あした天気になあれ ――いい加減、もっとこう、からっとした晴れ間ってのが見てえよなぁ……。
白い丸坊主の頭に黒いマジックを走らせながら、裂魔弦が呟いた。
丸めたちり紙にもう一枚を覆い被せて輪ゴムで止めただけの、簡素な人形のそれ。所謂てるてる坊主というものに顔を描いているらしい彼の様子を何とはなしに見守りながら、先程携帯端末で確認した明日の天気を思い浮かべる。曇り時々晴れ、ところによって一時雨。降水確率25%。梅雨時期らしいと云えばらしい、なんとも微妙な数値である。
天気予報が一週間の雨を予想したところで、実際は一日曇っているだけで終わったり、どころか時々晴れ空を覗かせていたずらに蒸し暑さを助長させることも珍しくはない。明日のことなどは結局、明日になってみなければわからないのだ。
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