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ALL TRPG 創作 もんじDONECoC はいおばスペクト・ラム後の話若干ネタバレあるのでワンクッション 1192 もんじDONECoC ヒノエの過去話唯一届けなかったもの一枚だけ、渡せなかった“遺書”がある。 四年前の、秋のことだった。木枯らしが吹いては、冷えた風が隙間から入り込んできていた。曇り空、日が傾き薄暗い雰囲気を纏った校舎。 足取りは重いまま、自分の教室へと向かっていた。 忘れ物をするなんて最悪だ。そんな悪態を心の中で吐きながら。 ガラリと扉を開ける。人気のなくなった教室は誰も居ないかと思いきや、窓際の席に座る人影があった。無機質な机や椅子とは違い、唯一の生きているもの。瞬きを幾つか繰り返して、こちらを見やる。 「ああ、乙亥正くん」 そう、彼女が言葉を発する。薄茶色の髪を後ろで纏めた、端正な顔立ちの少女。こちらを呼ぶが、彼女の名前が思い出せない。 ただ、秋のような雰囲気だったことは覚えている。 1895 もんじDONECOC 尾花の過去の話雪と消える吐く息は白く染まる。凍える風は隙間から肌をなぞり、痛みを伴った。静寂は辺りを包んでいて、二人分の足音しかしないようにも思えた。景色は色褪せて、モノクロ写真のようだ。 そんな中で、鮮やかに映る彼女だけが確かに生きているような輪郭を纏っていた。 「兄さん」 そう彼女──秋鹿は楽しげに雪を踏み締めてはこちらを振り返った。 「そんな陰鬱な顔をしないで、妹の誉高い姿を見ておくれよ」 「悪いな、この顔は生まれつきだ」 そう返すと彼女はくすくすと笑って見せては歩みを進めていく。今日は世間に言う大学の合格発表日で、此度は目出度く彼女は合格したのだった。 「それともアレかな。優秀な兄から見れば私はまだまだなのかな?」 「そういうワケじゃねぇよ」 685 もんじDONEVENTANGLE マナシャウトの話りんりかんはおいてきた 3557 もんじPASTグラクレ『採算度外視卓』本編前の話ここシィガード連合国に所属するクラーキョの魔法師であるカサリカ・フーコは、突如連合国の代表統治者であるイトーザァからの呼び出しを受けた。 彼はこの地に献身する“聖人”として持て囃され、若くして連合国の代表統治者とされ、体のいい“お飾り”として、人身御供の如く使われている。 それに対してカサリカは特別な感情は魔法師としては持ち合わせていない。だが個人としてはそんな“使われ方”をしても、ただ純粋で在るその姿は、少し悲哀を覚えていた。 そんな彼からの呼び出しというのはおそらく、いや十中八九、先日連合議会から出された婚姻……もとい体のいい政略結婚についての話だろう。 そんな使い方もするのかとカサリカは嘆息したが、不幸中の幸いにもその議会で話題が出されたのみに留まった。まあ、彼の姉であり主の君主が強い牽制をしたのもあるのだが。 1519 もんじPASTグラクレ『晨星落落のソラに』『借金卓』去った星の話物事の終わりというものは、珍しいものではない。誰かによって奪い、奪われ、そしてやがて来る滅びというのは等しく訪れるものだ。特にこのアトラタンはそれが満ち満ちていて、国も、人も、獣も、誰もが何もが死と隣り合わせの匂いを纏っていた。 そんな中で出会った一人の“人間”は、少し違う匂いがした。 大義を掲げ、混沌を切り払って行く彼の周りには、次第に人間やそれ以外のもの達が集った。きっと他の者達も、何かを感じたのだろう。他の人間とは違う、彼の何かに。 ある魔術師はそれを「才」と呼び、それを讃えた。 ある森の人はそれを「質」と呼び、それを慈しんだ。 自分はそれを「力」だと思い、それを恐れた。 しかしどう言われ讃えられようと、彼は少し驚いたような、困ったような顔で「そうなのか」とだけ答えるのみで、彼自身が何一つとして変わることがなかった。 1784 もんじPASTグラクレ『晨星落落のソラに』2.5話インターバルまるで監獄だと思った。厚い鉄の扉には何重にも魔術による強化が施されている。所々には召喚された投影体たちが、監視をするかのようにこちらを見やる。冷たい石造りの床に、嵌め殺しの窓。陽が差すことのないこの空間は異質で、ただの地下ではなくもっと奥深くにあるのではないのかとさえ錯覚するほどに。 ここはエーラムがとある人間を管理する施設。とある人間、つまりは『エーラムにとって都合の悪い人間』あるいは『何らかの罪を負って管理しなければならないと判断された人間』である。 それは邪紋使いであったり、魔法師であったり、──あるいは聖印保持者である。 ここに入れられた人間はだいたいエーラムのいいように使われるのが常だ。人らしい権利なんてなく、道具のように扱われる。恩赦をチラつかせては危険な魔境に派遣をしている、というのがここの常套手段だ。 5041 もんじPASTグラクレ『晨星落落のソラに』幻覚。非公認 4145 もんじPASTゲヘナAn『ほもさば2nd』DLC3のはなし【ラツィール】 「暇だねぇ」 そう言いながら、膝の上にある彼の頭を撫でる。角と額の境目へと手を滑らせると、下から気怠そうな同意が返ってきた。 『膝枕をしないと出られない部屋』。そんな、よくわからない所へと来てしまったぼくたちは、こうして書かれたお題を消化している。 別に大きな危害はなさそうだからこうしてはいるけど、飽きたら出ようと密かに大広間に穴は掘っている。何本目のスプーンが折れたかは……今は忘れた。 だが、まあ今はこの部屋に居る以上は関係のない話だ。 「そうだ」 「ぼくの話をしようか」 そういえば、誰にも話したことはなかったな。 ぼくは……『ラツィール』という天使は代々、魂装術を教える天使だった。 魂装術を教えて、それでこの世界で生きやすいように人々を助けることが目的の天使だった。 5363 もんじPASTゲヘナAn『ドキサバ』140字とかのSS40字 私は、結局の所。許しが欲しかったのだと思う。人らしく振る舞うための。人として生きるための。誰かを思うことを。私にはその資格などないと思っていたから。恋などというものも。愛などというものも。すべて。すべて。――だが、今は違う。貴方を見る度に思うのだ。私は、貴方に恋をしているのだと。 『これを愛や恋と呼ばぬなら』/レザー 僕の世界というのは、元々狭くて小さくて暗い暗いところだった。ある日突然、それは開けて変わったのだけれど、黒い砂が積もりに積もった僕の世界はとても見せられるものじゃない。――だったのだけど、君に恋して大好きになって、お掃除した。今では、僕の世界は君への愛が溢れているのだ!なんてね。 1903 もんじPASTゲヘナAn『ドキサバ3rd』水槽の中「ナイイェル、どこ?」 自分の飼い猫の名前を呼ぶ。かつて前の支部で、同じ名前の天使の女の子に餞別で「わたしだと思って大切にしてください!」なんて、きらきらとした瞳で言われてしまって(半ば強引に)自分が飼うことになった猫。 飼う、という行為に未だに慣れず禄に世話など焼いていないが、賢い猫のようであまり手は掛からなかった。 そして、この支部は動物に寛容なようで、みんなが集まる談話室に居てもナイイェルを構ってくれる。ナイイェル自身も人なつっこく、構われるのを嫌がらないので好かれている……のだと思う。 そんな、猫のナイイェルがご飯の時間だというのに談話室に居ない。 「ナイイェル……」 何度目か分からない彼女の名前を呼ぶと、遠くから微かに鳴き声が聞こえる。声の方へと歩いて行くと、先日建造したばかりの『驚異の部屋』へと到着した。 1964 もんじPASTゲヘナAn『ドキサバ』バレンタインSSバレンタインSS ▼女子側が渡したのを想定したなんかアレよ 「これを、俺に……?」 珍しく、少し驚いたようにサヴァシュは目を見開いた。数度の瞬きの後に、それを受け取る。ゆっくりと優しく、それの表面を撫でる。 「そうか、今日はバレンタインだったな」 ふっ、と笑って見せるその表情は、いつもより柔らかく、幼くさえ見えた。 「ああ、そうだ。俺も渡そうと思っていたものがあったな。……少し、待って貰えるだろうか」 そう言い残して、サヴァシュは踵を返した。早足だが、暗殺士としての性分でか足音は全くしない。 しばらくすると、何かの包みを持って彼は戻ってきた。 「……大切な者に贈り物をする日だと聞いていて準備はしていたが、こちらから渡すのは迷惑かと思っていた。俺だけ、浮かれてはいないかと。……いや、それは杞憂だったみたいだな」 2760 もんじPASTゲヘナAn『救世主来る』天使たちの話僕は一度だけ、あのひとと共に任務をこなしたことがあった。 ずいぶんと昔の、思い出したくもない頃の話だ。 その時は、長期の任務ということもあり街の宿に連泊したものだった。大概、任務と任務の間は暇を潰つため街へと繰り出すのだが、あのひとだけは違った。ただ宛がわれた部屋に鎮座し、いつものように微笑むのだ。「あら、いってらっしゃい」と。 一日や二日そうであれば気が乗らないで済む話だが、あのひとは任務期間中ずっと、一月の間何もせずそこにいた。 ある時、僕も様子を見に行ったが、あのひとは変わらず鎮座しそこでほほえんでいた。ずっと、ずっと。 痺れを切らした他の面子があのひとを誘って出したこともあったが、誘われなければ出ても来ない。出たとしてもいつもと様子は変わらない。いつもと変わらない。ただ変わらない。 1389 もんじPASTゲヘナAn『ドキサバ』ぎゅっサバ予告編(だったもの)「……ってなコトがあったんだよ!」 身振り手振りを交えながら、彼──ベルカは楽しそうに説明をする。そう、それは昨日までの5日間の話。なんだかんだで無人島でサバイバルをした話だ。 「それはすごいね!」 話を聞いていた甲蠍人のターヘルも翡翠の目を輝かせ、楽しそうに頷いた。この5日間留守番をしていた彼は、連絡が来ないと3日ほど前から三日三晩港で僕らの帰りを待っていたという。帰ってきたとき、心配そうに全力移動してきた彼の姿はまだ目に新しい。 まあ、その後に先輩達にいつもの変なことを言って怒られていたのだけど。あの悪癖がなければ素直ないい子なのになぁ、とは思っているが如何せんデリケートな問題で僕からは言えてはいない。 1163 もんじPASTゲヘナAn『ドキサバ』攻略後SS▼アシェル 血が、滾っている。 その臭いが、感触が、色が、全てが。鮮やかに、鮮烈に、自分を狂わせてゆく。 ここは戦場。血で血を洗い、血で路を切り開く場所。ここにオレは居た。初めから、何もなかった頃から。杯を空にしてからも、それからも。 手に入れたものは分かりやすい力だった。だから、切り開いていった。それが一番単純で、わかりやすいものだったからだ。楽しかったから。それを望まれたから、そうした。 そうして、オレは鍛え続けた。刀を、己を。 だが、立ち止まった。立ち止まってしまった。そして、振り返ってしまった。 「……あぁ、何もないじゃねぇか」 今まで歩んだ道は、オレの人生は。 その時、手にしていた刀は囁いた。契約の時に交わしたあの言葉を。今となっては呪いのように消えてくれない、あの言葉を。 2598 もんじPASTBBT『己が為に』心を繋ぐのはBBTキャンペーン完結後の劇場版記念 NPCとして昔の自PCが出てきたのでアレコレ 目の前の神父は不思議な人物だった。 言葉遣いは雑。話はわりと飛躍するし、とんちんかん。聖職者とは思えないほどの振る舞いで、異常なまでに担々麺が好き。そして、そして何より強かった。 強さの意義というのは人それぞれ違うと思うが、これは耐えゆく強さなのだと思った。 だから、殺し屋としての私はわかっていた。きっと、この人には傷一つ付けることさえ出来ないと。 だが、そんな人物が何故、私なんかと。 「そりゃあ、まあ、礼だろ」 確かに初対面で腹を空かせた彼に、担々麺を作ってやったが。まさかそれで?こんな宇宙スケールの事件に? 「そうだが。なにをそんなに驚いてるんだ?」 1086 もんじPAST鵺鏡『葉双について』笛の音は遠く鵺鏡オリジナルシナリオ 「葉双について」をプレイしての文。 外道終盤→悟道後 →ifみたいな感じ あなたの手が震えている。 あんなに大きく、強く、雄々しかったのに。 「ああ、長秋殿……どこにおられるのですか。すみませぬが、目が霞んで……よく見えませなんだ……」 「ここに、ここにいますよ。右京殿……」 そっとあなたの手を取る。横たわった身体からこちらへ向けられる手は。初めて触れるその手は、冷たかった。 「……よかった、貴方が無事で」 「あなたのお陰です……あなたがいたから、あなたがいてくれたから……」 「そう、か……」 かすれるあなたの声は、この短い間の全ての中でも聞いたことがないほどに弱々しい。 わたしの所為だ。わたしが弱いから、彼に負担を掛け続けてしまった。わたしが、葉双だから。わたしに自我が、芽生えてしまったから。 2018 もんじPASTCFSC『暗黒の水晶』海底に沈むもの前に、カオスフレアやってた時に書いてたブツを加筆修正したやつ。自己満足。 当時、PC2だった私は「PC1大好きなキャラ作ろうぜ!」と思いつつ作成したら、実プレイでは何でも海に沈めたがるとんだ狂犬野郎だった。という思い出が強く残っている。 河の畔は、いつにも増して賑わいを見せていた。どうやら、地上でまた戦があったらしい。服装や様相にバラつきのない辺り、内乱なのだろう。 ここは、幾人の死人が列なす冥府の河。自分も他の者もまた、淡々とそれらを船で向こう岸へと渡す。 それらの中には未だ自身の「死」を受け入れられず、たまに抵抗を見せる。だが、それも一時のものだ。 だがそれも、河を渡れば全て忘れる。そう、自分のように。 1415 1