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    ・中夜

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    ・中夜

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    ジュン茨ワンライ【夏祭り/路地裏/二人きり】

    一般通過ジュン×惑溺いばら
    R-15程度の襲い受け泥酔前戯未満。突然終わります。

    #ジュン茨
    junThorn

    惑い溺れる「やあやあ、キリッとした目元が凛々しいお兄さん。こんなに輝かしい祭りの夜に、こぉんなに薄汚い路地裏へ一体何用で?」

     胡散臭い青い眼鏡グラスに祭り提灯の赤い光を滲ませて、厭に美しい男はうっそりと笑った。
     息をのみ、視線を彷徨わせるオレがはくりと唇を震わせると、それ以上の応えは得られないと察したのだろう。男はカビと苔の生えた壁からゆったりと踵を下ろし、縫い留められていたナニカを放す。パラパラと崩れた壁石の上に、そのナニカがどしゃりと崩れ落ちた。オレの足元でうめき声を上げてガタガタと手を伸ばしてくるそれを、まるで見るなとでも言うように香炉の煙が薫らせていく。否応なく脈打つ心臓が指先のカタチを鮮明にして、頭の後ろで鳴る祭囃子もスゥッと遠ざかって、……今この瞬間、ここはオレと彼だけの世界だった。

    「ふむ……。どうやら少し驚かせてしまったようですね?……いやはや申し訳ない!実は先程、この男がうちの茶屋で食い逃げを働こうとしまして。こちらもそりゃ堪ったもんじゃないと必死で追いかけきて、ご覧の通り、うっかりと押し合いになってしまったという次第です。はっはっはっは!」

     そう言ってぞんざいに服の裾を払いながら、男は軽い足取りでこちらへ近づいてくる。ザリ…と、無意識に身が引けた。それでも男は止まらない。祭り香炉の煙をくぐって背後に腕を回し、まるで蛇のようなしなやかで以ってオレの肩を抱き寄せる。鋭い爪が骨を撫ぜた。冷たい鎖が耳に触れても、香炉とは似ても似つかない重く甘い薫りに脳が痺れても。指先ひとつ動かせなくなっていたオレは、ただ黙って地面のシミを数えることしかできなかった。

    「怖がらせたお詫びと言ってはなんですが……。どうです?うちで一杯呑んでいきませんか。なにせこの騒ぎです。近くの通りの人間はみな表の出店に銭を撒きに行ってしまって、おかげで馴染みの客がカッコウしかいない有様。酒も料理も余り放題でして。お兄さんさえよければサービスしておきますよ」
    「オ、レは……ッ」

     本能で否定に走った唇は、されど再び石のように凍りつく。目の前でくるりと翻った青緑の扇が、白い指先に導かれて鳩尾を擽っていた。そのまま、つぃ…と腹を裂くように下ろされた硬い感触は、明らかに包丁や鋏のソレと酷似している。背筋を汗が伝った。

    「心配いりませんよ。お代はすべて、そこでお寝んねしている男に支払わせますから。……大丈夫だぁいじょうぶです。あなたはただ偶然道端で困っていた茶屋の店主を見かねて、残飯処理を手伝ってあげるだけ。もちろん、この物騒な街で初対面の人間と茶だなんて普段なら正気を疑われる話ではありますが……。今日は年に一度の神を召します宙興祭ちゅうこうさい。なにも不思議なことではないでしょう?囃しに、酒に、人波に浮かされて……羽目を外してみてはいかがです」

     その言葉に疑問符は無かった。青銅の扇がピシャリと鳴って、オレは連れられるまま路地の奥へと足を踏み入れてしまった。


    -回-回-回-回-回-回-回-回-回-回-回-


     もうどんくらい経ったのかもわからない。
     机に突っ伏したオレの目の前には空の徳利が五つか六つ転がっていて、その向こう側には宵にまぎれた闇の路地が、そしてその更に向こうには未だ煌々と輝る祭りの喧騒が見える。隣に腰かける男――茨のお気に入りだというこのテラス席は、ここに来た時から貸し切り状態で、閑古鳥が鳴いているというのもあながち嘘ではなかったらしい。それどころか寝惚け眼で周囲を見回すと、この数時間で見慣れた朱色の欄干がオレたちを囲んでいるだけで、すっかり平らげた晩餐の大皿も、背後に控えていたはずの給仕の人も、人っ子一人見当たらなくなっている。

    「ぁう~……?」
    「ああ、やっとお目覚めですか。随分と吞みましたね」
    「そ…すね……?……んぁ~、けど、ちょっと寝たんで頭は冴えてきましたよぉ~。へへっ、夜風きもちぃ~…っすね」
    「それは良かった。では、冴えてきたところでこちらをお願いします」
    「ん~?なんすか、これ……。『おしはらいそうがく』…ッに、にせんはっぴゃくまんッ!?」

     ほのかに茹っていた酔いが全身の熱を率いて、急速に足先へと流れ落ちていった。血の気の引いた頬が徐々に痺れを帯びてくる。

    「いやいやいやいや……!いち、じゅう、ひゃく、……ッ。…は?え?な、何かの間違いっすよね?……だって、ここのお代は全部あの人が――!!」
    「ええ、もちろんですとも。商売人は信用が命。お約束通り、ジュンが飲み食いした満漢全席のお代は、すべて食い逃げ犯に請求してあります。ただ――」
    「ただ……?」

     そこで言葉を区切った茨は、何かを思案しているのか、悩まし気に扇で自らの唇をつつく。紅を引くように親骨を滑らせ、優雅に開いた面で口元を覆い隠すと、うっそりと細めた瞳でオレを見つめる。握りしめた紙きれに、ジワリと汗がにじんでいく。

    「ただ、こちらのテラスは貴人専用の特別席でして……。ご利用の際は、1時間1千万の利用料金を別途頂戴しております」

     衝動に任せて立ち上がると、派手に椅子が転がる音がした。それでも、そんなことに構っていられない。

    「そ……んなん詐欺でしょうが!?だって、この席はあんたに勧められて――ッ!!」
    「席のお勧めは、ご来店いただいたすべてのお客様を対象に行わせていただいております。なにせ街並みを一望できる当店自慢の空中庭園に加えて、オーナーである自分の晩酌付きですから。……ま、大抵の方は料金を聞いて断念されますが」
    「そりゃそうでしょうよ!こんなぼったくり!!」
    「ですが、何も訊かず即決されたのはジュンでしょう」
    「そ、れは……」
    「当店では、入店の際に必ずお客様ご自身でお席をご指定いただきます。屋内・屋外・個室・大部屋・上階・下階…。これら全席に異なる料金形態を採用しており、お客様に合った料金プランで当店をご利用いただいております。もちろんこの説明は、エントランスの一等目立つ壁面に常設で掲示しておりますし、それを見逃した…というのであれば、それはお客様の責任であります」

     確かに……。言われてみると、そんな掲示板は目にした覚えがある。でも緊張しててよく覚えてねぇし、肩掴まれたままゼロ距離でぺちゃくちゃ喋る奴のせいであんま考え事する隙がなかったっていうか、え、つかそもそもあの時は別で金がかかるなんて思ってなかったし……。でも……、でも!もしここで払えませんってなって警邏隊呼ばれて「ああ、それはあなたが悪いですね」って言われたら?それでも絶対この額は払えるわけねぇし、もしも逃げちまってあの、あの人と同じ目に遭うようなことになったら……。

    「ですが、自分も鬼ではありません」
    「…………え?」

     思いがけない言葉に呆然と立ち尽くす。
     また何か裏があるんじゃないか。訝しんで眉を顰めるオレを見上げて、茨はクスリと笑った。ぱたむ…と静かに扇を閉じて、手の中でくるりと一回し弄ぶ。

    「お詫びと言って誘ったのは自分のほうですし、これから御贔屓さんになるかもしれないわけですから!多少、支払いの方法に色を付けても構いませんよ」
    「……分割、ってことすか?」
    「いえいえ!そんな面倒な手段ではありませんよ。もっと簡潔に、手っ取り早く……、身体で払うのはいかがです?」
    「なっ、命だけは……!!」
    「あっはははは!本当に愉快な方ですね。ご安心ください。身体でっていうのはつまり…………こういうこと、ですよ♡」

     ごりゅッっ!ぐりゅぅぅぅっっ♡♡

    「んっ……?!♡♡♡」
     
     突如、身体の中心を襲う強烈な快感……ッ♡とっさに膝を閉じて腰を引いても、硬く細長い鉄の塊に、ぐりゅん…♡ぐりゅん…♡と無遠慮にチンポを捏ね回される。少しでも快感を逃がそうと、踵を浮かせてテーブル腕をつき、茨を睨みつけた。それでもこいつは涼し気に口角を上げるだけで、扇子を動かす手を止めない。的確に竿をすり…♡すり…♡撫でさすり、絶妙な力加減でムニュ♡ムニュ♡と玉を押しつぶす。どれだけ身をよじったって、興奮に涙をにじませたって、オスの本能に抗うことなんてできやしなかった。あっという間に愚息が膨らみ、下履きの布をパツパツに押し上げてしまう。

    「さすがに若いと起ちが早いですね。それとも、随分ご無沙汰でした?」
    「……っるせ。…ぅ、……この、変態野郎が」



    未完
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    izayoi601

    DONE思いついたので一人飯するじょしょどのの話。台詞などでも西涼二直の中ではじょしょどのが一番食事好きな方かなと妄想…脳内で色々分析しながら食べてたら良いです…後半は若も。庶岱と超法前提ですがもし宜しければ。ちなみに去年の流星での超法ネップリと同じ店です。
    早朝、一人飯「これは、まずいな……」
     冷蔵庫の中身が、何も無いとは。すでに正月は過ぎたと言うのに、買い出しもしなかった自らが悪いのも解っている。空のビール缶を転がし、どうも働かない頭を抱えつつダウンを着るしかない。朝焼けの陽が差し込む中、木枯らしが吹き付け腕を押さえた。酒だけで腹は膨れないのだから、仕方無い。何か口に入れたい、開いてる店を探そう。
    「……あ」
    良かった、灯りがある。丁度食べたかったところと暖簾を潜れば、二日酔い気味の耳には活気があり過ぎる店員の声で後退りしかけても空腹には代えがたい。味噌か、塩も捨てがたいな。食券機の前で暫く迷いつつ、何とかボタンを押した。この様な時、一人だと少々困る。何時もならと考えてしまう頭を振り、カウンターへと腰掛けた。意外と人が多いな、初めての店だけれど期待出来そうかな。数分後、湯気を掻き分け置かれた丼に視線を奪われた。
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