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    おもち

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    おもち

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    PsyBorg。リップチョコ使っていちゃついてる話。

    #PsyBorg

    浮奇、と声をかけられて、ふわふわと意識が浮上する。俺の頭を優しく撫でる恋人に、それ余計眠くなるからやらないでと注意したくてもできないのは、彼に頭を撫でられるのがすごく好きだから。眠気に負けそうになりながら指先をパタパタと動かせば、彼は笑いながら俺の手を掴んだ。指を絡めて握って、もう一度「浮奇」と声をかけられ「ん〜……」と唸り声を返す。
    「何か荷物が届いたから受け取っておいたよ。冷蔵とは書いてないけど食品って書いてあるからどうしたらいいか聞いた方がいいかと思って」
    「んん……しょくひん……?」
    「通販でお菓子でも買ったのか?」
    「つうはん……、……あ」
    「お、起きた」
    パチっと目を開けば俺の顔を覗き込んでいたふーふーちゃんと目が合って、俺は咄嗟に布団の中に頭を隠した。彼はくすくす笑って繋いでいない方の手で布団越しに頭を撫でてくれる。
    「おはよう、浮奇」
    「……おはよお」
    「お腹は空いてるか? パンもシリアルもあるから何か食べるといい」
    「ん……顔洗ってから行くから、先むこう行って」
    「寝てるところも寝起きも、もう見慣れるくらい見てるけど」
    「うるさいばか」
    「ふふ、じゃあリビングにいる。顔を洗ってからおいで」
    ぽんぽんと布団を優しく叩いて繋いだ手を解き、彼はベッドから立ち上がって寝室を出て行った。布団から顔を出し彼の残り香を少しの間堪能してから、起き上がりあちこちに跳ねる癖っ毛を押さえつけながら洗面所に向かった。
    顔を洗ってお気に入りの可愛いピンで大人しくなってくれない寝癖を止めリビングに行けば、彼は俺の分のコーヒーを準備した上で自分はまったりと紅茶を飲みながら本を読んでいた。自慢の彼氏過ぎて誰にも見せてあげたくないな。
    「おはよう、ふーふーちゃん」
    「ん、おはよう。今日は一日家にいるんだっけ?」
    「うん。あ、それ、届いたやつ?」
    「ああ。どうするか迷って、起こしてしまって悪かったな」
    「ううん、届くの楽しみにしてたから起こしてくれて嬉しいよ。ありがと」
    「なら良かった。お菓子か? この時期なら、チョコレートとか?」
    「わお、名探偵。ご名答」
    「なら冷蔵じゃなくても起こして正解だったな」
    隣に座って届いた箱を開ければ彼も本を閉じて俺の手元を見つめた。そこまで大きくない箱の中には緩衝材に包まれた箱がいくつか入っていて、俺はそれをテーブルの上に並べた。正方形の箱や細長い箱、手のひらに収まるくらいの小さな箱を見て、ふーふーちゃんは「多いな」と楽しそうに笑う。
    「全部可愛くて選べなかったからいっぱい買っちゃった」
    「しばらくは甘いものには困らないんじゃないか?」
    「かもね。ふーふーちゃんも一緒に食べよ、ビターなやつとかもあったはずだから甘過ぎないと思うし」
    「いいのか? 浮奇が食べたくて買ったんだろう?」
    「知ってる? バレンタインって恋人と楽しむものなんだよ?」
    「……それじゃあ、お言葉に甘えて?」
    「うん、そうして。……あっ、これ! これはもう今すぐ一緒に楽しめるやつ!」
    「うん?」
    首を傾げるふーふーちゃんの前で一番小さな箱を開けて中身を取り出す。あまりそれに詳しくない彼でもいつも俺がメイクしているのを見ていて覚えたのか、不思議そうな顔で「口紅……? 化粧品も一緒に買ったのか?」と聞いてきた。ニッと笑い、それのフタを開ける。
    「ルージュ型のショコラなんだよ、超可愛くない?」
    「……食べられるのか、それ」
    「イエス。それでね、やっぱりルージュは、唇に塗らないとでしょ?」
    「……」
    「顔、動かさないでね?」
    「あぁ……そうなるよな……」
    はぁっとため息を吐きながら、案外嫌そうな顔はせずにふーふーちゃんは大人しく俺の方を向いた。彼にメイクをしてあげたことはないけれど、意外とやりたいと言えばやらせてくれるのだろうか。ルージュ型のチョコへの好奇心が勝っているという可能性もある。今度さりげなく聞いてみよう。
    チョコを彼の唇に当て、それが体温で少し溶けたのを感じてからスッと横に塗る。ただのチョコだから綺麗に色付くわけではないけれど、甘い香りがする彼の唇はあまりに美味しそうで、俺はすぐにその唇に噛みついた。舐めればわずかにチョコの味がする。好き勝手する俺を、彼はただされるがままで受け入れてくれていた。
    すっかりチョコの味もなくなった唇からようやく離れ、俺は違う箱を開ける。ただの丸や四角だけじゃなくハートやクマの形もある可愛らしいチョコをひとつ食べ、甘くて美味しいけどふーふーちゃんのキスには敵わないなぁと考えていれば、テーブルに置いたルージュ型のチョコを手に取ったふーふーちゃんが「浮奇」と真面目な声で俺を呼んだ。チョコを飲み込んで彼の方に顔を向ける。
    「うん? なぁに?」
    「これ、浮奇にもやりたい」
    「……ふーふーちゃんが塗ってくれるの?」
    「はみ出しても問題ないだろう?」
    「……顔中に塗ってくれたっていいよ」
    俺の返答にふーふーちゃんは口角を上げ、俺の顎に手を添えた。キスをされる時くらいしかされないその所作にドキドキと胸が高鳴る。彼は真剣な表情で俺の唇にチョコを当て、拙い動きで唇の上を滑らせた。甘い香りが俺の唇を彩り、次の瞬間にはふーふーちゃんの唇と重なっていた。
    舐められて、食まれて、まるっきり食べられてるみたいな感覚に心臓がきゅんと鳴く。ふーふーちゃんといちゃいちゃできるかもって下心もあって買ったけど、こんなに効果抜群だなんて思ってなかったもん。まだ封を開けていないもう一色を開ける頃には唇が腫れちゃってるかも。
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