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    wonka

    とりあえずマシュおいとく用
    ステ新規/アベとアビ左右不問

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    wonka

    PROGRESS
    「[[rb:悪魔の目 > イヴルアイ]]」
    「あ……」
    咄嗟にアビスはすでに包帯で隠れているのにも関わらず左目を隠すように手で覆って俯いた。
    「すみません。包帯は基本的に解きません。目を直接合わせなければその、効果はないはずなので」
    今日からルームメイトになるその相手の顔をろくに見ないまま焦るあまり捲し立てる。
    「気になるなら私出て行きますので……」
    「まだ何も言ってねえよ」
    今までのルームメイトとのことを思い出して先回りしてそう告げたアビスにワースはそう返した。
    「あの人が決めた部屋割りだ。よっぽどのことがない限りは別に変えてもらう気はない」
    そういって自分のスペースに帰っていくワースの背をアビスはただ見送った。今までのルームメイト達は大抵そのまま荷物を持って出て行って帰って来なかった。自分が出て行くべきなのにその交渉を打診されるまでもなく去って行った彼らにいつも申し訳なさだけが残っていた。この人は出て行かないのだ、と漠然と思った。出て行けとも言われない。このままこの部屋にいていいのだろうか。元々大した私物もない。出て行くことになればすぐにそうできるようにアビスは荷物を広げることもなくベッドの隅に体を横たえた。今回はいつまで持つんだろうと今までのように相部屋が解消されるまでのことを漠然と考えていた。
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    wonka

    DONEアベルとアビス/アビアベ寄りですが左右不問
    悪夢を見たアベルの話
    nightmare母が刺された時のことは今でも夢に見る。
    もう乗り越えたことだと思ってはいてもその悪夢が訪れるたびに鮮明な映像で繰り返し見せつけられる凄惨な過去の光景。子供だった頃ほどは動揺しなくなったものの現実と見紛う悪夢はそれでも良いものではない。
    また今日も。ああ、この後母は殺される。二度と見たくない光景がまた繰り返される。頭にこびりついて離れないこの先の光景から目を逸らしたくても自分の意思で止める術のない夢の中では目の前の事象をただ眺めいることしかできない。母から食べ物を受け取った男が懐に忍ばせていたナイフ、それが母の身を切り裂く、その場に倒れ噴き出す赤い血でみるみる染まってゆく美しく優しかった母……夢に見なくとも忘れることのできないのにそれでいて何度も見た悪夢だ。そう思った矢先、血に染まる母の姿はみるみるうちにアビスに変わった。母の返り血を浴びた男の立っていた場所には鮮血の赤に染まる自分がいた。え、と思わず溢れた声は夢が現実が分からない。心臓がどくどくと音を立てて鼓動を早める。違う、アビスは助かったはず。そう自分に言い聞かせるも血溜まりなかのアビスはびくともしない。「お前を庇ってそいつは死んだ」どこからともなく声がした。違う、アビスは死んでない。「お前を庇ったせいで」「アビスは死んだ」違う、違う、そんなこと命じてない、望んでない。アビスは今でも……責め立てる声はアベル自身の声に似ていた。うるさい。耳を塞いでもその声は止まない。アビスの体から流れでた血が立ち尽くすアベルの足元にまで広がっていた。うまく息ができない。は、は、と自らの乱れる呼吸音が耳に響く。酸素が足りなくなっていく感覚に視界が暗くなった。
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