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    とうこ

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    とうこ

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    入学式のななみけんとな七五。

    #七五
    seventy-five

    .

     東京の桜は白いと七海は慣れない制服の喉元を引っ張った。真新しい生地はまだ硬くて七海のできあがったばかりの喉仏を圧迫する。息苦しくて今朝から何度も繰り返している。
     同級生は一人だけだった。今年の新入生は七海を含めて二人だ。だから寮から入学式の式場までの道のり、毎日変わる高専内の建物の配置に惑わされて遅刻してはかなわないので、待ち合わせて並んで歩く。
     七海は口数は多くないので自然と相手に相槌を打つ役割を担当することが多い。まだ出会ったばかりの同級生に対してもそうで、警戒心のない笑顔を少々の緊張で高揚させつつ目を輝かせて話し続けるのを、ただ頷きながら歩く。
     彼が目を輝かせるのも無理はなく、各地の宗教施設、つまり国内歴代の名建築が立ち並ぶ中での桜の季節は美しいものだった。ほとんどがソメイヨシノの白々とした装いもまるで雪化粧か紙吹雪のよう、それもそれで美しくも雄大だ。
     さて道すがらに入学式を行うと聞かされている大きな木造の建物、その手前の一際大きな桜の古木の下に、制服姿が三つ見える。恐らく上級生だろうもの慣れた雰囲気で談笑をしている。
     同じ寮のはずが、ここに来てから数日のうちには見かけなかった。七海は、失礼にならない程度にどんな人物だろうかと盗み見る。
     桜の樹の下には三人いたのだけれども七海はそのうちの一人を見て、そのまま見続けた。
     長身痩躯に細身の制服を纏っている。男子生徒だ。その髪がまるで今や吹雪と散っている桜のような色だからそれにも驚いたのだけれども、そのふわふわと春風に揺れる前髪の下の容貌には更に驚いた。
     こんなに目の大きな人間は見たことがないと驚いた。開口部があんなに大きくてよく眼球が転がり落ちてこないものだと七海は感心した。
     その目がまた見開いたり細めたりとよく動く。とても表情豊かに、楽しそうにくるくると回る。
     瞳は遠目で見ても鮮やかな青だ。ちょうど薄雲を纏った柔らかな春の空のようで、だからこの風景に、春の桜に、これ以上似合う人間などいないだろうと思わせられた。
     睫毛はまばたきのたびに音を立てそうなほど長い。髪の色と同じ、白い睫毛を、ぱたぱたと羽ばたかせて笑っている。
     笑っている口は大きくて、無邪気に歯まで見せている。白くずらりと並んだ健康的な歯の奥、舌が長いのかピンク色の肉がちらりと垣間見えている。
     笑い終わって喋り始めるくちびる、桃のゼリーのようにふるりとほどけて、よく動く。
     その顔からふいに笑みが消えて、首を巡らせた。そのやり方はとても品が良いとは言えず、上から見下すような、田舎の不良がやりそうなやり方だ。そして七海を見て、せっかくの形のよいくちびるをわざと曲げて大声を出す。
    「おっ! 今年の一年、ガイジンいるんじゃん! めっずらしー! 海外ってレベル低いって聞くけど使えんのソイツ?」
     彼の両隣に立つ友人、一人はたしなめ、一人は笑っている。
     七海は眉間に皺を寄せた。ぼそりと、
    「品性最悪だな」
     とつぶやき、わざとらしいため息を吐いた。それを耳にしたすぐ隣の同級生は、大笑いをした。
    「七海の黒いトコ、今初めて見たよ」
     と笑い続ける。
    「めっちゃ見てたのも笑えるけど、七海の口が悪いのもオカシー」
     何が面白いのか目に涙まで溜めて、だから七海は、クソ、とまたつぶやいた。
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    ju__mati

    DOODLE七七五のけんと時空の呪専七五01
    ※支部の七七五3Pのけんとが自分時空に戻ったあとの呪専七五の話。短い。
    七海建人は、授業を終えて高専の廊下を歩いていた。灰原は見たいテレビがあると言って先に寮に戻っており、七海は図書室で調べ物をしていた。さすがに腹が減ってそろそろ下校するつもりだったが、横の廊下から歩いてきた人物を見て、足を止めた。向こうも七海に気づいて、「あ」と立ち止まる。
    五条悟だった。すらりとした長身を高専の制服に包み、丸眼鏡をかけた姿にほんの少し違和感を覚える。「こんにちは」と挨拶すると、「ん」と返事がある。どこかぎこちない、と思った。

    昨晩、七海はおかしな夢を見た。やたらリアルで、音も色も匂いもあって、現実としか思えないような夢。その中で、七海は11年後の自分と、11年後の五条に会った。28歳だという五条は恐ろしいほどに外見が変わっていなくて、それでも大人らしい穏やかさと柔らかさを身につけていた。その彼と、セックスをした。

    「ひとり?」

    と、目の前の五条が言った。「はい。ちょっと調べ物をしていたので」と言うと、「ふぅん」と、聞いてきたくせに気のない反応だった。しかし、立ち去るかと思った五条は片手をポケットに突っ込んだまま、七海の方をチラッと見た。
    七海は、この五条に、キスさ 2445

    ju__mati

    MOURNING支部にあげてる『泥闇〜』の夜明けのベランダシーンの七海目線が出てきたのであげてみますね。ここまで書いて、五条目線の方がいいな、と思ったので書き直したんですが、これはこれで気に入ってます。ある晩、七海はふと目を覚ました。カーテンの向こうはまだ暗い。その日は早めにベッドに入ったはずだったが、もう一度目を閉じても眠れない類の目覚めだった。ため息をついてベッドを降りる。
    スマホで時間を確認すると、まだ深夜と言っていい時刻だった。暗い部屋にスマホの画面だけが光る。ホーム画面に戻っても、SNSの通知も着信も来ていない。またひとつ、ため息をつく。
    フロアランプをつけてリビングへの扉を開ける。特に何をしようと思ったわけでもなかったが、あとから考えれば何かしらの予感があったのかも知れない。台所で水を飲み、顔を上げると、ちょうど掃き出し窓が目に入った。明確な胸騒ぎを覚え、そっと窓際へと歩を進める。
    七海には目の前の呪力しか見えないが、それでも気配で分かった。窓の向こうに誰かがいる。勘違いでなければ。

    「五条さん……」

    カーテンを開けた先のベランダに、五条がいた。手すりに肘をつき、もう片方の手をひらひらと振って、こちらを見ている。慌てて解錠し、窓を開ける。

    「よっ、元気?」

    サングラス越しの五条の表情はよく分からなかった。唇はいつも通りの笑みを浮かべているように見える。七海は、とっ 2928