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    お蔵入り

    pluto__iv

    DOODLE叙爵後〜鬼化の期間のどこか、出奔前夜の時期、欲をくすぐるのが上手い無惨様と、その悪魔的な囁きに魂を持っていかれてる人間琥鴞くんの話。未完成だけどお蔵入りを防ぐために一旦上げます。
    羽化「君に伝えなければならないことがある」
     浮かない顔の青年、民部大丞みんぶのたいじょうは、彼が望月もちづききみと呼んで慕い通う友人、目の前の黒衣の公達きんだちに告げた。曰く、彼の叙爵から数ヶ月が経ち、受領ずりょうとして京を離れる時が近い、と。温和な官人かんにんは彼の友人の願いで、いくつかの書物や記録を調査していたのだが、それも旅立ちまでには終わる目処が立っており、安心するよう付け加えた。
     書き物を続ける彼は幾分憔悴しているように見えた。友人を目にする度、にへらと綻ぶ笑顔も最近ではなりを潜めていた。なにがそんなに苦悩の種なのだ、京を出ても死にはしまい、と問えば、君に会えなくなるなどと優男の模範的返答を吐いたので、友人はこれ見よがしにため息をついた。青年は弱々しい笑みを浮かべ、その他にも理由はある、と地方の暴動や武士勢力の話を持ち出し、文弱の自分に彼らを統制する力も魅力もない、と静かに述べた。この時代に何事もなく帰ってこられる保証はない、さもなくば目代もくだいに立てる家人いえも居ない、そして自分の何よりの楽しみである詩歌の交流が京を離れては望むべくもない、と締めくくり、諦めたように微笑んだ。肉体の危険と魂の死、どちらにせよ彼は京の文化なくして生きていけない。公達はそれを見下ろしながらつまらなそうに聞いていた。
    1843

    HakurenTask

    MOURNINGもしかしたらお蔵入りにするかもしれん
    1842でカントボーイ学校が終わって声をかけてきたツレには適当なことを言ってごまかして家への帰り路を急ぐ。途中コンビニの前を通り過ぎようとしてあいつが前に気に入っていた飲み物とお菓子を買ってもう一度走り出す。夕方よりも少し早い時間。俺みたいに学校帰りなんだろう、学生服を着ているやつらを何人も追い越していく。家にたどり着いてガラス戸に手をかければがちゃん、と音がして鍵がかかっていることに気づく。母さんもパートに出てるんだろう。玄関のすぐわきにある植木鉢の下から鍵を引っ張り出して鍵穴に刺す。玄関には兄弟揃いのローファーが一足。弟みたいにかかとを踏んでるわけでもない。ものを大事にあいつらしいなって思う。居間に買ってきたものが入ってるビニールを投げて子供部屋への階段を上がる。カバンを勉強机のとこに置いて制服をハンガーにかける。もう週末だからシャツはクリーニングに出すために部屋の端に置いておいて、部屋着のパーカーとスウェットを身に着け階段を下りた。兄弟6人に両親二人何営う大家族だから、家の中には常に人の気配がある。それなのに今は家の中はしんと静まり返っている。だって、家の中にいるのは俺とあと一人。居間に置きっぱなしだったビニールを拾い上げてさらに奥の客間に足を進める。襖を開ければ部屋の中央に敷かれた一人用の布団の中、俺の足音に気づいていたらしい兄弟が体を起こして待ち受けていた。
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    holic_comic

    MOURNING社会人パロです。長義くんと国広くんはメーカーのシステム部に所属しています。

    長義くん…本社から出向している社員
    国広くん…支社採用の社員
    清麿さん…本社での長義くんの同僚

    長義くんは国広くんより二年先輩やけど、システム部に配属されたのは同時なので「同僚」のような関係で仲良しなのです。

    ここまで書いて、「前もやったな」と、思ったのでお蔵入り。
    国広は長義の何なんだ(南泉談)
    長義の同僚「――えっ。清麿が来てるのか」
    「何。誰」
     もうすぐ終業というタイミングで、長義が自身のスマホを見て珍しく声をあげた。そしてお約束の「寝そべる姿勢」から身を起こして、スマホの画面に向かって親指を動かす。
     誰って? きよまろ? 知り合い?
    「うん。同期なんだけど、出張でこっちに来てるから寄るって、……もう、いつも急なんだから……」
    「へえ……。長義の同期……。なんでわざわざ連絡を?」
    「だから、出張でこっちに来たんだって」
    「飯食いに行くのか?」
    「そうだねえ……。せっかくだし、行けたらいいかな……」
    「なんで? そいつ、長義に何の話があるんだ?」
    「さあ……? 行けばわかるんじゃない?」
    「おかしいだろそんな急にあんたに話があるとか!」
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