最近の検索
    ログインするともっと絵文字を送れます
    持っているアカウントではじめる

    指輪

    Lei

    らくがき👹に指輪を投げつける🦊の話
    指輪机の上に置かれた、指輪の入った箱。勢いで買ってしまったこれを、一体全体どうしたらいいのか。名探偵であるはずの自分でさえ分からない、この難問。捨てるには高すぎて、渡そうとした相手に渡すには正気に戻ってしまった。
    「何で俺はこれを買っちゃたの!????馬鹿なのか!?」
    頭を抱えながら、これを買った時を思い出す。

    ぶらぶらと洋服を買った帰り道。普段は目にも止まらない、高級アクセサリー店。それに目が行ってしまったのは、何故だろう。もしかしたらヴォックスとの交際が5年目を迎え、彼との“これから”を考えるようになったからかもしれない。普通のカップルなら結婚も視野に入っているであろう期間。しかし俺たちは“普通”のカップルじゃない。男同士ってこともそうだけど、何よりヴォックスは400年生きる鬼だ。俺が寿命を迎えても、彼はその後もずっと生きるのだろう。そう考えれば、俺と過ごす時間は彼の中ではちっぽけなものに過ぎない。そんな俺が彼を一時でも縛り付けるのは、いけないことだろう。それでも、5年という月日を彼に愛されてしまった俺は、彼を縛り付けてしまいたいという身分不相応な願いを抱いてしまっている。フラフラと入ったそこは、幸せそうなカップルでいっぱいだった。
    2689