレを見上げている。ここは都内某所、そこそこ高層な廃ビルの最上階である。オレより若干背の高いこいつの旋毛を、こうして上から眺められるのはかなりのレアケースだった。
misawa_0123
DONE風呂上がりに一虎の髪を乾かす場地の話。一虎んちはネグ○クト気味だったので母親に髪の毛乾かしてもらう習慣とかなかったんじゃないかなぁ…って。
場地は正直石鹸で髪の毛洗うような奴なので髪の毛わざわざ乾かさんと思います(おい)でも髪質的にも昔からの習慣で乾かす癖があっても良いなぁと思って書きました。
素直じゃない虎ほかほかと湯上がり特有の火照りを感じながら場地は家とは違う柔軟剤の香りのするタオルで頭の水滴をガシガシと拭う。
同じく脱衣所ではTシャツと半パンを身に付けた一虎が場地のものとは違うサラサラとした黒髪を白いタオルで無造作に拭いていた。
「あっちぃ…」
ある程度水滴をタオルに吸収させた後一虎はペタペタと脱衣所から出ていってしまう。
場地はそれを尻目に慣れた動作で洗面台に併設された棚からドライヤーを勝手に拝借し髪を乾かし始める。
どこのメーカーか分からない黒いドライヤーは勢いよく風を吐き出し場地の癖のある髪の毛をなびかせる。
その様子を隣の部屋のリビングから椅子に座り一虎が眺めていた。
一虎には髪をドライヤーで乾かす習慣がない。これは一虎んちで一緒に風呂に入って知った事だ。
2722同じく脱衣所ではTシャツと半パンを身に付けた一虎が場地のものとは違うサラサラとした黒髪を白いタオルで無造作に拭いていた。
「あっちぃ…」
ある程度水滴をタオルに吸収させた後一虎はペタペタと脱衣所から出ていってしまう。
場地はそれを尻目に慣れた動作で洗面台に併設された棚からドライヤーを勝手に拝借し髪を乾かし始める。
どこのメーカーか分からない黒いドライヤーは勢いよく風を吐き出し場地の癖のある髪の毛をなびかせる。
その様子を隣の部屋のリビングから椅子に座り一虎が眺めていた。
一虎には髪をドライヤーで乾かす習慣がない。これは一虎んちで一緒に風呂に入って知った事だ。