miNa1423
REHABILIカブユウ一緒に年越ししてほしいと願って。メインストーリーは、この一年前にカブさんが悩んでいる話だったのですが、どうにも時間が間に合わないので、翌年、イチャイチャしている話のみ。
年越しの二人「今年の年越しバトルは、ダンデ・キバナペアの優勝です!!!」
ナレーションの声とともに、会場からの声援と拍手が響いた。画面越しでも、二人のバトルが盛り上がったことが伝わってくる。
「あれ?寝過ごしちゃった」
まだ、準決勝だったはずなのにいつの間にか終わってしまっていた。こたつの心地よさに負けてしまったのは今回だけじゃないけど、なんだか悔しい。
うー、とうなりながら、身体を伸ばすと、キッチンからいい匂いがしてくるのに気づいた。
おしょうゆとおだしの香りだ。最初はなじみのない味と香りにおどろいたけど、今では食卓にお醤油がないと寂しいくらいだ。
そのまま、伺うようにキッチンをのぞき込めば、コンロの前に立つ彼がちょうど振り返った。
1129ナレーションの声とともに、会場からの声援と拍手が響いた。画面越しでも、二人のバトルが盛り上がったことが伝わってくる。
「あれ?寝過ごしちゃった」
まだ、準決勝だったはずなのにいつの間にか終わってしまっていた。こたつの心地よさに負けてしまったのは今回だけじゃないけど、なんだか悔しい。
うー、とうなりながら、身体を伸ばすと、キッチンからいい匂いがしてくるのに気づいた。
おしょうゆとおだしの香りだ。最初はなじみのない味と香りにおどろいたけど、今では食卓にお醤油がないと寂しいくらいだ。
そのまま、伺うようにキッチンをのぞき込めば、コンロの前に立つ彼がちょうど振り返った。
miNa1423
CAN’T MAKEカブユウ前提で、ユウリさんが振られる話。過去に書いた話を加筆修正したもの。この後、カブさんからはっきり別れようと言われボロボロになるユウリさんまで書いたものの、どうやっても修復できず、保留行き。
フラれ話「ガラルにはいないかもしれないけど、世界には君より強い人がいるかもしれないね」
ちょっとした雑談だった。
彼の故郷ホウエンのポケモンから話が広がっただけ。
その話をしてから、何となく頭に残っていた。
私よりも強いトレーナーがどこかにいると、
ダンデさんを打ち破り、私自身もダンデさんと同じように長期間チャンピオンの座に立っている。もちろん、悔しい思いをしたこともあるし、完全に力を出し切ったバトルができたかと言えば違う。まだまだ改善の余地はあるのは私自身がわかっている。
それでも、私はチャンピオンの座に立っているということは、
私が負けることはない、と私に思わせていた。
きっと、それがおごりだったのだろう。
ワイルドエリアの奥、人が来ないような場所に自分以外の存在をみることになるとは思わなかった。その人は、赤い帽子にラフな格好をした、私よりも少し年上な男の人だった。黒い髪にすっとした顔立ちがなぜだか彼を思い越してしまう。
2575ちょっとした雑談だった。
彼の故郷ホウエンのポケモンから話が広がっただけ。
その話をしてから、何となく頭に残っていた。
私よりも強いトレーナーがどこかにいると、
ダンデさんを打ち破り、私自身もダンデさんと同じように長期間チャンピオンの座に立っている。もちろん、悔しい思いをしたこともあるし、完全に力を出し切ったバトルができたかと言えば違う。まだまだ改善の余地はあるのは私自身がわかっている。
それでも、私はチャンピオンの座に立っているということは、
私が負けることはない、と私に思わせていた。
きっと、それがおごりだったのだろう。
ワイルドエリアの奥、人が来ないような場所に自分以外の存在をみることになるとは思わなかった。その人は、赤い帽子にラフな格好をした、私よりも少し年上な男の人だった。黒い髪にすっとした顔立ちがなぜだか彼を思い越してしまう。
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MAIKING現パロが書きたくなって書いた代物。中途半端だけど、長編になりそうな勢い。
現パロ カブユウ家の鍵を閉めると、そのまま隣の家の敷地に入り、自分の家のものじゃない合鍵でとびらを開く。
整理されたと言うよりも、無頓着でものの少ない家だ。慣れた足取りでリビングに向かうと、ふぅとため息をつく。
「またソファでねてる・・・」
大きめのソファの上で、溶けるように眠っているのはこの家の主だ。
このエンジンシティの消防署署長カブ。通称、燃える男。
消防署長が燃える男だなんて、不謹慎かもしれないけど、その情熱、諦める事ないひたむきな姿勢、真摯で温厚な性格はこの町の名物で多くの人に慕われている。
額に張り付いた灰色の髪を拭い、奥の部屋から取り出したブランケットをおなかにかけると、キッチンに向かった。
持ってきたおかずの入ったタッパーを冷蔵庫にしまっていると、足下に大型犬二匹がすり寄ってくる。甘えん坊の二匹は、彼が保護犬で処分すれすれだったのを引き取った子だ。
718整理されたと言うよりも、無頓着でものの少ない家だ。慣れた足取りでリビングに向かうと、ふぅとため息をつく。
「またソファでねてる・・・」
大きめのソファの上で、溶けるように眠っているのはこの家の主だ。
このエンジンシティの消防署署長カブ。通称、燃える男。
消防署長が燃える男だなんて、不謹慎かもしれないけど、その情熱、諦める事ないひたむきな姿勢、真摯で温厚な性格はこの町の名物で多くの人に慕われている。
額に張り付いた灰色の髪を拭い、奥の部屋から取り出したブランケットをおなかにかけると、キッチンに向かった。
持ってきたおかずの入ったタッパーを冷蔵庫にしまっていると、足下に大型犬二匹がすり寄ってくる。甘えん坊の二匹は、彼が保護犬で処分すれすれだったのを引き取った子だ。
miNa1423
MAIKINGカブユウ 温泉でしっぽり予定の話。本当に続くのか微妙。
温泉「温泉に行かない?」
突然の言葉に理解できず振り返るだけだった私に、彼は誤魔化すように笑った。
「ごめん、急だったね」
「い、いえ」
そう答えながらも、頭の中ではぐるぐると彼の言葉が回っていた。
おんせん?オンセン?
「知り合いの経営している旅館がね、シーズンオフでゆっくり過ごせるそうなんだ、いい部屋を用意してくれると言ってくれている」
温泉?
「ゆっくり二人で過ごせたらいいと思ったんだけど、どうかな?」
エンジンシティジムリーダーのカブさんと付き合い始めて半年になる。私が好きだと言い続けて、折れる形で彼は頷いてくれた。
同世代とは違う穏やかな付き合いだ。ゆっくりと話をしたり、ただ一緒に過ごすだけ。
あとは、触れるだけのキスをした。
558突然の言葉に理解できず振り返るだけだった私に、彼は誤魔化すように笑った。
「ごめん、急だったね」
「い、いえ」
そう答えながらも、頭の中ではぐるぐると彼の言葉が回っていた。
おんせん?オンセン?
「知り合いの経営している旅館がね、シーズンオフでゆっくり過ごせるそうなんだ、いい部屋を用意してくれると言ってくれている」
温泉?
「ゆっくり二人で過ごせたらいいと思ったんだけど、どうかな?」
エンジンシティジムリーダーのカブさんと付き合い始めて半年になる。私が好きだと言い続けて、折れる形で彼は頷いてくれた。
同世代とは違う穏やかな付き合いだ。ゆっくりと話をしたり、ただ一緒に過ごすだけ。
あとは、触れるだけのキスをした。
TokageIppai
DONEカブユウというかカブ←←←ユウなバレンタイン小話。つきあってない。男女カプはじめて書いた……お口に合えばどうぞよろしくお願いいたします。
※ユウリちゃんの言動がキモオタのそれです
カブさんにバレンタインチョコを渡しに行くユウリちゃんの話 バレンタイン。それは冬の終わり、大切な人にチョコレートを贈るイベントである。もとはカントーだかどこかで始まった風習らしいが、ここガラルでも徐々に──主に若者達の間で──浸透してきている。私もマリィと一緒にチョコを作って、ホップとビートにプレゼントした。ホップは勉強の合間に食べるぞ! とすごく喜んでくれたし、ビートも彼らしい憎まれ口を叩きながらもちゃんと受け取ってくれた。ジムチャレンジが終わってそれぞれの道に進んだあとも、こうして彼らとの付き合いが続いているのは本当に嬉しい。
ところで私にはもう一人、チョコレートを渡したい相手がいる。エンジンシティのジムリーダー、カブさんだ。
カブさんへの気持ちが恋なのか、と聞かれると、正直よく分からない。そういう関係になるにはあまりにも生きてきた時間の長さが違いすぎるし、想像しようとしてもうまくできないのだ。そもそもこんな子どもに言い寄られて本気にするほど、常識にとらわれていないタイプの人だとも思えない。そういうところも含めて好きなのだ。
4661ところで私にはもう一人、チョコレートを渡したい相手がいる。エンジンシティのジムリーダー、カブさんだ。
カブさんへの気持ちが恋なのか、と聞かれると、正直よく分からない。そういう関係になるにはあまりにも生きてきた時間の長さが違いすぎるし、想像しようとしてもうまくできないのだ。そもそもこんな子どもに言い寄られて本気にするほど、常識にとらわれていないタイプの人だとも思えない。そういうところも含めて好きなのだ。
miNa1423
CAN’T MAKEカブユウ(ユウリ成人済み)前回かきかけの話。
エスコートらしいエスコートはしてません。つまりかっこいいカブさんは不在です。
いや、最初からいなかったなぁ。
エスコートはいりませんお酒が飲める年齢になって参加することが多くなったけど、社交の場は未だになれない。
「よければこの後一緒に抜けない?」
露骨な夜の誘いに苦笑いを浮かべる。
隣にいたルリナさんはもっと露骨に眉間にしわを寄せ、口元を大きくゆがめていた。残念ながら私にはそれができるほどの度量はない。
男達はルリナさんの冷たい表情に気づいているのかいないのか、楽しそうに笑いながら、持っていたシャンパングラスを私たちに押しつける。淡いピンク色のお酒は、炭酸がはじける度に甘いチェリーの香りがした。
「すみませんが、私たち仕事で」
やんわり断りの言葉を紡ごうとしていたら、ルリナさんに口を塞がれる。
もごもごと、塞がれた口でルリナさんに何するのと抗議するが、細くて長い指が離れることはなかった。
5361「よければこの後一緒に抜けない?」
露骨な夜の誘いに苦笑いを浮かべる。
隣にいたルリナさんはもっと露骨に眉間にしわを寄せ、口元を大きくゆがめていた。残念ながら私にはそれができるほどの度量はない。
男達はルリナさんの冷たい表情に気づいているのかいないのか、楽しそうに笑いながら、持っていたシャンパングラスを私たちに押しつける。淡いピンク色のお酒は、炭酸がはじける度に甘いチェリーの香りがした。
「すみませんが、私たち仕事で」
やんわり断りの言葉を紡ごうとしていたら、ルリナさんに口を塞がれる。
もごもごと、塞がれた口でルリナさんに何するのと抗議するが、細くて長い指が離れることはなかった。
miNa1423
PROGRESSカブユウ(ユウリ成人済み)お酒飲んでます。カブさんのかっこよさを出そうと思って、中途半端に。
後半、巻き返してくれることを祈っています。
エスコートはいりませんお酒が飲める年齢になって参加することが多くなったけど、社交の場は未だになれない。
「よければこの後一緒に抜けない?」
露骨な夜の誘いに苦笑いを浮かべる。
隣にいたルリナさんはもっと露骨に眉間にしわを寄せ、口元を大きくゆがめていた。残念ながら私にはそれができるほどの度量はない。
男達はルリナさんの冷たい表情に気づいているのかいないのか、楽しそうに笑いながら、持っていたシャンパングラスを私たちに押しつける。淡いピンク色のお酒は、炭酸がはじける度に甘いチェリーの香りがした。
「すみませんが、私たち仕事で」
やんわり断りの言葉を紡ごうとしていたら、ルリナさんに口を塞がれる。
もごもごと、塞がれた口でルリナさんに何するのと抗議するが、細くて長い指が離れることはなかった。
2654「よければこの後一緒に抜けない?」
露骨な夜の誘いに苦笑いを浮かべる。
隣にいたルリナさんはもっと露骨に眉間にしわを寄せ、口元を大きくゆがめていた。残念ながら私にはそれができるほどの度量はない。
男達はルリナさんの冷たい表情に気づいているのかいないのか、楽しそうに笑いながら、持っていたシャンパングラスを私たちに押しつける。淡いピンク色のお酒は、炭酸がはじける度に甘いチェリーの香りがした。
「すみませんが、私たち仕事で」
やんわり断りの言葉を紡ごうとしていたら、ルリナさんに口を塞がれる。
もごもごと、塞がれた口でルリナさんに何するのと抗議するが、細くて長い指が離れることはなかった。
miNa1423
PROGRESSカブユウ 無理矢理人によっては受け入れられないかと思いますので、ご注意を。
責任は負えません。
途中ですが、カブユウがたりなくて公開。だれか私に燃料を注いでください。
後半はユウリのお仕置きを予定しています。
「少し休みなさい」「少し休みなさい」
いつになく厳しい声が降りかかる。
「そんな余裕ないことぐらい分かっているでしょう」
それに対抗するように声を荒げた。彼はその程度のことで動じる人ではない。
ワイルドエリアのポケモン達が密猟者によって乱獲されているとの情報が入った。
その手口から組織的な犯罪と考えられたが、一向に痕跡は見当たらず、警察、ジムリーダーを始め各ジムトレーナーが総出になって捜索をしていた。
単独捜索にでていた私は、エンジンシティにあるワイルドエリア近くのホテルに足を運んだ。そこには、警察や周辺のジムトレーナー達が集まる。何か情報でもないかと周囲を見渡せば、ロビーで電話をかけているカブさんがいた。見慣れた赤いユニフォームに顔が緩む。
1388いつになく厳しい声が降りかかる。
「そんな余裕ないことぐらい分かっているでしょう」
それに対抗するように声を荒げた。彼はその程度のことで動じる人ではない。
ワイルドエリアのポケモン達が密猟者によって乱獲されているとの情報が入った。
その手口から組織的な犯罪と考えられたが、一向に痕跡は見当たらず、警察、ジムリーダーを始め各ジムトレーナーが総出になって捜索をしていた。
単独捜索にでていた私は、エンジンシティにあるワイルドエリア近くのホテルに足を運んだ。そこには、警察や周辺のジムトレーナー達が集まる。何か情報でもないかと周囲を見渡せば、ロビーで電話をかけているカブさんがいた。見慣れた赤いユニフォームに顔が緩む。
miNa1423
REHABILIカブユウ。カブさんに首を噛ませたくて,書いた妄想。
吸血鬼とか魔女のいるファンタジーもので、しかも先生と生徒という謎設定。
R18にしたかったけど、断念。
吸血鬼もの「やめるんだ、メロン!!」
「あんたそんな顔して、なにいってんだい!!」
「いやだ、やめてくれ、メロン」
ユウリは日直として、担任のカブ先生にプリントを持って行こうとしていた。職員室の扉前でノックをしようとした瞬間、男女の争う声が響いて思わず固まってしまった。
これって、聞いちゃいけない話だ。
18歳になったばかりの、思春期のユウリにとっては、悶々とする話だ。
しかも、中から聞こえてくるのは自分の担任のカブ先生と隣のクラスの担任のメロン先生だ。二人は昔なじみのようで、生徒内では不倫だなんて変な噂が出るほど仲がいい。
「ぼくは、既婚者の血は飲まないって決めているんだよ」
「ばっかじゃない!!それで死んだら元も子もないわ!旦那はあんたのこと慕っているし、気にもしないわよ。それに、魔女の血しか飲めないくせにえり好みしてる暇ないでしょ」
1687「あんたそんな顔して、なにいってんだい!!」
「いやだ、やめてくれ、メロン」
ユウリは日直として、担任のカブ先生にプリントを持って行こうとしていた。職員室の扉前でノックをしようとした瞬間、男女の争う声が響いて思わず固まってしまった。
これって、聞いちゃいけない話だ。
18歳になったばかりの、思春期のユウリにとっては、悶々とする話だ。
しかも、中から聞こえてくるのは自分の担任のカブ先生と隣のクラスの担任のメロン先生だ。二人は昔なじみのようで、生徒内では不倫だなんて変な噂が出るほど仲がいい。
「ぼくは、既婚者の血は飲まないって決めているんだよ」
「ばっかじゃない!!それで死んだら元も子もないわ!旦那はあんたのこと慕っているし、気にもしないわよ。それに、魔女の血しか飲めないくせにえり好みしてる暇ないでしょ」
326Wall
REHABILIカカルクモナキモンハン(ライズ)クロスオーバーカブユウ。
太刀使いカブさんと新妻受付嬢ゆちゃん。R18です。
地雷ない人向け。いろいろ荒い早朝、中庭から水を使う音がする。伏していた床からはたと起きて、ユウリは障子の先を見やった。朝の光がしらしらと障子紙を照らし、部屋は薄明るい。着崩れた浴衣の襟元を整えながら立ち上がり、裾を払って障子を開け縁側に出た。
雨は昨晩まで続いていた。庭木の一つ一つに名残りの雫が宿って、燦然と朝日を反射している。
庭の右手には井戸があった。見れば夫の姿もそこにある。裸の背が清水に濡れている。伺う端から夫は、汲んだばかりの井戸水をがばと被った。
肩のあたりから湯気が昇るようだ。ひどく張り詰めているのが分かった。早々、狩りに出るつもりなのだ。ユウリは声をかけず、黙ってその一連の動作を見守る。二度、三度、夫は繰り返し水を浴び、最後に深く長いため息をついて
「使うかな」
背を向けたまま低く言った。
「ごめんなさい」
ユウリは身を縮める。
ほつれた襟足の毛を慌てて整えながら、
「邪魔するつもりでは」
「…大丈夫だよ」
カブはたちあがり、水気を拭ってからこちらにやってくる。
「起こしてしまったかな」
首にかけた手拭いを掴みながら、微笑んだ。
「いえ、その」
「無理はしなくていい」
ユウリは、思い切って尋ねた。 4055
326Wall
MAIKING不穏なカブユウリビングの片隅で、人知れず百合が枯れていた。片付けようと触れた途端にしおれた花弁がたわいもなく落ちた。茎は哀れなほど乾き切っており、花瓶の底の方に淀みが光っている。カブは小さくため息をついて、瓶を両手で支え、流しへと運ぶと、濁った水を流し、中を濯ぐ。
ふと妻の姿を見ていないことに気がついた。
今朝目を覚ました時はそばにいたのは覚えている。朝食の時はどうだろうか。いつもの席に掛けて、コーヒーを啜る静かな輪郭がよみがえる。その次は?
リビングは無人のままだ。
「――ユウリ」
呼びかけつつ、寝室に向かう。扉を開けた。妻の姿はない。
「ユウリ?」
こもった汗の匂いに顔をしかめる。窓を薄く開けた。カーテンが揺れる。
ベランダに続くガラス戸を開けて、ふとカブは眉を下げた。
――ここにいたのか
手すりにそっと両手を置いて、エンジンシティの街並みを見下ろすユウリの隣に並んだ。
「珍しいものでもあったかい」
尋ねると、ユウリは視線を空に漂わせたまま、
「なにも」
短く答えた。
「そう」
カブは否定も肯定もせず、答えをそっと受け取った。
「晴れるとよかったね」
「そうですね」
――曇天が街を覆っている。 940