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    ぐ@pn5xc

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    犬の話
    Twitterで2023.2.8

    #七五
    seventy-five

    犬の話「昔、犬を飼っていたんだよ」
     どういった流れでそうした話になったのか、七海は覚えていない。しかし話しながら「へへ」と笑う友人灰原の表情を今でも覚えている。
     
     家に犬がいるってさ、なんかいいものだよ、七海。心の中に宝物があるみたいで。たとえば学校の帰りとかにもうすぐ家が近づくだろ。そのときすぐ顔が浮かぶんだよ。道を歩いててもさ、何でもないところでふいに犬の名前が頭に浮かぶときがあって、頭の中で二回くらい名前を呼べば、胸の中がさ、何だかポウっとするんだよね。

     僕も妹も可愛がっていたんだけど、高専に入学するちょっと前に死んじゃってね。寿命だったからしょうがないんだけど…
     でも、忘れられない。と、少し遠い目をして、しかし七海を振り返って「へへ」と笑った灰原のことを七海はずっと覚えていた。
     
     七海自身は犬を飼ったことはない。だが、小さい頃、祖父母の家に大きな犬がいて、犬は七海を可愛がっていたそうだ。朧げながらに大きなシルエットと長い毛並みを覚えているようなないような、そんな記憶がある。
     
     七海は今、仕事を終えて家に向かっている。今日は少し長引いて高専を出るのが遅れた。この時間なら五条が七海の家に来ているかもしれない。お気に入りのソファに座ってくつろいでいるかもしれないし、キッチンで何かを作っているかもしれない。
     七海は胸の中に何か灯がともる心地がした。たぶん灰原が言っていたのはこれだ。ポウっとして、自然口元が緩む。
     
     心の中に宝物があるような
     
     灰原、と七海は思う。
     
     ドアを開けた。白い髪の体の大きな男が出てきて「おかえり~」と笑う。
     七海は口元を緩めた。大きな体を抱いてその柔らかな髪を撫でた。これが愛というものかもしれない。これが愛というんでしょう?
     
     灰原の愛した小さな犬も、七海を愛してくれた大きな犬も、そして今、七海に撫でられ戸惑いながら目を細めるこの大きな人も、愛情は一本に繋がっている。どこから来てどこにいくか知らない。それでも一本に繋がっている。
     
    「五条さん」七海は言った。
     昔、灰原と犬の話をしたんです。
     ふうん、首をもたれさせ五条が言う。
     心の中に灯がともっているような、宝物があるようなと、言っていたんです。
     
     うん、五条は七海の髪を撫でた。
    「…食事にしましょうか」
     七海は身を離してもう一度五条の髪を撫でた。口元は自然に笑む。そうさせてくれる相手がいるなんて、幸せなことですね、灰原。
     
    「シチューを作ったんだよ」
     五条が言う。
    「それからデザートにチョコレートケーキとアイスクリームと、あとプリンがあるよ」
    「自分が食べたいものばかりじゃないですか」
     えへへ~と五条が笑う。
     
     好きで好きでたまらない
     そういうことですね、灰原。
     好きで好きで好きで好きで…
     
     ありがとうございます。七海は思った。




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    4_haru100

    DONEシャ白さんとの共同企画🍽
    5話目!

    ⚠︎ストレスに狂った七海がストレス発散のために五条に料理を食べさせる話です
    ⚠︎付き合ってないしロマンスの兆しはすごく微かです
    ⚠︎なんでも許せる方向け
    ■とびうお / クークー普通の先輩後輩みたいな、七海がそういう感じで思ってくれてたら良いな、なんて、つい先日思ったばかりのことが頭をよぎる。確かに思った、思ったけれど、じゃあ今この息苦しさはなんだろう。

    「え?五条さん?」
    いつも通り、七海の部屋に玄関からちゃんと来た。いつも通りじゃなかったのは、ドアを開けたのが家主じゃあなかったってところだ。
    「猪野くん、じゃあまた今度……」
    部屋の奥から言いかけた家主が、あと気が付いた様子で顔を上げた。入り口で立つ五条と、玄関を開ける猪野と、廊下から二人を見る七海。一同少し固まって、そうして一番最初に口を開いたのは自分だった。
    「帰った方がいい?」
    「は?」
    「えっなんでですか!」
    この部屋で誰かと出くわすことを考えていなくて、動揺する。頭が上手く回らない。いや、そうだよな別に誰かがいたって、帰ることないよなとようやく脳細胞が動き出した頃、猪野がドアを開けたままなことに気が付く。
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    beni_0082

    DONE紅のカラプラのお話は
    「きっと仕方の無いことなのだ」で始まり「本当に嬉しいとき、言葉よりも涙が出るのだと知った」で終わります。
    #shindanmaker #こんなお話いかがですか
    https://shindanmaker.com/804548
    (締めの文変えてます申し訳。発想だけ貰ったような形)
    (第1部読んだ人向け)
    (婚約者確定している)
    (文がド下手)
     きっと仕方の無いことなのだ。私は王族で彼は騎士。そもそも結ばれることすら難しかったはずの恋だもの。だから今こうして彼と密接な関係を持つことができているだけでもありがたいことだと。これ以上を望むのは浅ましいことだと。ざわつく心に何度も何度も言い聞かせる。
     でも。それにしたって。

    (そろそろハグくらいはしてみたい……!!)

     は、はしたないかしら!?こんなことを思ってしまう王女なんて。でもカラムと正式な婚約者になってもう一ヶ月になるのに!一緒にお茶をしたり散歩をしたりすることのみに留まっているのは流石に、流石にペースが遅いのでは!?
     もちろん、王族としてちゃんと弁えてはいるつもりだ。本当の夫婦になるまでは身体を、身体を!か、かっ……さねるところまでいくのは!よろしくないことだってわかっている。……でもハグくらいまでなら、もう進んでしまっても大丈夫なのではなかろうか……?うぅ、なんとなく落ち込んできた。カラムのことは信じているのに。私に魅力がないとか、そういうネガティブな理由で手を出してくれないわけではないことだって、わかっているのに。
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