神父と淫魔 №18「落ち着いた?」
扶揺のベッドに二人、並んで座っていた。
やっと涙が止まった扶揺の背を擦りながらもう片方の手を扶揺の手に重ねている。
「悩んでた私が馬鹿みたいだ」
拗ねたような声調子で鼻をすする。
「そんなことないよ」
泣きはらした目で睨んでくる扶揺に南風は苦笑する。
「訊いてもいい?」
「何を」
「言いたくないなら言わなくていいけど、どうしてキスしたの?」
南風の問いに扶揺は居心地が悪そうに視線を足下に落とした。
「お前の精気を食べるために」
「精気?」
「人間の生命力みたいなものなんだ」
「それを食べるの?」
扶揺はこくりと頷いた。
「……私は淫魔だから」
「うん」
「人間の精気を食べないと生きられない」
「食べたらだめなの?」
2593