せんせいこうげき「リー」
「はい」
呼べばすぐに気づいてくれる彼にちょっとした悪戯がしたくて手招きした。
「なんですか」
椅子に座っている自分に対して、もう少し寄るように手振りする。
「ちっと……この体勢だときついんで」
長駆を折り曲げるようにしていたのをしゃがみ込み、下から見上げるその優しい瞳の中に自分が映っている。
「内緒話ですか。なんです?」
「ありがとう」
そっとリーの顔に手を添えて触れるだけのキスをした。
「───あの……じゃれたいんなら、言葉で先にお願いできますかね!」
そういって帽子で顔を隠した彼の頬は普段よりも赤みを帯びていた。