無題玄関からチャイム音が聞こえた。
誰かがそれを鳴らしていた。
セオは何も考えずにソファーから立ち上がり、玄関へと向かった。
「やっときたか、まったく」
かちゃと。
玄関を開けた。
「悪い…少し遅くなった」
家の外、扉の向こうに立つシンは小さな袋を持ったその手を軽く上げた。とてもきれいで丁寧なものだとは見ればわかる。
「…ものまで。そこまでしなくてもいいのに」
とセオはまんざらでもなさそうに言う。
「本当にすみません…12時と、約束したのに」
シンの横に立つレーナも何やら申し訳なさそうに。
外でも堂々と手を繋いでる二人も、どうしても目を惹きつけてしまう銀色の二つの指輪も相変わらず眩しい過ぎて
まったく、目がやられそうだ。
とセオは密かに思っていた。
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