カチャ、カチャ、と金属音が洞窟に響く。
煤だらけになった手で、煉骨は額の汗をぐいっとぬぐった。
「もう少しだぞ、銀骨」
「ぎしっ」
足も腕も無くし、胴体のみで生きる男にそう話しかける。生身の部分が少なくなっても生命に差し障りが無いのは四魂の欠片のおかげだろう。もっとも、残った部分も骨と墓土で出来ているから、生身と言っていいのかは甚だ疑問ではある。
「足は無くして、代わりに大きめの台座と車輪をつける。それならおれたちを乗せて移動も可能だ」
「ぎしっ、すごいな」
「前は撤退する時に連携がとれなくて散り散りになっちまったからな。それも大名のやつらに討たれた原因だった。これなら、お前に乗れば全員まとめて退却が可能だ。撤退なんて、そんなへまをするつもりはねぇが……まあ、対策しておくに越したことはない。慣れないうちは取り回しが大変だと思うが、頼んだぞ」
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