aumabc
PAST生誕から寿命差を拗らせていた帰宅「俺絶対生まれ変わって帰ってくるから」
その言葉を聞いたのは10年前。1人では広すぎるし高すぎる家のローンを律儀に払って俺はここで待っていた。
春先のひどく冷たい風が目立ち、独りを突きつけてくる。
風の先には勿論シアンの色なんて無いのに、何故だか探してしまうのだ。
人間の友達も段々と地に眠り、不死を今日も呪う。
なんていう日々が懐かしい。
あれから200年と少し、ローンが完済してこの馬鹿広い家は自分1人のものとなった。
夏の照りつける太陽を大きな窓から吸い込んで、贅沢に空調をきかせて自分を労う。
真っ青な空を少し銀色がかった入道雲が綺麗に泳いでいた。
短命種の友達とは殆どが連絡が取れなくなった。
そんな事にはもう心が動かなくなっていた。
910その言葉を聞いたのは10年前。1人では広すぎるし高すぎる家のローンを律儀に払って俺はここで待っていた。
春先のひどく冷たい風が目立ち、独りを突きつけてくる。
風の先には勿論シアンの色なんて無いのに、何故だか探してしまうのだ。
人間の友達も段々と地に眠り、不死を今日も呪う。
なんていう日々が懐かしい。
あれから200年と少し、ローンが完済してこの馬鹿広い家は自分1人のものとなった。
夏の照りつける太陽を大きな窓から吸い込んで、贅沢に空調をきかせて自分を労う。
真っ青な空を少し銀色がかった入道雲が綺麗に泳いでいた。
短命種の友達とは殆どが連絡が取れなくなった。
そんな事にはもう心が動かなくなっていた。
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PAST引用知識↓「鬼神が降伏した標にイチイの木で作られた笏を天皇に献上した伝説」
「イチイは長寿・不死を象徴」
「イチイの種や枝葉にはタキシン毒が含まれる」
「イチイとカツラの樹洞内にて蝙蝠糞を発見。しかし調査をすると寝床に利用しているのはカツラの木のみ。」
イチイソレは、突然目の前に現れた。
信頼している最高の相方が、美味しそうに口に運び、当然のように勧めてくる艶のある丹を輝かせた忌々しい実。
ユーダリルにある親戚の家で生まれて初めて目にした美しいスカーレットは、俺の体の奥深くまでその毒の根を下ろした。
「なんで、」
その実を口にしているのか。いや、何故それが我が家にあるのか。
結界が壊された形跡はない。つまりアンジョーが自らこの家に運ばない限り、居間の机に存在することはまず有り得ないわけで、つまり。
お前まで、俺を。
室内にいるというのに悪寒が止まらない。
背中に嫌な汗が伝うのが、考えたくもない思考が巡るのが、止まらない。
こいつは今までのヤツとは違う。俺らは仲間で、相方で、親友で、戦友で、だから。
1000信頼している最高の相方が、美味しそうに口に運び、当然のように勧めてくる艶のある丹を輝かせた忌々しい実。
ユーダリルにある親戚の家で生まれて初めて目にした美しいスカーレットは、俺の体の奥深くまでその毒の根を下ろした。
「なんで、」
その実を口にしているのか。いや、何故それが我が家にあるのか。
結界が壊された形跡はない。つまりアンジョーが自らこの家に運ばない限り、居間の机に存在することはまず有り得ないわけで、つまり。
お前まで、俺を。
室内にいるというのに悪寒が止まらない。
背中に嫌な汗が伝うのが、考えたくもない思考が巡るのが、止まらない。
こいつは今までのヤツとは違う。俺らは仲間で、相方で、親友で、戦友で、だから。
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PAST※若干の死ネタを含みます孤独─────ョー、─ンジョー!!
遠く懐かしい声が聞こえる。柔らかく、暖かい。もう二度と耳に届くはずのない声が俺を呼ぶ。そんな錯覚をしてしまうほど、俺は君のことを大切にしていたんだね。
腰まで浸かった海水は酷く冷たく、まるで無数のガラスが突き刺さっているかのような感覚を覚える。だけどそれも、慣れてしまえば痛くはない。真冬の海は他者からの悪意にとても似ていた。この冷たさに、酷さに、痛さに。慣れてしまえば感覚なんてなくなる。だからほら、足先はもう浮いているのかきちんと砂を踏めているのかさえ分からない。波が俺だけを攫ってくれないのも、本当にそっくりだ。
「はは…何やってんだろ。俺。」
とぷん、と音を立て潜る。北から吹く海風に当てられた上半身。それでも水中よりは温かかったらしく、空気を拒否した瞬間に凍てつく寒さが全身を包んだ。まぁ、いずれこれにも慣れるだろう。
772遠く懐かしい声が聞こえる。柔らかく、暖かい。もう二度と耳に届くはずのない声が俺を呼ぶ。そんな錯覚をしてしまうほど、俺は君のことを大切にしていたんだね。
腰まで浸かった海水は酷く冷たく、まるで無数のガラスが突き刺さっているかのような感覚を覚える。だけどそれも、慣れてしまえば痛くはない。真冬の海は他者からの悪意にとても似ていた。この冷たさに、酷さに、痛さに。慣れてしまえば感覚なんてなくなる。だからほら、足先はもう浮いているのかきちんと砂を踏めているのかさえ分からない。波が俺だけを攫ってくれないのも、本当にそっくりだ。
「はは…何やってんだろ。俺。」
とぷん、と音を立て潜る。北から吹く海風に当てられた上半身。それでも水中よりは温かかったらしく、空気を拒否した瞬間に凍てつく寒さが全身を包んだ。まぁ、いずれこれにも慣れるだろう。
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PASTTwitterでお題を頂いてSSの練習をしていた時の文章。お題「2人ではじめてのキス」美味部屋中に散漫するツンと鼻につく香り。俺の大切なその人は匂いを発しているその液体と同じ色の長い髪を床に垂らし、知らない人間の喉元に牙を立てていた。
「あぁ、ごめん。覗くつもりじゃなかったんだ。」
そう言って踵を返す。吸血鬼の食事を覗くだなんて悪趣味な真似をするつもりは本当になかった。ただ、俺も飢えていたのだ。
今日は妙に外が明るくて、ソワソワして。あぁ満月だったか、と気付いたのはその匂いに連れられて無意識に彼の部屋を開けてしまってからだった。
「待って。」
いつもよりワントーン低い声が腹に響く。食事中の彼はいつものコーサカではない。髪も爪も牙も羽も、狩りの道具が全て隠されずに晒されている。化け物として上位種の彼の本来の姿の前では俺だって少しの恐怖を覚えてしまう。
1026「あぁ、ごめん。覗くつもりじゃなかったんだ。」
そう言って踵を返す。吸血鬼の食事を覗くだなんて悪趣味な真似をするつもりは本当になかった。ただ、俺も飢えていたのだ。
今日は妙に外が明るくて、ソワソワして。あぁ満月だったか、と気付いたのはその匂いに連れられて無意識に彼の部屋を開けてしまってからだった。
「待って。」
いつもよりワントーン低い声が腹に響く。食事中の彼はいつものコーサカではない。髪も爪も牙も羽も、狩りの道具が全て隠されずに晒されている。化け物として上位種の彼の本来の姿の前では俺だって少しの恐怖を覚えてしまう。
アルビレオ
PAST水鏡といえば闘いが終わった後のゆったりした服装の井宿がとても良いですよね☺️脚絆がないのはこのシーンだけでは?
素顔での笑顔もそれまではなかった笑顔でしたよね。自分の中での気持ちの整理がついたのとか、そこへ導いてくれた仲間への信頼感とか色々あるのかなって思いました。