パージ
mizus_g
DONEワンライ「野営」+1hくらい 音を立てずに起き上がり、気配を殺し、息を潜めて、隣で眠る赤毛の男が瞳を閉じていることを確かめてからそっと野営地を出る。
十名足らずの隊で二、三人ずつ纏まって休息をとっているが、獣や魔物も暮らす山地である上に最近は賊の目撃情報もあるため、交代で見張りを立てている。野営の方法は白竜騎士団がその前身の黒竜騎士団であった頃からあまり変わっていないようだ。いま見張りをしているのは入団して三年目の槍使いの若者で、真面目で素直な好ましい男だ。この魔物討伐遠征にジークフリートが助っ人として付き合うことになったと聞いてそれはそれは喜び、いたく感激していたのだとランスロットから聞いている。こそばゆいが、悪い気はしないものだ。
3301十名足らずの隊で二、三人ずつ纏まって休息をとっているが、獣や魔物も暮らす山地である上に最近は賊の目撃情報もあるため、交代で見張りを立てている。野営の方法は白竜騎士団がその前身の黒竜騎士団であった頃からあまり変わっていないようだ。いま見張りをしているのは入団して三年目の槍使いの若者で、真面目で素直な好ましい男だ。この魔物討伐遠征にジークフリートが助っ人として付き合うことになったと聞いてそれはそれは喜び、いたく感激していたのだとランスロットから聞いている。こそばゆいが、悪い気はしないものだ。
あおば
PROGRESS《FF13プレイ記 5&6章》5章/ストーリーの全容がそろそろ見えてきて操作にも慣れてきた頃…
そして芽生えるライトニングとホープの信頼感!!あつい!!あついぞ!!!
6章/だれ!?この美人は~??!?雛チョコボかわい~~;;;
ハイ!ありがとう!!!!!イケメン捕まえました!!!!!!!やったね!!!!!!
ヤーグ・ロッシュさんね!!!!ねぇ君どこ住み?えっ?パージする?やめて 5
mizus_g
DONE5/4超全空で配布した合同ペーパーに載せたものです。テーマはおふとん……なのですが普通にベッドです。同衾ネタが大好きです。ユカタヴィラで布団で同衾も夢がある…
貰って下さった方ありがとうございました!
5/4超全空無配ペーパー 甘い気配が行き違う。
「狭いか?」
「……いや、平気だ。お前こそ窮屈ではないか?」
手違いにより、今宵はジークフリートとひとつ床で眠ることになった。
とは言っても、ベッドのサイズは男二人で入ってもそれなりに余裕があるものだ。彼の体温は感じるものの、寝具の取り合いをするほど狭いわけではない。
「俺は大丈夫だ。すまないなパーシヴァル、俺の確認不足でこのようなことになってしまって」
「構わん。ベッドサイズがこのくらいであれば、二人で眠るにしても差し支えはなかろう」
「ああ、……そうだな」
背中越しに伝わってくるジークフリートの気配が、もそり、と落ち着かぬ様子で身じろいだ。
本日の夕刻、ジークフリートが予め手配してくれていた宿に到着してみると、通された部屋は大きなベッドがひとつ置かれたダブルルームであった。ツインの部屋に替えて貰えないかと交渉してはみたが今宵は満室で変更は難しいと言われてしまったため、仕方なしに彼と同じベッドで寝ることにしたのだった。
2931「狭いか?」
「……いや、平気だ。お前こそ窮屈ではないか?」
手違いにより、今宵はジークフリートとひとつ床で眠ることになった。
とは言っても、ベッドのサイズは男二人で入ってもそれなりに余裕があるものだ。彼の体温は感じるものの、寝具の取り合いをするほど狭いわけではない。
「俺は大丈夫だ。すまないなパーシヴァル、俺の確認不足でこのようなことになってしまって」
「構わん。ベッドサイズがこのくらいであれば、二人で眠るにしても差し支えはなかろう」
「ああ、……そうだな」
背中越しに伝わってくるジークフリートの気配が、もそり、と落ち着かぬ様子で身じろいだ。
本日の夕刻、ジークフリートが予め手配してくれていた宿に到着してみると、通された部屋は大きなベッドがひとつ置かれたダブルルームであった。ツインの部屋に替えて貰えないかと交渉してはみたが今宵は満室で変更は難しいと言われてしまったため、仕方なしに彼と同じベッドで寝ることにしたのだった。
hisanagiuta
DONE「パージク版深夜の創作60分一本勝負」4月9日 第60回 お題「前髪」「春」
たん、たんと軽く何かを叩く音が聞こえて、パーシヴァルは窓を見上げる。水飛沫が散っていた。いつの間にか雨が降り出していたらしい。窓を開けて辺りを見渡し、脇に生えた樫の木が音の出どころだと検討をつける。葉に溜まった雫が溢れて、葉や幹を叩き音を立てているのだった。
明るい。空の高いところに、欠けた月が嵩を被っている。雨の一粒一粒が、光を受けて影を作り、空の中できらめいていた。
季節の上では春と呼んでも差し支えないだろうに、ひどく冷える夜だ。眠る前に少し読書をするつもりが、いつの間にやら日が変わろうとしていた。葡萄酒でも飲んで暖まるか、それとももう休むか。逡巡していると、控えめに扉がノックされた。
こんな夜更けにおとなう者を、パーシヴァルは一人しか知らない。
2117明るい。空の高いところに、欠けた月が嵩を被っている。雨の一粒一粒が、光を受けて影を作り、空の中できらめいていた。
季節の上では春と呼んでも差し支えないだろうに、ひどく冷える夜だ。眠る前に少し読書をするつもりが、いつの間にやら日が変わろうとしていた。葡萄酒でも飲んで暖まるか、それとももう休むか。逡巡していると、控えめに扉がノックされた。
こんな夜更けにおとなう者を、パーシヴァルは一人しか知らない。
あやせ☆めぐる
PAST流星号、応答せよ !! (スーパージェッター、1965)(作画Apr.30th, 2021、サイズ: A5)主人公ジェッター (タイムパトロール723号) を描いたものです。色々思い入れの強い作品で、今見ても SF 要素の多さに驚きます。のちの有名 SF 作家が参加している為でしょう。正面顔などでは面白くないので、タイムストッパーで流星号を呼び出して見上げている感じにしてみました。
mizus_g
DONEワンライお題「眠れない夜」(2.5h) グランサイファーの甲板で夜風を感じながら星空を見上げると、幾らか心が平坦になるような感覚がある。
ここのところ自分の感情は不安定で揺れがある、と、ジークフリートは感じている。騎空士として仕事を請け負ったり仲間とともに日常を過ごしたりするにあたって不都合は無いにしろ、上の空であるとか、ぼうっとしているだとか、そういう言葉で形容されても否定できない状態がもうここのところ暫く続いているように思う。
原因は半分ほどわかっていて、中心となるのはパーシヴァルの存在だ。率直に言うと、ジークフリートはパーシヴァルのことが気になって仕方が無い。付き合いの長い相手であるのにどうして急にこのようなことになったのかはよく解らないのだが、パーシヴァルの振る舞いや言動には特に変化は無いと思う――ということは変化したのはジークフリートのほうであろう。関係性は変わっていない。強いて言えば、共に騎空艇に乗るようになってからはそれぞれ別々に行動していた頃に比べると随分と接触は増えた。艇内ですれ違えば言葉を交わすし、食堂で出会えばそのまま食事を共にすることもある。元よりの知己ということもあって団長より同じ依頼や仕事のメンバーに選出されることもしばしばであるし、接触が増えれば当然ながら親しさも増すもので、今では昔のように手合わせをしたり、たまに二人で買い物に出たり酒を酌み交わしたりすることもある。声を聞く機会も増えた。一時期よりもずっと気軽に、他愛のないやりとりをするようになった。よく話をするから、彼の最近の趣味や食べ物の好みも知っている。いま読んでいる本のことだとか、最近知り合って話すようになった団員が誰か、ということだとか。パーシヴァルの服が翻った時に微かに舞う匂いも覚えた。彼の、扉をノックする音が昔よりも落ち着いた上品なリズムに変化していると言うことも。先日降り立った街で買ったワインが気に入って取り寄せることにしたとか、最近は季節の果物を口にする機会が増えた、とかいうことも知っている。そう言えば、ふだん、比較的低く重みのある声音で話す彼が、最近ジークフリートの前では幾らか緊張の緩んだような多少丸みのある声で話すことが増えたように思う。だから、そういう油断をわざと誘いたくて食事の席で酒を飲ませようとすると、すぐにこちらの意図に気づいて俺を酔わせようとするなと怒り出す。いや、怒るというか、文句を言
5591ここのところ自分の感情は不安定で揺れがある、と、ジークフリートは感じている。騎空士として仕事を請け負ったり仲間とともに日常を過ごしたりするにあたって不都合は無いにしろ、上の空であるとか、ぼうっとしているだとか、そういう言葉で形容されても否定できない状態がもうここのところ暫く続いているように思う。
原因は半分ほどわかっていて、中心となるのはパーシヴァルの存在だ。率直に言うと、ジークフリートはパーシヴァルのことが気になって仕方が無い。付き合いの長い相手であるのにどうして急にこのようなことになったのかはよく解らないのだが、パーシヴァルの振る舞いや言動には特に変化は無いと思う――ということは変化したのはジークフリートのほうであろう。関係性は変わっていない。強いて言えば、共に騎空艇に乗るようになってからはそれぞれ別々に行動していた頃に比べると随分と接触は増えた。艇内ですれ違えば言葉を交わすし、食堂で出会えばそのまま食事を共にすることもある。元よりの知己ということもあって団長より同じ依頼や仕事のメンバーに選出されることもしばしばであるし、接触が増えれば当然ながら親しさも増すもので、今では昔のように手合わせをしたり、たまに二人で買い物に出たり酒を酌み交わしたりすることもある。声を聞く機会も増えた。一時期よりもずっと気軽に、他愛のないやりとりをするようになった。よく話をするから、彼の最近の趣味や食べ物の好みも知っている。いま読んでいる本のことだとか、最近知り合って話すようになった団員が誰か、ということだとか。パーシヴァルの服が翻った時に微かに舞う匂いも覚えた。彼の、扉をノックする音が昔よりも落ち着いた上品なリズムに変化していると言うことも。先日降り立った街で買ったワインが気に入って取り寄せることにしたとか、最近は季節の果物を口にする機会が増えた、とかいうことも知っている。そう言えば、ふだん、比較的低く重みのある声音で話す彼が、最近ジークフリートの前では幾らか緊張の緩んだような多少丸みのある声で話すことが増えたように思う。だから、そういう油断をわざと誘いたくて食事の席で酒を飲ませようとすると、すぐにこちらの意図に気づいて俺を酔わせようとするなと怒り出す。いや、怒るというか、文句を言
mizus_g
DONEパージク版リミットフリー創作企画お題「黒竜騎士団時代」お借りしました
パーシヴァルがまだ10代で、騎士団に入って間もないころを想定しています。もろもろ捏造と妄想設定を含みます。
夕暮れに秘密をひとつ いくら扉をノックしても返事が無い。
(明かりの消し忘れか……?)
四度目のノックを終えた後、まるで反応の無い扉を前にパーシヴァルは途方に暮れた。
団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
7412(明かりの消し忘れか……?)
四度目のノックを終えた後、まるで反応の無い扉を前にパーシヴァルは途方に暮れた。
団長ならば執務室に居るはず、と仲間から聞いたのはつい先程のことだ。まっすぐ寄り道せずに執務室にやって来たためそう時間は経っていないし、部屋の明かりがついているので当然在室しているものと思ったのに、居ないのであろうか。
パーシヴァルは手にしている紙束へと視線を落とした。先にたまたま城内ですれ違った文官から「騎士団長に渡しておいてくれ」と頼まれた書類だ。まとめて紙袋に入れられているため何の書類であるのかはわからないが、おそらく次年度の入団試験に関するものであろう。最近、騎士団と関わりのある文官達がよく入団試験についての話をしている様子を見かける。団長であるジークフリートが中心となって試験のやり方を改革しようという試みがなされているらしく、文官達と揉めているようだ。
ひろい
DONE【WEB再録】パージク『○○をしないと出られない部屋』/2021年7月全空無配本からテンプレっぽい話やってみたいな!と思って描いてみました
ユカタヴィラ、魔性の男、においをかぐその他諸々、私の好きなことしかやってません…
それにしても自主的に胸元乱れてくれる人っていいですよね(ニコニコ) 6
ひろい
DONE【WEB再録】黒竜騎士団パージク/2021年7月全空無配本からジークフリートさんは何でパーシヴァルと恋愛関係に陥ってくれたかな~?と自分を納得させるために描いた漫画です
恋愛関係になるわけにはきっかけが必要で、そのきっかけつくったのはパーシヴァルの告白もあると思うけど、もう一人助言あったら確実に動くんじゃないかでヨゼフ様出してみました
しかし、色々やりたいこと入れたら変な話になりました(反省) 4
mizus_g
DONE2021年7月11日全空の覇者緊急SUMMERで配布した無料配布本に載せたものです。貰って下さった方ありがとうございました!
月夜に炎の立つ 目的のものはあったのか、と尋ねると、もうすぐだ、と曖昧な言葉が返ってきた。
夏、天気は晴れ、月と星のよく見える穏やかな夜だった。パーシヴァルはジークフリートと二人、団長に無断で騎空艇を抜け出し、フェードラッヘ北方の山を登っている。
此処はかつて黒竜騎士団に属していた時代に訓練や魔物退治などを目的によく登った山で、思い出の山と言えばそういうことになる。さほど険しい山ではないが、登山は登山であり、道中には魔物も棲み着いているので油断は禁物だ。過去にはこの山を甘く見た騎士団の仲間が負傷して帰ってきたこともあり、近年には魔物に加えて獰猛な野獣の目撃情報も報告されている。昼間でも注意が必要ではあるが、真夜中ともなれば更に危険度は上がる。
5537夏、天気は晴れ、月と星のよく見える穏やかな夜だった。パーシヴァルはジークフリートと二人、団長に無断で騎空艇を抜け出し、フェードラッヘ北方の山を登っている。
此処はかつて黒竜騎士団に属していた時代に訓練や魔物退治などを目的によく登った山で、思い出の山と言えばそういうことになる。さほど険しい山ではないが、登山は登山であり、道中には魔物も棲み着いているので油断は禁物だ。過去にはこの山を甘く見た騎士団の仲間が負傷して帰ってきたこともあり、近年には魔物に加えて獰猛な野獣の目撃情報も報告されている。昼間でも注意が必要ではあるが、真夜中ともなれば更に危険度は上がる。
mizus_g
DONEワンライお題「雨に濡れる」(時間ちょっとオーバー)(ジークフリート……?)
雨に煙る城門の際に、鎧姿の男が一人、立っている。
濡れ鼠となった栗色の髪と重たげな外套、濡れて光る黒い鎧のその男は、間違いなくジークフリートその人であろう。
雨除けもせず長雨の景色に溶け込むように薄ぼんやりと佇む姿を遠目に見て、パーシヴァルは首を傾げた。
何をしているのだろうか。
此処から見る限りでは「何かをしている」という様子には見えない。剣を持っているわけでもなく、何処とも言えぬ何処かをぼうっと見つめ、やがて所在なげにふらりと歩き出す。足取りはしっかりしているが一歩一歩に重さが感じられない。たとえば今、あの姿は幻影か幽霊のようなものがジークフリートに化けたものなのだと言われたらきっと納得してしまうだろう。あやふやで、そこに実在しているのかどうかすらも怪しい。蜃気楼――というものをパーシヴァルは目にしたことが無いが、何かに喩えるならばそれが最も近しいように思う。
4678雨に煙る城門の際に、鎧姿の男が一人、立っている。
濡れ鼠となった栗色の髪と重たげな外套、濡れて光る黒い鎧のその男は、間違いなくジークフリートその人であろう。
雨除けもせず長雨の景色に溶け込むように薄ぼんやりと佇む姿を遠目に見て、パーシヴァルは首を傾げた。
何をしているのだろうか。
此処から見る限りでは「何かをしている」という様子には見えない。剣を持っているわけでもなく、何処とも言えぬ何処かをぼうっと見つめ、やがて所在なげにふらりと歩き出す。足取りはしっかりしているが一歩一歩に重さが感じられない。たとえば今、あの姿は幻影か幽霊のようなものがジークフリートに化けたものなのだと言われたらきっと納得してしまうだろう。あやふやで、そこに実在しているのかどうかすらも怪しい。蜃気楼――というものをパーシヴァルは目にしたことが無いが、何かに喩えるならばそれが最も近しいように思う。
mizus_g
DONEワンライお題「二度目のキス」(時間オーバー)「何を舐めている?」「レモンキャンディ……だ、そうだ」
風の無い夜だった。
騎空艇の甲板で島々の夜景を眺めながら、ジークフリートはパーシヴァルの質問に対してやや舌足らずな発音で答えた。その口元は咥えた飴玉を転がすことに忙しいようで、喋っている最中にもしきりにうごめいている。
「どうしたんだ、それは」
「貰った。団員の土産だそうだ。個包装になったものが食堂に大量に積まれていてな、たくさんあったから俺もひとつ頂いてきたんだ」
「……そうか」
パーシヴァルは後ろめたさを抱えながら、ジークフリートの唇をちらちらと横目で盗み見ていた。彼の視線は艇の外、眼下の景色に注がれていて気づく様子は無い。
まるく明るい月に照らされた唇の膨らみは品の良い厚みがあり、肉感を思わせるかたちをしている。ふっくらとしていて実に柔らかそうだ。それから、時折、チロリと覗く舌先が濡れた気配を纏いながら唇の表面を舐め、乾いた膨らみに少しの艶を添えてすぐに引っ込むしぐさをする。それがどうにも見ていて後ろめたい。見え隠れする舌が唇の合間を出たり入ったりするたびにパーシヴァルはなにか好ましくない衝動を持て余し、いったん視 2875
となぎ
DONEパージタ本『本当の心を語る』の冒頭13pを再公開しておきます。(2021年1月のオンラインイベントで展示していたものと同じです)
2022.5.16 追記
発行から一年経つということもあり3ページ追加しました。
こちらで通販中です→ https://tonagi-wind.booth.pm/items/4629808 19
mizus_g
DONEワンライお題「怪我の手当て」「これで良し……、と」ジークフリートの背中と腕に巻いた晒し布を固定する。きつくなりすぎぬよう、解けたり緩んだりすることのないよう、慎重に。包帯を巻く技術などかつて騎士団で練習して以来一度も学んでいないが、ここ最近はジークフリートの怪我の手当をパーシヴァルが主に担当しているため随分と上達してきたように思う。
毎回のように負傷して帰ってくるジークフリートの面倒を見るのは、騎空艇で隣室を与えられているパーシヴァルの当然の役割であろうと思うから、そのこと自体には何の不満も無い。しかし、ひとりで勝手に艇を降りてはどこぞで大怪我をして帰ってくる――ということを何度も繰り返すジークフリートに対しては言いたい文句が山のようにある。
危険なことをするな。周りの人間を心配させるな。そう言うと彼は決まって、けろりとした顔で「俺は平気だぞ」と言うものだから、話はいつだって通じないし、パーシヴァルの想いが届くことも無いのだ。昔も今も、おそらくはこれからも。
「すまんな。手間を掛ける」
「過ぎたことを責めるつもりはないが、次は気をつけろ」
「わかった」
ことばの上では従順だが、次もまた怪我をして帰ってく 2884
mizus_g
DONE「昨日の夢と今日の過ち」2021年3月21日全空の覇者17で配布した無料ペーパーに載せたものです。
貰って下さった方ありがとうございました~!
黒竜騎士団時代の話です。Rはつきませんが若干スケベです。夜も更けた薄暗い城内の廊下を、パーシヴァルはひとり、急ぎ足で宿舎の自室へと向かっていた。
騎士団の皆はもうとうに寝静まっている。パーシヴァルはというと、黒竜騎士団の副団長に叙任されるにあたって必要な書類を揃えていたら思ったよりも時間がかかってしまい、気がついた時には辺りがすっかり暗く、静まりかえっていたのだった。
複雑な仕事をしていたわけでもないのに無駄に時間が掛かったことには、理由がある。
昨夜見た夢のせいだ。誰にも言えぬ、ひどく不埒な夢を見た。騎士団長のジークフリートと自分が何故か恋仲になっていて、ふたりでベッドに上がり、裸で抱き合う夢だった。
奇妙なまでに五感の伴う夢で、自身で服を脱いだ彼が晒した素肌の色や、その艶めきの臨場感は今でも手に取るように思い出せる。夢の中のジークフリートはパーシヴァルの身体をベッドに押し倒し、自ら脚を開いて挑戦的にパーシヴァルを誘った。パーシヴァルは興奮して自制心をなくした状態にあり、晒された内腿の肉感に躊躇うことなく欲情した。その情動は夢のくせにあまりに強烈で、目が覚めて時間が経過した今も感情の内側に居座ったまま残ってしまっている。全裸の彼の 4494
mizus_g
DONEワンライお題「一緒に眠る」ふと、控えめなノックの音が響く。深夜の騎空艇に聞こえる音と言えば艇の駆動音と風の音ばかりであるのが常だ。空耳を疑い、パーシヴァルは耳を澄ました。しばらく返事をしないでいると、少し間を置いてからもう一度、コンコン、と微かなノック音が聞こえてくる。
「入れ」
時間が時間だ。こちらが就寝している可能性を考慮しての遠慮であろう。
訪ねてきているのは、おそらく――。
「……すまんな、夜更けに」
開いた扉からジークフリートが姿を見せた。
最近、時々こういうことがある。夜も更けてパーシヴァルが就寝しようとする頃、見計らったようにジークフリートが部屋を訪ねてくるのだ。今宵で三度目だ。今日は今までで最も時刻が遅い。
「どうした。共に酒を飲む相手でも探しているのか」
「いや……、それもいいんだが」
「今宵は飲まんぞ。もう遅い。明日に響く」
「酒はまた今度でいい」
扉を閉めたジークフリートはその場に立ち尽くしている。パーシヴァルは軽く首を傾げて「どうかしたか」と尋ねてみた。
「一緒に寝ても良いか」
思わぬ事を請われる。
パーシヴァルは顔を上げてジークフリートの目を見た。
「……構わんが」
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