Recent Search
    Sign in to register your favorite tags
    Sign Up, Sign In

    3h1364rYPW5q2mO

    ☆quiet follow Yell with Emoji 💖 👍 🎉 😍
    POIPOI 13

    3h1364rYPW5q2mO

    ☆quiet follow

    曦澄ワンドロワンライ第三十五回。お題「手紙」です。投稿遅くなってすみません。タイム30分オーバーかな。 閉関中の藍曦臣へ江晩吟が宛てた手紙です。開催ありがとうございます。
    毎回読んでいただき感謝しています。

    #曦澄ワンドロワンライ

    #曦澄ワンドロワンライ
    eiChengWangdrooWanglai.

    文に託した四文字の言葉貴方は今も金光瑶がいない狭間で生きる気力を失ったかのように生きているのですか?
    閉関中の藍曦臣に文を届けてほしいと、藍啓仁から文での依頼があった。

    「元気ですか?体調はご無事ですか?」

    そんな簡単で単調な言葉だけでは済まされない。
    藍曦臣が心の中に背負った傷は深くて誰も癒すことができない。
    との事で藍啓仁のお目にかかったのが江晩吟だった。
    元気ですか?
    貴方は今も哀しい表情をしているのですか?
    その言葉を文に託す。

    『体調はどうか?一日三食食べているのか?眠れているのか?』

    誰でも書けるようなうわべだけの単調な文字を連ねても藍曦臣の心には届かない。
    江晩吟が書きたい、藍曦臣の心の内を知りたいのはうわべだけの文字ではない。
    江晩吟は何枚もの紙を丸めては捨て、筆を持つ手が震えて、墨汁が紙に滴り落ちたらまた、丸めては捨てるを繰り返す。
    手短でもいい。
    己の思いや感情を文に表現しよう。
    これを書いたら貴方はどう思うのだろうか。

    『会いたい』

    伝蝶令ではなくて文に託す。
    たった四文字の言葉。
    貴方の姿がみたい。
    貴方の表情を知りたい。
    今の貴方は文さえも受け取ってくれなさそうだけど。
    顔を一目みるだけでいい。
    言葉は交わさなくていいからと。
    たった一言の想いを文に記して届けた。
    数日後。
    江晩吟が送った藍曦臣宛の文が雲深不知処に届く。

    窶れた表情をした藍曦臣は江晩吟からの手紙を一通めくる。

    『会いたい』

    という四文字の言葉に江晩吟はどんな意味を込めたのだろうか。
    心配してくれているのか。
    同情しているのか。
    憤慨しているのか。
    誰かからの依頼なのか。
    意図は分からない。
    藍曦臣は大量に送られてきても読み返すことなく破り捨ててきて誰にも返事を送らなかった。
    江晩吟にだけ文を返す。

    『ご都合がつく日に雲深不知処に来てください』

    という言葉を添えて返信する。
    どんな理由であれ。

    『会いたい』

    という言葉に希望を持つことができた。
    一人ではないと感じることができた。
    まだ自分を必要としてくれる人がいることに、藍曦臣の目から一筋の涙が流れた。
    どの文もありきたりの内容で、侮辱した内容もあった。
    理由も知らずに文の内容は、様態は大丈夫なのか?なぜ金光瑶を刺した?等
    胸に突き刺さる言葉ばかりの中に、会いたい。
    という言葉で江晩吟の優しさが表現されていた。
    なぜ会いたいなのかはわからないけれど。
    江晩吟なりの不器用な優しさ。
    貴方に会うためにもう一度、生きてみようか。
    また、命がすり減る日々もあるとは思うけど。
    傷付いた心の傷は簡単には癒えないけれど。
    一日一日を、日常を取り戻しながら生きてみようかと。
    貴方に会える日を励みにして一日を生きてみようと思います。

    ***

    『会いたい』

    江晩吟は自分の執務が終わってから雲深不知処を訪れた。
    藍曦臣は四文字の言葉を受け入れてくれた。
    どんな想いで受け入れてくれたのか。
    寒室の部屋に伺う前に藍啓仁と挨拶を交わし、藍曦臣に会いに行く。

    「沢蕪君、会いに来た」
    「江宗主、 お待ち致しておりました。ご足労おかけしてすみません」

    寒室の襖を開けると、薄暗い部屋の中に微笑みを失った、藍曦臣の姿。
    これが、藍曦臣の素顔で微笑みなど社交辞令に過ぎない。

    「会いたかったのは本当の貴方の姿だ。心の傷を癒すのには時間がかかる。だから、会いたいという言葉だけを文に書いた」
    「…江宗主…」

    藍曦臣は涙を流しては、江晩吟の身に纏った服に片手でしがみついては溢れ出てくる涙を止めることができなかった。
    一人で抱え込んで辛かった。
    誰かの傍で弱音を吐き出したかった。
    江晩吟が会いに来てくれて、胸のつまりのしこりが降りた気がした。

    「思い切り泣け。胸なら貸してやる」

    会いたいという気持ちは涙に変わり、哀しさからようやく会えた嬉し涙へと変わっていった。
    Tap to full screen .Repost is prohibited
    😭👏👍👏👏👏👏👏💙💜💜💜😭😍
    Let's send reactions!
    Replies from the creator

    related works

    recommended works

    takami180

    DONE曦澄ワンドロワンライ
    第四回お題「看病」

    現代AU、友人でもない曦澄。
    大学生澄+羨はルームメイト、今回は忘羨を含みます。
     江澄は呆然とその人を見返した。
     扉を開けた先に立っていたのは藍曦臣、大学の先輩である。彼はまったく似合わないコンビニ袋を下げている。
     有料袋を買ったのか、もったいない。
     益体もないことを考える江澄に、藍曦臣は眉尻を下げて笑った。
    「弟から連絡をもらったのだけど、差し入れを持ってきました」
    「はあ、はい、ありがとうございます」
     彼の言う弟とは藍忘機である。江澄の義兄とは恋人同士で、今日は二人で温泉旅行に行っているはずだ。
    「ゼリー飲料と、栄養剤と、それから経口補水液。あとおかゆも入っているから」
     コンビニ袋を差し出され、江澄は素直にそれを受け取る。
     おかしい。何故、藍曦臣が自分の体調不良を知っている。
    「あれ? 魏無羨からなにも聞いてない?」
    「魏嬰? いや、なにも」
     と言いかけたところで、江澄はスウェットのポケットからスマートホンを取り出した。
     そういえば昨晩から放置していた。今、何時かも確認していない。
     ホーム画面には十四時とある。それから着信とメッセージの通知が大量に表示されていた。
    「あ……」
     慌ててアプリを開くと、義兄からのメッセージが流れていく。
     —— 1731

    sgm

    DONE曦澄ワンドロお題「看病」
    Twitterにあげていた微修正版。
    内容に変わりません。
     手足が泥に埋まってしまったかのように身体が重く、意識が朦朧としている中、ひやりとした感覚が額に当てられる。藍曦臣はゆっくりと重い瞼を開いた。目の奥は熱く、視界が酷くぼやけ、思考が停滞する。体調を崩し、熱を出すなどいつぶりだろうか。金丹を錬成してからは体調を崩すことなどなかった。それ故にか十数年ぶりに出た熱に酷く体力と気力を奪われ、立つこともできずに床について早三日になる。
    「起こしたか?」
     いるはずのない相手の声が耳に届き、藍曦臣は身体を起こそうとした。だが、身体を起こすことが出来ず、顔だけを小さく動かした。藍曦臣の横たわる牀榻に江澄が腰掛け、藍曦臣の額に手を当てている。
    「阿、澄……?」
     なぜここにいるのだろうか。藍家宗主が体調を崩しているなど、吹聴する門弟はいないはずで、他家の宗主が雲深不知処に来る約束などもなかったはずだ。仮にあったとしても不在として叔父や弟が対応するはずだ。当然江澄が訪れる約束もない。
    「たまたま昨夜この近くで夜狩があってな。せっかくだから寄ったんだ。そしたら貴方が熱を出しているというから」
     目を細め、伸びて来た江澄の指が額に置かれた布に触れる。藍曦臣の 1972