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    57

    choko_bonbon

    DONEケーキの味を楽しむ子供(高専57)と、大人の57。


    五七版ドロライ 第二回GW企画
    ワードパレット 15「我慢できない/残り少ない/リベンジ」
    好きと言う前に「我慢できない」ふたり
    ふたりがただの先輩後輩、同じ仕事の仲間というだけの関係であるのは「残り少ない」時間のこと
    やられたら、同じことをして返す「リベンジ」に燃える人
    付き合ってないけど、キスするふたり昼になり、天気がいいから外でご飯を食べようと言う灰原に誘われて、七海はひんやりとした空気の流れる木陰に腰を下ろしていた。ともすると、向こうから人が歩いてくるのが見える。黒い服というだけでは学生か補助監督かの区別もあいまいだが、その人には目を瞠るほど美しい白銀の頭と。遠目から見てもわかる、長い手足と高い上背というバランスの取れた肢体があって。灰原と共に、その人が五条であることに気付く。
    思わず、その動きを見つめてしまう。一挙手一投足を、仔細に観察してしまう。
    そうして強い視線を投げていたせいで、とうの本人もこちらに気付いた。近づいてきてやっと、彼が手づかみでチョコレートケーキを持ち、それを頬張りながら歩いているのが分かる。名家出身であろうに、行儀の悪さがにじみ出ている。
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    ぬけがら

    DONE付き合ってない五と社畜七の始まりそうな春のお話。57FESTA2の展示作品でした。パスワードはずしました。
    『ハルノヒ』「ひょっとして、死のうとしているとでも思っていますか」
     暦の上では春だとしても雨の夜は肌寒い。七海が帰宅して間もない室内は、人間が二人居るのに寒々としている。無造作にローテーブルに置かれたエアコンのリモコンが、ぴ、と音を立てる。微かなエアコンの稼働音に混じって、七海は無表情で外套を脱いだ。室外からは雨の音。冷えた部屋には空調の揺らぎ。その中にぽつりと七海の声が、混じる事なく放たれた。
    「え? ゴメンもっかい言って」
     五条は術式のおかげで濡れてもいない衣服を、それでも確かめるように撫でてからソファーに腰掛けた。テレビスクリーンの真正面に置かれたソファーの、向かって左側。右側には七海が座る。七海は五条の存在を無視しようとして、出来なかった。そんなことを試みる方が面倒くさいと学んでしまっているのかもしれない。呪術界から離れて何年も経つというのに。今のところ毎週金曜日の訪いが突然に始まり、そして三週連続で続いている。七海は問われた事に答えないまま珈琲の準備に向かった。聞こえなかったのならばそれはそれで構わないとでもいうように背を向ける。目元の隈は濃く、立ったままでも眠れそうな具合だ。
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