11月3日のひとときいいおっさんの日
「ね、お兄ちゃん」
「なに?」
木枯らしが吹く季節、日が落ちる時間も日に日に早くなっている。KKの用事で3人で出掛けたはいいが、少し用があるから待ってろと言われて公園のベンチで待つこと10分。冷たくなった手をすり合わせて白い息を吐いた。
もうすっかり冬の装いになった麻里が、スマホの画面を見せてくる。身を寄せて画面を覗き込むと、『11月3日はいいおっさんの日!いいおっさんの条件とは!』なんて記事が書かれている。
「いいおっさんだって」
「いいおっさんかぁ」
二人して思い浮かべたのはここにいないKKのことだ。ふむ、と指先で下唇を撫でる。
おっさんはおっさんでも「良い」おっさんかと言われるとそうとも言い切れない。
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