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    dankeimotorute

    MENU三暮webオンリーのサンプル兼尻たたきです。
    このあとに花火デートをする短編がくっつきます。
    全編はオンリー当日にpixivで展示します。
    百代の過客としても(三暮)1.兵どもが夢の跡

     生ぬるい夜だった。夏特有のまとわりつくような湿気をはらんだ風が首筋を撫でる。昼間ほどの暑さがないせいかどこか締まらない感じがする。気の抜けた炭酸水みたいだ、と三井は思った。あるいは、今の自分たちのようでもあった。劇的な勝利のあとに待っていたのは言い訳しようのない大敗だった。全国制覇をぶちあげて乗り込んだ割には、あまりにあっけない結末だ。トーナメントとは得てしてそういうものだと負けてから思い出した。この夏はなにもかもが上手く行きすぎたから、すっかり忘れていたのだ。いきなり引き戻された現実に気持ちだけが追いつかずに、意識はじめじめした空気の中を浮遊している。
     人気のない道路を歩く。アスファルトと靴底の擦れるぺたぺたという音と、遠くに聞こえる虫の鳴き声だけが聞こえる。ぽつぽつと立つ電柱に設置された街灯の頼りなさが不安を誘う。街灯を辿るように歩いていると、ガードレールの途切れたところに座る人影を見つけた。木暮だ。切れ目から下に伸びる階段に腰掛けて、頬杖をつきながら空を見ているようだった。
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    ソルティー

    MENU2323/6/25 JUNE BRIDE FES 甘いヴォイスに目で合図
    新刊 イベント価格500円(2冊組/86P)
    ※イベント終了後に通販あり

    現パロ
    モデルのマイクちゃん×物理教師の相澤の話です。
    四季とごはんネタ。
    ふたりごはん秋夜22時半。
    それほど大きくない通りのそれほど綺麗でもない、こじんまりとした中華料理屋の暖簾を二人の男がくぐる。
    「いらっしゃいませ~。あら、こんばんは」
    「ども」
    「まだ時間大丈夫?」
    「大丈夫よ。あと10分待ってお兄さんたちが来なかったら閉めようと思ってたとこだけど」
    うふふ、と笑いながら女将さんは油で少しべたつくカウンター席を年季の入った布巾で拭き続ける。

    仕事が早く終わった日は二人そろってこの店に来るのが日課になっていた。
    同棲して早三年。引っ越してきた頃は今より忙しくなかったこともあり、二人でよく近所の飲食店を開拓していた。ちょっと小洒落たイタリアン、大人気ラーメン屋、少しお高めな焼肉屋などなど。色々と食べ歩いた末に落ち着いたのが、ここの中華料理屋だった。かなり年季の入った見た目で、隣の新しくできたラーメン屋と見比べると一瞬入るのを躊躇してしまう。しかし、逆に言えばそれでもこの地で長年店を構えることができるのというのは、それだけ美味いということであり、自分たちのようにこの店を気に入って足繁く通う客がいるということなのだろう。
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    deundeuun

    MENUキ学軸🔥🎴
    高校を卒業し、パンの専門学校を出て、実家のパン屋に戻ってきた🎴と、キ学で先生を続ける2人の話。
    初夏 梅雨の晴れ間というやつか、とてつもなく暑い日。今日はいつもよりサンドイッチがよく出る。サンドイッチ用の食パンが無いから、小さなロールパンにハムや、トマト、レタスを入れたミニサンドが定番になりつつある。妹達からのアイディアもあって、最近では自家製レモンチーズクリームを入れて冷やしたものも出している。クリームの上に小さなカットレモンを置く。見た目も涼やかで食べても美味しい。最高だな、と頷く。店の外に出ると日傘の女性とぶつかりそうになった。もう夏が来たのか。かまどパン、臨時店長はそう思った。

     パン屋はズバリ熱い。涼しいのはレジがある商品棚の周りだけ。厨房はなかなか熱い。うちは具材も手作りだから、ずっとずっと火がついてるようなもんだ。涼しく感じるのは商品を出しに行くときと、冷やすパンを冷蔵庫に入れるときだけ。熱中症も怖いから、時折水分を摂るために外に出るけど、まぁ外も暑い。だけど、実家のパン屋に戻ってきてから俺の楽しみは、この外に一瞬出ることなんだ。たまたまだけど、店の厨房出入り口とキメツ学園の職員室用出入り口が道を挟んで向かい合ってるんだ。車が1台通れるかな?くらいの狭い道。つまりまあまあ学校に近い。学生の頃は遅刻しなくて良かったけど、やたら親が見てくる学生生活は微妙なものだった。と、今日も自分の水筒を持って俺はドアを開けた。
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