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    第二十四回五七ドロライ参加作品、お題は『縛』です。
    バカップル全開な五七。
    誤字脱字、キャラ崩壊はご容赦下さいませm(_ _)m

    #五七
    Gonana

    「ねえ、五条さん。私、今夜は主導権を握ってみたいんですけど……ダメ、ですか?」


    そんな可愛いコトを言い出した七海の手には、柔らかそうな長い布が握られていた。
    今宵は既にベッドの上、明日は無理矢理合わせた二人揃っての休み。
    それを踏まえた上での、可愛い恋人からの『主導権を握りたい』発言。
    これでエッチな展開を期待するなと言う方がムリでしょ。


    「えー? 珍しいじゃん、オマエがそんな事言うなんて。どういう風の吹き回し?」

    「どう、って……良いじゃありませんか、偶には」


    しゅるりと掌で布を滑らせながら、七海が僕にしなだれかかる。
    うーわ、いつにもましてエロいわー……まだ何もしてないしされてもないのに、ゴクリと生唾呑み込んじゃうレベルでエロい。


    「うん、まあ、オマエがしたいなら別に良いよ。でも、具体的にどうしたいの?」


    ま、順当に考えれば、その手に持ってる布で縛るか隠すか、だよな。
    すると七海はニコリと微笑んで、そろそろと僕の両手首にその布を巻き付けてきた。
    思った通り肌触りが良く柔らかいその布は、恐らくは僕の手首に縛った痕を残さないようにする為なのだろう。
    そんなところにまで七海の気遣いを感じて嬉しくなる、僕ってば愛されてるなぁ。


    「……これでよし。どうです五条さん、痛くないですか?」

    「うん、大丈夫。でもコレ、ちょっと緩くない? これだと、ちょっと力入れたらすぐに解けちゃうよ?」


    そう言うと、七海は僕に顔を寄せてすり、と頬と頬とを擦り合わせた。
    そのまま僕の耳元で、息を吹き込むように囁く。


    「…良いんですよ。アナタに傷をつけたい訳ではありませんし、それに……」

    「っ、」


    七海の手が、縛られた僕の両手首の上をゆるりと撫で上げた。
    いちいちエロいその所作に、僕もやっぱりいちいち反応してしまう。


    「……これはアナタの理性を試す為の、いわば『箍』なんです。自力で外そうと思えばすぐに外せるソレを、アナタの理性で頑張って抑え込んでみせて下さいね?」


    ちゅ、と僕の耳朶に濡れたリップ音とキスを落として妖艶に笑う七海。
    うわ、これはヤバい……理性保つかな、僕。
    既に我慢もギリギリで七海に手を伸ばせば、アイツは微笑んだままスルリとベッドから降りてしまった。


    「え、? どうしたの、七海」

    「…ちょっとだけ、待ってて下さい。すぐに戻りますから」


    そうニッコリと微笑んで、七海は部屋を出ていってしまった。
    残されたのはベッドの上、両手首を縛られて放置された三十路間近の大男……流石のGLGな僕であっても、この絵面はちょっとヒドくない?
    七海ー、どこ行ったんだよー……と思っていたら、今の内心の叫びが聞こえたかのようなタイミングで七海が戻ってきた。


    「お待たせしました、五条さん」

    「うん、ホントにね……って、何持ってきたの、オマエ」


    見れば七海は手に何か持っている。
    七海はソレをベッドサイドにあるミニテーブルに置くと、澄ました顔でベッドに腰を下ろした。
    良く見れば、その正体は。


    「……パウンドケーキ?」

    「ええ」


    ソレは適度な厚さにスライスカットされたパウンドケーキだった。
    七海はそれを一枚無造作に掴むと、一言「いただきます」と言ってパクリとかぶりついた。
    え、何、どういう事??
    なんでこのタイミングでパウンドケーキ食べてんのコイツ。


    「…うん、初めて作った割にはうまくできましたね」

    「! ねえ七海、ソレ、オマエの手作り」

    「そうですよ。それが何か?」

    「何か、じゃねーし! 僕、僕にもちょーだい!」


    身を乗りだしてせがめば、七海がちょっと小首を傾げて僕を見た……あぁクソ、ホンット可愛いな!


    「食べたいんですか? これ」

    「当たり前だろ! オマエの初めては何でも僕がもらう、って決まってんだよ!」


    我ながら重いと考えながらそう告げると、七海はケーキにはくりとかじりつきながらニィと笑んだ。


    「嬉しい事を言ってくれますね。でも…ダメ、です」

    「はあ なんで」


    思わず両手首のいましめを引き千切ろうとした時、不意に七海の手がそれを止めた。


    「だぁめ、ですよ? ちゃーんと理性で抑えて下さい」

    「いや、ちょ……ってムリムリムリ! 僕も食べたいもん! 食べたい食べたい!」


    辛うじて引き千切るのを思い止まり、子供よろしく駄々を捏ねまくる。
    だって絶対に食べたいじゃん、七海が初めて作ったパウンドケーキ!
    そんな僕を尻目に、七海のケーキを食べる手は一向に止まらない。


    「七海ぃ、ねえ、一口…一口で良いからさぁ、僕にもちょうだいよぉ……」


    瞬く間に残り一切れとなったパウンドケーキを見ながら懇願すれば、ふと七海が手を止めて僕を見た。
    その顔は…あれ、これって……?


    「……五条さん。私、怒ってるんですけど」

    「へ…? な、なんで……?」


    お、怒ってる……?
    え、何、全く心当たりないぞ


    「ねえ七海、どうして怒ってるの? 僕、オマエを怒らせるような事した覚え、ないよ…?」

    「……本当に?」

    「ないって! だから教えて!」


    理由が判らなきゃ心から謝る事だってできやしないじゃん。
    僕は七海を愛してるから、失いたくはないから、許される機会をもらえるならなんだってする。
    そんな必死の思いで縋ると、七海はフゥとひとつ溜息を零してから重たげに口を開いた。


    「……先日、伊地知君と昼食を一緒に摂ったと聞きました」

    「あ、あぁうん、そうだけど。え、ひょっとして伊地知と二人でご飯食べたの怒ってる……?」

    「まさか。ただでさえアナタは伊地知君に迷惑ばかりかけているんですから、寧ろもっと彼を労ってあげて下さい」

    「は、ハイ、ゴメンナサイ……」


    なんだ、てっきりヤキモチ妬いてくれたのかと思ったのに。
    でもそれじゃ、一体何に怒ってるんだ?


    「…それで、どこで食べたんでしたっけ?」

    「銀座に新しくできた天ぷらの店だよ。ほら、今度オマエと一緒に行こうって、……あ、」


    そこまで言ってから気づいた、七海が怒っている理由。
    僕が気づいた事を察したらしい七海は、ただ黙って僕を見つめている。


    「……ごめん、七海。僕が悪かった」


    素直に頭を下げて見せれば、七海のキレイなグリーンアイが物言いたげに眇められた。


    「……私、楽しみにしていたんですよ。アナタとその店に行くのを」

    「うん、僕だって忘れてなかったよ。ただ、先に下見してオマエに色々教えてやろうって、そう思っただけなんだ」

    「…そうだとは思ってました。それでも…」

    「ごめん、そうだよな。僕が考えなしだった」


    縛られたままの手で七海の髪を梳くように撫でる。
    俯いて顔を逸らしてしまった七海の表情は見えないけど、今なら……そう、さっきは気づけなかったけれど今ならハッキリ判る。
    七海は拗ねてるんだ、僕が約束を破ってしまったから。

    一緒に行こうと約束していた、初めて行く店。
    それを僕が先に誰かと行ってしまったから、僕と一緒に『初めて』を共有できなかったから。
    だから七海は怒っているし、拗ねてもいる。

    七海の初めては何だって欲しいと願う僕と、気持ちは同じという事。
    それってつまり、それだけ僕は七海に大切にされているし愛されているという、確かな証拠。
    こんなに嬉しい事があるだろうか。


    「ごめんね、七海。許してくれる……?」

    「……他意がないのは判ってました。だからこれは、私の醜い嫉妬です」

    「そんな事言うなって。僕は嬉しいよ? オマエがそうやって、僕を縛りつけようとしてくれるのが」


    ま、僕はそれ以上に七海を縛りつけてる自覚も自信もあるし。

    そう言って笑ってやると、七海はチラリと僕を見て、気まずそうにまた俯いてしまった。
    ふふ、ホント可愛いなぁコイツは。
    七海を可愛いと言う僕に、コイツは悪趣味だ目が悪いのかだのと言うけれど、実際に七海はとびきり格好良くて男前で、そして可愛い僕のコイビトなのだから仕方ない。


    「それじゃ、許してもらえたって事で良いのかな?」

    「…元々、そんなに怒っていた訳ではなかったので。私こそ済みません、子供染みた我が儘を言ってしまって」

    「気にしないでよ。それより許してくれたんなら、そのパウンドケーキは僕にくれるんだよね?」


    皿に一切れだけ残されたケーキを見て言えば、七海はそれを手に取ると小さく微笑んだ。
    そして。


    「は? イヤですけど」

    「はぁ イヤってオマエなんで、どうしてっあぁあーっ」


    僕の叫びも虚しく、七海は事もあろうに最後のパウンドケーキをパクッと自分の口に放り込んでしまった。
    ちょっとぉ、嘘だろ
    僕の……僕の七海が作った僕のパウンドケーキぃ


    「えぇえ…そりゃないだろぉ……」


    ガックリと落ち込む僕を余所に、七海は「ご馳走さまでした」と言ってペロリと自分の指先を舐めた。
    うわ、もうヤメテ、その仕草めちゃめちゃエロいからぁ!

    一瞬でめちゃめちゃになった情緒を何とか立て直していると、不意に肩をグッと押されて。
    そのままベッドに背中から倒れ込めば、すかさず七海が僕の上にまたがってきた。


    「え、えーっと……七海クン? 今度は一体何かなぁ?」

    「何って、次はメインディッシュをいただくんですよ。判るでしょう?」


    僕の股間に自らの股間を押し当てつつ、七海はシャツを脱ぎながら楽しげに舌舐めずりして見せた。
    その表情のまたエロい事エロい事。
    現金にも途端に元気になった僕のソコを愛おしげに掌で撫で上げて、七海が艶かしく笑う。


    「言ったでしょう? 今日は私が主導権を握る、と。コレを解かないよう、せいぜい頑張って堪えて下さいね?」


    ちゃんとできたら、沢山ご褒美あげますよ?


    婉然と微笑んで僕を見下ろす七海に頷きながらも、僕は早々に白旗を降って降参する覚悟を決めるしかないのであった。


    結論:(エロい)七海には最強だって敵うワケがない



    ◆ 終 ◆
     
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    「え? ゴメンもっかい言って」
     五条は術式のおかげで濡れてもいない衣服を、それでも確かめるように撫でてからソファーに腰掛けた。テレビスクリーンの真正面に置かれたソファーの、向かって左側。右側には七海が座る。七海は五条の存在を無視しようとして、出来なかった。そんなことを試みる方が面倒くさいと学んでしまっているのかもしれない。呪術界から離れて何年も経つというのに。今のところ毎週金曜日の訪いが突然に始まり、そして三週連続で続いている。七海は問われた事に答えないまま珈琲の準備に向かった。聞こえなかったのならばそれはそれで構わないとでもいうように背を向ける。目元の隈は濃く、立ったままでも眠れそうな具合だ。
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