アイスクリーム
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DONEアイスクリームパレット:ピーチ(君の虜 / めでたし / 愛玩)「めでたしめでたし」のその先をだいたい、昔話の王子様とお姫様ってやつは、くっついたらめでたしめでたしで終わるので。
それ以降が本当にめでたしだったのかはわからないわけで。
「どうなのかなって、気になったことないっスか」
腕の中で、赤い髪をぴょこぴょこ揺らしながら切島がそう聞いてくるのを、話半分で豊満は頷いた。
ついさっきまで二人で映画を見ていた。話題作と言うので見てみたが、なんだか現実離れで若干消化不良だ。出てきた恋人たちは最後まで綺麗なまま、美しく話は終わった。今の切島の言葉は、ようはその流れで出てきたのだろう。
「気になったことはあんまないけど、でも、ほんま、それで終わりってことはないよな」
「ですよね」
むしろそっからっすよね、と。ことんと豊満の胸のあたりに後頭部を乗せて、自分を見上げてくる切島に微笑み返した。
958それ以降が本当にめでたしだったのかはわからないわけで。
「どうなのかなって、気になったことないっスか」
腕の中で、赤い髪をぴょこぴょこ揺らしながら切島がそう聞いてくるのを、話半分で豊満は頷いた。
ついさっきまで二人で映画を見ていた。話題作と言うので見てみたが、なんだか現実離れで若干消化不良だ。出てきた恋人たちは最後まで綺麗なまま、美しく話は終わった。今の切島の言葉は、ようはその流れで出てきたのだろう。
「気になったことはあんまないけど、でも、ほんま、それで終わりってことはないよな」
「ですよね」
むしろそっからっすよね、と。ことんと豊満の胸のあたりに後頭部を乗せて、自分を見上げてくる切島に微笑み返した。
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DONEアイスクリームパレット:カシス(死んだっていい / 禁止令 / 酔いどれ)+ラムレーズン風味♪(背伸びをする、のみ使用)
死んだら勿体ないからねそういや日本酒禁止令が出てたのを、今更ながら思い出した。
けど、遅かった。
お猪口を片手に、ふにゃふにゃの酔っ払いが出来上がってて、ファットガムは思わず苦笑。
「らからねェ、ふぁっと、きーてます?」
舌が回ってない、やけに幼い喋り方で。けれど目の前に居るのは学生時代のころに比べたらすっかり身体つきもがっしりした立派な青年だ。それが、ふにゃふにゃと半分テーブルに身体を預けたまま、あどけない顔で楽しそうに笑っている。
あー、もう、これ、可愛すぎるんやけどどうしたらええかな。
同じペースで飲んではいたが、ファットガムはこのくらいで酔うことはない。まだ全くの素面と変わらないくらいだと思っているが、けれど、この可愛すぎる酔いどれをこれ以上世間に晒すより、掻っ攫ってうちに連れて帰って独占したろォかなと、危険な思考をしてしまったので多分少しは酔っているのだ。いやいやありえへん。何考えてんだろうな。
1058けど、遅かった。
お猪口を片手に、ふにゃふにゃの酔っ払いが出来上がってて、ファットガムは思わず苦笑。
「らからねェ、ふぁっと、きーてます?」
舌が回ってない、やけに幼い喋り方で。けれど目の前に居るのは学生時代のころに比べたらすっかり身体つきもがっしりした立派な青年だ。それが、ふにゃふにゃと半分テーブルに身体を預けたまま、あどけない顔で楽しそうに笑っている。
あー、もう、これ、可愛すぎるんやけどどうしたらええかな。
同じペースで飲んではいたが、ファットガムはこのくらいで酔うことはない。まだ全くの素面と変わらないくらいだと思っているが、けれど、この可愛すぎる酔いどれをこれ以上世間に晒すより、掻っ攫ってうちに連れて帰って独占したろォかなと、危険な思考をしてしまったので多分少しは酔っているのだ。いやいやありえへん。何考えてんだろうな。
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DONEアイスクリームパレット:抹茶(追憶 / 掻き乱す / マナー)恋の味は苦い「ファットの、前の彼女と会いましたよ」
どきりと、切島は肩を震わせるが、しかし顔はパソコンから上げなかった。必死に知らんぷりして、けれど勝手に耳が、すべてを拾おうと必死に聞き耳を立てる。さっきの言葉は、天喰がパトロールから戻ってきての第一声だった。ファットガムが微かに息を飲む気配。それから、ハ、と小さく息を吐く。ちらりと見れば、ファットガムの唇に浮かぶのは苦笑と、どこか追憶に沈むような表情。
「あ、ほんま?元気にしとった?」
「ええ、元気そうでしたよ」
切島がインターンに来る前に別れたと聞いたが、天喰は面識があるのだと今知った。と言うことは、別れてまだ二年も経ってないのか。つきんと胸が痛い。
話は聞いていた。他でもない、ファットガム本人から。学生時代から付き合ってて、ヒーローで、結構な美人だと。けれど互いの忙しさにすれ違い、自然消滅したとか。別に聞きたくもないのに、事務所で飲んだ時にまだ酒が飲めない切島に向かって、酔っぱらったファットガムが滔々と話してくれたのだ。
1325どきりと、切島は肩を震わせるが、しかし顔はパソコンから上げなかった。必死に知らんぷりして、けれど勝手に耳が、すべてを拾おうと必死に聞き耳を立てる。さっきの言葉は、天喰がパトロールから戻ってきての第一声だった。ファットガムが微かに息を飲む気配。それから、ハ、と小さく息を吐く。ちらりと見れば、ファットガムの唇に浮かぶのは苦笑と、どこか追憶に沈むような表情。
「あ、ほんま?元気にしとった?」
「ええ、元気そうでしたよ」
切島がインターンに来る前に別れたと聞いたが、天喰は面識があるのだと今知った。と言うことは、別れてまだ二年も経ってないのか。つきんと胸が痛い。
話は聞いていた。他でもない、ファットガム本人から。学生時代から付き合ってて、ヒーローで、結構な美人だと。けれど互いの忙しさにすれ違い、自然消滅したとか。別に聞きたくもないのに、事務所で飲んだ時にまだ酒が飲めない切島に向かって、酔っぱらったファットガムが滔々と話してくれたのだ。
ironna_R
DONE🍖🤠30日CPチャレンジ11〜2011.きぐるみを着て/12.いちゃいちゃする
13.アイスクリームを食べる/14.性転換
15.いつもと違う服で/16.添い寝
17.寝起き・朝の支度/18.好きな事をする
19.正装/20.一緒に踊る 10
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DONEアイスクリームパレット:チョコチップ(片想い / ぱきり / 似たもの同士)欠片を集めるうだるような暑さの中でパトロール。そんなときに限って発生する細かな喧嘩をさばき、上がった悲鳴の先に居たひったくりを捕まえたりしていれば、そりゃあもう、いくら体力自慢の切島だってへとへとになるわけで。
そもそも、切島はそれほど暑さに強い方ではない。寒いのはいくらでも平気だ。真冬に裸で寒風摩擦だってできる。けれど、暑さは。暑いからと言って服を脱ぐにも限界があるわけで。
休憩のために寄った公園で、頭から水道の水を被る。蛇口をひねって出てきた水は生ぬるく、身体を冷やすほどではないが、けれど濡れた頭をぶんとまるで犬のように振れば、多少はすっきりとした。
「切島くん」
近くの駄菓子屋に行っていたファットガムが、レジ袋をがさがさ言わせて戻ってくる。中にはスポーツドリンクのペットボトルと、アイスが二つ入っていた。
1406そもそも、切島はそれほど暑さに強い方ではない。寒いのはいくらでも平気だ。真冬に裸で寒風摩擦だってできる。けれど、暑さは。暑いからと言って服を脱ぐにも限界があるわけで。
休憩のために寄った公園で、頭から水道の水を被る。蛇口をひねって出てきた水は生ぬるく、身体を冷やすほどではないが、けれど濡れた頭をぶんとまるで犬のように振れば、多少はすっきりとした。
「切島くん」
近くの駄菓子屋に行っていたファットガムが、レジ袋をがさがさ言わせて戻ってくる。中にはスポーツドリンクのペットボトルと、アイスが二つ入っていた。
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DONEアイスクリームパレット:ラムレーズン(淡い思い出 / 異物 / 背伸びをする)あの日、大人になりたかったから部屋に備え付けの戸棚の引き出しを開けると、救急セットや常備薬に混ざって、奥の方。それだけぽつんと異物みたいに、封を切った煙草の箱がコロンと置いてあって、俺は、こんなとこにあったんだなと苦笑した。以前は鞄の奥底に仕舞い込んでいたが、うっかり見つかったらヤバいかも、とさすがに持ち歩かなくなった。それを持っていてもいい年になった今、懐かしい気持ちで俺はそれを見つめ、手に取った。中身はすっかり湿気って、きっともう吸えないだろうけど。
買ったのは18歳の終わり。勇気を出して封を切ったのは19歳の時。煙草を吸うという行為は、それまでいわゆる悪いことをしようと思ったことのなかった俺に、後ろめたい、という感情を思い知らせた。誰にも見つからないように。部屋のベランダで隠れるように身を潜めて深夜、そっと火をつけた。ファットガムが吸うのを見てると、簡単に付く火がなかなかつかなくて――吸わないと付かないということを知ったのはそれからだいぶ後だった――何度も100円ライターを擦って、やっと煙が緩く経ち上ったときにはホッとした。けど、一気に吸い込んで咽て、俺の煙草デビューは三口吸って終わり。口の中に広がる味が苦くて、胸のあたりがむかむかして、最悪な気分。それに、吸ったらもしかして自分も少しは大人になれんじゃねえかなって期待もむなしく、吸ったところで俺は何も変わらなかった。いくら背伸びしたところでファットガムみたいに、なれるわけもなかった。同じ銘柄の煙草の香りのおかげで、ほんの少し、纏う匂いが彼と同じになっただけで。
1057買ったのは18歳の終わり。勇気を出して封を切ったのは19歳の時。煙草を吸うという行為は、それまでいわゆる悪いことをしようと思ったことのなかった俺に、後ろめたい、という感情を思い知らせた。誰にも見つからないように。部屋のベランダで隠れるように身を潜めて深夜、そっと火をつけた。ファットガムが吸うのを見てると、簡単に付く火がなかなかつかなくて――吸わないと付かないということを知ったのはそれからだいぶ後だった――何度も100円ライターを擦って、やっと煙が緩く経ち上ったときにはホッとした。けど、一気に吸い込んで咽て、俺の煙草デビューは三口吸って終わり。口の中に広がる味が苦くて、胸のあたりがむかむかして、最悪な気分。それに、吸ったらもしかして自分も少しは大人になれんじゃねえかなって期待もむなしく、吸ったところで俺は何も変わらなかった。いくら背伸びしたところでファットガムみたいに、なれるわけもなかった。同じ銘柄の煙草の香りのおかげで、ほんの少し、纏う匂いが彼と同じになっただけで。
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DONEアイスクリームパレット:ダブル♪チョコミント(媚薬 / 好き好き / 癖になる)
洋梨(熟す / マグカップ / 愛情)
うんと大きく伸びをして、徹夜明けで乾いた目を切島は瞬いた。窓の外、空に白雲が薄くたなびき、濃い青から薄い青まで、まるですべて種類の青色を使って描いたような空の色を見つめる。その窓の半分を隠すファットガムも、うう、と小さく呻くとデスクで背を伸ばした。
「はあ、さすがに疲れたな」
「っスね」
「こっちはもうひと踏ん張りや」
夜警中に発生した大きめの事件が二件、うち一件で薬物が押収された。その道の専門家であるファットガムはいま、警察から送られてくるデータを見ながら販売ルートや過去の事件との照らし合わせをやってるところだった。明日でもいいと言われたが、早く済ませたほうが事件解決につながるからと戻って来てからずっと、パソコンとにらめっこだ。
1480「はあ、さすがに疲れたな」
「っスね」
「こっちはもうひと踏ん張りや」
夜警中に発生した大きめの事件が二件、うち一件で薬物が押収された。その道の専門家であるファットガムはいま、警察から送られてくるデータを見ながら販売ルートや過去の事件との照らし合わせをやってるところだった。明日でもいいと言われたが、早く済ませたほうが事件解決につながるからと戻って来てからずっと、パソコンとにらめっこだ。
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DONEアイスクリームパレット:ダブル♪チョコレート(神聖 / 人たらし / 濃厚な)
チェリー(小さな恋人 / キス / 気付いていない)
午前5時の祈り濃厚な夜を過ごした後の、朝の気怠さが嫌いではない。
そういう日の翌日は大抵休みだからというのもあるが、すぐにまた重たい瞼を閉じてとことんまで惰眠を貪り、昼ころ起き出して温まったベッドの中でまるでさざ波のような会話を交わしつつ、腹の鳴る音で笑いあうような、そんな日が。
けれど、今日は何故か。疲れた気怠さはあるものの、よほど熟睡できたからかぱっちりと目が覚めてしまった。ここ数日も、そこまで忙しかったわけじゃなくて、睡眠が取れていたからかもしれない。ファットガムはふわと欠伸をしながら、腕の中の暖かな小さな恋人を起こさないようにそろりと身じろぎ、頭の上あたりに置いていたはずのスマートフォンを片手で探るが見当たらず。しかたなく首だけ伸ばすように顔を上げ、ベッド横の棚の上にあるデジタル時計に視線を投げた。時計は「5:12」と表示。だいぶ早いなって、少し驚く。エアコンの風で微かに揺れるカーテンの向こうは、すっかり日が昇った後の朝の明るさで溢れているように見えた。
1307そういう日の翌日は大抵休みだからというのもあるが、すぐにまた重たい瞼を閉じてとことんまで惰眠を貪り、昼ころ起き出して温まったベッドの中でまるでさざ波のような会話を交わしつつ、腹の鳴る音で笑いあうような、そんな日が。
けれど、今日は何故か。疲れた気怠さはあるものの、よほど熟睡できたからかぱっちりと目が覚めてしまった。ここ数日も、そこまで忙しかったわけじゃなくて、睡眠が取れていたからかもしれない。ファットガムはふわと欠伸をしながら、腕の中の暖かな小さな恋人を起こさないようにそろりと身じろぎ、頭の上あたりに置いていたはずのスマートフォンを片手で探るが見当たらず。しかたなく首だけ伸ばすように顔を上げ、ベッド横の棚の上にあるデジタル時計に視線を投げた。時計は「5:12」と表示。だいぶ早いなって、少し驚く。エアコンの風で微かに揺れるカーテンの向こうは、すっかり日が昇った後の朝の明るさで溢れているように見えた。
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DONEアイスクリームパレット:ダブル✨パイナップル🍍(完全無欠 / とける / 熱帯夜)
マンゴー(甘い囁き / バカンス / 火照る)
ウチの彼氏が最高すぎる沖縄までファットガムと二人、チームアップに来て、無事に任務完了。
ここまで来て、仕事だけして帰るなんて勿体ねえけどまあ仕方ねえかって思いつつ。沖縄にもこんなホテルあんだなって意外に思ったシンプルなビジネスホテルの、そんな窓からでも見えるきらきらと朝日を跳ね返して輝く、コバルトブルーの海を切島は少しばかり恨めしく睨んだ。初めて来たっていうのに一度も海に入ることもなく。体験したのは、想像していた以上の暑さと太陽の近さと、熱帯夜だけで。
部屋で荷物をまとめてロビーまで降りれば、すっかり脂肪を使い果たしたファットガムがちょうど、隣のエレベーターから出てきたのでそのまま合流。黄色に、真っ赤なハイビスカスが付いたやけに派手なアロハシャツは、多分最初から持ってきたものではないはずで。いつのまに買ったんだろとぼんやり、切島が見上げていれば、ファットガムは手慣れた様子でチェックアウトを済ませていた。終わったでと言いながら切島の分まで荷物を持ち上げたので、慌てて持ちますと言えば、ええねん、とファットガムは笑って。そして、てっきり空港まで直通のリムジンバスを待つのかと思いきや、ホテル前のロータリーを逆方向に向かって歩いて行くので、切島は慌ててその背を追いかけた。
1562ここまで来て、仕事だけして帰るなんて勿体ねえけどまあ仕方ねえかって思いつつ。沖縄にもこんなホテルあんだなって意外に思ったシンプルなビジネスホテルの、そんな窓からでも見えるきらきらと朝日を跳ね返して輝く、コバルトブルーの海を切島は少しばかり恨めしく睨んだ。初めて来たっていうのに一度も海に入ることもなく。体験したのは、想像していた以上の暑さと太陽の近さと、熱帯夜だけで。
部屋で荷物をまとめてロビーまで降りれば、すっかり脂肪を使い果たしたファットガムがちょうど、隣のエレベーターから出てきたのでそのまま合流。黄色に、真っ赤なハイビスカスが付いたやけに派手なアロハシャツは、多分最初から持ってきたものではないはずで。いつのまに買ったんだろとぼんやり、切島が見上げていれば、ファットガムは手慣れた様子でチェックアウトを済ませていた。終わったでと言いながら切島の分まで荷物を持ち上げたので、慌てて持ちますと言えば、ええねん、とファットガムは笑って。そして、てっきり空港まで直通のリムジンバスを待つのかと思いきや、ホテル前のロータリーを逆方向に向かって歩いて行くので、切島は慌ててその背を追いかけた。
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DONEアイスクリームパレット:あずき(硬派 / レトロ / 体力おばけ)硬くて柔らかな君が「ファット!見てください!」
嬉しそうに声を上げ、雑誌を掲げて切島がデスクにやってきたので。パソコンでまとめている経費の一覧との長い戦いを放棄して、なんやなんやとファットガムは顔を上げた。
「ほら!」
ずい、と興奮気味に広げられたページを覗き込めば、そのタイトルにファットガムは、やっと気付いたかと思わずにやんと笑う。この雑誌はつい昨日、事務所に出版社から直接送られてきたものだ。うちに所属してるヒーローが載ってるからと。事前に内容も聞いていたが、驚かしてやろうと切島には秘密にして、そっと事務所の雑誌を入れるラックに忍ばせていた。
「俺、硬派なヒーローランキングで三位でした!」
横のコメントに、漢気があるから、って書いてる!と嬉しそうににこにこ笑う。
831嬉しそうに声を上げ、雑誌を掲げて切島がデスクにやってきたので。パソコンでまとめている経費の一覧との長い戦いを放棄して、なんやなんやとファットガムは顔を上げた。
「ほら!」
ずい、と興奮気味に広げられたページを覗き込めば、そのタイトルにファットガムは、やっと気付いたかと思わずにやんと笑う。この雑誌はつい昨日、事務所に出版社から直接送られてきたものだ。うちに所属してるヒーローが載ってるからと。事前に内容も聞いていたが、驚かしてやろうと切島には秘密にして、そっと事務所の雑誌を入れるラックに忍ばせていた。
「俺、硬派なヒーローランキングで三位でした!」
横のコメントに、漢気があるから、って書いてる!と嬉しそうににこにこ笑う。
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DONEアイスクリームパレット:チョコミント(媚薬 / 好き好き / 癖になる)一年待って夏の暑い日に飲むビールは最高だと、目の前の上司はぐいとどでかいジョッキに入ったビールを呷った。プロヒーローになったとはいえまだ二十歳ではない俺は、それを横目に見つつウーロン茶を飲む。汗をかいたグラスに負けじと、ふうふう言いながら吹き出る汗を拭って、俺の上司、ことファットガムは熱々のたこ焼きを口の中にいくつか放り込み、はふはふと嬉しそうに頬張っていた。
「ビールとたこ焼きが最高に合うねんで。君にそれを教えてあげられるまで、あと一年やなァ」
あと一年。そう言いながら、柔らかくファットガムは目を細めた。
「そうっスね」
「君と飲めるの、楽しみやな」
楽しみだ、と俺も思う。こういう夏の暑い日だけは、普段はそれほど興味の湧かないビールとやらが酷く魅力的に見えた。
1041「ビールとたこ焼きが最高に合うねんで。君にそれを教えてあげられるまで、あと一年やなァ」
あと一年。そう言いながら、柔らかくファットガムは目を細めた。
「そうっスね」
「君と飲めるの、楽しみやな」
楽しみだ、と俺も思う。こういう夏の暑い日だけは、普段はそれほど興味の湧かないビールとやらが酷く魅力的に見えた。
vi_mikiko
MOURNING第11回降志ワンドロワンライに参加させていただきますお題:寝言・アイスクリーム・「私はパス」
寝言・アイスクリーム・「私はパス」「私はパス」
彼女の怜悧な声が、広いリビングに響いた。
――
よく晴れた休日。ポアロのバイトを切り上げた僕は、阿笠邸にやってきた。コンビニで購入した棒付きバニラアイスの箱を手に下げて。
「あー! おやつ買ってきてくれたのかよ!」
「わーい! ちょうどお腹すいてたの!」
「安室お兄さん、ありがとうございます!」
計算通り、子ども達がわらわらと群がり、喜んで唐突な訪問者である僕の居場所をつくってくれた。アイスの箱は六本セットで、ちょうどこの家にいる人数と同じ数だ。子ども達三人、博士、僕、そして――
「私はパス」
灰原哀。最後の一本を渡そうと思っていた彼女は、そう言って地下室に降りてしまった。
*
アイスを食べ終えた子ども達は、いつのまにかTVゲームに夢中になっていた。
1987彼女の怜悧な声が、広いリビングに響いた。
――
よく晴れた休日。ポアロのバイトを切り上げた僕は、阿笠邸にやってきた。コンビニで購入した棒付きバニラアイスの箱を手に下げて。
「あー! おやつ買ってきてくれたのかよ!」
「わーい! ちょうどお腹すいてたの!」
「安室お兄さん、ありがとうございます!」
計算通り、子ども達がわらわらと群がり、喜んで唐突な訪問者である僕の居場所をつくってくれた。アイスの箱は六本セットで、ちょうどこの家にいる人数と同じ数だ。子ども達三人、博士、僕、そして――
「私はパス」
灰原哀。最後の一本を渡そうと思っていた彼女は、そう言って地下室に降りてしまった。
*
アイスを食べ終えた子ども達は、いつのまにかTVゲームに夢中になっていた。
anazawaanan
DOODLEボブハンワンドロ(ワンドロではない)のお題で描いたものたち①1枚目:「眼鏡」
2、3枚目:「唇」「嫉妬」
4枚目:「花」「おやすみ」
5枚目:「電話」
6枚目:「風邪」「撫でる」
7枚目:「飴」
8枚目:「アイスクリーム」 8
にし乃
CAN’T MAKEツイッターで呟いていた、大学生の五条とアイスクリームショップでアルバイトをしている夏油♀の話です。転生パロで五は記憶あり、夏♀は記憶なし。タイトルは何も思い付きませんでした。本編に入れられなかったのですが、二人は同い年です。生まれ変わっても五夏には絶対同級生でいて欲しい!という私の願望が詰まっております。
毎度のことながら妄想と捏造しかないので、何でも楽しんで下さる方のみどうぞ!
毎日アイス食べてて太らないのずるくないかい「あれは手が滑ってコマンドを間違えただけで……。」
「言い訳は見苦しいぞ、傑。」
とある春の日の夜、夏油と五条は並んで夜食の調達に向かっていた。
少し前まで彼らは夏油の部屋で格闘ゲームに勤しんでおり、その勝負に負けた夏油はある罰ゲームを課せられていた。勝者となった五条は、悔しそうな顔をしている敗者を見てニマニマ愉快そうに笑っている。
二人の目的地は全国にチェーン展開をしている有名なハンバーガーショップで、罰ゲームの内容は敗者が勝者に何でも奢ってあげること。それともう一つ、注文時にレジカウンターで『あることを言うこと』であった。それが憂鬱で、夏油は大きな溜め息を吐いた。
「誰がこんな最低な罰ゲームを考えたんだ。」
6316「言い訳は見苦しいぞ、傑。」
とある春の日の夜、夏油と五条は並んで夜食の調達に向かっていた。
少し前まで彼らは夏油の部屋で格闘ゲームに勤しんでおり、その勝負に負けた夏油はある罰ゲームを課せられていた。勝者となった五条は、悔しそうな顔をしている敗者を見てニマニマ愉快そうに笑っている。
二人の目的地は全国にチェーン展開をしている有名なハンバーガーショップで、罰ゲームの内容は敗者が勝者に何でも奢ってあげること。それともう一つ、注文時にレジカウンターで『あることを言うこと』であった。それが憂鬱で、夏油は大きな溜め息を吐いた。
「誰がこんな最低な罰ゲームを考えたんだ。」
hukurou_kusi
DOODLE【ジェラードを食べよう!】「……ふ、なあ杏璃。手土産を見せてやってくれ」
「はーい!」
人数分のジェラートをニコニコで見せる
「あれ、それ…」👉
「これが噂に聞くハッピーアイスクリーム」
「もう一種類選べるドン」
「面白いな。考えることは一緒か」
「では、紅茶は濃く熱めに淹れましょう」
おきみり
DONEこれはお題ルーレット「お化けとアイスクリーム」というので描きました!目の色付けとか影の付け方をリアルっぽくしてみました!(最初は幽霊だけだったけど、魔女やピョンシーも加えました!)いつもより頑張ったので応援よろしくお願いします🥺PAN🪢
DONEボブハンワンドロ(ワンとは言ってない)②⑩「イヤホン」「ずるい」60min
⑨「雨」「誘う」60min
⑧「マフラー」「ごめん」60min
⑦「アイスクリーム」「約束」60+15min
⑥「飴」「久しぶり」60min 5
いちichi
MEMOむかし考えた本線とといくんがアイスクリーム食べるだけのはなし。あいすくりーむのはなし①
とうきび畑の向こう側から唸る様な蝉の声が響いていた。
じわじわと茹る様な熱が地面から伝わって、額に汗が伝う。
真夏の日。
空高くから注がれる陽射しの下で、戸井線は目の前の広い背中を追いかけていた。
「あ、あの…本線、」
「ん?」
澱む事の無かった足取りが不意に止まる。
大人の歩幅で言えば2、3歩の僅かな間。
たったそれだけの距離を詰めるのが妙に気が引けて、自然と自身も足を止めて戸井線は恐る恐ると問い掛けた。
「官舎に戻らなくて、いいんですか…?」
昼の業務がひと段落ついた頃。
不意に部屋の扉が開いて名前を呼ばれた。
遠くから眺める事はあっても、直接話した事なんて数える程しかない憧れの人。
手紙出しに行くからついて来い、と当たり前の様に告げた函館本線に戸井線は頷く他なかった。
2785とうきび畑の向こう側から唸る様な蝉の声が響いていた。
じわじわと茹る様な熱が地面から伝わって、額に汗が伝う。
真夏の日。
空高くから注がれる陽射しの下で、戸井線は目の前の広い背中を追いかけていた。
「あ、あの…本線、」
「ん?」
澱む事の無かった足取りが不意に止まる。
大人の歩幅で言えば2、3歩の僅かな間。
たったそれだけの距離を詰めるのが妙に気が引けて、自然と自身も足を止めて戸井線は恐る恐ると問い掛けた。
「官舎に戻らなくて、いいんですか…?」
昼の業務がひと段落ついた頃。
不意に部屋の扉が開いて名前を呼ばれた。
遠くから眺める事はあっても、直接話した事なんて数える程しかない憧れの人。
手紙出しに行くからついて来い、と当たり前の様に告げた函館本線に戸井線は頷く他なかった。