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    last_of_QED

    @last_of_QED

    ディスガイアを好むしがない愛マニア。執事閣下、閣下執事、ヴァルアルやCP無しの地獄話まで節操なく執筆します。デ初代〜7までプレイ済。
    最近ハマったコーヒートーク(ガラハイ)のお話しもちょびっと載せてます。

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    last_of_QED

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    月光→暴君話。月光の暴君暗殺計画には計り知れない苦労がありそう。様子をうかがってるうちにあんまりにも世間知らずで暴君様のことちょっと心配しちゃうとか。暗殺しようとしてるのに。おかしいね。可愛いね。

    #ディスガイア4
    disgaea4

    【仮初の仲間】 重厚な蓋を持ち上げれば敷き詰められた黒百合の花びらが舞った。狼男の鼻にはきつく感じられる、甘やかな香り。中を覗き込めば端正な顔立ちの男が瞼を閉じ、寝床に収まっている。その寝床が棺桶であることも相まって男はまるで絵画に描かれた死者のように見えた。彼はノーライフキング、死からはほど遠い存在であるはずなのだが。

     狼男は尚も寝息を立て眠る暴君ヴァルバトーゼの姿に眉をひそめた。

     間抜けな奴。たった半日行動を共にしただけのオレを信用し切って眠りこけて一体どういう了見だ?

     「血染めの恐怖王」として魔界中から畏怖される吸血鬼。噂に名高い暴君ヴァルバトーゼがまさかここまで不用心だとは思っていなかった。
     机の上には暗殺用にあからじめ用意しておいた毒入りワインとグラス。反吐が出るが都合は良い。オレたちが「仲間」になった記念だとでも言って差し出せばこいつは喜んでグラスをあおるだろう。そうだ、これまでの言動から推察するに十中八九疑いもせずに。

     この男が毒に侵される姿を想像する。オレの見立てではこうだ。
     ワインが喉を通り数分が経過した頃、毒に触れた口唇、舌から徐々に痺れを起こす。麻痺して呂律が回らなくなり、嘔吐してようやくこいつはオレのことを睨みつけるに違いない。そのタイミングで腹に何発か、蹴りでも入れてやれば良い。その頃には全身に毒がまわり、恐らく呼吸さえままならない。
     このまま棺桶の中で吸血鬼は永遠と眠り続けることになる。不吉な黒百合が良く似合いだ。

    「フェンリッヒ」

     ようやく目を覚ました吸血鬼がオレの名を親しげに呼ぶ。畏怖の目覚めに部屋の灯りがゆらり揺れる。こちらの腹の内も知らず「眠れないのか?」などと気を遣うこの男はやはり変わっていた。悪魔らしくなかった。

    「寝酒か?」

     その変わり者の悪魔が目ざとくテーブルのワインを見つけ、問う。もっと先に問うことがあるだろう。何の用だと、何故聞かない。勝手に部屋に入るなと、何故構えない。

    「いや、これはお前のために用意した」
    「……俺に?」
    「その、仲間になった記念に。お近付きのしるしに」

     仲間、と自分で口にすれば鳥肌が立った。瞬間、「仲間だ」とぎこちなく笑って見せた暴君の昼間の表情が白昼夢のように蘇る。
     吸血鬼はきょとんとした顔でオレを見、しかしすぐに表情を綻ばせた。

    「手渡しされると嬉しいものだな」
    「は?」
    「近頃、贈り物が良く届く。大抵が十字架やニンニクなのだが、差出人が分からず困っていた。礼のしようもない」
    「お前、それは……」

     微笑み立ち上がったヴァルバトーゼが机上のワインに手を伸ばす。ボトルの首に巻かれたリボンを白手袋の手が解いていく。今すぐにでも贈り物の味を確かめようというのだろう。込められた悪意に気付きもせずに。

     良いのだろうか、これで。

     よぎった疑問。脳が解を割り出すよりも先に、己の手が伸びる。気が付けば、ソムリエナイフを手に取る暴君の腕を掴んでいた。

    「……こいつはまだ若い。数年寝かせてようやくまともに飲める、そんなワインだ。もう少し待った方がいい」

     何を言っているのか、自分でもわからなかった。オレはこの男を殺すために毒入りワインを仕入れのだ。何故絶好の機会を先延ばしにするような言葉が口を突いて出たのか、折角の仕込みを無駄にするのか。自分の考えが、行動が、何ひとつ理解出来なかった。

    「そうか。ではこれはお前と巡り会った記念に取って置くとしよう。飲むのは五年後か、十年後になるか……」

     暴君は解いたリボンを不恰好に巻き直す。ボトルを撫で、楽しみだと柔らかく笑った。
     狼男は堪え切れず、ヴァルバトーゼに背を向ける。フェンリッヒ、と掛けられる声を無視して部屋を後にした。

     暗殺者は閉めた扉に背をもたれ、胸を抑える。心の臓、鼓動がやかましくいつまでも鳴り止まない。酷く苛立って、けれど苛立つ理由が不明瞭で、どうしようもなく不愉快だった。

    「クソが」

     誰もいない廊下、闇の中で舌打ちが響いた。
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    last_of_QED

    MOURNING世の中に執事閣下 フェンヴァル ディスガイアの二次創作が増えて欲しい。できればえっちなやつが増えて欲しい。よろしくお願いします。【それは躾か嗜みか】



    この飢えはなんだ、渇きはなんだ。
    どんな魔神を倒しても、どんな報酬を手にしても、何かが足りない。長らくそんな風に感じてきた。
    傭兵として魔界全土を彷徨ったのは、この途方も無い飢餓感を埋めてくれる何かを無意識に捜し求めていたためかもしれないと、今となっては思う。

    そんな記憶の残滓を振り払って、柔い肉に歯を立てる。食い千切って胃に収めることはなくとも、不思議と腹が膨れて行く。飲み込んだ訳でもないのに、聞こえる水音がこの喉を潤して行く。

    あの頃とは違う、確かに満たされて行く感覚にこれは現実だろうかと重い瞼を上げる。そこには俺に組み敷かれるあられもない姿の主人がいて、何処か安堵する。ああ、これは夢泡沫ではなかったと、その存在を確かめるように重ねた手を強く結んだ。

    「も……駄目だフェンリッヒ、おかしく、なる……」
    「ええ、おかしくなってください、閣下」

    甘く囁く低音に、ビクンと跳ねて主人は精を吐き出した。肩で息をするその人の唇は乾いている。乾きを舌で舐めてやり、そのまま噛み付くように唇を重ねた。
    吐精したばかりの下半身に再び指を這わせると、ただそれだけで熱っぽ 4007

    last_of_QED

    DOODLEディスガイア4に今更ハマりました。フェンリッヒとヴァルバトーゼ閣下(フェンヴァル?執事閣下?界隈ではどう呼称しているのでしょうか)に気持ちが爆発したため、書き散らしました。【悪魔に愛はあるのか】


    口の中、歯の一本一本を舌でなぞる。舌と舌とを絡ませ、音を立てて吸ってやる。主人を、犯している?まさか。丁寧に、陶器に触れるようぬるり舌を這わせてゆく。舌先が鋭い犬歯にあたり、吸血鬼たる証に触れたようにも思えたが、この牙が人間の血を吸うことはもうないのだろう。その悲しいまでに頑なな意思が自分には変えようのないものだと思うと、歯痒く、虚しかった。

    律儀に瞼を閉じ口付けを受け入れているのは、我が主人、ヴァルバトーゼ様。暴君の名を魔界中に轟かせたそのお方だ。400年前の出来事をきっかけに魔力を失い姿形は少々退行してしまわれたが、誇り高い魂はあの頃のまま、その胸の杭のうちに秘められている。
    そんな主人と、執事として忠誠を誓った俺はいつからか、就寝前に「戯れ」るようになっていた。
    最初は眠る前の挨拶と称して手の甲に口付けを落とす程度のものであったはずだが、なし崩し的に唇と唇が触れ合うところまで漕ぎ着けた。そこまでは、我ながら惚れ惚れするほどのスピード感だったのだが。
    ……その「戯れ」がかれこれ幾月進展しないことには苦笑する他ない。月光の牙とまで呼ばれたこの俺が一体何を 3613

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    last_of_QED

    DONEディスガイア4で悪魔一行が祈りに対して抵抗感を露わにしたのが好きでした。そんな彼らがもし次に祈るとしたら?を煮詰めた書き散らしです。【地獄の祈り子たち】



    人間界には祈る習慣があるという。どうしようもない時、どうすれば良いか分からぬ時。人は祈り、神に助けを乞うそうだ。実に愚かしいことだと思う。頭を垂れれば、手を伸ばせば、きっと苦しみから助け出してくれる、そんな甘い考えが人間共にはお似合いだ。
    此処は、魔界。魔神や邪神はいても救いの手を差し伸べる神はいない。そもそも祈る等という行為が悪魔には馴染まない。この暗く澱んだ場所で信じられるのは自分自身だけだと、長らくそう思ってきた。

    「お前には祈りと願いの違いが分かるか?」

    魔界全土でも最も過酷な環境を指す場所、地獄──罪を犯した人間たちがプリニーとして生まれ変わり、その罪を濯ぐために堕とされる地の底。魔の者すら好んで近付くことはないこのどん底で、吸血鬼は気まぐれに問うた。

    「お言葉ですが、閣下、突然いかがされましたか」

    また始まってしまった。そう思った。かすかに胃痛の予感がし、憂う。
    我が主人、ヴァルバトーゼ閣下は悪魔らしからぬ発言で事あるごとに俺を驚かせてきた。思えば、信頼、絆、仲間……悪魔の常識を逸した言葉の数々をこの人は進んで発してきたものだ。 5897

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    CAN’T MAKE十字架、聖水、日の光……挙げればきりのない吸血鬼の弱点の話。おまけ程度のヴァルアル要素があります。【吸血鬼様の弱点】



    「吸血鬼って弱点多過ぎない?」
    「ぶち殺すぞ小娘」

    爽やかな朝。こともなげに物騒な会話が繰り広げられる、此処は地獄。魔界の地の底、一画だ。灼熱の溶岩に埋めつくされたこの場所にも朝は降るもので、時空ゲートからはささやかに朝の日が射し込んでいる。

    「十字架、聖水、日の光辺りは定番よね。っていうか聖水って何なのかしら」
    「デスコも、ラスボスとして弱点対策は怠れないのデス!」
    「聞こえなかったか。もう一度言う、ぶち殺すぞアホ共」

    吸血鬼の主人を敬愛する狼男、フェンリッヒがすごみ、指の関節を鳴らしてようやくフーカ、デスコの両名は静かになった。デスコは怯え、涙目で姉の後ろに隠れている。あやしい触手はしなしなと元気がない。ラスボスを名乗るにはまだ修行が足りていないようだ。

    「プリニーもどきの分際で何様だお前は。ヴァル様への不敬罪で追放するぞ」

    地獄にすら居られないとなると、一体何処を彷徨うことになるんだろうなあ?ニタリ笑う狼男の顔には苛立ちの色が滲んでいる。しかし最早馴れたものと、少女は臆せず言い返した。

    「違うってば!むしろ逆よ、逆!私ですら知ってる吸血鬼の弱 3923

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    DONEしがない愛マニアである私が原作の奥に想い描いた、ディスガイア4、風祭フーカと父親の話です。銀の弾は怪物を殺せるか?【銀の弾など必要ない】



    白衣が揺れる。頭をかいてデスクに向かうそのくたびれた男に私は恐る恐る声を掛ける。

    「パパ、お家なのにお仕事?」

    男はこちらを振り返りもしない。研究で忙しいのだろうか。それとも、私の声が届いていないのだろうか。
    父親の丸まった背中をじっと見つめる。十数秒後、その背がこわごわと伸び、首だけがわずかにこちらを向く。

    「すまん、何か言ったか?」

    この人はいつもそうだ。母が亡くなってから研究、研究、研究……。母が生きていた頃の記憶はあまりないから、最初からこんな感じだったのかもしれないけれど。それでも幼い娘の呼び掛けにきちんと応じないなんて、やはり父親としてどうかしている。

    「別に……」

    明らかに不満げな私の声に、ようやく彼は腰を上げた。

    「いつもすまんな。仕事が大詰めなんだ」

    パパのお仕事はいつも大詰めじゃない、そう言いたいのをぐっと堪え、代わりに別の問いを投げかける。

    「いつになったらフーカと遊んでくれる?」

    ハハハ、と眉を下げて笑う父は少し疲れているように見えた。すまんなあ、と小さく呟き床に胡座をかく。すまん、それがこの人の口癖だった。よう 3321

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    DOODLE【10/4】ヴァルバトーゼ閣下🦇お誕生日おめでとうございます!仲間たちが見たのはルージュの魔法か、それとも。
    104【104】



     人間の一生は短い。百回も歳を重ねれば、その生涯は終焉を迎える。そして魂は転生し、再び廻る。
     一方、悪魔の一生もそう長くはない。いや、人間と比較すれば寿命そのものは圧倒的に長いはずであるのだが、無秩序混沌を極める魔界においてはうっかり殺されたり、死んでしまうことは珍しくない。暗黒まんじゅうを喉に詰まらせ死んでしまうなんていうのが良い例だ。
     悪魔と言えど一年でも二年でも長く生存するというのはやはりめでたいことではある。それだけの強さを持っているか……魔界で生き残る上で最重要とも言える悪運を持っていることの証明に他ならないのだから。

     それ故に、小さい子どもよりむしろ、大人になってからこそ盛大に誕生日パーティーを開く悪魔が魔界には一定数いる。付き合いのある各界魔王たちを豪奢な誕生会にてもてなし、「祝いの品」を贈らせる。贈答品や態度が気に食わなければ首を刎ねるか刎ねられるかの決闘が繰り広げられ……言わば己が力の誇示のため、魔界の大人たちのお誕生会は絢爛豪華に催されるのだ。
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