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    ガープ

    つーさん

    MOURNING卒業前に盛大に拗れるガプアガ、その3。年齢操作です。
    無駄に文字数増えそうで完成できるか怪しいので、書けた分だけ供養に投げます。タグでシリーズ管理してます。
    無自覚ガープと自覚ありなので距離を取ろうとするアガレスという話です。
    菫青石は砕けない3「……何で」
    「ん?何がでござるか?」
    「何でここにいるんだよ、お前」

     眉間に指を押し当てて皺を伸ばしながら、アガレスは面倒くさそうに問いかけた。ここはアガレスの実家で、当たり前みたいな顔をして玄関前にいるのは、ガープだ。アガレスの問いかけに、きょとんとしている。
     見慣れた、見慣れすぎた、どこまでも他人との間合いが分かっていない剣士の、ポンコツな姿である。

    「アガレス殿に会いたくなったでござる!」
    「……明日学校で会うだろうが」
    「そうでござるが、明日は学校に行っても別行動でござるし、今日は家にいると聞いたので」
    「俺は、休みの日は家でのんびりしたいの。知ってるだろう」
    「そうでござるが……」
    「何だよ」

     別に何も間違っていない主張をするアガレスに、ガープはしょんぼりと肩を落とした。少しずつ、少しずつガープとの距離を取ろうと努めているアガレスにとって、休みの日に押しかけられるのは困る案件だった。気持ちが揺らぐ。
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    三咲(m593)

    MAIKINGガープ&ラフロイグ居たと思えばいなくなり、居ないと思えばそこにいる。自由気ままな赤色は、大仰な裾をはためかせ前を行く。
     ただ、少しは後ろを顧みてほしいと、ガープは常々思っている。暇と財を持て余す貴族ならともかく、彼は魔皇だ。一歩進むたびに起きる波紋の、その影響は計り知れない。
     今日もまた私用を言いつけられ、予定がいくつか潰れてしまった。大したものではないと言われれば、反論は出来なかったのだが。

     それにしても……と息を呑む。広がる麦の金色と、空の青が二分する視界。境界に立つ緑のロウソクを目印にしなければ、今どこに立っているのかも見失いそうになる。話には聞いていたが、この土地がすべて、彼のものだというから驚きだ。

     佇んでいた赤色が振り返り、影が笑ったように見えた。

    「今年もよく実った。また良い酒が飲めそうだ」
    「……それで、私にどのようなご用命を」

     麦の育成を見せるために、わざわざ連れ出したとは思えない。畑仕事でも言いつけられるのだろうか。そんなことを思っていると、黒いガントレットが閃き、グラスを掲げる形を取った。

    「貴様に酒の味を見てほしい」

     この地の南端には、魔皇御用達の蒸留所が 3039