ガープ
三咲(m593)
DOODLE三百字小説。ラフロイグ&ガープ+アレス。もったいないからという言い訳。 いつも思ってたんだけど。
独り言のように始まった疑問は、魔皇の手元を見詰めて止まる。カップをつかむ形で置かれた手は、しかし持ち上げることなく離れていく。
「飲めないのにどうして入れるんだ?」
例えば、進行中の計画の確認。これからの提案と議論。そして一眠りからの気だるい時間。口にする茶は、銘柄こそ巡回するものの、どれもすっかり馴染んだ香りだ。
だからこそ、どんな時でも変わらずこなせる。習慣のようなものだと答えると、そういうもんか、とアレスはカップに目を落とす。
そこで終わるかと思われた疑問が、自分の手元まで伸びていることに、ガープは気付いた。減ることのない茶は、誤魔化すための行き先を、まだ決め兼ねている。
310独り言のように始まった疑問は、魔皇の手元を見詰めて止まる。カップをつかむ形で置かれた手は、しかし持ち上げることなく離れていく。
「飲めないのにどうして入れるんだ?」
例えば、進行中の計画の確認。これからの提案と議論。そして一眠りからの気だるい時間。口にする茶は、銘柄こそ巡回するものの、どれもすっかり馴染んだ香りだ。
だからこそ、どんな時でも変わらずこなせる。習慣のようなものだと答えると、そういうもんか、とアレスはカップに目を落とす。
そこで終わるかと思われた疑問が、自分の手元まで伸びていることに、ガープは気付いた。減ることのない茶は、誤魔化すための行き先を、まだ決め兼ねている。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その6。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない6 ガープに喧嘩腰のように告白をして、別離を告げた翌日。アガレスはいつもより早い時間に家を出て、自分で学校に来ていた。
これには勿論、理由がある。
アガレスはガープを信用していない。彼が空気を読めないのはよく知っているのだ。筋金入りとも言って良い。なので、いつもの時間に家にいれば、当たり前みたいに迎えに来る可能性を考えたのだ。
そして、家に閉じこもるよりは、学校で級友達と共に居る方がマシだと判断した。家に押しかけられて、二人きりで顔を合わせるのは気まずすぎる。
正直なところ、心情をぶちまけた結果、アガレスの心的強度は下がっているのだ。この状況で、無自覚に色々とこちらの心臓を射抜いてくるようなガープの言葉を聞く余力はない。
4755これには勿論、理由がある。
アガレスはガープを信用していない。彼が空気を読めないのはよく知っているのだ。筋金入りとも言って良い。なので、いつもの時間に家にいれば、当たり前みたいに迎えに来る可能性を考えたのだ。
そして、家に閉じこもるよりは、学校で級友達と共に居る方がマシだと判断した。家に押しかけられて、二人きりで顔を合わせるのは気まずすぎる。
正直なところ、心情をぶちまけた結果、アガレスの心的強度は下がっているのだ。この状況で、無自覚に色々とこちらの心臓を射抜いてくるようなガープの言葉を聞く余力はない。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その5。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない5 去って行くアガレスを、ガープは追わなかった。追うことが出来なかった。見たこともなかったアガレスの顔が、聞いたこともなかった声が、意識から離れてくれない。
あんな風に、絶望の全てを詰め込んだような笑顔を見たことはなかった。あんな風に、号泣していると思しき声を聞いたことはなかった。今にも泣きそうに潤んだ瞳の、縋るようでありながら怯える輝きを見たことなど、なかった。
何もかもが見知らぬもので、ただ一つガープの内側に残ったのは、アガレスが自分の元から去って行ったという事実だった。
好きだと言われた。それが、いわゆる恋愛感情であろうことは察することが出来た。そうでなければ、アガレスはあんな風に血を吐くように叫ばなかっただろう。特別の意味が違うという言葉も、それを裏付けていた。
2620あんな風に、絶望の全てを詰め込んだような笑顔を見たことはなかった。あんな風に、号泣していると思しき声を聞いたことはなかった。今にも泣きそうに潤んだ瞳の、縋るようでありながら怯える輝きを見たことなど、なかった。
何もかもが見知らぬもので、ただ一つガープの内側に残ったのは、アガレスが自分の元から去って行ったという事実だった。
好きだと言われた。それが、いわゆる恋愛感情であろうことは察することが出来た。そうでなければ、アガレスはあんな風に血を吐くように叫ばなかっただろう。特別の意味が違うという言葉も、それを裏付けていた。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その4。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない4 限界は、思っていたよりも早く訪れた。
自分が思っている以上に追い詰められていたのだと、アガレスは気づいていなかったのだ。隠すのは得意で、気づかせないのも得意だったから、大丈夫だと思いこんでいただけだった。
アガレスが巧妙に距離を取ろうとしても、ガープは目敏く気づいて駆け寄ってきた。それまで繋がっていた手をアガレスがするりと外したとして、離れきる前に当たり前みたいな顔で掴んでくるのだ。しかも当人に自覚がない。
そんなことが、幾度も、幾度も繰り返された。少しずつ距離を取ろうと考えていたアガレスは、相棒の思わぬ察しの良さに妨害され続けている。その上、ガープは無邪気に笑いながらアガレスの心臓を射抜き続けているのだ。何も考えていないくせに。
4062自分が思っている以上に追い詰められていたのだと、アガレスは気づいていなかったのだ。隠すのは得意で、気づかせないのも得意だったから、大丈夫だと思いこんでいただけだった。
アガレスが巧妙に距離を取ろうとしても、ガープは目敏く気づいて駆け寄ってきた。それまで繋がっていた手をアガレスがするりと外したとして、離れきる前に当たり前みたいな顔で掴んでくるのだ。しかも当人に自覚がない。
そんなことが、幾度も、幾度も繰り返された。少しずつ距離を取ろうと考えていたアガレスは、相棒の思わぬ察しの良さに妨害され続けている。その上、ガープは無邪気に笑いながらアガレスの心臓を射抜き続けているのだ。何も考えていないくせに。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その3。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない3「……何で」
「ん?何がでござるか?」
「何でここにいるんだよ、お前」
眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。
「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
「……明日学校で会うだろうが」
「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
「そうでござるが……」
「何だよ」
別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
3412「ん?何がでござるか?」
「何でここにいるんだよ、お前」
眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。
「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
「……明日学校で会うだろうが」
「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
「そうでござるが……」
「何だよ」
別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その2。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない2 翌日から、アガレスは少しずつ自分達の距離を調整することを心がけた。気付かれないように少しずつ、お仲間としての距離を調整するのだ。
ただ、突然大幅に距離を取るとガープに気付かれる可能性があったので、行動は本当に些細なところからだった。だから、朝迎えに来るガープにはいつも通りに挨拶するし、いつも通りに彼が作ったおむすびを食べるし、いつも通りにガープに運ばれる。
パジャマから制服に着替えさせるのも手慣れたガープが、聞いてもいないのに昨日は何があったのかを話しているのを耳にしながら、アガレスは寝る。学校に着くまでの間、着いてからも寝る。それはいつものことだったから、誰も何も言わなかった。
けれどそれは、距離を取るための一つの手段だった。
3149ただ、突然大幅に距離を取るとガープに気付かれる可能性があったので、行動は本当に些細なところからだった。だから、朝迎えに来るガープにはいつも通りに挨拶するし、いつも通りに彼が作ったおむすびを食べるし、いつも通りにガープに運ばれる。
パジャマから制服に着替えさせるのも手慣れたガープが、聞いてもいないのに昨日は何があったのかを話しているのを耳にしながら、アガレスは寝る。学校に着くまでの間、着いてからも寝る。それはいつものことだったから、誰も何も言わなかった。
けれどそれは、距離を取るための一つの手段だった。
つーさん
MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その1。年齢操作です。無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
菫青石は砕けない1 悪魔学校バビルスに通って早6年。卒業を間近に感じるようになった最高学年の生活は、下級生の頃とはガラリと様変わりしている。
基礎やそれぞれに合わせた能力の伸ばし方を学ぶ下級生を経て、上級生は実習が中心となってくる。学校へ顔を出すこともあるが、四年生以上は社会に出て学ぶことが多いので、必然的に学び舎にいるのは下級生が中心だ。
その中でも例外と言われるのが、問題児クラス達だった。基本的には彼らも社会で実習を行っているのだが、他の上級生達に比べれば比較的学校に顔を出すことが多い。彼らは『王の教室』を拠点としており、そこでたむろするのが心地好いのもあるのだろう。
そんなわけで、他の同級生達に比べれば彼らは、最上級生になった今も学校で仲間達と交流を重ねているという奇妙なクラスでもあった。
3053基礎やそれぞれに合わせた能力の伸ばし方を学ぶ下級生を経て、上級生は実習が中心となってくる。学校へ顔を出すこともあるが、四年生以上は社会に出て学ぶことが多いので、必然的に学び舎にいるのは下級生が中心だ。
その中でも例外と言われるのが、問題児クラス達だった。基本的には彼らも社会で実習を行っているのだが、他の上級生達に比べれば比較的学校に顔を出すことが多い。彼らは『王の教室』を拠点としており、そこでたむろするのが心地好いのもあるのだろう。
そんなわけで、他の同級生達に比べれば彼らは、最上級生になった今も学校で仲間達と交流を重ねているという奇妙なクラスでもあった。
三咲(m593)
MAIKINGアスモ&ガープ。ラフ様も少し。★2か3くらいの頃の、腐れ縁が出来上がるまで。 ようやく静かに本を読める。廊下を端まで横切って、見つけた椅子はこれ以上ない特等席だった。これならわずかな明かりでも事足りる。わずらわしいだけだった夜が、月光の下に不意に華やぐ。
手元に灯した安堵の火は、しかしわずかに揺れていただけで、向かってくる足音に吹き消された。ガープは苛立ちも隠さずに、もう一度息を吐く。見計らったようなタイミングは、後をつけていたからこそだろう。
「ここまで酒を頼んだ覚えはないが」
「困りますなあ、会場に居ていただかないと。こちらとしても警備になりません」
「それは、……すまなかった」
嫌味を盛った言い方も、彼にしてみれば当然だったかもしれない。一人抜け出してきたのは自分だ。貴族の肩書きがある以上、一歩型をはみ出せば、勝手な振る舞いにしかならない。
1488手元に灯した安堵の火は、しかしわずかに揺れていただけで、向かってくる足音に吹き消された。ガープは苛立ちも隠さずに、もう一度息を吐く。見計らったようなタイミングは、後をつけていたからこそだろう。
「ここまで酒を頼んだ覚えはないが」
「困りますなあ、会場に居ていただかないと。こちらとしても警備になりません」
「それは、……すまなかった」
嫌味を盛った言い方も、彼にしてみれば当然だったかもしれない。一人抜け出してきたのは自分だ。貴族の肩書きがある以上、一歩型をはみ出せば、勝手な振る舞いにしかならない。
konaaaaa8
DOODLE一個前のおまけアガさんと一生居るつもりだったり、公衆を気にしなかったり
個人的にガープって軽くオカしいヤツだと思っててソコが本当に好きなんですけど
やっぱ毛皮があると裸に抵抗がないか、恥ずかしがり屋かどっちかかなあ
カムイ君の下半身なんて裸(ら)じゃん、、
Ryu_Setsu
DONE⚠️なんでも許せる方向け⚠️⚠️ガープの顎のライン・口元が見えています⚠️
私の魔入間の推し、2人三つ編みだ…ガープの三つ編み姿見たい……
という欲望のままに描いたら、三つ編み描いてるのかガープ描いてるのかわからなくなってしまった。
だが楽しく描けた……✍️
音楽祭の時とか本当もう髪の毛サラフワで何度見ても癒される可愛い、最高
三咲(m593)
DONE三百字小説。ガープとラフロイグ。ラフ様のトレーニングメニューは半端ないんだろうなあというイメージでした。 人心地着いたところで、魔皇は早々に立ち上がった。
合戦が近い。演習を繰り返した分、彼も消耗しているはずだ。ガープの心配をよそに、体はまだ十分動く、と得物を掲げて見せる。
頂点としてふさわしい強さを。楔のようになっていた鍛錬は、今はただ、自分らしくあるための習慣になったという。その楽しみを添えたのが自分たちだったと、かつて語った顔が今、笑い顔に重なっている。
「少し走り込んでくる。貴様もどうだ?」
言いながらその場で駈けている足は、すぐにでも走り出しそうだ。休憩をしたら合流を。答えて見送った背中はもう、柱の向こうに消えている。
彼の言う「少し」は少しでは済まない。その事を思い出したのは合流したあとだった。
310合戦が近い。演習を繰り返した分、彼も消耗しているはずだ。ガープの心配をよそに、体はまだ十分動く、と得物を掲げて見せる。
頂点としてふさわしい強さを。楔のようになっていた鍛錬は、今はただ、自分らしくあるための習慣になったという。その楽しみを添えたのが自分たちだったと、かつて語った顔が今、笑い顔に重なっている。
「少し走り込んでくる。貴様もどうだ?」
言いながらその場で駈けている足は、すぐにでも走り出しそうだ。休憩をしたら合流を。答えて見送った背中はもう、柱の向こうに消えている。
彼の言う「少し」は少しでは済まない。その事を思い出したのは合流したあとだった。
三咲(m593)
DONE三百字小説。アレスとガープ。なにかとそっくりでビックリしたのは「こっち側」だけじゃなかったのかなとか。 新しい主はその日変わった。頼りなげだった面差しは消え、大ぶりな武器も自在に操る。
なによりその振る舞いは、亡き魔皇を思わせる。今もまた、仕草や声色さえもかたどって、アレスは満足げに息をつく。
「お前の入れた茶は、甘くてうまいな」
服の裾に火が点いた、ガープはそんな心地がした。食器を鳴らしたことを詫びながら、かしげている首から、逃げるように席を立つ。
力を与えたとは聞いているが、これではまるで生き写しだ。不意に火の粉が触れるたび、浮かんだ熱が感傷を炙り出す。
だからきっと、茶の代わりも必要だろう。同じ手順をなぞりながら、手元と記憶に繰り返した日々を追う。
「なにを浸っている」と、別の笑い声が背中を小突いた。
312なによりその振る舞いは、亡き魔皇を思わせる。今もまた、仕草や声色さえもかたどって、アレスは満足げに息をつく。
「お前の入れた茶は、甘くてうまいな」
服の裾に火が点いた、ガープはそんな心地がした。食器を鳴らしたことを詫びながら、かしげている首から、逃げるように席を立つ。
力を与えたとは聞いているが、これではまるで生き写しだ。不意に火の粉が触れるたび、浮かんだ熱が感傷を炙り出す。
だからきっと、茶の代わりも必要だろう。同じ手順をなぞりながら、手元と記憶に繰り返した日々を追う。
「なにを浸っている」と、別の笑い声が背中を小突いた。
シン/今年もプロメア見れる嬉しい
INFO #studioTRIGGER10th#10周年おめでトリガー
プロメアとの出会いから制作されたほかの作品にも触れ、改めて魅力に取りつかれています!
これからも楽しい作品をドンドン送り出してくださいね!
ありがTRIGGER!
まめこ
DONEショタバルバル爆死したら一番最初に来た男メギドをショタにする!!って宣言して回したらバルバトスがきたので。Rガープ自体は無事引けたんですが、前回の「ミノソン爆死したら最初に来たメギドをバニーにする」って宣言したときに真っ先に来たのもバルバトスだったので……実装時あんな大爆死させたのにという気持ちを込めて描きました。
_三咲
DONE三百字小説。アスモデウス&ガープ。(ガープ×ラフロイグ要素あり)「また陛下に上着を取られたのか」顔を見るなり笑い出したアスモデウスに、ガープは思わずため息をつく。暖かいから仮眠をとるのに丁度良い。そう言っていつもの赤いコートは、魔皇に寝具代わりにされている。
「寝具の一枚くらい献上すれば良かろう?」
「部屋に籠られてしまう」
「不都合でもあるのか?」
大ありだと言おうとして、ふと言葉を詰まらせていた。ソファを取られる以外は、仕事の邪魔をされるわけでもない。特に支障は無いはずだが。
そんな逡巡に気付いたのか、なるほど、と彼はつぶやく。
「噂好きのマトになりたくなければ、その格好で出て来るのをまずやめることだな」
至極もっともな言い分に、ガープは今度こそ言い返せなくなった。 312
@燃殻/2号
DOODLEガープさんとボガードさんがどういう距離感なのかわからないけど、奔放おじいちゃんと真面目部下(お茶目)だと勝手に思ってる。めちゃくちゃすきです。ルフィくんのカリスマ性は爺ちゃんの血かな。
三咲(m593)
MAIKINGガープ&ラフロイグ居たと思えばいなくなり、居ないと思えばそこにいる。自由気ままな赤色は、大仰な裾をはためかせ前を行く。ただ、少しは後ろを顧みてほしいと、ガープは常々思っている。暇と財を持て余す貴族ならともかく、彼は魔皇だ。一歩進むたびに起きる波紋の、その影響は計り知れない。
今日もまた私用を言いつけられ、予定がいくつか潰れてしまった。大したものではないと言われれば、反論は出来なかったのだが。
それにしても……と息を呑む。広がる麦の金色と、空の青が二分する視界。境界に立つ緑のロウソクを目印にしなければ、今どこに立っているのかも見失いそうになる。話には聞いていたが、この土地がすべて、彼のものだというから驚きだ。
佇んでいた赤色が振り返り、影が笑ったように見えた。
「今年もよく実った。また良い酒が飲めそうだ」
「……それで、私にどのようなご用命を」
麦の育成を見せるために、わざわざ連れ出したとは思えない。畑仕事でも言いつけられるのだろうか。そんなことを思っていると、黒いガントレットが閃き、グラスを掲げる形を取った。
「貴様に酒の味を見てほしい」
この地の南端には、魔皇御用達の蒸留所が 3039
Fの人
DOODLEミスラくんのお誕生日でしたね。二体で押しかけてきたり、シュガープレートが丁度二つしかなかったのにケーキを二回要求してきたり、覚醒で「誕生日なので」と大事なことと言わんばかりに二回言ったり、はてはチョコレートを二回要求してくるその圧に、誕生日だからといって何しても良いとは賢者は思わないです。
三咲(m593)
DONE三百字小説。ガープ&ラフロイグ。たぶん向こうも同じような感じ。どうしてまた部屋に居座っているのか。言いながらカップをもうひと揃い用意したガープに、魔皇は当然のように答える。「一人いなくなって、さぞ静かだろうと思ってな」
耳の早さは相変わらずだ。喧嘩別れのようになったことも、話すまでもないだろう。
「弟子が独り立ちしたのだ。喜ばしいではないか」
惜しいのはそれだけ肩入れをしていたからだ。代わりに出された言い訳を、流し込もうとして顔をしかめる。
いつだって計算以外は上手くやれない。肝心な部分はおぼろげで、目を向ける前にかすんでしまう。目の前の姿もまた、そうだった。
断りもなく加えられた砂糖が、残った悔恨に溶け込んでいく。ひと息に飲み干して、忘れていた甘さを思い出した。 310
三咲(m593)
DONE三百字小説。アレス&ガープ。根を詰めてしまったようだ。椅子に上着をかけ、両肩を回したところで、少年と目が合った。「肩、揉んでやろうか?」
「……では、お願いします」
期待のこもった眼差しに、素直に従うことにする。
書き物で肩が凝ったならこの辺だろうか。そんな独り言とともに触れている手は、ずいぶん手慣れているようだ。聞けば、兵士として城勤めをする間、自分や仲間のケアをしながら、自然に覚えていたという。特に鎧を着慣れるまでが大変だったと、まだ鮮明な過去をたぐり寄せ、笑う。
もう少し、主君らしい振る舞いをしてほしい。ガープは常日頃からそう思っている。それでもこれが、彼の思う主らしさなら。今はもう見慣れた小さな手を、どこか大きく感じた。 307
三咲(m593)
DONE三百字小説。ガープ&ラフロイグ。ラフ様はアブストラクト的なゲームが強そうなイメージ。彼にとって、休憩とは頭を休ませることではないらしい。丸まった背中がなにやら唸り声を上げている。額を押さえたガープは、顔をしかめながら手元の本を睨んでいる。「邪魔をしても良いか?」とのぞき込めば、ぜひ、とだけ帰ってきた。かれこれ三日は悩んでいる。そう言って示された升目は、駒の攻め方を解いたもののようだ。戦局を打開するための一手は、自分との勝負を想定しているのかもしれない。あっさりと解を示したラフロイグに、大きく見開いた目は、それでも挑戦的な光を返した。
「一戦願えますか」
「下剋上を狙うか? 受けて立とう」
一手たりとも気を抜けない。そんな相手だからこそ、この手の駒は強者として、今も盤上に並んでいる。 306
三咲(m593)
DONE三百字小説。ガープ&ラフロイグ。合戦終わった後のひとコマ。ようやく片付いた。その声に振り返ると、大魔皇が伸びをしていた。紙の束を見やって、ガープは思わず目を見開く。書かれている額は、気前が良いなどという程度では済まない。そんな反応もしっかり見ていたのか、小さな笑い声がこぼれる。
「強者に支援は惜しまぬ。最強であるにはなにかと必要であろう」
そのことは身をもって知っている。自身の理想も、彼の援助なしでは叶わなかったものだ。
自分を打ち倒す者が現れたら、すべて譲り渡すつもりだ。いつか口にしていた言葉も、あるいは本心なのだろうか。その者は果たして、彼の支えとなれるのだろうか。
「少々くたびれた……ここで休ませよ」
巡り始めた思考は、背後から伸びてきた腕に遮られる。 309