フィ―ザスローナの花祝い「……あ」
小さな声を漏らして動きを止めたパートナーに、ネロはブラッド? と首を傾げた。
子供達も隣の部屋で熟睡していることだから、と、一年の終わりと一年の始まりを少々熱っぽく迎えようかというタイミングだ。
程よく酒精も入って、いつもと違ってゆっくり、丁寧に唇を重ねながら互いにシャツのボタンに手を伸ばしたところ。
「あー……思い出しちまったな」
「だから、何だよ」
ネロはブラッドリーの首からネクタイを引き抜いて、どさくさに紛れてブラッドリーの手首にくるくると巻きつけながら唇を尖らせた。
何を思い出したというのか。
それは、ようやくできたこの睦みあいの時間を止めてまで考えるべきものなのか。
そう思ってから、ああ、だめだ酔ってんな、と自覚する。
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