王と軽食 ふかふかのソファに腰掛け、ローテーブルに向かってベリトが左、ソロモンが右。
アミーがそこへ運んできたのは、大皿に盛られたサンドイッチの山。少し焦げ目のついたトーストの香りと、たっぷり挟み込まれたタマゴの具が今にもこぼれそうで食欲をそそった。
「気が利くじゃねえか」
「何度呼んでも食卓に来ないからでしょ。ほんと本が好きね」
「ありがとう、アミー」
「さっさと食べてよ。洗い物済ましちゃいたいんだから」
アミーはすたすたと厨房へ戻っていく。怒られちゃったな、と二人は笑い合った。眺めていた本を片付け、にしても量が多いな、食べきれるかな、なんて言いながら皿にそれぞれ手を伸ばすと、コツンと。
「ごめん!」
ソロモンがとっさに手を引っ込めた。左手の指輪が、ベリトの手の甲に当たったのだ。
890