今日は君を祝うために その日は、国民の休日で学校が休みだった。
数日前には猛威を振るっていた台風も通過し、実に爽やかな晴天に恵まれている。愛用のグローブを磨く手を止めて窓の外を見れば、コロマルが寮の前で実に気持ちよさそうに日向ぼっこをしていた。
コロマル以外にも寮の面々は皆思い思いの連休を過ごしているようで、つい一昨日までは運悪く風邪を引いて寝込んでいた結城も、友人との用事があるとかで出かけて行った。回復が早いのは良いことだが、なかなかにタフな奴だと思う。
「お前はどこも行かないのか?」
なんの気無しに近くにいた荒垣に声をかける。休学中の身である荒垣には休日も平日もあったものではないのだが、真田がそれに気付いたのはそう言った2秒後だった。
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