花火現在
俺は事故で左腕を失う
格闘家を目指していたことには 間違いない
義手もある 格闘家としても まだ 諦めてはいない
ただ 今は 傷心ぎみだ
俺には小さい頃から 師匠がいる
その師匠は 事故のあとに 動揺を隠せなかった
救急車 緊急手術 両親とは離れて暮らしている 今は師匠のところで住んでいたから
麻酔が切れて Nsさんが誰かを呼びに行く
連れてこられた 背の高い緑顔をした師匠
椅子に座るも 目を合わせようとしない
師匠の眉の上にある触覚が ピクピクと震えていたから 笑いを隠せなかったのは俺の方で
腕がなくなったなんて 気にもしないほど 師匠と二人だけになった病室で笑ってしまった
眉間にシワを寄せて 口もとも微かにへの字で
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